1. 集客より先に、取りこぼしを止める
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「問い合わせは月に2〜3件来るんですけど、なかなか契約にならなくて。もっと数を増やさないとダメですかね」
数を増やす前に、確かめてほしいことがあります。その2〜3件に、何時間で返信していますか。
集客の相談は「もっと来るようにする」方向に向かいがちですが、すでに来ている問い合わせを取りこぼしているなら、そこを先に止めるほうが安くて早いです。新しく1件増やすには広告費も時間もかかりますが、返信を早くするのは今日からできます。
そして、これはホームページの話でもあります。問い合わせフォームは、届いて、読まれて、返信されるところまでで1つの仕組みだからです。設置して終わりではありません。
フォームそのものの作りは 問い合わせフォームで、人はどこで手を止めるのか に書きました。この記事は、その先の話です。
この記事で書くこと
- 問い合わせをした人が、送信ボタンを押したあと何をしているか
- 現実的な目標時間(24時間ではなく「当日中」)
- すぐに答えが出せない案件で、何を返すか
- 誰が返すかを決めておくことの効果
- 夜間と休日の扱い方
2. 問い合わせをした人が、その後どうしているか
送信ボタンを押した人の行動を想像してみてください。多くの場合、1社だけに送っていません。
- 検索して、良さそうな会社を2〜3社見つける
- それぞれのフォームから、ほぼ同じ内容を送る
- 返信が来た順に読む
- 最初に返ってきた会社と、まず話す
この流れの中で、返信の速さは「順番」を決めています。内容が良くても、3日後に返信したら、その時点でもう他社と話が進んでいます。
問い合わせた記憶が新しく、比較の途中。ここで返すと、金額や進め方の基準をこちらが先に示せます。
すでに1社と話が始まっている場合がある。中身で戻せる範囲ですが、こちらは説明側に回ります。
相手はまず記憶をたどるところから始めます。そこに手間がかかると、返信そのものが後回しになります。
「返信が遅かったから断った」と言われることは、ほとんどありません。理由を告げずに連絡が途絶えるだけなので、遅さによる損失は、こちら側からは数えられません。
一番手になることの意味
最初に返信した会社には、基準を作れるという利点があります。金額の目安、進め方、期間。それを先に示すと、あとから来た他社は「その基準に対してどうか」で見られます。逆に、後から入ると、すでにできた基準に対して説明することになります。
同じ提案でも、順番が違うだけで通りやすさが変わる。これは商談の中身の話ではなく、順番の話です。
もう1つ。問い合わせをした瞬間が、その人の関心のピークです。時間が経つほど熱は下がり、他のことに気を取られ、そもそも問い合わせたことを忘れます。同じ内容の返信でも、届く時間で受け取られ方が変わります。
忘れられているところから始まる
2日空いてから返信すると、相手はまず「何の件だったか」を思い出すところから始めます。そこに労力が要ると、返信そのものが後回しになる。当日中に返せば、相手はまだ画面を開いています。
私が現場で見てきた限り、「返信が遅かったから断られた」と言われることは、ほとんどありません。理由を言わずに、そのまま連絡が途絶えるだけです。だから遅さの損失は、こちら側からは見えません。
3. 現実的な目標は「当日中」
理想は数十分以内ですが、中小企業でそれを常時やるのは無理があります。現実的な目標は、この2段階です。
- 平日の営業時間内に来たもの → その日のうちに
- 夜間・休日に来たもの → 翌営業日の午前中に
これで十分に速い部類に入ります。遅くて失注するのは、2日以上空いたときです。
難しい場合の逃げ道
見積もりや調査に時間がかかる案件でも、「受け取りました」の一報だけは当日中に返せます。中身は後で構いません。
「お問い合わせありがとうございます。内容を拝見しました。◯日までに、あらためてご返信いたします」
この2行が、待っている側の不安を消します。そして、この2行を送っておくと、相手は他社と話しながらも「あの会社からは返事が来る」と認識してくれます。
断るときこそ、早く返す
対応できない案件もあります。そのときこそ、早く返してください。待たせた末に断られるのと、その日のうちに「今回はお力になれません」と返ってくるのとでは、相手の受け取り方がまったく違います。
そして、断るときに他をご紹介できると、そこから紹介が返ってきます。私たちも、範囲外の依頼をいただいたときは、そう申し上げるようにしています。取りこぼしではなく、次につながる断り方があります。
4. 自動返信と、人の返信は役割が違う
自動返信を入れている会社は多いですが、あれは「届きました」の機械的な確認であって、返信ではありません。
- 自動返信の役割 ― 送信が成功したことを伝え、二重送信を防ぐ
- 人の返信の役割 ― 読んだこと、次に何が起きるかを伝える
自動返信だけで終わっていると、相手は「本当に人が見たのか」が分かりません。逆に、自動返信が無いと、届いたかどうかも分かりません。両方要ります。
自動返信に書いておくとよいこと
- いつ返信するか(「2営業日以内に」)
- 誰から返信が来るか(「担当の◯◯より」)
- 急ぐ場合の連絡先(電話番号)
- 送信内容の控え(相手が何を書いたか思い出せます)
そっけない自動返信は、無いよりましという程度です。4行足すだけで、待ち時間の印象が変わります。
自動返信が迷惑メールに入っていないか
もう1つ、確認しておくことがあります。自動返信そのものが、相手の迷惑メールフォルダに入っている場合があります。独自ドメインの送信認証(SPF・DKIM・DMARC)が正しく設定されていないと起こります。
確かめ方は簡単で、自分のフリーメール宛に1件送信してみるだけです。受信箱に入るか、迷惑メールに入るか。半年に一度はやってください。
