1. 「『こちら』と書いておけば、押してもらえると思っていました」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「料金表のページを作ったので、トップに『料金表はこちら』って入れたんです。『こちら』のところが青くなっていれば、押せるのは分かりますよね。何かまずいんでしょうか」
押せることは、たしかに分かります。困るのは、押した先に何があるかが、「こちら」という文字からは分からないことです。この例のように前の言葉と一緒に読めば分かる場合でも、読む人がいつも前後の文を読んでくれるとは限りません。
リンクの文字は、扉に貼る札のようなものです。札に「こちら」と書いてあっても、扉の向こうに何があるかは分かりません。札に行き先を書いておけば、開ける前に、開けるかどうかを決められます。
ほかの記事との分け方
- この記事 ― 文章の中に置くリンクの「文字」を、どう書くか
- ボタンの言葉 ― 問い合わせボタンに何と書くかは 「お問い合わせはこちら」のボタンを、何と書き、どこに置くか で扱いました
この記事で書くこと
- 「こちら」が、誰にとってどう分かりにくいか
- 行き先と中身が分かる書き方と、悪い例・直した例
- ボタンとリンクの使い分け
- PDF・外部サイト・電話・メールのリンクで、先に伝えること
- リンクの見た目と、文中に入れすぎないこと
- 自分のサイトを見直す手順
2. 「こちら」が分かりにくいのは、誰にとってか
「こちら」と書いても、困らない人はいます。前から順に、丁寧に読んでくれる人です。ただ、ホームページを見る人の多くは、そういう読み方をしません。困る人を3つに分けます。
① 読み飛ばす人は、リンクの文字だけを拾う
スマートフォンでページを見る人は、指で送りながら、目に止まった場所だけを読みます。止まるのは、見出しと、色の違うリンクの文字です。リンクの文字は、本文の中で目立つぶん、本文より先に読まれます。
そこに「こちら」「詳しくはこちら」「ここ」が並んでいると、拾い読みしても何も分かりません。1ページに「こちら」が5つあれば、目に入るのは5つの「こちら」だけです。どれがどこへ行くのかを知るには、結局、前後の文に戻って読むしかありません。
② 音声で読む人は、リンクだけを続けて聞くことがある
目の不自由な方の中には、画面を声で読み上げる機能でホームページを見ている方がいます。この機能には、ページの中のリンクだけを一覧にして、順に読み上げる使い方があります。
そのとき、リンクの文字が全部「こちら」だと、「こちら、こちら、詳しくはこちら、こちら」と聞こえます。どれを選べばいいのか、聞いただけでは分かりません。リンクの文字に行き先が書いてあれば、一覧を聞くだけで、行きたいページを選べます。
③ 検索エンジンは、リンクの文字を行き先の手がかりにする
検索エンジンも、リンクの文字を、行き先のページが何についてのページかを知る手がかりの一つにしていると説明されています。「こちら」では、手がかりになりません。
ここは一般論として受け取ってください。リンクの文字を直せば検索の順位が上がる、という話ではありません。ただ、①と②の人に伝わる文字は、検索エンジンにとっても読み取りやすい文字になります。順番は、人が先です。
3. 行き先と中身が分かる言葉にする
ここが本題です。直し方は1つです。リンクの文字に、行き先の名前か、押すと分かることを書く。
行き先の名前を、そのままリンクの文字に
いちばん簡単なのは、行き先のページの名前を、そのままリンクの文字にすることです。「料金表はこちら」なら、「料金表」の部分をリンクにします。「こちら」を消して、名前のほうに札を付け替えるだけです。
文を組み替えて、意味のある言葉に張る
「こちら」を消すと文がぎこちなくなるときは、文のほうを組み替えます。
直す前:「施工の流れについては、こちらをご覧ください」
直した後:「現地調査から引き渡しまでの流れは、施工の流れのページにまとめています」
この場合、リンクにするのは「施工の流れのページ」です。文の中で、行き先を指している言葉を探して、そこにリンクを張ります。
