1. 「作ったのに、何も起きない」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「去年ホームページを作ったんですけど、問い合わせが1件も来なくて。作っても意味なかったのかなと思ってます」
このご相談、本当に多いです。そして話を伺うと、ほとんどの場合まだ何も判断できる段階に来ていません。アクセス解析を見ていない、検索エンジンに登録していない、公開してから一度も直していない。この状態で「効果がなかった」と結論を出すのは、種を蒔いた翌週に畑を掘り返すようなものです。
問い合わせが来ない理由は、突き詰めると3つしかありません。
- 見られていない(そもそも人が来ていない)
- 読まれていない(来ているが、すぐ帰っている)
- 送られていない(読まれているが、問い合わせに至らない)
この3つは順番に切り分けられます。そして切り分けないまま「デザインを変えよう」「広告を出そう」と動くと、効かない場所にお金と時間を使うことになります。この記事では、公開後90日で順に潰していく手順を書きます。
費用の判断そのものは ホームページの費用は、3年で並べないと判断できない にまとめてあります。
2. まず、数字を見られる状態にする
切り分けの前提として、数字が取れていないと何も始まりません。次の2つが入っていなければ、まずここからです。
- アクセス解析(Google アナリティクス) ― 何人来て、どのページを見て、どこで帰ったか
- Google Search Console ― どんな言葉で検索されて、何回表示されて、何回クリックされたか
この2つは無料です。そして多くの中小企業のサイトで、どちらも入っていません。制作会社が入れてくれていると思っていたら入っていなかった、というケースも珍しくありません。
確認の仕方は簡単で、制作会社に一言聞けば済みます。
「アクセス解析とサーチコンソールは設定されていますか。管理画面を見られるようにしていただけますか」
「入っています」だけで終わらせず、自分がログインできる状態にしてもらってください。見られない数字は、無いのと同じです。
自分のGoogleアカウントで見られるようにしておく理由はもう1つあります。制作会社を変えるときに、過去のデータを持っていけるからです。制作会社のアカウントの中だけで動いていると、契約が切れた瞬間に何年分かのデータが見えなくなります。
そしてもう1つ。サイトマップを Search Console に送信してあるかも確認します。これをやっていないと、ページの存在にGoogleが気づくのが遅れます。公開して数ヶ月経つのに検索結果に自社名すら出ないなら、ここが抜けている可能性があります。
3. 切り分け①:そもそも見られているか
数字が見られるようになったら、最初に見るのは月間のセッション数です。ざっくり次のように読みます。
- 月10未満 ― ほぼ誰も来ていない。問い合わせが来ないのは当然です
- 月10〜100 ― 社名で検索した人と、名刺やSNSから来た人が中心。ここからは増えません
- 月100〜500 ― 検索やSNSからそれなりに来ている。ここで問い合わせが0なら中身の問題です
- 月500以上 ― 十分な母数。ここで0件なら、原因は間違いなく中身にあります
ここで大事なのは、セッション数そのものより、社名で来た人を除いた数です。Search Consoleでクエリを見て、社名(「〇〇株式会社」)での検索が大半なら、それは既にこちらを知っている人です。知らない人が来ているかどうかが、サイトが集客の入口として働いているかどうかの分かれ目になります。
私が見てきた中では、公開1年以内のサイトはクリックの6〜7割が社名検索というのが普通です。これは異常ではなく、まだ社名以外で見つけてもらえていないというだけのことです。
月100未満のうちは、デザインを直しても問い合わせは増えません。分母が足りていないからです。この段階でやることは、中身の改善ではなく入口を作ることです。
入口を作る4つの手
- Google ビジネスプロフィールを整える。地域で商売しているなら、これがいちばん早いです。地図の検索結果は自然検索より上に出ます
- 社名以外の言葉で1ページ作る。「〇〇(サービス名) 〇〇(地域)」で探している人向けのページを1枚足します。トップページだけでは受け皿になりません
- 名刺・請求書・メール署名にURLを入れる。すでに接点のある人を確実に流す。地味ですが確実です
