1. 止まる理由の第1位は、写真です

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「ホームページ、作ろうと思ってるんですけど、載せる写真が無くて。事務所も普通ですし、商品も地味だし。撮ってからにしようと思って、そのままです」

私が現場で見てきた限り、制作が止まる理由でいちばん多いのが写真です。次が文章。この2つで9割です。デザインや金額で止まる会社は、実はそれほど多くありません。

そして厄介なことに、写真は「そのうち撮ろう」と思うと永遠に撮れません。撮影の日を決めるには、掃除して、人を揃えて、天気を選んで、と準備が要ります。日常業務がある中で、その日は自然には来ません。

この記事では、写真が無いまま公開する方法を書きます。撮るなという話ではありません。撮ってから作るのではなく、作ってから撮るという順番に変えるだけで、止まっていたものが動きます。

制作前に決めておくことの全体像は 神戸でホームページ制作を頼むとき、どこを見て選ぶか にまとめてあります。

2. そもそも、写真は何のために載っているのか

写真を「見栄えのため」だと思っていると、良い写真が無ければ載せられない、という結論になります。実際には、サイトの写真には3つの役割しかありません。

  • 実在を示す ― 本当に営業している会社だと分かってもらう
  • 中身を伝える ― 何を扱っているか、どんな仕上がりかを見せる
  • 雰囲気を伝える ― どんな人がやっているか、入りやすい雰囲気か

このうち「実在を示す」がいちばん重要で、いちばん簡単です。外観を1枚、スマートフォンで撮るだけで足ります。プロが撮った美しい写真である必要はまったくありません。

逆に、きれいすぎる写真ばかりのサイトは、かえって実在が伝わらないことがあります。フリー素材のオフィス風景と、外国人モデルの握手写真だけで構成されたサイトを見て、信用しようと思う人はいません。下手でも本物のほうが強い、というのが実務の感覚です。

問い合わせをするかどうか迷っている人が写真で確かめているのは、美しさではありません。「ここは本当にやっているのか」「話が通じそうか」の2つです。地味な事務所の写真でも、実際にそこで仕事をしている様子が写っていれば、その2つは伝わります。

3. 写真に頼らない構成にする

写真が少ないなら、写真の枚数が要らない構成にします。使えるものは意外とあります。

① 文字と余白で見せる

見出しを大きく、余白を広く取って、文章を読ませる構成です。士業、コンサル、BtoBのサービス業はこれで十分成立します。むしろ写真を無理に入れるより、静かで信頼感のある見え方になります。

このとき効くのは、書体と余白です。写真が無いぶん、文字そのものが画面の主役になります。制作会社に「写真が少ないので、文字組みで持たせてください」と伝えておくと、そういう作り方をしてもらえます。

② 図解にする

サービスの流れ、料金の比較、対応エリア。言葉で書くと長くなるものを図にすると、写真の代わりになります。制作会社に「ここは図で」と伝えれば作ってもらえます。

③ 数字を置く

創業年、対応件数、対応エリアの数、稼働している台数、取り扱い品目の数。数字は写真より具体的で、しかも撮影が要りません。「創業から30年」「稼働20台」の2つが並ぶだけで、伝わる情報量が変わります。

数字が無いと思っても、たいてい何かはあります。在籍年数、取引先の業種数、対応できる時間帯、最短の納期、保有している資格の数。探すと出てきます。盛らないことだけ守れば、小さい数字でも構いません。「昨年の実績12件」は、書かないより確実に強いです。

④ ロゴと色で持たせる

ロゴがあるなら、それを軸に色を決めて構成します。写真ではなく色面で区切ると、素材が無くても間延びしません。ロゴが無い場合でも、色を2色決めるだけで統一感が出ます。

⑤ 手書きの図や、現場のメモを使う

意外に効きます。実際に現場で使っている図面、チェックリスト、手順の写し。そのまま載せられなくても、それをもとに作り直したものは、本物の手触りが残ります。

4. スマートフォンで自分で撮るときの5つ

それでも数枚は欲しい、という場合。スマートフォンで十分です。外注する前に、この5つだけ守って撮ってみてください。

  • 明るい時間に、窓の光で撮る。室内灯だけだと色が濁ります。曇りの日の昼がいちばん失敗しません
  • 逆光を避ける。窓を背にして被写体を撮ると暗くなります。窓は自分の後ろに
  • 横向きで撮る。サイトは横長で使う場所が多いので、縦で撮ると使える範囲が減ります
  • 余白を多めに入れる。あとから切り取れます。ぎりぎりで撮ると、はめ込む場所によっては使えません
  • 同じ場所で数枚撮る。1枚だけだと、後で「もう少し右から」が効きません

被写体の優先順位は、この順です。

  1. 外観(実在を示す。いちばん効く)
  2. 働いている様子(人の顔が写っていなくても構いません。手元だけでも伝わります)
  3. 道具・車両・設備(何ができる会社かが分かります)
  4. 仕上がったもの(施工後、納品物、商品)
  5. 代表者の写真(信頼に効きますが、抵抗があるなら無理に載せません)

5つ目を無理に載せる必要はありません。顔を出さないと信用されない、ということはありません。

なお、スタッフの顔を載せる場合は、必ず本人の了解を取ってください。辞めた後も載り続ける可能性があるので、そこも含めて一言伝えておくのが親切です。後から「消してほしい」と言われて、連絡が付かないという事態は実際に起きます。

もう1つ。撮った写真はそのままの大きさで載せないでください。最近のスマートフォンの写真は1枚で数MBあり、そのまま置くとページが重くなって表示が遅れます。制作会社に渡せば圧縮してもらえますが、自分で入れる場合は縮小してから使ってください。

