1. 応募する前に、社名で検索されている

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「求人媒体に毎月お金を払ってるんですが、応募が全然来なくて。媒体の問題なんですかね」

媒体の問題であることもあります。ただ、その前に確かめてほしいことがあります。求人を見た人は、応募ボタンを押す前に、ほぼ必ず社名で検索します。

そこで何も出てこない、あるいは出てきたサイトの情報が5年前で止まっている。その時点で、応募は止まります。媒体には「見られたが応募されなかった」としか記録されないので、原因がこちらにあることに気づけません。

求人媒体は出会う場所で、ホームページは確かめる場所です。役割が違うので、どちらかで代替できません。この記事では、確かめに来た人が何を見ているのか、そこに何を置けばいいのかを整理します。

先に1つ、はっきりさせておきます。採用専用の立派なサイトを作る必要はありません。中小企業の採用で効くのは、今あるサイトに1ページ足すことと、サイト全体が最近更新されていることの2つです。数十万円かけて採用サイトを別に立てる前に、この2つで十分に変わります。

会社を説明する場所としてのホームページ全般については 創業したての会社に、ホームページは本当に必要か にも書きました。

2. 応募を迷っている人が確かめている、5つ

検索してサイトを開いた人が見ているのは、仕事内容ではありません。求人票にもう書いてあるからです。見られているのは、求人票に書けなかったことです。

  • 本当に営業しているか。更新が止まっていると、ここで不安になります
  • どんな人がやっているか。代表がどんな考えの人か。中小企業では、ここが待遇より効きます
  • 一緒に働く人が見えるか。何人くらいで、どんな年齢層か
  • 働いている様子。現場、事務所、車両、道具。文章より写真が効きます
  • 将来どうなりそうか。事業が伸びているのか、何をしようとしているのか

このうち2番目がいちばん効きます。大手と条件で並べば負けます。中小企業が選ばれるのは、条件ではなく「この人と働けそうか」という判断です。そこを伝えられる場所は、求人媒体の枠にはありません。

もう1つ、見落とされやすいのが5番目(将来どうなりそうか)です。転職を考えている人は、今の条件だけでなく、3年後の自分を想像しています。「これから何をしようとしている会社なのか」が書いてあるかどうかは、思っている以上に読まれます。壮大な話は要りません。「来年、〇〇の事業を始めます」の一行で足ります。

3. 求人媒体とホームページの役割分担

整理するとこうなります。

求人媒体ホームページ
役割出会う確かめる
書けること条件・仕事内容(枠が決まっている)制限なし
更新掲載期間で消える残り続ける
費用掲載ごと一度作れば継続
応募前に見られるかここから始まるここで決まる

媒体を減らしてホームページに投資しろ、という話ではありません。媒体は出会いを作る場所として必要です。ただ、媒体にお金をかけているのに確かめる場所が空っぽだと、費用が漏れます。

私が現場で見てきた限り、媒体の掲載料を上げるより、確かめる場所を1枚作るほうが安く効きます。媒体の上位掲載は掲載期間が終われば消えますが、サイトは残るからです。

そしてもう1つ、媒体に出していない期間も効き続けます。採用は年に一度の行事ではなく、良い人がいたときに動けるかどうかの話です。サイトに採用ページが常にあると、知人からの紹介や、たまたま興味を持った人に、その場でURLを渡せます。媒体の掲載期間に縛られない入口を1つ持っておく意味は、そこにあります。

4. 採用ページに載せる7つ

1ページで足ります。専用の採用サイトを作る必要はありません。

  • 募集職種と、仕事の1日の流れ。求人票より具体的に。「朝7時に出庫して、午前中に3件、昼を挟んで午後に4件」のような書き方
  • 一緒に働く人。人数、年齢層、前職。顔写真が無くても構いません
  • 代表の考え。なぜこの会社をやっているのか。ここがいちばん読まれます
  • 働く場所と道具。事務所、車両、設備の写真。実態が伝わります
  • 待遇。媒体と同じ内容で構いません。媒体を見ずにここへ来る人もいます
  • 選考の流れ。何回面接があるのか、いつ結果が出るのか。不安が減ります
  • 応募の連絡先。媒体経由だけでなく、直接応募できる手段を置きます

7番目は忘れられがちです。サイトを見て応募したくなった人が、応募する場所が無いという状態がよくあります。フォームでもメールでも構いません。1つ置いてください。

そして、応募の心理的なハードルを下げる一文も効きます。

「まずは話を聞いてみたい、という段階でも構いません」

いきなり応募するのは重い、と感じている人は確実にいます。カジュアルに話せる入口を用意しておくと、そこから応募につながることがあります。中小企業は、大手のような選考プロセスに縛られないぶん、ここを柔らかくできるのが強みです。

