1. 「うちのお客さんは、ホームページなんて見ないから」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「うちのお客さんは年配の方ばかりなので、ホームページはあまり見られていないと思うんです。電話か、紹介か、店の前を通って入ってくるか。だから、サイトは名刺がわりに置いてあるだけで」
リフォーム、介護、墓石や仏具、地域の商店。お客様の年齢層が高い商売ほど、この言葉をよく伺います。ただ、お話を続けていくと、別の話も出てきます。「そういえば、ホームページを見て電話しましたという方が、たまにいる」。「息子さんが調べて、代わりに連絡してきた」。
見られていないのではなく、見にくいので途中でやめられている可能性があります。そして、見ているのはご本人だけとは限りません。離れて暮らすご家族が、代わりに調べていることもあります。
特別なサイトを作る話ではありません
先にお伝えしておくと、この記事は「年配の方向けの特別なサイト」を作る話ではありません。誰にとっても読みやすいサイトの基準を、少しだけ高く設定するという話です。
文字が少し大きい、色の差がはっきりしている、言葉が分かりやすい、電話番号がすぐ見つかる。こうしたことは、外で急いでスマートフォンを見ている人にも、ご家族にも効きます。
この記事で書くこと
- 年配の方が使いにくいと感じるサイトに共通すること
- 文字の大きさと太さ、背景と文字の色の差
- カタカナ語や略語を減らす言い換え
- 電話番号とボタンを、大きく押しやすくする
- ページを深くしないことと、ご家族が代わりに見る場合の備え
2. 使いにくいサイトには、4つの困りごとがある
年配のお客様が多い会社のサイトを拝見すると、困りごとはおおむね4つに分かれます。見えない、分からない、押せない、迷うの4つです。
作る側は、若い目と大きな画面で確かめている
なぜこうなるのかは、作る過程を考えると分かります。制作する人は、たいてい明るい室内で、大きな画面で、作業に慣れた目で確認しています。その条件では、どのサイトも読めてしまいます。
ところが、実際に見るお客様は違います。手元のスマートフォンで、昼間の明るい外で、手元の小さな文字に目をこらしながら見ているかもしれません。作る側の確認の条件と、見る側の条件がずれているので、問題に気づけないまま公開されます。
たとえば、細い書体の薄いグレーの本文を、白い背景に置いている。室内の大きな画面では読めても、外のスマートフォンでは読めません。
たとえば、メニューが「Service」「Works」と英語で並び、本文に「ワンストップ」「アフターフォロー」が続く。意味を推測しながら読むことになります。
たとえば、電話番号が画像になっていてタップしてもかからない。ボタン同士が近く、隣を押してしまう。押せないと分かった時点で閉じられます。
たとえば、料金を見るのにメニューを3回開く必要がある。一度奥へ進むと、どこから来たのか分からなくなります。
4つとも、年配の方に限った話ではありません。年配の方は、この4つで手を止めるのが早いだけです。ここを直すと、急いでいる人にも、代わりに調べるご家族にも効きます。
困っても、何も言わずにやめる
もう1つ大事なことがあります。読みにくいサイトを見た人は、読みにくいと言ってくれません。黙って閉じて、電話帳を開くか、知り合いに聞くか、別の会社を探します。
「年配の方はホームページを見ない」という印象は、もしかすると、見ようとして途中でやめた人が多いことの裏返しかもしれません。ここから、4つの困りごとを順に直していきます。
3. 文字は、大きく、太く、詰めすぎない
最初に直すのは文字です。ここがいちばん効きます。
本文を、一回り大きくする
年配のお客様が多い会社のサイトでは、本文の文字を一般的なサイトより一回り大きくしておくことをおすすめします。目安は、スマートフォンを顔から少し離した状態で、拡大せずに読めるかどうかです。
文字を大きくすると、1画面に入る量は減ります。ただ、小さい文字で多くを詰め込むより、大きい文字で少なく書くほうが、伝わる量は多くなります。読めない文字は、何文字並んでいても伝わりません。
細い書体を、本文に使わない
文字の太さも見てください。おしゃれに見える細い書体は、見出しなら成り立ちますが、本文では読みにくくなります。線の細い明朝体を小さく使うと、とくに読めません。
本文は、線の太さが均一なゴシック体を、標準かやや太めの太さで使うのが無難です。見出しだけ明朝体にして雰囲気を出す、という組み合わせなら、読みやすさを損なわずに落ち着いた印象にできます。
