1. 「0円」と書いてあると、まず裏を疑う
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページ制作費0円って広告で見たんですけど、あれ結局、あとから何か請求されるんじゃないですか。うまい話には裏があると思うんですよね」
まっとうな警戒だと思います。実際、私たち雄喜晃も月額8,800円・制作費0円という形でホームページをお作りしていますが、同じことを最初に聞かれます。
ただ、ここで大事なのは「0円は怪しい/怪しくない」の二択で判断しないことです。0円という言葉自体には、良いも悪いもありません。制作にかかった手間と時間は必ずどこかで回収されていて、その回収の場所と方法が会社ごとに違う。それだけの話です。
私が現場で見てきた限り、0円で失敗する会社と、0円で得をする会社の差は、業者の良し悪しよりも契約書のどこを読んだかでついています。同じ「制作費0円」の広告から入って、3年で31万円で済んだ会社と、120万円払ってサイトも手元に残らなかった会社が、両方あります。
問題は、その回収の場所が契約書のどこにも分かりやすく書かれていない場合に起きます。この記事では、0円の裏側にある3つの回収モデルを分解し、契約前にどこを確かめればいいのかを整理します。制作を請ける側が自分の条件を晒しながら書くので、多少やりにくいところもありますが、包み隠さずいきます。
なお「作ったあと放置される」という構造そのものについては、代理店依存から抜け出す3ステップ ― 丸投げ構造を内製の呼吸に変える にも近い話を書いています。あわせてお読みいただくと、業者選びの軸が定まりやすいはずです。
2. 0円は値引きではない。回収の場所が違うだけ
まず前提を1つ。ホームページを1本作るのに必要な手間は、0円プランでも数十万円プランでも、そこまで変わりません。ヒアリングをして、構成を決めて、文章を書いて、デザインして、公開して、直す。この工程は消えません。
つまり 「制作費0円」は、工程を削った結果ではなく、請求のタイミングをずらした結果 です。ずらした先は、だいたい次の3つに分かれます。
- 月額に分割して乗せる(最低契約期間で回収する)
- オプションと追加費用で回収する(本体は安く、周辺で取る)
- リース契約に載せる(第三者のリース会社が立て替え、長期で回収する)
そもそも、なぜここ数年で0円プランが一気に増えたのか。理由は単純で、制作の型ができたからです。飲食店ならこの構成、士業ならこの構成、というパターンが業界内で共有され、ゼロから設計する工程が減りました。減った分を初期費用の値下げに回せるようになった、というのが実態です。
ですから0円という言葉そのものは、技術の進歩の結果でもあります。問題は言葉ではなく、その先の契約条件のほうにあります。
この3つは、危険度がまったく違います。1つ目は仕組みとして自然で、3つ目は正直おすすめしません。順に見ていきます。
3. 回収モデル①:月額に分割して乗せる
もっとも素直な型です。初期費用でいただかない代わりに、月額と最低契約期間で制作分を回収します。
この型の特徴
- 最低契約期間が明記されている(6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月など)
- 期間を過ぎれば違約金なしで解約できる
- 月額にサーバー代・ドメイン代・保守・更新が含まれていることが多い
見るべきポイント
最低契約期間 × 月額が、実質の制作費です。月額8,800円で最低6ヶ月なら52,800円。月額29,800円で最低24ヶ月なら715,200円。同じ「制作費0円」でも、実質額は10倍以上違います。
私が現場で見てきた限り、ここを計算せずに月額の数字だけで比べてしまう方が本当に多いです。比べるべきは月額ではなく、最低契約期間まで払い切ったときの総額です。
この型自体は、制作会社側の資金繰りとしてもお客様側の初期負担としても理にかなっています。警戒すべきは、最低契約期間が長いのに、それが小さく書かれている場合だけです。
ありがちな落とし穴
- 最低契約期間が、料金表ではなく利用規約の側に書いてある。トップページには月額しか載っておらず、フッターの規約まで降りると24ヶ月と書いてある、という構成をよく見ます
- 「初年度無料」「半年間0円」の類。無料期間が終わった月から通常料金になり、そこから最低契約期間が始まる場合があります。いつから何ヶ月なのかを確認してください
- 自動更新の条項。解約の申し出が「更新月の2ヶ月前まで」といった形で限定されていると、実質的に解約できる月が年に1回しかない、ということが起こります
4. 回収モデル②:オプションと追加費用で回収する
本体は本当に0円に近く、その代わり周辺で収益を取る型です。これも一概に悪いわけではありませんが、見積もりの読み方に注意が要ります。
よくある請求ポイント
- ページを1枚足すたびに追加費用
- 写真の差し替え・文章の修正が1回いくら
- SSL、独自ドメイン、メールアドレスが別料金
- アクセス解析の設置が別料金