5. 条件面を、どう書くか

ここは正直に書いたほうが効きます。盛ると、入社後に必ず問題になります。

書いたほうがいいこと

  • 給与の幅と、その決まり方。「経験による」だけだと判断できません。「未経験は月〇〇円から、経験3年以上で〇〇円から」のように
  • 休日の実態。「週休2日制」と「完全週休2日制」は違います。繁忙期に休めないなら、それも書く
  • 残業の実態。平均何時間か。ゼロと書いて実際にあると、早期離職になります
  • 未経験者をどう育てるか。中小企業は教育体制が弱いことが多いので、「最初の3ヶ月は先輩に同行」のような具体が効きます
  • 入社後にどうなるか。「2年目から一人で現場を持ちます」「3年目に〇〇の資格を取ってもらいます」。先が見えると、応募の判断がしやすくなります

隠さないほうがいいこと

  • 少人数であること。大人数の会社が向いている人には、最初から見送ってもらったほうが良い
  • 今できていないこと。「まだ制度が整っていません。一緒に作ってくれる人を探しています」は、刺さる人には強く刺さります

採用は、来た人数ではなく、合う人が来たかどうかで測ってください。条件を良く見せて応募が増えても、面接の手間が増えるだけです。

もう1つ、入社した人の声を1つ載せると効きます。長い文章は要りません。「前職は〇〇でした。入社して3年です」という程度で十分で、同じような経歴の人が、自分を重ねられるようになります。写真が無くても、名前がイニシャルでも構いません。

6. 更新されていないことの重さ

採用の文脈では、サイトが更新されていないこと自体が、判断材料になります。

  • お知らせが2年前で止まっている
  • 掲載されているスタッフがもう在籍していない
  • 事業内容が今と違う

これを見た応募者は、「この会社、大丈夫だろうか」と考えます。採用に限っては、情報が古いことが直接的な不安につながります。取引先はある程度事情を汲んでくれますが、入社を検討している人は、そのサイトから会社の勢いを読もうとします。

対策は難しくありません。採用を始める前に、お知らせを1本入れる。それだけで「動いている会社」に見えます。実績でも、新しい取り組みでも、年始の挨拶でも構いません。日付が最近であることに意味があります。

同じ理由で、採用を始めると決めた月に、サイト全体を一度見直してください。在籍していない人が載っていないか、事業内容が今と合っているか、電話番号が変わっていないか。応募者は、取引先より細かく見ます。判断材料が少ないぶん、そこから読み取ろうとするからです。

7. 効果の測り方

採用でホームページが効いているかは、次の3つで分かります。

  • 面接で「サイトを見ました」と言われるか。いちばん確実な指標です。聞いてみてください
  • 採用ページのアクセス数。求人の掲載期間中に増えているなら、確かめに来ています
  • 直接応募の件数。媒体を経由せずに来た応募は、サイトが効いている証拠です

3番目は、媒体費の削減に直結します。直接応募が増えれば、掲載を減らせます。採用ページは、費用がかかるものではなく、費用を減らすものという見方ができます。

なお、面接に来た人に「何を見て決めましたか」と聞くのがいちばん早い調査です。数人聞けば、サイトのどこが読まれているかが分かります。

この質問には、もう1つ効果があります。読まれていないページが分かることです。力を入れて作ったのに誰も見ていないページがあれば、そこは削るか、内容を変える判断ができます。採用ページは、作って終わりではなく、聞いて直すものです。

8. 雄喜晃の伴走:採用の1ページから作れます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、採用ページを1枚足すご相談も受けています。新しくサイトを作る場合も、既にあるサイトに足す場合も同じです。専用の採用サイトを立てる必要はありません。

原稿は、こちらで書き起こします。「どんな人に来てほしいか」「今いる人はどんな人か」「なぜこの仕事をしているか」を伺えば、あとは形にします。採用ページこそ、経営者の言葉がそのまま効く場所なので、話していただいた内容をできるだけそのまま残します。

一方で、私たちがやらないことも書いておきます。求人媒体の運用代行や、人材紹介はしていません。媒体側の設計が課題なら、そこを専門にしている会社のほうが確実です。私たちができるのは、確かめに来た人が見る場所を整えることです。

そして、条件を実態より良く書くことはしません。入社後に問題になるからです。書きにくい条件があるなら、書き方を一緒に考えます。

「媒体にお金をかけているのに応募が来ない」という会社には、私たちはお役に立てます。まず、応募者の目線でサイトを見るところからで構いません。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。

9. まとめ:媒体で出会い、サイトで決まる

採用でホームページを効かせるために必要なことは、3つです。

  • 応募前に必ず検索されることを前提にする ― 何も出てこない、古い、が最大の失点です
  • 求人票に書けないことを書く ― 代表の考え、一緒に働く人、働く場所。条件では大手に勝てません
  • 条件は実態どおりに書く ― 盛ると入社後に必ず問題になります。合わない人に見送ってもらうのも成果です

この3つで、同じ媒体費でも応募の数と質が変わります。媒体を増やす前に、確かめる場所を整えてください。

まずは、ご自身の社名で検索して、応募を考えている人の目でサイトを開いてみてください。そこに、この会社で働く理由が書いてあるかどうか。それが出発点です。

書いていないことに気づいたなら、それは悪いことではありません。多くの会社が書いていないので、書くだけで差がつきます。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。応募者の目線でサイトを見るところから、ご一緒します。