1. 「何を載せればいいか分からない」の正体
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「載せる内容はお任せします、と言ったんですが、結局こちらで考えることになって。何を書けばいいのか分からないんですよね」
これは書く能力の問題ではありません。自社にとって当たり前のことが、外から見て何を知りたいことなのか、分からなくなっているだけです。毎日やっている仕事は、説明の必要を感じません。
ただ、見に来た人が最後に確かめていることは、業種ごとにほぼ決まっています。そこさえ押さえれば、あとは埋めていくだけです。この記事では、私たちが実際に制作してきた4業種について、必ず載せるものを整理します。
先に結論を書いておきます。どの業種でも、見に来た人は「自分の条件で頼めるか」を確かめています。確かめたい条件が業種によって違うだけです。士業なら料金と規模、工務店なら工事の大きさ、飲食なら営業時間、運送なら運べるもの。そこに答えていないページは、どれだけ整っていても問い合わせが来ません。
写真や原稿が揃っていない段階でも進められます。その進め方は 写真が1枚も無い会社の、ホームページの作り方 に書きました。
2. 全業種に共通する、5つ
まず、どの業種でも外せないものです。ここが抜けているサイトは驚くほど多いです。
- 何をしている会社か、最初の画面で一文。「〇〇向けに△△をしています」。抽象的なキャッチコピーだけを置かない
- 対応エリア。「全国対応」でも「神戸市内のみ」でも、書いてあることが大事です。書いていないと、そこで判断が止まります
- 連絡手段が2つ以上。電話とフォーム、あるいはフォームとLINE。人によって使いたい手段が違います
- 会社の基本情報。社名、代表者名、所在地、設立年。与信で見られるのはここです
- 料金の手がかり。正確な金額でなくても、「〇〇円から」「規模により20〜50万円」だけで、問い合わせの数は変わります
5つ目でつまずく会社が多いのですが、金額をまったく書かないと、比較検討している人はそこで離脱します。幅で書く、条件付きで書く、事例の金額を書く。どれかで構いません。
金額を書きたくない理由は、たいてい「案件ごとに違うから」です。それは事実ですが、見る側は正確な金額を求めているのではなく、桁を知りたいだけです。10万円の話なのか、100万円の話なのか。そこが分からないと、問い合わせていいのかどうかも判断できません。
書き方の例を挙げます。
- 「月額3万円〜(従業員10名程度の場合)」
- 「戸建の水回り一式で、80〜150万円が目安です」
- 「1件あたり8,000円〜。距離と点数によって変わります」
どれも正確な見積もりではありませんが、判断はできます。これで足ります。
3. 士業(税理士・社労士・行政書士など)
見に来る人が確かめているのは、「自分の状況で頼めるか」と「いくらか」の2つです。
必ず載せる
- 取扱業務を、依頼者の言葉で。「相続手続」より「親が亡くなったときの手続き」のほうが探されています
- 料金。顧問料の月額、スポット依頼の金額、初回相談の有無と費用。「応相談」だけだと問い合わせは来ません
- 対応できる規模。「従業員10名程度まで」「個人事業主の方も歓迎」。ここが分からないと、遠慮して問い合わせない人が出ます
- 誰が担当するか。顔写真がなくても、経歴と考え方が書かれていれば十分です
- 相談の流れ。初回は何を持っていけばいいのか、何分かかるのか
つまずきやすいところ
専門用語をそのまま使ってしまうことです。「事業承継」「M&A」「就業規則の整備」は、依頼者側がその言葉を知って初めて検索します。知る前の段階の言葉(「息子に会社を継がせたい」「就業規則が古いままで不安」)を併記しておくと、届く範囲が広がります。
もう1つ、「初回相談無料」と書いてあるのに、その後どうなるかが書かれていないケースをよく見ます。無料相談のあとに必ず契約を迫られるのでは、と身構える人がいるので、「その場でご契約いただく必要はありません」と一行添えるだけで、申し込みやすさが変わります。
4. 工務店・リフォーム・内装
見に来る人が確かめているのは、「うちみたいな工事もやってくれるか」と「いくらぐらいか」です。
必ず載せる
- 施工事例。これが最重要です。写真、工期、金額の目安、どこの地域か。3件でも構いませんが、金額が入っていないと比較材料になりません
- 対応する工事の種類。新築、増改築、水回りだけ、外壁だけ。小さい工事も受けるかどうかは必ず書きます。ここが分からず問い合わせをためらう人が多いです
- 対応エリア。「〇〇市内および隣接市町」のように具体的に
- 建設業の許可番号。信頼に直結します。持っているなら必ず書きます
- アフターの体制。工事後に何かあったとき誰に言えばいいか
つまずきやすいところ
大きな工事の事例ばかり載せてしまうことです。立派な新築の写真が並んでいると、「トイレの交換だけ頼みたい」という人は問い合わせません。小さい工事の事例も混ぜるだけで、問い合わせの層が広がります。金額の幅を見せることが、そのまま入口の幅になります。
もう1つ、施工事例が完成後の写真だけというのもよく見ます。着工前と後を並べると、何をした工事なのかが伝わります。工期と金額を添えれば、それだけで比較材料になります。写真の美しさより、揃っている情報の数のほうが効きます。
5. 飲食店
見に来る人が確かめているのは、「今日行けるか」「いくらか」「どんな店か」です。順番もこのとおりです。
必ず載せる
- 営業時間と定休日。臨時休業も含めて、常に最新であること。ここが古いだけで、来店をやめる人がいます
- メニューと価格。全部でなくてよいので、代表的なものと価格帯を。ランチとディナーは分けて書きます
- 席数と、予約の要否。「予約なしでも入れます」は強い情報です
