1. 「会社案内をそのまま載せてください」と言われたとき

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「会社案内のパンフレットがあるので、これをそのままホームページにしてもらえますか。中身は同じでいいので。作り直すのも手間ですし」

お気持ちはよく分かります。すでにお金をかけて作ったものがあるなら、それを使いたい。当然です。

ただ、私が現場で見てきた限り、会社案内をそのまま移したホームページは、あまり読まれません。内容が悪いからではありません。紙とウェブでは、そもそも読む人の状態が違うからです。

この記事で分かること

この記事では、紙とウェブの役割分担を整理します。どちらに何を載せるか、QRコードをどう使うか、そして紙のPDFをそのままサイトに置いてはいけない理由まで書きます。

先に立場を明かしておきます。私たちはホームページを作る会社ですが、紙をやめてウェブにしましょう、とは申し上げません。紙が今でも確実に効く場面はありますし、そこを否定するのは正直ではないと思っています。

2. 紙とウェブは、届く相手が違います

役割分担を考えるときの出発点は、ここ1つです。

紙は「渡す相手が決まっている」、ウェブは「まだ知らない人が探して来る」。

紙を読む人は、すでに貴社を知っています

会社案内を受け取る人は、名刺交換をした人、商談の席にいる人、展示会のブースに立ち寄った人です。貴社の名前も、何をしている会社かも、すでにある程度知っています。そして多くの場合、渡した側の説明が隣にあります。

だから紙は、「説明を補うもの」として作られます。話しながらページをめくり、指を差しながら説明する。文字が少なめで、図や写真が大きいのは、そのためです。

ウェブを見る人は、貴社を知りません

一方、ホームページを開く人は、検索して辿り着いた人です。社名を知らないまま、条件で探して来ています。隣に説明する人はいません。

だからウェブは、「一人で読んで、判断できるもの」である必要があります。会社案内に書かれていない情報 ― 料金の目安、対応エリア、断られる条件、問い合わせ後の流れ ― が必要になるのは、そのためです。

だから、同じ内容を両方に入れると失敗します

順番が逆になっている会社が、本当に多いです。会社案内の内容をウェブに移すのではなく、それぞれの読まれ方に合わせて中身を分ける。これが役割分担の全部です。

表:紙とウェブは、どちらが上ではなく、届く相手が違う
紙(会社案内・チラシ)ウェブ(ホームページ)
読む人すでに貴社を知っている人。名刺交換をした、展示会で会った、送られてきた貴社を知らない人。検索して、比較の途中で初めて開いた
強いところ一目で全体が見える。手元に残る。商談中に指を差せるいつでも直せる。量に上限がない。探している人が自分から来る
直せるか刷った時点で確定。直すと刷り直しの費用が出るいつでも直せる。料金改定も、休業の告知も当日中に
届く範囲渡した人・撒いたエリアの中だけ検索した人すべて。ただし探されなければ誰も来ない
向く場面展示会、金融機関や行政への提出、採用説明会、地域を絞った販促比較検討、営業時間や料金の確認、求人、問い合わせの受け口

ウェブ制作を仕事にしている立場で書きますが、チラシ1枚のほうが早い場面は実際にあります。選ぶ話ではなく、同じ内容を両方に入れないという話です。

3. 紙に向いていること

先に、紙の強みを書きます。ここを軽く見ると判断を間違えます。

一覧性がある

紙は、一目で全体が見えます。A4の見開きに載っている情報は、目を動かすだけで全部視界に入ります。ウェブはスクロールしないと次が見えないので、全体像をつかむ速さでは、紙が明確に勝ちます。

料金表、商品の一覧、施工の流れ。比較しながら見るものは、紙のほうが分かりやすい場面が多いです。

手元に残る

渡したものは、机の上や引き出しに残ります。ウェブは閉じたら終わりです。ブックマークされることは、ほとんどありません。

思い出してもらう確率という点で、紙は今でも強いです。特に、検討期間が長い商材 ― 住宅、設備、法人向けの導入 ― では、置いてあること自体が効きます。

そして、商談中に「ここです」と指を差せるのは紙だけです。スマートフォンの画面を相手に見せるのは、複数人の商談では機能しません。

紙が今でも効く場面

正直に書きます。次の場面では、ウェブより紙のほうが確実です。

  • 展示会・イベント。その場で渡して、持ち帰ってもらう
  • 金融機関や行政への提出。紙で求められることが、まだ多くあります
  • 採用の説明会。その場で全員に配れます
  • 年配の方が意思決定者の商材。ここは今でも紙のほうが届きます
  • 地域を絞った販促。ポスティングやチラシは、エリアを正確に狙えます

ウェブ制作を仕事にしている私が言うのも変ですが、チラシ1枚のほうが早い場面は、実際にあります。ご相談をいただいて、「それは紙のほうが向いています」とお伝えしたことも一度や二度ではありません。