行の間を空け、1行を長くしない
文字の大きさと同じくらい効くのが、行と行の間です。行の間が詰まっていると、次の行に目が移るときに、どこを読んでいたか分からなくなります。
パソコンで見たときの1行の長さにも気をつけてください。画面の端から端まで文字が続くと、行の終わりから次の行の頭へ目を戻すのが大変になります。本文の幅は、画面いっぱいではなく、少し狭めに収めるほうが読みやすくなります。
文字を画像にしない
見落とされがちなのが、文字を画像の中に入れてしまうことです。チラシのデータをそのまま貼り付けたり、見出しを画像で作ったりすると、次のことが起きます。
- スマートフォンの文字を大きくする設定にしても、画像の文字は大きくならない
- 指で広げると、ぼやけて読めなくなる
- 電話番号や住所がタップできない
- 検索にも引っかからない
伝えたい文字は、文字のまま置いてください。年配のお客様の中には、スマートフォンの文字を大きくする設定にしている方がいます。文字のまま置いてあれば、その設定がそのまま効きます。設定を変えたときに表示が崩れないかも、一度確かめておくと安心です。
4. 背景と文字の色に、はっきり差をつける
次は色です。文字の大きさが十分でも、色の差が足りないと読めません。
薄いグレーの文字は、外で読めない
いちばん多いのが、白い背景に薄いグレーの文字という組み合わせです。上品に見えるので好まれますが、明るい屋外でスマートフォンを見ると、背景に溶けて読めなくなります。
本文の文字は、黒に近い濃い色にしてください。背景は白か、ごく薄い色。この差がはっきりしているほど、場所や画面を選ばずに読めます。年齢とともに、色の細かな違いや淡い色の差が見分けにくくなる方もいます。迷ったら、差を大きくする側に倒すのが安全です。
写真の上に、文字を直接置かない
トップページの大きな写真の上に、白い文字で会社の説明を載せているサイトをよく見ます。写真の明るい部分にかかった文字は、ほとんど読めません。
写真の上に文字を置くなら、文字の後ろに帯を敷くか、写真を暗く落とすかのどちらかをしてください。いちばん確実なのは、写真と文字を上下に分けて、文字は無地の背景に置くことです。
色だけで、意味を伝えない
「赤い字のところは必須です」「青い字は押せます」のように、色の違いだけで意味を伝えるのは避けてください。色の違いが見分けにくい方には、何も伝わりません。
- 入力が必須の欄には、色に加えて「必須」と文字で書く
- 押せる文字には、色に加えて下線をつける
- 定休日を赤で示すなら、「休」と文字でも書く
色の決め方そのものは ホームページの色と書体を、どう決めるか にまとめてあります。本文の色だけは冒険しないというのが、年配のお客様が多い会社ではとくに大事な考え方です。
5. カタカナ語と略語を、日本語に戻す
見た目の次は、言葉です。文字が読めても、意味が分からなければ同じことです。
社内では通じる言葉が、外では通じない
毎日使っている言葉は、社内では誰も気にしません。「アフターフォロー」「ワンストップ」「リノベ」「サブスク」。業界では当たり前でも、読む人によっては、意味を推測しながら読むことになります。
推測しながら読むのは疲れます。疲れると、読むのをやめます。年配のお客様が多い商売では、横文字や略語は、使えば使うほど読まれなくなる言葉だと考えてください。
メニューを英語で並べない
とくに気をつけたいのが、サイトの上に並ぶメニューです。「About」「Service」「Works」「Contact」と英語だけで並んでいるサイトがあります。デザインとしては整って見えますが、どこを押せば何があるのか、分からない方がいます。
メニューは日本語で書いてください。「会社案内」「サービス」「施工例」「お問い合わせ」。英語を残したいなら、日本語を大きく、英語を小さく添える形にします。
| よく見る言葉 | 言い換えの例 | 言い換える理由 |
|---|---|---|
| アフターフォロー | たとえば「工事のあとに不具合があれば、お電話一本で伺います」 | 何をしてくれるのかが、行動で分かる |
| ワンストップ対応 | たとえば「ご相談から工事、片付けまで、当社だけで行います」 | 横文字のままだと、範囲が伝わらない |
| お問い合わせフォーム | たとえば「メールでのご相談(24時間受付)」 | 「フォーム」が何か分からなくても、メールなら伝わる |
| FAQ | 「よくあるご質問」 | 略語は、知らない人には記号と同じ |