- 場所と行き方。最寄り駅からの分数と、駐車場の有無
- 料理の写真。ここは唯一、写真が必須の業種です。外観と、看板メニュー数点
つまずきやすいところ
サイトだけ作って、Googleマップを整えていないことです。飲食店を探す人の大半は地図から入ります。サイトより先にビジネスプロフィールを整えるべき業種の代表例です。詳しくは Googleマップとホームページ、どちらを先に整えるか に書きました。
もう1つ、メニューをPDFで置かないでください。スマートフォンで開くと拡大縮小が必要になり、そこで閉じられます。文字で書けば読めます。
そして、下限の金額だけを書かないでください。実際の会計が想定の倍になると、次は来ません。ランチとディナーそれぞれの、実際に多い会計の幅を書くほうが、結果として満足度は上がります。
6. 運送・軽貨物・物流
見に来る人が確かめているのは、「何を、どこまで、いつまでに運べるか」です。ここは他の業種より条件が具体的です。
必ず載せる
- 運べるもの。「一般貨物」ではなく、実際に多いもの。「住宅設備」「精密機器」「什器」のように具体的に書くと、その言葉で探している人に当たります
- 対応エリア。発着地の範囲。「阪神間+大阪・近畿圏」のように
- 車両と台数。軽バン、1.5t、2t。稼働台数は信頼に直結します
- 対応できる時間帯と、緊急便の可否。「当日対応可」は強い訴求です
- 許認可。貨物軽自動車運送事業の届出、一般貨物自動車運送事業の許可。どちらを持っているかで受けられる仕事が変わるので、正確に書きます
つまずきやすいところ
「何でも運びます」と書いてしまうことです。発注する側は、自分の荷物が運べるかを確かめに来ています。得意なものを具体的に書いたほうが、結果として幅広く当たります。「キッチン・ユニットバスなど住宅設備の配送が得意です。その他の精密機器や什器にも対応します」という書き方が、いちばん問い合わせに繋がります。
もう1つ、この業種は採用にも同じサイトが効きます。ドライバーを探している人も同じページを見ます。募集要項を1ページ足しておくだけで、求人媒体に出す前に応募が来ることがあります。仕事を取るページと人を採るページを分けておくと、両方効きます。
7. 業種を問わず、効く1ページ
もう1つ、どの業種でも効くのに作られていないページがあります。「よくある質問」です。
商談で毎回聞かれることを、そのまま書くだけです。
- 費用はどのくらいか
- どのくらいの期間がかかるか
- 対応できない条件はあるか
- 支払いのタイミングはいつか
- 断ったら費用はかかるか
このページは、問い合わせを減らすためではなく、問い合わせを増やすために作ります。不安が残ったままの人は連絡してきません。先に答えておくと、残った不安が減って、連絡のハードルが下がります。
書き方のコツは、都合の悪いことも書くことです。対応できないもの、お受けできない条件、追加費用が発生する場合。ここを隠さずに書いてあるページは、読む側の警戒を確実に下げます。良いことしか書いていないページは、逆に信用されません。
私が現場で見てきた限り、このページを作った会社は、問い合わせの中身が変わります。「いくらですか」から始まるのではなく、「この条件でお願いできますか」から始まるようになる。商談の時間が短くなり、成約率が上がります。
作り方は簡単です。直近3件の商談で聞かれたことを、そのまま書き出す。それが5個あれば、もうページになります。新しく考える必要はありません。既に何度も答えているはずです。
8. 雄喜晃の伴走:載せる内容から、一緒に決めます
私たち雄喜晃は、「原稿をご用意ください」とは申し上げません。お話を伺った内容をこちらで整理して、載せる形にします。この記事に書いたような項目は、業種ごとに型として持っているので、貴社に必要なものを聞き出すところから担当します。
実際にお作りしたサイトも、士業、クリニック、飲食、物流、運送、設備工事、文具店と業種はさまざまです。業種ごとに、見た人が最後に確かめる場所が違うというのは、そこで得たものです。
一方で、私たちがやらないことも書いておきます。他社の実績や、実在しない事例を載せることはしません。創業まもない会社であれば、実績欄を作らずに、できることと進め方で構成します。無いものを有るように見せる作り方はしません。
「何を載せればいいか分からないまま止まっている」という状態の会社には、私たちは間違いなくお役に立てます。ご相談いただいたら、貴社のホームページのサンプルを先に無料でお作りします。実物を見れば、足りないものも見つかりやすくなります。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:確かめられていることに、先に答える
何を載せるかを決めるために必要なことは、3つです。
- 全業種共通の5つを埋める ― 一文の説明、対応エリア、連絡手段2つ、会社情報、料金の手がかり
- 自業種で最後に確かめられていることに答える ― 士業なら料金と対応規模、工務店なら小さい工事の可否、飲食なら営業時間、運送なら運べるもの
- よくある質問を作る ― 商談で毎回聞かれることを、そのまま書く
この3つが揃えば、デザインの良し悪しに関係なく問い合わせは動きます。逆に、ここが埋まっていないサイトは、どれだけ見た目を整えても動きません。
まずは、直近の商談で聞かれたことを5つ書き出してみてください。それがそのまま、いま足りていない項目です。
書き出したあとに、自社のサイトを開いて、その5つの答えが書いてあるか探してみてください。探して見つからなければ、見に来た人も見つけられていません。そこを足すだけで、多くの場合は動きます。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の場合に何を載せるべきかを整理するところから、ご一緒します。