5. 返信の中身より、先に決めること
早く返そうとすると、「何を書けばいいか分からない」で止まります。型を1つ決めておけば、5分で書けます。
- お礼(1行)
- 相手が書いた内容の要約(1行。読んだことが伝わります)
- こちらから提案する次の一歩(打ち合わせ、見積もり、質問)
- いつまでに何をするか
3番目がいちばん大事です。「ご不明点があればお気軽に」で終わると、相手が次の行動を考えることになります。こちらから「◯日の午後、30分お時間いただけますか」と出すほうが、話が進みます。
そして、最初の返信で見積もりを出そうとしないでください。情報が足りないまま金額を出すと、後から変えることになります。まず話す約束を取るところまでが、1通目の役割です。
例文
そのまま使える形にしておきます。
◯◯様
お問い合わせいただき、ありがとうございます。雄喜晃株式会社の木戸です。
「〇〇について相談したい」という内容、拝見しました。
具体的な進め方をご説明したいので、30分ほどオンラインでお時間をいただけますか。今週でしたら、木曜の午後か金曜の午前が空いております。ご都合の良い時間をお知らせください。
ご都合が合わなければ、メールでのやり取りでも進められます。
5行です。これを型にしておけば、名前と内容だけ差し替えて3分で送れます。
6. 誰が返すかを、決めておく
速さを落とす最大の原因は、誰が返すか決まっていないことです。
- 通知の宛先が代表1人だけ。外出中は止まります
- 「気づいた人が返す」。全員が「誰かが返しただろう」と思います
- 返信の文面を毎回ゼロから考えている。それだけで30分かかります
対策は3つです。
- 通知を2人以上に届ける
- 一次返信の担当を決める(中身が分からなくても「受け取りました」は返せます)
- 返信の型を用意しておく(コピーして名前と内容だけ変える)
この3つを決めるのに、30分もかかりません。そして、これをやるだけで返信までの時間が半分以下になる会社を、実際に見ています。
通知に気づけているか
もう1つ、そもそもの話です。フォームからの通知メールが、他のメールに埋もれていませんか。1日に100通届く受信箱では、問い合わせの1通は簡単に流れます。
対策は、通知だけラベルや振り分けで分けることです。件名に決まった文字列(「【お問い合わせ】」など)が入るようにしておけば、自動で振り分けられます。スマートフォンの通知をその条件だけオンにすると、外出中でも気づけます。
順番が逆になっている会社が、本当に多いです。集客を増やす前に、届いた1件に気づける状態にする。ここが先です。
7. 休日と夜間を、どう扱うか
問い合わせは営業時間内には来ません。夜と休日にかなり来ます。個人向けの商売ほどその傾向が強くなります。
無理に24時間対応する必要はありませんが、方針は決めておいてください。
- 休日は返さないと決める。その代わり、自動返信に「土日祝は翌営業日のご返信になります」と書いておく
- スマートフォンで通知だけ見る。返せそうな案件だけ、その場で一報を返す
- 月曜の午前を、返信の時間として空けておく
いちばん良くないのは、方針が無いまま「返せるときに返す」状態です。返す日と返さない日ができて、相手から見ると読めません。
営業時間を書いておく
サイトの問い合わせページに、「ご返信は平日9〜18時のあいだに行っております」と一行書いておくだけで、夜中に送った人が翌朝まで待てるようになります。書いていないと、送った直後から返信を期待されます。
これは対応時間を延ばす話ではなく、期待値を先に伝える話です。書くだけで、遅いと思われなくなります。
8. 雄喜晃の伴走:届くところまでを作ります
私たち雄喜晃がお作りするサイトでは、フォームは「届いて、気づける」状態にしてお渡しします。通知の宛先を複数にする、自動返信を入れる、送信を数えられるようにする。ここまでが範囲です。
そして、フォームからの通知が迷惑メールに入らないよう、送信元の認証設定まで対応します。ここが抜けていると、「問い合わせが来ない」のではなく「来ているのに見ていない」という状態になります。実際に、そのケースを何度も見てきました。
一方で、私たちがやらないことも書いておきます。問い合わせへの返信そのものを代行することはしていません。最初の返信は、貴社の言葉であるべきだと考えているからです。返信の型を一緒に作るところまではお手伝いできます。
「問い合わせは来ているが、なかなか商談にならない」という会社には、私たちはお役に立てます。集客を増やす前に、いま来ている分の扱いを見るところからで構いません。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:新しい1件より、今ある1件
問い合わせを取りこぼさないために必要なことは、3つです。
- 当日中に一報を返す ― 中身は後で構いません。「受け取りました」だけで順番が変わります
- 返す人と型を決めておく ― 決まっていないから遅れます。決めるのに30分です
- 自動返信に、いつ誰から返信が来るかを書く ― 待っている側の不安が消えます
この3つは、費用がゼロで、今日から始められます。そして多くの場合、広告費を増やすより確実に成果が変わります。
そして、これはサイトを作り直しても解決しません。どんなに良いサイトでも、届いた問い合わせを2日放置していたら、そこで終わります。制作の相談をいただくとき、私たちが先に確認するのはここです。
まずは、直近5件の問い合わせに、何時間で返信したかを数えてみてください。平均が24時間を超えているなら、そこが最初に手を付けるところです。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。今の問い合わせがどう扱われているかを一緒に見るところから、ご一緒します。