1. 「ホームページを作れば検索で出る」わけではない
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページを作ったんですが、店名以外では全然出てこなくて。SEOってやっぱりお金かかるんですかね」
ここで見落とされているのが、検索結果の一番上に出ているのは、たいてい地図の枠だということです。「〇〇 神戸」「〇〇 近く」と検索したとき、スマートフォンの画面に最初に出るのは3件の店舗情報で、通常のサイトの一覧はその下です。
つまり、地域で商売している会社にとっては、自然検索で10位に入るより、地図の3枠に入るほうが早い。そしてその枠に出るために必要なのは、ホームページではなく Googleビジネスプロフィール です。
この記事では、どちらを先に整えるべきかを業種ごとに整理します。ホームページ側の判断は ホームページを作ったのに問い合わせが来ない ― 公開後90日でやること にまとめてあります。
2. 2つは、役割がまったく違う
まず整理します。
| Googleビジネスプロフィール | ホームページ | |
|---|---|---|
| 出る場所 | 地図の枠・マップアプリ | 自然検索の一覧 |
| 効く検索 | 「〇〇 神戸」「近くの〇〇」 | 業種名・悩み・サービス名 |
| 費用 | 無料 | 制作費または月額 |
| 反応までの速さ | 数日〜数週間 | 数ヶ月 |
| 載せられる情報量 | 限られる | 制限なし |
| 電話が直接かかる | かかる | フォーム経由が中心 |
| 信頼の作られ方 | クチコミ | 中身と実績 |
いちばん違うのは「反応までの速さ」です。ビジネスプロフィールは整えてから数日で地図に出方が変わることがあります。ホームページが検索で評価されるまでには、早くて2〜3ヶ月かかります。
そしてもう1つ、電話が直接かかってくるという違いは実務でかなり大きいです。地図から電話をかける人は、その場で決めています。フォームから問い合わせる人より、成約までが圧倒的に短い。
もう1つ、費用の差も見ておいてください。ビジネスプロフィールは無料です。費用がかからないうえに、整えるのに専門知識もほとんど要りません。それでいて、地域の商売では反応がいちばん早い。やらない理由が無い施策というのは、実はそう多くありません。
一方でホームページには、地図にはできないことがあります。なぜそれができるのか、どう進めるのか、いくらかかるのか。この3つは地図には載りません。金額の説明や、他社との違いを伝える場所としては、サイトのほうが確実です。だから最終的には両方要ります。順番の話をしているだけです。
3. 先にGoogleマップを整えるべき業種
来店・訪問が発生する商売なら、こちらが先です。
- 飲食店、美容室、理容室、整体、クリニック、歯科
- 小売店、修理店、リサイクル、クリーニング
- 工務店、リフォーム、水道・電気の修理
- 士業(地域の相談が中心なら)
- 自動車整備、鈑金、ガソリンスタンド
これらは「近くで探す」検索が発生する業種です。地図で見つけて、そのまま電話をかける、という行動が実際に起きます。
まずやること
- オーナー確認を済ませる。登録自体は誰でもできてしまうので、まず自社の管理下に置きます
- カテゴリを正しく選ぶ。ここが地図に出るかどうかにいちばん効きます。実態に近いものを主カテゴリに
- 営業時間・電話番号・住所を正確に。祝日や臨時休業も入れます
- 写真を10枚以上。外観、内観、商品、スタッフ。地図の枠では写真が見られます
- クチコミに全部返信する。低い評価にも、感情的にならずに返します
この5つは無料で、今日から始められます。制作会社に頼まなくてもできる作業です。
クチコミをどう増やすか
地図の枠に出るかどうかに、クチコミの数と評価は効きます。ただし、増やし方を間違えると逆効果です(7節に書きます)。
現実的なのは、その場で頼むことです。施術が終わった、修理が終わった、料理を食べ終わった。そのタイミングで「よろしければ一言いただけますか」と口頭で伝え、QRコードを渡す。これがいちばん自然で、返報率も高いです。
「後でお願いします」は返ってきません。その場で、その手に渡すところまでを仕組みにしてください。
投稿機能を使う
ビジネスプロフィールには、お知らせを投稿する機能があります。新商品、季節の案内、営業時間の変更。これを月に数回入れておくと、情報が動いている店舗として扱われます。手間としては、SNSに1本書くのと同じです。
4. 先にホームページを整えるべき業種
「近くで探す」検索が発生しない商売なら、ホームページが先です。
- BtoBのサービス業(商圏が全国、または業界内)
- 製造業、加工業(発注元が地域に限らない)
- 通販、ECが主力
- コンサル、研修、代行業
- 採用が主目的の場合
これらは、そもそも地図で探されません。「〇〇 加工 依頼」のように、業種と目的で検索されます。この場合、地図に力を入れても反応は出にくく、サイトの中身のほうが効きます。
ただし、BtoBでも地図を整えておく価値はあります。取引前に会社を確認するとき、地図に何も出ないと不安を持たれるからです。入口としてではなく、確認先として整えておく、という位置づけです。
BtoBのサイトで先に用意するもの
BtoBの場合、地図より先に効くのは次の3つです。
- できることを、寸法・素材・数量で具体的に書く。「各種加工承ります」では検索されません。「ステンレスの板金加工、最大2000mmまで」と書くと、その言葉で探している人に当たります
- 対応エリアと納期。発注する側がいちばん先に確認する条件です
- 取引の流れ。見積もりから納品までの手順が書いてあると、初めての相手でも問い合わせやすくなります
