1. 「今朝から、会社のホームページが開かないんです」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「取引先から電話があって、御社のホームページが見られませんよと。見てみたら、確かに真っ白で。何をどうしたらいいのか分からなくて」

この状態は、思っている以上によく起きます。原因の多くは、事故でも攻撃でもありません。更新の手続きが止まっただけです。ドメインの更新料が引き落とせなかった、サーバーの契約が切れた、制作会社との契約が終わっていた。そのどれかです。

この記事で先にお伝えしたいのは、1つだけです。気づくのが遅れるほど、戻せる範囲が狭くなります。止まった直後なら、更新料を払うだけで元に戻ることがほとんどです。数週間放置すると、別料金がかかったり、手続きが増えたりします。さらに時間が経つと、同じドメインが手元に戻らないこともあります。

ですから、これから書くのは順番です。慌てる必要はありませんが、後回しにはしないでください。今日できることから、淡々と進めれば大丈夫です

ドメインとサーバーとメールの関係そのものは 独自ドメインとメールアドレスは、どこで何を契約すればいいか に整理してあります。この記事は、その仕組みが止まったときの話です。

2. まず、3つのうちどれが止まったのかを切り分ける

サイトが表示されないとき、原因は大きく3つに分かれます。対処がまったく違うので、最初にここを分けてください

① ドメインの契約が切れた

ドメインは、インターネット上の住所です。ここが切れると、サイトとメールが同時に止まります。ドメイン管理会社(お名前.com、ムームードメイン、エックスサーバードメインなど)からの請求が処理されていない状態です。3つのうち、いちばん急ぐのはこれです。

② サーバーの契約が切れた

サーバーは、サイトのデータが置いてある建物です。ここが切れると、サイトは表示されなくなりますが、ドメインが生きていればメールは残ることがあります(メールを別の会社で契約している場合)。サーバー会社にはたいてい一定の保管期間があり、その間に支払えばデータごと戻ります。

③ 制作会社との契約が切れていた

見落とされやすいのがこれです。ドメインもサーバーも制作会社の名義で、月額の支払いが止まったので公開を止められた、という形です。この場合、貴社の側にログインできる管理画面がありません。相手に連絡を取ることが最初の一歩になります。連絡が取れない場合の進め方は 制作会社と連絡が取れなくなったときに、まずやること に書きました。

まずは、支払いの明細を見てください。クレジットカードや口座の履歴に、ドメイン管理会社の名前があるか、サーバー会社の名前があるか、制作会社の名前だけがあるか。それだけで、3つのどれなのかがかなり絞れます。

3. 症状で見分ける

明細がすぐに出てこない場合は、画面に出ているものから推測できます。

「このサイトにアクセスできません」と出る

ブラウザに「サーバーのIPアドレスが見つかりませんでした」「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」といった表示が出ている場合、住所そのものが引けていない状態です。ドメインが切れている可能性が高いと考えてください。

制作会社やサーバー会社の代替ページが出る

「このサイトは一時的に停止しています」「お支払いが確認できません」といった案内ページが出ることがあります。これは、止めた側が意図的に出している画面です。誰が止めたのかが書いてあるので、そこが連絡先になります。この形はむしろ分かりやすく、支払えばすぐ戻ることが多いです。

検索結果には出るが、開かない

検索で会社名を調べるとタイトルと説明文は出るのに、押すと開かない。これは、検索エンジンが以前の情報を持っているだけの状態です。実際にはすでに止まっています。ここで「まだ検索に出ているから大丈夫」と判断しないでください。時間が経つと、検索結果からも消えていきます。

メールが届かなくなった

サイトより先に気づけるのは、たいていメールのほうです。独自ドメインのメールアドレスを使っている場合、ドメインが切れるとメールも同時に止まります。送った相手にはエラーが返り、こちらには何も届きません。「最近メールが少ないな」という感覚が、最初の兆候だったというケースは実際にあります。

4. 止まってからの時間で、できることが変わる

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。ドメインは、期限を過ぎた瞬間に消えるわけではありません。段階を踏んで、戻せる範囲が狭くなっていきます

図:ドメインが止まってからの時間と、そのときできること
止まった直後(当日〜数日)