| よくあるリンクの文字 | 直した例 | 直したところ |
|---|---|---|
| 料金表はこちら | たとえば「外壁塗装の料金表」をリンクにする | 「こちら」を消し、行き先の名前にリンクを付け替えた |
| 詳しくはこちら | たとえば「現地調査から引き渡しまでの流れ」 | 何が詳しく分かるのかが書かれていなかったので、中身を書いた |
| ここをクリック | たとえば「対応エリアの地図」 | スマートフォンではクリックしない。操作ではなく行き先を書く |
| こちらからダウンロード | たとえば「点検のお申込書(PDF・1枚)」 | 何が開くかと、PDFであることを先に伝えた |
| 以前の記事はこちら | たとえば「屋根の点検で見る5つの場所(2026年9月の記事)」 | 記事の題名と時期で、読む前に見当がつく |
| More / → | たとえば「施工事例をもっと見る」 | 英語や矢印だけでは、音声で聞くと意味が伝わらない |
直し方は、押す前に、押した先が分かる言葉にするだけです。リンクの文字だけを抜き出して読んでも、どこへ行くかが分かれば直せています。中身は、貴社のページの実際の名前で書いてください。
長すぎず、短すぎず
行き先を書くと、リンクの文字が長くなりがちです。文全体をリンクにはしないでください。一文まるごと色が変わって下線が付くと、読みにくくなり、どこまでが押せるのかも分かりにくくなります。
目安は、行き先の名前に、必要なら中身を少し足した長さです。逆に、「料金」の2文字だけ、「流れ」の2文字だけのように短すぎると、今度は指で押しにくくなります。
同じ文字で、違う行き先にしない
1つのページの中に、同じ「事例を見る」というリンクが3つあって、それぞれ違うページに飛ぶ。これは、リンクだけを聞く人を迷わせます。行き先が違うなら、文字も変えます。「外壁の事例」「屋根の事例」「内装の事例」のように分けてください。
行き先のページの見出しと揃える
リンクの文字と、押した先のページの大見出しは、同じ言葉か、近い言葉に揃えます。「料金表」を押して開いたページの見出しが「プランのご案内」だと、正しいページに着いたのか一瞬迷います。見出しの付け方は ホームページの「見出し」を、どう付けるか にまとめました。
4. ボタンとリンクの使い分け
リンクの文字を直していくと、「これはボタンにしたほうがいいのでは」という場所も出てきます。分け方は単純です。
動作はボタン、移動はリンク
- ボタン ― 見積もりを頼む、相談を送る、申し込む。押すと何かが始まる動作
- リンク ― 料金表を読む、事例を見る、会社案内を開く。別のページへ移るだけ
ボタンは目立つぶん、数が増えると、どれがいちばん大事かが分からなくなります。本文の中で別のページを紹介するだけなら、リンクで十分です。全部をボタンにすると、ページがボタンだらけになり、本当に押してほしい問い合わせのボタンが埋もれます。
一覧のカードは、題名をリンクにする
事例やお知らせを、写真と題名のカードで並べている一覧があります。カードの下に「詳しく見る」の小さなリンクを付けている形をよく見ますが、題名そのものをリンクにするほうが伝わります。リンクだけを聞いたときに、「詳しく見る、詳しく見る」ではなく、事例の題名が並ぶからです。
ボタンにも、同じ考え方が効く
ボタンの文字も、行き先や結果が分かる言葉にする点はリンクと同じです。「送信」「次へ」だけでなく、何を送るのか、次に何が出るのかを書きます。言葉の選び方と置き場所は、冒頭で挙げたボタンの記事に詳しく書きました。
5. PDF・外部サイト・電話・メールは、先に伝える
押したときに、ふつうのページとは違うことが起きるリンクがあります。こうしたリンクは、押す前に、何が起きるかを文字で伝えます。
PDFのリンク
PDFは、押すとファイルが開いたり、保存されたりします。スマートフォンでは、文字が小さくて読みにくいこともあります。リンクの文字に、何の書類か・PDFであること・ページ数を入れておくと、読む人は今ここで開くかを自分で決められます。