- SNSから流す。発信していないなら、ここは無理に始めなくて構いません。既にやっているなら、プロフィールにURLを置きます
広告は、この4つをやってからです。受け皿が整っていないサイトに広告費を入れるのは、穴の開いたバケツに水を注ぐのと同じになります。
もう1つ、見落とされやすい入口があります。既存の取引先と、過去に問い合わせてくれた人です。新規を取りにいく前に、すでに接点がある相手にURLを一度届けるだけで、思わぬ紹介が生まれることがあります。メールの署名を変えるだけなら、今日できます。
4. 切り分け②:来ているのに、読まれていない
月100以上来ているのに問い合わせが0なら、次は直帰率と滞在時間を見ます。トップページを開いて数秒で帰っているなら、読まれる前に判断されています。
数秒で帰られる典型的な理由
- 何の会社か、最初の画面で分からない。「〇〇な未来を、共に。」のような抽象的な言葉だけが大きく置かれていて、事業内容が下までスクロールしないと出てこない
- スマートフォンで読みにくい。文字が小さい、横にはみ出す、写真が重くて表示が遅い
- 表示が遅い。大きな画像をそのまま置いていると、開く前に閉じられます
- 探している情報が無い。料金、対応エリア、実績。この3つのどれかを見に来ていることが多いです
まずやること
自分のスマートフォンで、自分のサイトを開いてください。電波の良い場所ではなく、外出先の電波が弱い場所で。ここで「遅い」「読みにくい」と感じたら、それが答えです。
そのうえで、最初の画面に「何を、誰に、どこで」を入れます。「神戸の軽貨物運送。住宅設備の配送に強く、緊急便まで対応します」のように、一文で分かる形です。かっこよさより、通じることが先です。
そしてSearch Consoleでどんな言葉で来ているかを見てください。狙っていた言葉と違うなら、来ている人と用意した中身がズレています。その言葉に合わせてページを直すほうが、新しい言葉を狙うより10倍早いです。
読まれているかを確かめる、もっと簡単な方法
数字の前に、知り合いに見てもらうのが確実です。事業のことを知らない人に、スマートフォンでサイトを開いてもらい、10秒だけ見て閉じてもらう。そのあとで「うちは何をしている会社に見えた?」と聞きます。
これで答えられないなら、最初の画面が仕事をしていません。社内の人に聞いても意味がありません。もう知っているからです。この確認は無料で、その日のうちにできます。
5. 切り分け③:読まれているのに、送られていない
滞在時間が長く、複数ページを見られているのに問い合わせが0。ここまで来たら、原因は問い合わせの手前にあります。
フォームで止まる理由
- 項目が多すぎる。会社名・部署・役職・住所・電話・予算・希望納期。10項目を超えると、途中で閉じられます
- 必須が多すぎる。電話番号を必須にすると、それだけで数割減ります
- 何が起きるか分からない。送ったらすぐ営業電話が来るのでは、という警戒です
- そもそも動いていない。これが実際にあります。送信ボタンを押しても何も起きない、届いていない、迷惑メールに入っている
- 見えない入力欄が仕込まれている。スパム対策として置かれることがありますが、ブラウザの自動入力がそこに値を入れてしまい、正規の問い合わせがbot扱いで捨てられるという事故が起きます。画面には「送信しました」と出て、メールだけ飛ばない。いちばん気づけない形です
最後のひとつは笑い話ではありません。私たちが引き継いだサイトで、フォームが半年間まったく届いていなかったことがあります。画面には「送信しました」と出るのに、メールは飛んでいない。ログも残っていない。公開したら必ず、自分で1度送信して、受信を確認してください。そして半年に1度は同じ確認をしてください。
送られるようにする手
- 項目を減らす。会社名・お名前・メールアドレス・お問い合わせ内容。この4つで足ります
- 電話番号を任意にする。必要なら返信で聞けます
- 送った後どうなるかを書く。「2営業日以内にメールでご返信します。お電話でのご連絡はいたしません」と書くだけで、送信率は変わります
- 問い合わせ以外の入口も置く。電話、LINE、メールアドレスの直書き。人によって使いたい手段が違います
- フォームまでの導線を増やす。問い合わせボタンがページの最下部に1つだけ、という構成をよく見ます。読み終わった場所から押せるように、区切りごとに置きます
- スマートフォンで電話番号をタップできるようにする。画像で電話番号を置いていると、タップしてもかかりません。意外と多い作りです