- スマートフォン対応が上位プラン限定
起きること
こういう相談を受けたことがあります。
「月5,000円のプランで作ってもらったんですが、事業内容が変わったので3ページ足したら1ページ3万円で9万円、写真の差し替えが1回5,000円、SSLの費用が年1万円、と請求が来まして。作ってもらってはいるので払っているんですが、これ、最初に一括で払ったほうが安かったんじゃないかと」
このケース、請求のひとつひとつは事前に案内された料金表どおりでした。おかしなことをされたわけではありません。それでも経営者の方が納得できなかったのは、契約時に「1年でいくらになるか」を誰も一緒に計算しなかったからです。
起きること
契約時は「月額5,000円」で始まったのに、1年後の実支払いが月2万円を超えている、という状態です。1つひとつは正当な作業なので、請求が不当なわけではありません。ただ、契約前に総額が読めないという点が経営判断を狂わせます。
見分け方は簡単で、「月額に含まれるものの一覧」が公開されているかどうかです。含まれるものが書かれていない会社は、含まれないものが多い会社だと考えて、まず間違いありません。あわせて「修正は月に何回まで無料か」を必ず数字で聞いてください。
5. 回収モデル③:リース契約で回収する
3つの中で、もっとも慎重になっていただきたい型です。
これは制作会社が費用を分割してくれているのではなく、リース会社という第三者が制作費を立て替え、貴社がリース会社に長期で支払うという三者間の契約です。ホームページ特有の話ではなく、コピー機や什器と同じリースという契約形態そのものの性質として、次のことが起きます。
- 事業者間の契約になるためクーリング・オフの対象にならない
- 中途解約が原則できず、解約するには残りの期間分をまとめて支払う必要がある
- リース期間が終わっても、そのホームページの所有権は手元に残らないのが原則
- 制作会社が倒産しても、リース会社への支払い義務は続く
最後の1つが、とりわけ効いてきます。作ってくれた会社が消えて更新も相談もできないのに、支払いだけが数年残る。この形が実際に起きています。
金額の感覚も持っておいてください。月額2万円で36ヶ月なら総額72万円、5年契約なら120万円です。そこまで払っても、サイトは貴社のものにならない。これがリース型の構造です。
なぜ気づきにくいのか
この形が今も残っているのは、説明のされ方が巧妙だからです。実際に聞く言い回しはこういうものです。
「制作費は当社が負担しますので、御社のお支払いは月々のサポート料だけです」 「分割でのお支払いになりますので、初期のご負担はありません」
どちらも嘘は言っていません。ただ、「支払う相手が制作会社ではない」ことと「途中でやめられない」ことが説明から抜けている。ここが核心です。契約書の署名の段になって別の会社名が出てきても、その場では「分割の手続きです」と流されてしまう。実際、契約後に初めて気づかれた方を何人も見ています。
見分けるための一言
契約書に リース会社の名前が入っているかどうか を見てください。制作会社とは別の会社名が署名欄にあれば、それはリース契約です。「分割払い」「割賦」と説明されていても、契約の相手が第三者なら同じことです。判断に迷う契約書を前にしたときは、署名する前に、消費者センターや弁護士など利害関係のない第三者に一度目を通してもらうのが確実です。
6. 契約前に確かめる5つのこと
業者がどの型であっても、この5つを聞けば実態はほぼ見えます。メールで送って、文字で答えてもらうのがおすすめです。
電話や打ち合わせの場ではなくメールで、というのには理由があります。口頭の説明は契約書に勝てないからです。「担当の方は違約金はないと仰っていました」は、後から効きません。文字で残っていれば、認識が食い違ったときに立ち返る場所ができます。相手にとっても、あとで揉めないための材料になります。
もう1つ。この5つは、業者を疑うための質問ではありません。貴社が3年後にどうなっているかを、契約前に見えるようにするための質問です。訊かれて気を悪くする会社であれば、その反応自体が判断材料になります。
- 最低契約期間は何ヶ月ですか。期間内に解約した場合はどうなりますか ここが実質の制作費です。違約金の有無も同時に確認します。
- 月額に含まれるものを、一覧で教えてください サーバー、ドメイン、SSL、保守、修正の回数。含まれないものが分かれば総額が読めます。
- 修正・更新は月に何回まで、どこまで対応いただけますか 回数無制限とだけ書いてある場合は「何を修正と数えるか」を聞きます。
- 解約したら、ホームページはどうなりますか 非公開になるのか、データを渡してもらえるのか。ここを曖昧にする会社は避けてください。
- 契約はどこの会社と結びますか 制作会社以外の名前が出てきたら、リース契約の可能性を疑います。
この5つに、はぐらかさず数字で答えてくれる会社であれば、型がどれであっても大きく外すことはありません。逆に、答えを濁されたなら、それが答えです。
7. 3年で並べて比べる
月額と初期一括は、期間を揃えないと比べられません。3年で並べると、こう見えます。