5. フリー素材を使ってよい場面、いけない場面

無料や有料の素材写真を使うこと自体は、まったく問題ありません。問題は、どこに使うかです。

使ってよい

  • 記事やコラムの挿絵
  • 抽象的な概念を表すイメージ(背景など)
  • 業種そのものを説明する説明的な図

使わないほうがいい

  • トップの最初の画面。ここに他社と同じ素材が入っていると、その1枚でサイトの印象が決まります
  • 「私たちのオフィス」「スタッフ紹介」のような、自社を指す場所。実在しない人の写真を自社スタッフのように見せるのは、誤解を招きます
  • 施工事例・実績。他社の仕事の写真を自社の実績のように置くのは、明確に不適切です

判断の基準は1つです。その写真が「これは弊社です」という意味を持つ場所かどうか。持つなら本物、持たないなら素材で構いません。

なお、生成AIで作った画像も同じ基準です。挿絵や背景なら構いませんが、自社のスタッフや施工事例として置くのは、素材写真と同じく誤解を招きます。とくに人物は、実在しない人を自社の人間のように見せる形になるので避けてください。

なお、素材サイトによって商用利用の可否や、加工の可否、クレジット表記の要否が違います。制作会社が用意する場合は、ライセンスの条件を確認しているかを一言聞いておくと安心です。

6. 「作ってから撮る」という順番

最後に、順番の話です。撮影を先にすると、何を撮ればいいか分からないまま撮ることになります。その結果、使えない写真が大量に残ります。

おすすめは逆です。

  • Step 1:写真の枠だけ空けて、先に公開する。文章と図と数字で構成を作り、写真が入る場所を決めておきます
  • Step 2:どこに何が要るかが決まってから撮る。「トップの横長が1枚、作業風景が3枚、外観が1枚」と分かっていれば、撮影は30分で終わります
  • Step 3:撮れたものから差し替える。全部揃うのを待ちません

この順番なら、写真が無いことが公開の障害になりません。そして撮る側も、目的が決まっているぶん失敗しません。

私が現場で見てきた限り、先に公開してしまった会社のほうが、結局きちんと写真を揃えています。枠が空いているのが見えていると、埋めたくなるからです。逆に、撮ってから作ろうとした会社は、半年経ってもまだ撮れていません。

同じことが文章にも言えます。完璧な原稿を用意してから作ろうとすると、作れません。まず暫定の文章で公開して、実際に読まれる状態を見ながら直すほうが、結果として良い文章になります。公開は締め切りではなく、出発点です。

7. 撮影を依頼する場合の目安

きちんと撮りたい場面もあります。判断の目安を書いておきます。

  • お店・施設で、見た目が売上に直結する業種(飲食、美容、宿泊、クリニック)は、撮影に投資する価値があります。ここは写真で選ばれるからです
  • BtoBのサービス業、士業、コンサルは、優先度は低めです。文章と実績のほうが効きます
  • 製造・工事・物流は、設備と現場が撮れると効きます。人物は必須ではありません

金額の目安としては、半日の撮影で数万円から、というのが一般的です。カット数と使用範囲(サイト以外に使うか)で変わるので、依頼時にそこを伝えると見積もりがぶれません。

撮影の日に、まとめて撮っておくもの

一度カメラマンに来てもらうなら、サイト用だけで終わらせるのはもったいないです。同じ日に次も撮っておくと、あとで効きます。

  • 名刺・チラシで使える縦横の両方
  • Googleマップに載せる外観と内観
  • SNSで使う正方形
  • 季節が変わると撮れないもの(屋外の作業、繁忙期の様子)

写真は使い回せます。1回の撮影を、サイト・地図・印刷物・SNSの4箇所で使う前提で撮っておくと、単価が一気に下がります。

依頼するときは、使う場所を先に決めてから頼んでください。「よろしくお願いします」で頼むと、きれいだけれど使いどころのない写真が納品されます。「トップの横長1枚、作業風景3枚、外観1枚」と伝えるだけで、仕上がりも金額も変わります。

8. 雄喜晃の伴走:素材が無い前提で作ります

私たち雄喜晃は、素材が揃っていない状態からのご依頼を前提にしています。「写真が集まってからご連絡ください」とは申し上げません。手元にあるものだけでまず1本作り、あとから差し替えていく形にしています。

文章についても同じです。原稿をご用意くださいとは申し上げません。お話を伺った内容をこちらで整理して、載せる形にします。経営者の方に原稿を書いていただこうとすると、そこで半年止まるのを何度も見てきたからです。

一方で、私たちがやらないことも書いておきます。撮影そのものは、必要に応じて手配はしますが、本業ではありません。本格的な撮影が売上に直結する業種であれば、専門のカメラマンに依頼したほうが確実です。そこは正直に申し上げます。

「写真が無いから、まだ動けていない」という状態の会社には、私たちは間違いなくお役に立てます。ご相談いただいたら、今ある素材だけでサンプルを無料でお作りします。見て断っていただいても費用はかかりません。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。

9. まとめ:素材が無いことは、作らない理由にならない

写真が無い状態で進めるために必要なことは、3つです。

  • 写真の役割を「実在・中身・雰囲気」に分ける ― 実在はスマートフォン1枚で足ります
  • 写真の枚数が要らない構成にする ― 文字・図・数字・色で持たせられます
  • 作ってから撮る ― 枠が決まってから撮ると、30分で終わります

この3つで、止まっていたものが動きます。きれいな写真が無いことより、公開されていないことのほうが、はるかに損です。

まずは今日、スマートフォンで外観を1枚撮ってみてください。それだけで、最低限必要な1枚は揃います。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。今ある素材で何ができるかを見るところから、ご一緒します。