| リノベ・リフォーム | たとえば「お風呂やトイレの入れ替え」「間取りの変更」 | お客様が頭に浮かべている具体的な工事の言葉で書く |
| 税別価格のみ | たとえば「税込〇〇円(税別△△円)」と両方書く | 会計の金額と違うと、話が違うと感じる |
言い換えた側のほうが、文字数は増えます。それで構いません。短くて意味が分からない言葉より、少し長くても意味が分かる言葉のほうが、読まれます。中身は、貴社の事実で書いてください。
漢字を詰めすぎない、数字は算用数字で
言葉の選び方と合わせて、表記も見直します。
- 漢字が続きすぎない ― 「施工後保証期間中無償対応」のような漢字の連なりは、ひらがなを挟んで開く
- 数字は算用数字で ― 「三十分」より「30分」のほうが、ぱっと目に入る
- 曜日と時間はまとめて書く ― 「月〜金 9時〜18時/土曜は12時まで」のように、一か所で分かるように
- 1文を短く ― 読点でつないで長くなった文は、2つに分ける
文章全体の直し方は ホームページの文章を、読みやすく直す に、直す場所と順番を書きました。年配のお客様が多い会社では、そこに書いた基準を、もう一段厳しめに当てはめるくらいでちょうどいいと思います。
6. 電話番号とボタンを、大きく押しやすくする
年配のお客様が多い商売では、最後の連絡手段はたいてい電話です。ここが押しにくいと、読んだあとの行動につながりません。
電話番号は、大きく、文字で、上のほうに
電話番号は、サイトのいちばん目立つ場所に、大きく置いてください。ページのいちばん下に小さく書いてあるだけでは、探しているうちに諦められます。
置き方の基本は3つです。
- 大きく書く ― 本文より明らかに大きい文字で。読み上げやすいように、区切りのハイフンも入れる
- 文字で置く ― 画像にしない。スマートフォンでタップすればそのまま電話がかかるようにする
- どのページにも置く ― トップだけでなく、サービスや料金のページを読み終えた場所にも
番号の横に、受付時間と出る人を書く
番号だけでは、かけていいのか迷う方がいます。番号のすぐ横に、受付時間を書いてください。「受付 9時〜18時(日曜・祝日はお休み)」。これだけで、かける側は安心します。
もう一歩進めるなら、「お電話には担当の〇〇が出ます」「留守番電話の場合は、その日のうちに折り返します」と添えます。誰が出るのか、出なかったらどうなるのかが分かると、電話のハードルが下がります。電話が鳴るまでの段階と、鳴ったあとの段階は 「ホームページから電話が鳴らない」を、電話の側から直す で5つに分けて書いています。
ボタンは大きく、間を空けて、ボタンに見える形で
電話以外のボタンも見直します。
- 大きくする ― 指の腹で押しても、はみ出さない大きさに
- 間を空ける ― ボタン同士が近いと、隣を押してしまう
- ボタンに見える形にする ― 色のついた四角に文字を入れる。文字だけでは、押せるかどうか分からない
- 何が起きるかを書く ― 「送信」より「この内容で相談を送る」、「詳しく」より「料金を見る」
画面を覆う表示を出さない
開いた瞬間に画面を覆う案内や、追いかけてくる小さな窓も避けてください。閉じるための小さな印が見つけられず、そのままサイトごと閉じる方がいます。スマートフォンで人が離れる理由は、ほかにも スマートフォンで見たときに、人が離れる7つのこと にまとめてあります。
7. ページを深くせず、家族が見ることも考える
最後は、サイト全体の組み立て方と、見る人が誰かという話です。
知りたいことに、1回か2回でたどり着ける
年配のお客様が迷うのは、知りたい情報が奥にしまわれているときです。メニューを開いて、さらに項目を選んで、その先のページでようやく料金が出てくる。この深さだと、途中で迷います。
目安は、トップページから1回か2回押せば、料金・対応地域・連絡先にたどり着けることです。そのためには、ページを細かく分けすぎないことが大事です。内容が少ないなら、無理に分けず、1ページの中に見出しで区切って並べるほうが迷いません。
メニューは隠さず、「メニュー」と書く
スマートフォンでは、メニューが右上の三本線の印にしまわれていることが多いです。あの印が何なのか、分からない方もいます。印の下に「メニュー」と文字を添えるだけで、押してもらえるようになります。
ページのいちばん下にも、主なページへの入口と「トップページに戻る」を置いておくと、読み終えた人が次に進めます。
家族が代わりに調べることを、前提にする
