1. 「連絡が取れなくなって、そのままなんです」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「作ってもらった会社の担当者が辞めたみたいで、メールの返事が来なくなって。もう2年、何も直せていません」
このご相談、思っている以上に多いです。制作会社が廃業した、担当者が退職した、個人でやっていた知人が本業で忙しくなった。原因はさまざまですが、起きることは同じです。サイトはあるのに、誰も触れない。
そして、多くの場合放置されます。急いで困る場面が無いからです。ただ、その状態には期限があります。ドメインやサーバーの更新が切れた瞬間、サイトもメールも止まります。そのときには、もう手を打つ相手がいません。
この記事では、連絡が取れなくなった時点で何を確認するかを、順番に書きます。慌てて解約しないこと。順番を守れば、たいていは取り返せます。
先に、いちばん大事なことを1つ書きます。サイトが表示されているうちが勝負です。表示されている=ドメインもサーバーも生きているということなので、まだ打てる手が残っています。止まってから相談に来られると、できることが一気に減ります。気づいた時点で動いてください。
契約まわりの前提知識は 独自ドメインとメールアドレスは、どこで何を契約すればいいか にまとめてあります。
2. 最初にやること:現状を3つに分けて確認する
サイトが動いているうちに、これだけは確認してください。サイトが消えてからでは調べられません。
① ドメインは誰の名義か
いちばん重要です。ドメイン管理会社(お名前.com、ムームードメインなど)の管理画面にログインできるかを試してください。IDとパスワードを持っていないなら、名義はほぼ相手です。
分からない場合、ドメインの登録情報は公開情報から調べられます。「whois」と検索して出てくる確認サービスに自社のドメインを入れると、登録者と管理会社が出てきます。管理会社さえ分かれば、そこに問い合わせる道が残ります。
あわせて、有効期限も確認してください。whoisの結果に、いつまで有効かが出ています。そこが、こちらに残された時間です。半年あるのか、来月なのかで、動き方の急ぎ方が変わります。
② サーバーはどこか
サイトのデータが置いてある場所です。制作会社の契約なら、こちらからは触れません。ただし、表示されているページのHTMLは、ブラウザから保存できます。中身が完全に失われる前に、控えを取っておく意味はあります。
③ メールはどうなっているか
独自ドメインのメールを使っている場合、ドメインが止まるとメールも止まります。サイトが消えるより、こちらのほうが実害が大きいことがあります。取引先からの連絡が届かなくなるからです。
メールが使えているなら、まだドメインは生きています。逆に、ある日突然メールが届かなくなったら、ドメインが切れた可能性を最初に疑ってください。サイトが見られないことより先に気づけるのは、たいていメールのほうです。
3. サイトが消える前に、控えを取る
連絡が取れない状態が続くなら、次の更新日が来る前に控えを取ってください。
- 全ページを保存する。ブラウザの「ページを保存」で構いません。文章と画像が残ります
- 文章をテキストで抜き出す。次に作り直すとき、これがあるだけで作業が半分になります
- 画像を保存する。右クリックで保存できます。制作時に渡した写真の元データが手元に無いことも多いです
- サイトの構成を控える。どんなページがあったか、URLは何だったか。次に作るとき、同じURLにできると検索の評価が引き継げます
- Search Consoleでクリックの多いページを控える。残すべきページが分かります
この5つで、作り直しの土台は揃います。ゼロからやるのと、これがあるのとでは、費用も時間もまったく違います。
作業としては、半日あれば終わります。10ページのサイトなら1〜2時間です。「そのうちやろう」で数ヶ月置いておくうちに更新日が来る、というのがいちばんもったいない形なので、気づいた週のうちにやってください。
もう1つ、ドメインとサーバーの支払いが誰のカードから出ているかも確認してください。自社のカードから引き落とされているなら、契約者は自社である可能性が高い。制作会社のカードなら、相手の契約です。請求の明細を見るだけで分かることがあります。
4. 連絡を取るための、最後の手段
諦める前に、試す価値のある方法があります。
- 法人番号や登記から、代表者の連絡先を調べる。国税庁の法人番号公表サイトで、所在地は確認できます
- 請求書に書かれている振込先や電話番号を見る。メールが駄目でも、別の手段が残っていることがあります
- 書面で送る。内容証明までいかなくても、郵送のほうが反応することがあります
- ドメイン管理会社に相談する。名義変更の手続きについて、可能性を教えてもらえます
ドメインの名義変更は、名義人の協力があれば手続きできます。連絡が一度でも取れたら、まずドメインの移管を頼んでください。サイトの修正より優先です。住所さえ手元に戻れば、あとは何とでもなります。
なお、支払いが残っている場合は、それを整理してから交渉するほうがスムーズです。こちらに未払いがあると、話が進みにくくなります。