この3つは、書けば書くほど検索に当たる面が増えます。地図と違って、情報量が効く世界です。
5. 両方をつなぐ
どちらを先にしても、最終的には繋げます。繋ぐと片方だけよりも効きます。
- ビジネスプロフィールのウェブサイト欄に、サイトのURLを入れる。地図で見つけた人が、詳しい情報を見に来られます
- サイトに地図を埋め込む。アクセスのページに地図を置くと、道順をそのまま開けます
- 住所・電話番号・営業時間の表記を、両方で完全に一致させる。表記がバラバラだと、同じ会社だと認識されにくくなります。「1丁目10-1」と「1-10-1」のような差も揃えます
- クチコミをサイトに載せる。実際に投稿された内容を、そのまま引用します
3つ目は地味ですが効きます。名刺、請求書、看板、サイト、地図。この5箇所の表記を揃えるだけの作業です。1時間で終わります。
どちらから来たかを、数字で分ける
両方動かし始めたら、どちらから来たかを分けて数えてください。地図のウェブサイト欄からサイトに来た人は、アクセス解析で判別できます。加えて、地図側の管理画面でも「電話がかかった回数」「ルート検索された回数」が見られます。
ここを分けておかないと、「なんとなく増えた気がする」で終わります。増えた理由が分からないと、次にどちらへ投資すればいいかも決まりません。数字を分けることは、次の判断を作る作業です。
6. 順番を間違えると、どう損をするか
実際に見た形を書きます。
地図を整えずにサイトだけ作った飲食店。半年経っても検索から来る人はほとんどおらず、「ホームページは意味がなかった」と判断されかけました。ビジネスプロフィールを整えたところ、地図経由の電話が月に十数件入るようになりました。サイトが悪かったのではなく、出る場所が違っていました。
逆に、地図だけでBtoB加工業をやろうとした会社。地図の表示は増えましたが、問い合わせは増えませんでした。発注する側が地図で探していなかったからです。この会社に効いたのは、扱える素材と対応できる寸法を書いたページでした。
順番が逆になっている会社が、本当に多いです。先に決めるべきは、貴社のお客様がどこで探しているかです。ここが分かれば、どちらを先にするかは自動的に決まります。
分からない場合は、既存のお客様に「どうやってうちを知りましたか」と聞いてください。5人聞けば傾向は出ます。これがいちばん確実な調査です。
もう1つ、自分で確かめる方法があります。自分がお客様だったら何と検索するかを、実際に検索してみる。そのとき地図の枠が出るなら、地図が先です。出ずにサイトの一覧だけが並ぶなら、サイトが先です。画面を見れば分かります。推測で決める必要はありません。
7. やってはいけないこと
最後に、地図まわりで踏んではいけないところを挙げます。
- クチコミと特典を交換する。「クチコミを書いたら割引」はGoogleのポリシー違反です。景品表示法の観点でも問題になり得ます。特典はスタンプカードなど、クチコミと切り離した形にしてください
- 自作自演のクチコミ。発覚したときの損失が、得られるものに見合いません
- カテゴリを実態と違うものにする。表示は増えるかもしれませんが、来る人がズレるので成約しません
- 住所を実態と違う場所にする。地図の枠から外される原因になります
- 返信を放置する。とくに低い評価に返信が無いと、それだけで判断されます
1つ目は、良かれと思ってやってしまう会社が実際にあります。提案が来ても止めてください。
もう1つ、低い評価への返信の書き方にも触れておきます。事実と違うことを書かれても、その場で反論を並べないでください。読んでいるのは投稿者だけでなく、これから来るかもしれない人です。落ち着いて事実を1つだけ添え、改善する点があれば書く。それだけで、読む側の印象はまったく変わります。感情的な返信は、低い評価そのものより効きます。
8. 雄喜晃の伴走:どちらが先かから、ご一緒します
私たち雄喜晃は、ホームページの制作をお受けしていますが、「サイトより先に地図を整えたほうがいい」と判断したときは、そう申し上げます。実際に、まずビジネスプロフィールの整備から入った案件があります。
サイトをお作りする場合も、アクセス解析とサーチコンソールの設定、地図との表記の統一まで含めて担当します。作って渡して終わりにはしません。公開後に数値を見ながら、どちらの入口が効いているかを一緒に見ていきます。
一方で、私たちがやらないことも書いておきます。クチコミを増やすための施策として、特典との交換のような形はご提案しません。短期的に数は増えても、ポリシー違反のリスクを貴社に負わせることになるからです。ご要望があっても、そこはお断りします。
「サイトを作ったが、そもそもどこで探されているのか分からない」という状態の会社には、私たちは間違いなくお役に立てます。まずお客様がどこから来ているかを整理するところからです。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:出る場所が違えば、打つ手が違う
どちらを先に整えるかを判断するために必要なことは、3つです。
- 来店・訪問が発生するかどうか ― するなら地図が先。速さがまったく違います
- お客様がどこで探しているか ― 既存のお客様に5人聞けば分かります
- 表記を5箇所で揃える ― 名刺・請求書・看板・サイト・地図。1時間で終わって、確実に効きます
地図の整備は無料で、今日から始められます。サイトの制作を検討している段階でも、先にこちらを進めておいて損はありません。
まずはご自身の店名・社名で検索して、地図に何が出るかを見てみてください。そこに出ている情報が古ければ、それが最初に直すところです。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。どちらから手を付けるべきかを見極めるところから、ご一緒します。