サイトとメールは止まっているが、登録そのものは残っている段階。管理画面にログインして更新料を支払えば、多くの場合そのまま元に戻ります。やることは支払いだけです。

この段階で気づけば、費用も手間もほぼ増えません
猶予期間(数日〜数週間)

登録会社が定める猶予期間です。期間の長さはドメインの種類と登録会社によって違います。まだ通常の更新料で戻せることが多いものの、期限は必ず契約先の案内で確認してください。

同時に、メールが止まっている期間が長くなります
復旧期間(猶予期間の後)

猶予期間を過ぎると、通常の更新では戻せなくなります。復旧の手続きに切り替わり、通常の更新料とは別に手数料が必要になります。手続きにも日数がかかります。

通常の更新料に加えて、復旧のための費用がかかります
登録が抹消された後

復旧期間も過ぎると登録が抹消され、そのドメインは誰でも取得できる状態になります。第三者が取得した場合、同じ名前を取り戻せないことがあります。名刺・封筒・チラシの表記もすべて使えなくなります。

同じドメインが二度と戻らない場合があります

読み方は簡単です。上にいるうちは支払いだけで解決し、下にいくほど費用と手続きが増えます。猶予期間の長さは登録会社とドメインの種類で違うので、自分で判断せず契約先に確認してください。分からないまま数週間置くのが、いちばん損をする形です。

短縮する方法は1つだけ

この図で下に落ちる速度を止める方法は、1つしかありません。どこと契約しているかを、今日のうちに突き止めることです。管理会社さえ分かれば、そこに問い合わせる道が残ります。分からない場合は、「whois」と検索して出てくる確認サービスに自社のドメインを入れると、登録者と管理会社、そして有効期限が表示されます。

慌てて新しいドメインを取らない

止まった直後に、別のドメインを取って作り直そうとする方がいます。その判断は、元のドメインが戻せるか確認してからにしてください。ドメインを変えると、検索の評価も、名刺の表記も、メールアドレスも全部やり直しになります。戻せるものを戻すほうが、あらゆる面で軽く済みます。

5. サイトより先に、メールの手段を確保する

止まっているとき、実害が大きいのはサイトよりメールです。問い合わせが減るのは数日で取り返せますが、届かなかったメールは戻ってきません

まず、取引先への連絡手段を確保する

復旧の作業に入る前に、10分だけ使ってください。

  • 携帯のキャリアメールか、無料のメールアドレスを1つ用意する
  • 主要な取引先に、電話かSMSで「メールが一時的に止まっている」と伝える
  • 当面の連絡先として、その臨時のアドレスか電話番号を伝える

謝罪より先に、届く手段を渡すことです。相手が困るのは、返事が来ないことそのものだからです。

送信できない状態は、相手側に見えている

独自ドメインのメールが止まっている間、相手が貴社に送ったメールにはエラーが返ります。相手の画面には「配信できませんでした」と表示されています。つまり、こちらが黙っていると、相手には「連絡が取れない会社」に見えます。だからこそ、先に一報を入れる価値があります。

復旧後に、抜けを確認する

ドメインが戻ってメールが復活したら、止まっていた期間に連絡が来ていそうな相手に、こちらから声をかけてください。止まっていた間のメールは、原則として届きません。「先週から今週にかけて、何かご連絡いただいていませんでしたか」の一言で拾えます。

6. なぜ、更新の通知が届かなかったのか

ドメインもサーバーも、期限の前に必ず通知が送られています。それでも止まるのは、通知が読まれていないからです。理由は、だいたい次の3つです。

登録メールアドレスが、退職した人のものになっている

いちばん多い形です。3年前に手続きをした担当者のアドレスが登録されたままで、その人はもう社内にいない。通知は正しく送られているのに、誰も見ていない状態です。会社を移った人のアドレスが残っていることもあります。

制作会社のメールアドレスが登録されている

制作会社が手続きを代行した場合、登録の連絡先が制作会社になっていることがあります。制作会社が対応してくれている間は問題ありませんが、担当者が代わったり、契約が終わったりした瞬間に、通知の行き先がなくなります

クレジットカードの有効期限が切れている

自動更新にしていても、カードの有効期限が切れていれば決済は通りません。カードの再発行や番号の変更でも同じことが起きます。自動更新にしてあるから安心、とは言えないのはこのためです。決済の失敗通知も、上の2つの理由で読まれていないことが多いです。