5. 取り戻せない場合の、切り替え方
名義が相手のままで、連絡も取れない。その場合は、ドメインを諦めて切り替える判断が要ります。つらい判断ですが、放置するよりはるかにましです。
- 新しいドメインを、自社名義で取る。今度は必ず自社で
- 控えた文章と画像で、作り直す
- 新しいメールアドレスを用意する。取引先に案内を出します
- 旧サイトが生きているうちに、新サイトの案内を載せられるか試す(管理画面に入れる場合のみ)
- 名刺・パンフレット・請求書の表記を差し替える
検索の評価は、いったん下がります。これは避けられません。ただ、社名で検索されたときに新しいサイトが出るようになるまでは、数週間から数ヶ月です。止まったままのサイトを持ち続けるより、早く切り替えたほうが傷は浅くなります。
そして、旧ドメインが失効した後に、第三者に取得されることがあります。まったく関係のない内容のサイトが、以前のURLで公開される。これは実際に起きます。名刺やパンフレットに旧URLを刷ったままにしないでください。
6. 次に、同じことを起こさないために
作り直すとき、あるいはこれから頼むときに、これだけ押さえてください。
- ドメインは自社名義で契約する。管理画面のIDとパスワードを自社で保管する
- メールも自社名義で契約する。制作会社に紐づけない
- 契約情報を1枚にまとめる。どこで契約し、IDは何で、支払いはどのカードで、更新はいつか
- 担当者個人ではなく、会社として連絡先を持つ。担当が辞めても続く関係にする
- サイトのデータを、年に一度もらう。「バックアップをいただけますか」と一言頼むだけです
5つ目は、頼めば断られることはまずありません。そして、これがあれば今回のような事態でも詰みません。
もう1つ、「連絡が続く相手かどうか」を、最初に選ぶ基準に入れてください。金額の安さで選んで連絡が取れなくなるより、多少高くても続く相手のほうが、結果として安く済みます。選び方は 神戸でホームページ制作を頼むとき、どこを見て選ぶか に書きました。
7. やってはいけないこと
順番を間違えると、取り返しがつかなくなります。
- 先に解約や支払い停止をしない。サイトもメールも即座に止まります。先に控えを取り、先に移す
- 感情的に督促しない。相手の協力が必要な手続きが残っている段階では、関係を壊すと損をします
- 旧ドメインを放置しない。第三者に取られると、まったく無関係な内容で使われることがあります
- 控えを取らずに作り直しに入らない。文章と画像は、いちばん時間のかかる資産です
- 同じ構造で作り直す前に、相談先を決めておく。急いで別の1社に頼むと、同じことが繰り返されます
慌てて動くことによる損失のほうが、放置による損失より大きいことがよくあります。1週間かけて確認してから動いても、遅くはありません。
ただし、ドメインの有効期限が近い場合だけは別です。期限が切れると、一定期間の猶予はありますが、そこを過ぎると誰でも取得できる状態になります。期限が1ヶ月を切っているなら、確認より先に手を打ってください。
8. 雄喜晃の伴走:引き継ぎのご相談も受けます
私たち雄喜晃には、「前の制作会社と連絡が取れなくなった」というご相談も来ます。まずやるのは、ドメインとサーバーとメールが今どうなっているかを一緒に確認することです。作り直す前に、取り戻せるものがあるかを見ます。
私たちがお作りする場合、独自ドメインは必ず貴社名義で取得します。管理画面の情報もお渡しします。囲い込みのために名義を押さえることはしません。やめるときに揉めない形にしておくことが、続ける関係の前提だと考えています。
一方で、正直に申し上げます。他社が作ったサイトの改修だけを請け負う形は、基本的にお受けしていません。中身の作りが分からないものに手を入れると、かえって費用がかさむことが多いからです。ただ、現状の確認と、どうすべきかの判断まではお手伝いできます。そこで「作り直さなくても大丈夫です」となることもあります。
「連絡が取れないまま、何年も止まっている」という状態でしたら、まず現状を見るところからで構いません。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:住所を取り戻すことが最優先
制作会社と連絡が取れなくなったときにやることは、3つです。
- ドメインの名義と管理会社を確認する ― ここが分かれば、打つ手が決まります
- サイトが生きているうちに控えを取る ― 文章・画像・URL構成。消えてからでは取れません
- 先に解約しない ― 先に控え、先に移し、最後に切る
この3つを順に守れば、最悪でも作り直しの土台は手元に残ります。逆に順番を間違えると、文章も画像もURLも一度に失います。
まずは今日、自社のドメイン管理会社の管理画面にログインできるかを試してみてください。入れるなら、状況はかなり良いです。入れないなら、そこが最初に手を打つところです。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。今どうなっているかを一緒に確認するところから、ご一緒します。