4. ウェブに向いていること

次に、ウェブにしかできないことです。

更新できる

これが最大の差です。紙は刷った瞬間に固定されます。料金が変わっても、担当者が変わっても、直せません。刷り直しにはお金と時間がかかるので、多くの場合そのまま使い続けることになります。

ウェブは、その日のうちに直せます。営業時間の変更、新しい取扱商品、価格の改定、休業のお知らせ。変わるものは、全部ウェブ側に置く。これが基本の切り分けです。

量に制限がない

紙は、ページ数がそのまま費用です。だから載せる情報を削ります。ウェブは、ページを足しても印刷代はかかりません。

  • よくある質問
  • 施工事例や導入事例を、何十件でも
  • 業務ごとの詳しい説明
  • 料金の条件と例外

紙に入りきらなかったものを、ウェブに置く。会社案内を作った経験があるなら、削った原稿がどこかに残っているはずです。それはウェブでそのまま使えます。

探している人が、自分から来る

ここが紙との決定的な違いです。紙は、こちらが渡さなければ届きません。ウェブは、貴社を知らない人が、条件で検索して辿り着きます。

その代わり、来た人は貴社のことを何も知りません。だから、会社案内には書かなくてよかったことをウェブには書く必要があります。所在地、代表者名、設立年、対応エリア、料金の目安。「知っている前提」を全部外して書き直すということです。

そして、チラシを1万枚配って、何人が読んだかは分かりません。ウェブは、どのページが何回見られたか、どこから来たか、どこで離脱したかが分かります。この差は、次に何を直すかを決めるときに効いてきます。

5. QRコードの、正しい使い方

紙とウェブをつなぐのがQRコードです。ここで多くの会社が損をしています。

トップページに飛ばさない

いちばん多い間違いが、全部トップページに飛ばすことです。チラシに「詳しくはこちら」とQRコードが載っていて、読み取るとトップページが開く。そこから目的の情報を探し直さなければなりません。

紙で興味を持った人は、その紙に書いてあったことの続きを見に来ています。リフォームのチラシなら施工事例のページ、採用のチラシなら募集要項のページ、キャンペーンのチラシならその案内のページ。飛び先は、その内容のページにしてください。

もう1つ、チラシ用のページを1枚だけ作る、という方法もあります。紙に載せきれなかった詳細と、問い合わせフォームだけを置いたページ。増やすだけならウェブは費用がかからないので、これができます。

utmパラメータで、効果を測る

ここは少し技術的な話ですが、知っておくと得をします。QRコードの飛び先URLに、印をつけておくことができます。

たとえば、飛び先を次のようにします。

  • https://example.com/service/?utm_source=flyer&utm_medium=print&utm_campaign=202610_aki

この ? 以降がutmパラメータです。ページの表示内容は変わりませんが、アクセス解析の画面で「チラシから来た人」として分けて数えられます。

これをやっておくと、次のことが分かります。

  • 配ったチラシから、何人がサイトに来たか
  • その人たちが、問い合わせまで進んだか
  • どの媒体のチラシが効いたか(展示会で配ったもの、ポスティングしたもの、それぞれ別の印をつければ比較できます)

「チラシは効いているのか分からない」という状態から抜け出せます。印刷のたびに違う印をつけておけば、次に刷る枚数の判断もできます。

QRコードそのものの、注意点

  • 小さくしすぎない。2センチ角を下回ると読み取りにくくなります
  • 刷る前に、実機で読む。校正のPDF段階で必ずスマートフォンをかざしてください。リンク切れのまま1万枚刷った、という事故は実際に起きます
  • 短縮URLサービスに依存しない。そのサービスが終了すると、刷った紙が全部無効になります
  • 「QRコードで検索」ではなく、URLも併記する。読み取れない人が一定数います

6. 紙のPDFを、そのままサイトに置かない

ここは、はっきりお伝えします。印刷用に作ったPDFをそのままホームページに置くのは、避けてください。

スマートフォンで読めません

A4縦のPDFをスマートフォンで開くと、画面いっぱいに縮小されて、文字が読めない状態で表示されます。拡大して、横にずらして、また拡大して、と操作が要ります。そこで大半の人が閉じます。

サイトを見る人の多くはスマートフォンです。他の落とし穴とあわせて スマートフォンで見たときに、人が離れる7つのこと に整理しました。

検索に出てこない、そして直せない

PDFの中の文字は、検索エンジンから見て扱いが弱くなります。せっかく良い内容が書いてあっても、探している人には届きません。ウェブページとして書き起こせば、その文章そのものが検索の入口になります。

また、PDFは、直すたびに元のデータを開いて作り直す必要があります。印刷会社に頼んで作った場合、元データが手元にないことも珍しくありません。電話番号が変わっただけで直せない、という状態になります。