| 初期費用 | 月額 | 3年の総額 | |
|---|---|---|---|
| 制作会社に一括で依頼 | 30万円 | 5,000円(保守) | 48万円 |
| 月額制(8,800円・最低6ヶ月) | 0円 | 8,800円 | 31.7万円 |
| 月額制(29,800円・最低24ヶ月) | 0円 | 29,800円 | 107.3万円 |
| リース(月2万円・5年契約) | 0円 | 20,000円 | 72万円(5年で120万円) |
※金額は代表的な条件で置いた試算です。実際の見積もりで置き換えてお使いください。
表の3行目と4行目に注目してください。どちらも広告では「制作費0円」と書かれます。それでも3年で見れば、いちばん安い形の3倍以上を払っていることになります。0円という表示は、金額の大小について何も語っていないというのが、この表の言いたいことです。
こう並べると、「0円かどうか」ではなく「月額 × 拘束期間」で決まることが分かります。同じ0円でも、31万円と107万円の差が出る。ここを比べずに月額の安さだけで選ぶと、順番が逆になります。
もう1つ、総額に入れて考えていただきたいのが公開後に誰が動くかです。一括で作ってもらったサイトは、1年後に情報が古くなったとき、直す人がいなければ何も起きません。金額表の外側にある、この差のほうが実は大きいと私は考えています。
たとえば料金を改定した、スタッフが増えた、扱う商品が変わった。こうしたときにサイトを直せないと、問い合わせの前に見られている情報が、事実と違う状態で置かれ続けることになります。そうなると、そのサイトは集客の入口ではなく、機会損失の置き場所です。
一括で作る形を選ぶなら、社内で更新できる人を決めておく。決められないなら、更新まで含む月額の形を選ぶ。どちらが正しいという話ではなく、更新する人が決まっているかどうかで選び方が変わります。ここを決めずに金額だけで選んでいる会社が、本当に多いです。
8. 雄喜晃の場合:条件を先に出します
自分の条件を晒さずにこの記事を書くのはフェアではないので、書きます。私たち雄喜晃は上の分類でいえば 回収モデル①(月額分割型) です。リース会社は一切かみません。契約は貴社と雄喜晃の二者だけです。
- 月額8,800円(税別)から。最低契約期間は6ヶ月(8,800円 × 6ヶ月 = 52,800円)
- 7ヶ月目以降はいつでも解約できます。違約金はありません
- サーバー、独自ドメイン、SSL、保守、月5回までの修正更新は月額に込みです
- 7〜35ヶ月目で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、ドメイン代など必要経費のご負担を条件に、サイトをお渡しして公開を続けていただけます
4つ目は、こちらにとって不利な条件です。それでも先に書いているのは、契約したあとに知る条件ほど、信頼を損なうものはないからです。
一方で、私たちがやらないこともはっきりさせておきます。デザインだけを納品して終わりにはしません。作って渡して、あとはご自身でどうぞ、という形をご希望なら、私たちより適した制作会社があります。私たちは分析や提案だけで終わらせず、公開後も数値を見ながら一緒に直していく前提で月額をいただいています。
「サイトは欲しいけれど、公開したあと社内で誰も触れない」という経営者の方には、私たちは間違いなくお役に立てます。
そして、条件の説明より先に、実物を見ていただくのがいちばん早いと思っています。ご相談いただいたら、貴社のホームページのサンプルを先に無料でお作りします。見て断っていただいても費用はかかりません。実際にお作りしたサイトは 制作実績 にまとめてあります。
9. まとめ:0円の善し悪しは、契約条件でしか判断できない
「制作費0円」を判断するために必要なことは、3つです。
- 回収の場所を特定する ― 月額分割か、オプションか、リースか
- 最低契約期間 × 月額で総額を出す ― 月額の安さだけで比べない
- 解約したときサイトがどうなるかを、契約前に文字で確認する
この3つを押さえずに月額の数字だけで選ぶと、3年後に「思っていたのと違う」が起きます。逆に言えば、この3つが読めていれば、0円という言葉に振り回されることはありません。
そして、これは業者選びの話であると同時に、ホームページを何に使うつもりかを決める作業でもあります。名刺代わりに置いておくだけなら、安く作って更新しない形が正解です。問い合わせを取りに行くつもりなら、公開してからが始まりなので、直し続けられる形を選ぶ必要があります。先に決めるのは金額ではなく、使い方のほうです。
もし今お手元に見積書や契約書があって、判断に迷われているなら、セクション6の5つの質問をそのまま業者に送ってみてください。返ってくる答えの質で、だいたい分かります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社にとって何がいちばん損のない形か、契約の中身を並べて整理するところから、ご一緒します。