PDFのまま置くか、ページの文章に直すかの判断は 料金表やお知らせを、PDFのままホームページに載せている にまとめました。
外部のサイトへのリンク
取引先や加盟している団体のサイトへのリンクは、押すと貴社のサイトの外へ出ます。リンクの文字は「〇〇協会の会員一覧」のように行き先の名前にし、外のサイトへ移ることが分かる小さな印か一言を添えておくと親切です。新しいタブで開くかどうかの考え方は 取引先や団体からのリンクと、外へのリンクをどう考えるか に書きました。
電話番号のリンク
電話番号は、スマートフォンで押せばそのまま発信できる形にできます。このとき、リンクの文字は「電話はこちら」ではなく、番号そのものにします。番号が見えていれば、パソコンで見ている人は手元の電話でかけられますし、押せば何が起きるかも分かります。
番号のすぐ横には、受付時間を書いておきます。押す前に、今かけてつながるかが分かるからです。
メールアドレスのリンク
メールアドレスのリンクは、押すと、その端末のメールの画面が立ち上がる仕組みです。ところが、仕事のメールはパソコンの別の画面で使っていて、押しても思った画面が開かない人もいます。
そのため、リンクの文字はメールアドレスそのものにしてください。押してうまく開かなくても、アドレスが見えていれば書き写せます。「メールはこちら」だけだと、押して開かなかった人は、アドレスを知る手段がありません。
地図のリンク
所在地から地図を開くリンクも、「地図はこちら」ではなく、「Googleマップで所在地を開く」のように、何で何が開くかを書きます。地図の画面に切り替わると分かっていれば、急に画面が変わっても戸惑いません。
6. リンクの見た目と、入れすぎないこと
文字が直ったら、見た目と数を整えます。
本文の中のリンクには、下線を
本文の中のリンクは、色を変えたうえで、下線を付けておくのが分かりやすい形です。色だけだと、色の見え方が違う人や、日の当たる場所でスマートフォンを見ている人には、どこが押せるのか分かりにくくなります。色の見え方については 色だけで伝えていないか ― 見え方が違う人にも読めるホームページ で詳しく扱いました。
反対に、リンクではない文字に下線を付けたり、リンクと同じ色で強調したりするのは避けてください。押せるものと押せないものが同じ見た目だと、読む人は試しに押してみるしかありません。
色は、サイトの中で1つに揃える
リンクの色は、サイトの中で揃えます。ページによって青だったり緑だったりすると、読む人はどれが押せるのかを毎回確かめることになります。一度見たページのリンクの色を少し変える設定もありますが、変える場合も、押せることが分かる見た目は残してください。
指で押しやすい間隔を取る
スマートフォンでは、リンクとリンクが近すぎると、隣を押してしまいます。とくに、短いリンクが1行に2つ3つ並んでいる場所は要注意です。リンクどうしの間に、指1本ぶんくらいの余裕を取ってください。
文中に入れすぎない
リンクは、読む人をそのページの外へ連れ出す出口でもあります。1つの段落にリンクが3つも4つもあると、読む人は途中で出ていき、戻ってこないことがあります。
- 1つの段落に、リンクは1つまでを目安に ― 紹介したいページが多いなら、段落を分けるか、節の終わりにまとめる
- 同じページへのリンクは、最初の1回だけ ― 同じ言葉が出るたびにリンクにすると、本文が色だらけになる
- いちばん伝えたい話の途中には置かない ― 料金や流れの説明の最中に外へ出すと、話が途切れる
リンクを減らして文章の流れを整えるときは、本文そのものの直し方も合わせて見直すと効きます。直す順番は ホームページの文章を、読みやすく直す にまとめました。
7. 自分のサイトのリンクを、見直す手順
最後に、今のサイトのリンクを見直す手順です。全部を一度に直さなくても構いません。よく見られるページから順に進めてください。
トップ、サービス、料金、会社案内など、よく見られるページから。色が変わっている文字だけを、上から順に紙に書き出します。
書き出した一覧だけを読んで、行き先が分からないものに印をつけます。英語や矢印だけのものも同じです。