どうすればいいか

PDFの中身を、ウェブページとして書き起こしてください。手間のように思われるかもしれませんが、すでに文章はできているので、作業は組み替えるだけです。

そのうえで、「印刷用のPDFはこちら」というリンクを併置するのが一番良い形です。ページで読める状態にしたうえで、印刷したい人のためにPDFも置いておく。PDFを置くこと自体が悪いのではなく、PDFしか無いのが問題です。

7. 紙とウェブで、表記を揃える

最後に、地味ですが効くところです。

揃えるべき3つ

  • 料金。チラシは税込み、サイトは税別。よくあります。見た人は違う会社の情報かと思います
  • 住所。「◯丁目◯番◯号」と「◯-◯-◯」が混在していると、地図アプリで検索したときに結果が変わることがあります
  • 電話番号。代表番号と携帯番号、フリーダイヤル。どれが正式なのかを決めて、両方で同じものを載せてください

これに加えて、社名の表記も揃えてください。「株式会社◯◯」と「(株)◯◯」、正式名称と屋号。検索されるときに、表記が割れていると見つかりません。

写真とロゴも、揃えておくと得です

一度撮影した写真は、紙とウェブの両方で使えます。ロゴのデータ、色の指定、使う写真。この3つを1箇所にまとめておくと、次に何を作るときも早くなります。

素材が手元にない状態からの進め方は 写真が1枚も無い会社の、ホームページの作り方 に書きました。

紙に載せる連絡先も、1つ決めておく

チラシに電話番号だけ、サイトにフォームだけ、という分け方をしている会社があります。紙を見た人が電話しかできないと、営業時間外の反応を全部落とします。QRコードで問い合わせフォームに飛べるようにしておくと、そこが拾えます。フォームで人が手を止める場所は 問い合わせフォームで、人はどこで手を止めるのか にまとめました。

8. 雄喜晃の伴走:ウェブ側を、紙と食い違わない形で作ります

私たち雄喜晃は、「原稿をご用意ください」とは申し上げません。会社案内やチラシをお持ちであれば、それをお預かりして、ウェブとして読める形に書き起こすところからこちらで担当します。お話を伺った内容も含めて整理します。

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。1ページのライトプラン、〜6ページのスタンダードが13,800円、それ以上の規模はグロースとしてご相談を承ります。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの修正更新も同じ月額の中なので、料金や連絡先が変わったときに、そのつど費用は発生しません。代表の木戸がヒアリングから制作、運用まで直接担当します。

契約の条件

条件も先に書いておきます。最低契約は6ヶ月です。7ヶ月目以降はいつでも解約でき、違約金はありません。ただし、7〜35ヶ月目で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、ドメイン代等のご負担を条件に、サイトをお渡しします。ここは契約前に必ずご説明します。

これまでにお作りしたのは、物流・運送、クリニック、飲食・テイクアウト、設備工事、文具店、理容、イベント展示会といった業種です。紙の会社案内をお持ちの会社も、何も無い状態の会社もありました。

私たちがやらないこと

一方で、私たちがやらないことも書いておきます。印刷物のデザインは、私たちの本業ではありません。チラシやパンフレットそのものを作りたいというご相談は、印刷会社やデザイン事務所にお願いされたほうが、仕上がりも費用も確実です。予約システムや会員機能の開発も、範囲外です。

私たちができるのは、ウェブ側を、紙と食い違わない形で整えることです。QRコードの飛び先を作る、表記を揃える、PDFを書き起こす。そこはご一緒できます。

「会社案内はあるが、ホームページが無い」という状態であれば、私たちは間違いなくお役に立てます。ご相談いただいたら、お手元の会社案内をもとに、貴社のホームページのサンプルを先に無料でお作りします。見て断っていただいても費用はかかりません。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:どちらかを選ぶ話ではありません

紙とウェブの役割分担で必要なことは、3つです。

  • 変わらないものは紙、変わるものはウェブ ― 理念や事業内容は紙に、料金や営業時間や事例はウェブに
  • QRコードは、内容に合ったページへ飛ばす ― トップページに飛ばさず、utmパラメータで効果を測る
  • 表記を揃える ― 料金、住所、電話番号、社名。食い違っていると、それだけで信用を落とします

紙かウェブかを選ぶ話ではありません。渡す相手が決まっているものは紙、探して来る人に向けたものはウェブ。それぞれの得意な場面に、それぞれを置くだけです。

まず、今日できること

まずは、お手元の会社案内を1冊開いて、そこに書かれていないことを3つ書き出してみてください。料金の目安、対応できない条件、問い合わせ後の流れ。その3つが、ウェブに載せるべきものです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。分析や提案だけで終わらせず、実際に載る形にするところまでご一緒します。