私が現場で見てきた限り、この3つのどれかで説明がつきます。更新を忘れたのではなく、忘れていることに気づく仕組みが無かった、というほうが実態に近いと思います。

7. 同じことを起こさないための、4つの手当て

復旧したら、その日のうちにここまでやってしまってください。全部合わせても1時間かかりません

Step 1(当日):登録者名義と連絡先を自社にする

ドメインの登録者名義を自社(法人名)に、登録メールアドレスを個人名ではなく、部署や代表のアドレスにします。info@ のような、担当が代わっても生き続けるアドレスが理想です。ここを直すだけで、通知が届かない問題の大半が消えます。

Step 2(当日):自動更新をオンにする

ドメインもサーバーも、管理画面で自動更新の設定を確認します。オフになっていることが意外とあります。オンにしたら、その画面のスクリーンショットを1枚残しておいてください。次に確認するとき、どこを見ればいいか分かります。

Step 3(当日):支払い方法の有効期限を確認する

登録しているクレジットカードの有効期限が、次の更新日より後になっているかを見ます。カードを更新したときに、ドメインとサーバーの登録を直すという手順を、社内の決まりごとにしておくと確実です。

Step 4(年1回):更新月をカレンダーに置く

最後に、ドメインとサーバーの更新月を調べて、その1ヶ月前に会社のカレンダーへ予定を入れてください。件名は「ドメインとサーバーの更新確認」で十分です。年1回、5分の作業です。

あわせて、契約情報を1枚にまとめておくことをお勧めします。どのドメインを、どこで、いつまで、どのカードで契約しているか。ドメイン・サーバー・メール・SSLの4行の表で足ります。これがあると、担当が代わっても引き継げます。

8. 雄喜晃の伴走:止まったときに、相談先がある状態にしておく

私たち雄喜晃には、「サイトが止まってしまって、どこに聞けばいいか分からない」というご相談も来ます。まずやるのは、ドメインとサーバーと契約のどれが止まっているのかを、一緒に確認することです。多くの場合、作り直す必要はありません

私たちがお作りする場合、独自ドメインは必ずお客様名義で取得します。登録の連絡先も、貴社のアドレスにしていただきます。名義をこちらで押さえて囲い込むことはしません。やめるときに困らない形にしておくことが、続けていただく前提だと考えています。月額8,800円(税別)には、サーバー・独自ドメイン・SSL・保守・月5回までの更新代行までを含めていますので、更新の管理も私たちの側で回ります。

一方で、しないこともはっきりさせておきます。他社が作ったサイトの復旧作業だけを請け負う形は、基本的にお受けしていません。中身の作りが分からないものに手を入れると、かえって時間も費用もかかるためです。また、復旧を急がせて契約に持ち込むようなことはしません。止まっている状態は不安なものですが、その不安を材料にして商談を進めるのは、私たちのやり方ではありません。

「今は止まっていないけれど、更新まわりが誰の管理になっているか分からない」という段階でのご相談も歓迎です。止まる前に整理しておくほうが、はるかに軽く済みます。実際にお作りしたサイトは 制作実績 に、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。

9. まとめ:気づいた日のうちに、契約先を突き止める

ドメインやサーバーの更新を忘れてサイトが止まったときにやることは、3つです。

  • 3つのどれが止まったのかを切り分ける ― ドメインか、サーバーか、制作会社との契約か
  • 時間が経つほど戻しにくくなることを前提に動く ― 直後なら支払うだけ、後になるほど手続きと費用が増える
  • サイトより先に、メールの連絡手段を確保する ― 届かなかったメールは戻ってきません

この3つを順に進めれば、多くの場合はそのまま元に戻ります。戻らなくなるのは、原因が分からないまま数週間置いたときです。

そして、復旧したその日に、登録者名義と連絡先を自社に直して、自動更新を確認して、更新月をカレンダーに入れてください。年1回、5分の作業で防げることです

今この記事を読んでいて、サイトは普通に表示されているという方は、自社のドメインの有効期限がいつなのかを調べてみてください。すぐに答えられないなら、そこが手を打つところです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。今どこと何を契約しているのかを、一緒に並べるところからご一緒します。