年配のお客様が多い商売では、ご本人ではなく、ご家族がサイトを見ていることがよくあります。離れて暮らす息子さんや娘さんが、親の家のリフォームや、介護の相談先や、お墓のことを調べている。この人たちが確かめたいのは、少し違うことです。
- この会社は、信用していいか ― 所在地、創業からの年月、会社の基本情報
- 親の住んでいる地域に来てくれるか ― 対応地域を、市や町の名前で
- いくらくらいかかるか ― 金額の目安と、何が含まれるか
- 誰が家に来るのか ― 担当する人の顔や名前
- 本人が電話しても大丈夫か ― 「ご家族からのご相談も承ります」の一言
最後の項目は、意外と書かれていません。「ご本人様でも、ご家族様からでも、お気軽にご相談ください」と書いてあると、ご家族は安心して親に番号を伝えられます。
URLを送られても、そのページだけで分かるように
ご家族は、見つけたページのURLをメッセージやメールで親に送ることがあります。印刷して渡すこともあります。送られたそのページだけを見ても、何の会社で、どこに連絡すればいいかが分かるようにしておいてください。
どのページにも、社名と電話番号が入っている。料金のページだけを印刷しても、問い合わせ先が分かる。こうしておくと、サイトを見たのがご家族でも、電話をかけるのがご本人でも、話がつながります。
8. 雄喜晃の伴走:お客様と同じ条件で、確かめてからお渡しします
私たち雄喜晃がホームページをお作りするときは、最初に、貴社のお客様がどんな方かを伺います。年齢層、ご家族が見ることがあるか、電話とメールのどちらが多いか。年配のお客様が多い会社であれば、この記事に書いた基準で組み立てます。
私たちがやること
文字の大きさと太さ、背景と文字の色の差を、スマートフォンを手に持って確かめます。室内の大きな画面だけで判断せず、明るい場所で、実際の画面で読めるかを見ます。電話番号は文字で置いてタップでかかるようにし、受付時間を横に添えます。原稿の中のカタカナ語や略語は、こちらで日本語に言い換えた案をお出しします。ページの深さも、料金と連絡先に1回か2回でたどり着ける形に組みます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成の場合は月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、公開後に「この言葉が分かりにくいと言われた」「電話番号をもっと大きく」といったご要望も、ご連絡いただければこちらで直します。
条件も書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
「文字を大きくする」切り替えボタンを付けて、それで済ませることはしません。最初から読める大きさで作るほうが、ボタンを探す手間がかからないからです。また、年代ごとの利用の多さといった数字を持ち出して、貴社のお客様がこうだと決めつけることもしません。分かるのは、実際に貴社のお客様に聞いたことだけです。読みやすくしたことで問い合わせが何件増える、とお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。
お客様の年齢層が高いのに、サイトは若い人向けの見た目のままになっているという方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:基準を、お客様の側に合わせる
年配のお客様が多い会社のホームページで直す場所は、5つです。
- 文字 ― 本文を一回り大きく、細い書体を避け、行の間を空ける。文字は画像にしない
- 色 ― 背景と文字の差をはっきりつける。写真の上に直接置かない。色だけで意味を伝えない
- 言葉 ― カタカナ語と略語を日本語に戻す。メニューは日本語で
- 電話とボタン ― 電話番号は大きく、文字で、どのページにも。受付時間を横に。ボタンは大きく、間を空ける
- 組み立て ― 知りたいことに1回か2回でたどり着ける深さに。ご家族が代わりに見ても分かるように
どれも、年配の方のためだけの工夫ではありません。誰にとっても読みやすいサイトの基準を、お客様の側に合わせて少し上げるということです。
今日できることを1つ挙げます。貴社のサイトを、明るい外でスマートフォンで開いてみてください。拡大せずに読み、電話番号を探して押してみる。どこかで手が止まったら、そこがお客様の手が止まっている場所です。
自社のサイトが、お客様にとって読みにくいかもしれないと感じた方は、一度ご相談ください。