送信されたかどうかを、数字で見る
フォームの手前まで来た人が何人いて、そのうち何人が送信したか。これはアクセス解析で計測できます。送信完了を「キーイベント(コンバージョン)」として設定しておくと、月に何件届いたかが自動で残ります。
設定していないと、「今月は問い合わせが少ない気がする」という感覚でしか話せません。感覚で判断すると、たいてい実際より悪く見えます。
6. 90日の進め方
順番にまとめます。同時にやらないことが大事です。同時に変えると、何が効いたか分からなくなります。
1ヶ月目:測れるようにする
アクセス解析とSearch Consoleを入れ、サイトマップを送信し、自分のスマートフォンで全ページを見る。フォームから1件テスト送信して受信を確認する。この月は数字を集めるだけで、中身は触りません。
2ヶ月目:切り分けて、1つだけ直す
月間のセッション数を見て、3節・4節・5節のどこで止まっているかを決めます。そしてそこだけを直します。入口が足りないならGoogleビジネスプロフィール、読まれていないならトップの最初の画面、送られていないならフォームの項目。
3ヶ月目:数字を比べて、次を決める
1ヶ月目の数字と比べます。変わっていなければ、切り分けが間違っていたということなので、別の段階を疑います。変わっていれば、同じ方向でもう1手打ちます。
90日でやることは、これだけです。大がかりな作り直しは、この3ヶ月をやってから判断してください。多くの場合、作り直さなくても動きます。
なお、3ヶ月やっても数字が動かない場合もあります。そのときに疑うのは、そもそもその商品が検索で探されていないという可能性です。世の中に検索されていない商材は確かにあります。その場合、サイトの改善では動きません。入口を検索以外(紹介、DM、地図、SNS、広告)に切り替える判断が要ります。ここまで来て初めて、「サイトでは取れない」という結論を出せます。
7. やってはいけないこと
最後に、順番を間違えると効かない手を挙げておきます。
- いきなり作り直す。何が悪いか分からないまま作り直すと、同じ結果になります
- いきなり広告を出す。受け皿が整う前に出すと、費用だけかかります
- 同時に5箇所変える。何が効いたか分からなくなり、次の判断ができません
- 1ヶ月で判断する。検索からの流入は、早くても2〜3ヶ月かかります
- 数字を見ずに感想で決める。「なんとなく古い気がする」で直しても、問い合わせには繋がりません
順番が逆になっている会社が、本当に多いです。測る、切り分ける、1つ直す。この順番だけ守れば、どこで止まっているかは必ず特定できます。
8. 雄喜晃の伴走:公開後を、一緒に見ます
私たち雄喜晃のホームページ制作は、作って納品して終わりではありません。公開と同時にアクセス解析とSearch Consoleを設定し、その後も数値を見ながら一緒に直していく前提で月額をいただいています。
分析や提案だけで終わらせません。「直帰率が高いですね」で終わるレポートは出さず、どこをどう変えるかまで一緒に決めて、実際に直します。月5回までの修正更新を月額に含めているのは、そのためです。
一方で、はっきり申し上げておきます。成果を100%お約束することはできません。商材や商圏によって、そもそも検索で探されていない事業もあります。そういうときは、サイトではなく別の入口を提案します。サイトを売ることが目的ではないからです。
「作ってもらったが、公開後どうすればいいか分からないまま止まっている」という状態の会社にも、私たちはお役に立てます。まず今の数字が取れているかを一緒に確認するところからです。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:原因は3つしかない
問い合わせが来ないとき、確かめることは3つです。
- 見られているか ― 月100未満なら、中身ではなく入口の問題です
- 読まれているか ― 最初の画面で何の会社か分かるか、スマートフォンで読めるか
- 送られているか ― フォームの項目数と、そもそも届いているか
この順番で切り分ければ、どこで止まっているかは必ず分かります。分からないまま作り直すのが、いちばん高くつく選択です。
まずはアクセス解析の画面を開いて、先月のセッション数を見てください。その1つの数字だけで、次にやるべきことが決まります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。今の数字がどうなっているかを一緒に見るところから、ご一緒します。