印をつけたリンクを押し、開いたページの大見出しを書き留めます。リンク切れや、古いページにつながっているものもここで見つかります。
③で書き留めた見出しを手がかりに、リンクの文字を直します。PDF・外部サイト・電話・メールは、何が起きるかも書き足します。
直したページを自分のスマートフォンで開き、全部のリンクを押します。押しやすいか、隣を押さないか、思った画面が開くか。
①と②は、制作の知識がなくてもできる作業です。③で見つけたリンク切れは、文字を直すより先に直してください。文字を書き換えるのは、書き出した一覧と見比べながら進めると漏れません。
制作会社に頼むときの伝え方
自分で書き換えられない場合は、制作会社に頼みます。そのときは、②で印をつけた一覧に、今の文字・直したい文字・そのリンクがあるページの3つを並べて渡してください。「リンクを分かりやすくしてほしい」とだけ伝えるより、ずっと早く、思ったとおりに直ります。
新しく書くときの決めごと
見直しが終わったら、これから書く文章のための決めごとを1つだけ作っておきます。「リンクの文字には『こちら』を使わない。行き先の名前を書く」。お知らせやブログを社内で書く人がいるなら、この一行を伝えておいてください。それだけで、直したリンクがまた「こちら」に戻ることを防げます。
8. 雄喜晃の伴走:リンクの文字は、原稿の段階から決めます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、リンクの文字を、公開前に「こちら」で埋めることはしません。原稿を組み立てる段階で、どのページからどのページへつなぐかを決め、行き先の名前をリンクの文字にします。
私たちがやること
お預かりした原稿の中のリンクを、行き先の分かる言葉に直します。PDF・外部サイト・電話・メールのリンクには、押す前に何が起きるかを書き添えます。本文の中のリンクには下線を付け、色をサイト全体で揃え、スマートフォンで押しやすい間隔を取ります。
公開前には、全ページのリンクを押して、行き先が正しいか、切れていないかを確かめます。公開後にページを足したときのリンクの書き換えも、月5回までの更新代行の中でお受けしています。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
検索されたい言葉を、リンクの文字に詰め込むことはしません。読む人に不自然に見えるうえに、行き先が分かるという本来の役目から外れるからです。他のサイトにリンクを張ってもらうよう、こちらから頼み回ることもいたしません。
また、リンクの文字を直すことで、検索の順位が上がる、問い合わせが増えるとお約束することもしていません。やるのは、読む人が押す前に行き先を知れるようにすることです。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「自社のサイトを見返したら、『こちら』だらけだった」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:リンクの文字だけで、行き先が分かるように
リンクの文字で押さえることは、5つです。
- 「こちら」をやめて、行き先の名前を書く ― 文を組み替えて、行き先を指す言葉にリンクを張る
- リンクだけを抜き出して読む ― 拾い読みでも、音声で一覧を聞いても、どこへ行くかが分かるか
- 動作はボタン、移動はリンク ― 本文で別のページを紹介するだけなら、リンクで十分
- 違うことが起きるリンクは、先に伝える ― PDF・外部サイト・電話・メール。電話とメールは、番号とアドレスをそのまま文字に
- 下線を付け、入れすぎない ― 色はサイトで揃え、1つの段落にリンクは1つまでを目安に
リンクの文字は短い言葉ですが、読む人がページからページへ移るときの、行き先の札です。札に行き先が書いてあれば、読む人は迷わずに次のページへ進めます。
まずは今日、自社のトップページで色の変わっている文字を、上から順に書き出してみてください。並べた一覧に「こちら」がいくつあるか。それが、直す場所の数です。