1. 「料金表は、PDFで載せてありますから」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「料金表は、店に貼っている紙と同じものをPDFにして載せてあります。お盆休みのお知らせも、チラシをそのままPDFで。紙と同じなら書き写す手間もないので、それでいいと思っていたんですが」

紙と同じものを載せる。いちばん手早く、書き間違いも起きにくい方法です。気持ちはよく分かります。

ただ、ホームページを見に来る人の多くは、スマートフォンで、移動中や仕事の合間に開いています。店の壁に貼ったときにはよく読めた紙が、画面の中では読めない紙になります。そして、紙を直すたびにPDFも作り直す手間が増え、いつの間にか古い版がサイトのどこかに残ります。

この記事では、PDFのまま載せている料金表やお知らせを、どこまでページに直し、どこからPDFのままでよいかを整理します。

この記事で書くこと

  • PDFのまま載せると起きる4つのこと
  • 今サイトにあるPDFの棚卸しの仕方
  • ページの文章にするものと、PDFのまま置いてよいものの分け方
  • PDFをページの文章に直す手順
  • PDFを置くときに添える「何のPDFか・ページ数・いつ時点か」
  • 古いPDFの差し替えと片付け

なお、会社案内やカタログを持ち帰り用に置く話は 会社案内やカタログを、ホームページからダウンロードできるようにするか に書きました。この記事で扱うのは、その手前です。本来はページで読ませるはずの料金表やお知らせが、PDFになっている状態をどう直すかです。

2. PDFのまま載せると、起きる4つのこと

まず、何が起きているかを並べます。どれも、パソコンで自社のサイトを見ているだけでは気づきにくいことです。

① スマートフォンで、拡大しないと読めない

A4やB4の紙をそのままPDFにすると、スマートフォンでは紙1枚が画面の幅に縮んで表示されます。料金表の細かい数字や、お知らせの日付を読むには、指で広げて、横にずらして、また広げることになります。

多くの人は、そこまでせずに閉じます。料金を確かめたかった人は、確かめられないまま次の会社のサイトを開きます。読めなかったことは、こちらには伝わりません。スマートフォンで人が離れる理由は、ほかにも スマートフォンで見たときに、人が離れる7つのこと にまとめました。

② 検索で、中身が拾われにくい

PDFの中の文字も、検索エンジンが読めないわけではありません。ただ、ページの本文に比べると、検索から見つけてもらう入口としては弱くなりがちです。

さらに、紙をスキャナーで読み込んだPDFや、チラシを写真に撮って貼ったものは、中の文字が文字として扱われません。料金表に「〇〇の点検 △円」と書いてあっても、その言葉で探している人の目に届きにくい。せっかく書いた中身が、ファイルの中に閉じ込められた状態になります。

③ 更新が紙と二重になり、古いPDFが残る

料金が変わると、まず紙を直します。次に、そのデータからPDFを書き出して、サイトに上げ直します。同じ作業を2回することになるので、どちらかが遅れます。

遅れるのは、たいていサイトのほうです。店頭の紙は新しいのに、サイトのPDFは去年のまま。あるいは、新しいPDFを上げたものの、別の名前で上げたので、古いPDFも残ったまま。検索結果から古いほうが開かれて、古い金額で問い合わせが来ることもあります。

④ ファイル名がばらばら

サイトに上がっているPDFの名前を見ると、「料金表_最新.pdf」「ryokin2.pdf」「scan0012.pdf」のように、作った人と時期によってばらばらになっていることがよくあります。

名前から中身も版も分からないので、どれを直せばいいのか、社内の人にも分からなくなります。担当者が変わると、どのPDFがどのページからリンクされているのかも、誰も把握していない状態になります。

図:同じ料金表でも、置き方で読む人に起きることが変わる(例は架空)
① PDFだけ
「料金表はこちら(PDF)」のリンクが1本

たとえばスマートフォンで開くと、A4の紙が画面に縮んで出ます。数字を読むには拡大が要り、検索からも中身が見つかりにくい状態です。

開いても読まれず、探しても見つかりにくい
② 画像で貼る
紙の料金表を撮った写真をページに貼る

たとえば開けば目には入りますが、文字は写真の一部です。拡大しないと読めず、検索にも料金の言葉として拾われません。直すたびに撮り直しになります。

見えるが、読めない・探せない
③ ページの文章と表
料金をページの表で書き、印刷用のPDFを下に添える

たとえばスマートフォンの幅に合わせて表が並び、拡大しなくても読めます。料金の言葉で検索した人にも届きやすく、直すときはページの数字を書き換えるだけです。

読める・探せる・直しやすい

PDFが悪いのではなく、読んで判断する中身がPDFや画像の中にしか無いことが問題です。③のようにページを先に作り、PDFは印刷したい人のために添える形にすると、4つの問題がまとめて軽くなります。

3. まず、今サイトにあるPDFを棚卸しする

直す前に、今どれだけのPDFがサイトにあるのかを確かめます。思っているより多いことが少なくありません。

PDFへのリンクを、ページごとに拾う

サイトを上から順に開いて、PDFへのリンクを書き出していきます。見落としやすい場所は、次のとおりです。

  • お知らせの欄 ― 「詳しくはこちら」の先がPDFになっていることが多い
  • 料金やサービスのページの下のほう ― 「料金表(PDF)」が本文の代わりになっている
  • 採用のページ ― 募集要項が紙の求人票のPDFだけ
  • フッター ― 会社案内や申込書が、いつのものか分からないまま並んでいる

あわせて、検索窓に「site:」に続けて自社のドメイン、そのうしろに「filetype:pdf」を入れて検索すると、検索エンジンが把握している自社のPDFが一覧で出てきます。サイトからはリンクを外したのに、検索にはまだ出てくるPDFが見つかることがあります。

1枚の表にまとめる

拾ったPDFは、1枚の表にまとめます。項目は5つで足ります。

  • 何のPDFか ― 料金表、休業のお知らせ、申込書など
  • どのページからリンクしているか ― リンクが無いのに残っているものも書く
  • いつ時点の中身か ― 表紙や本文に日付が無ければ「不明」と書く
  • 元のデータはどこにあるか ― 印刷会社が持っている、社内のパソコンにある、紙しか無い
  • 次の章の分け方で、どちらに入るか ― ページにする、PDFのまま置く、外す

「いつ時点か不明」が並ぶようなら、それがいちばん先に直すところです。

4. ページの文章にするものと、PDFのまま置いてよいもの

棚卸しができたら、1つずつ分けていきます。分け方の軸は1つです。読んで判断するものか、印刷して使うものか。

読んで判断するものは、ページの文章にします。料金、営業日、条件、募集の内容。読む人はそれを見て「頼むか」「行くか」「応募するか」を決めます。決める材料は、スマートフォンでそのまま読める形でなければ届きません。

印刷して使うものは、PDFのままでかまいません。申込書、注文書、印刷して持っていく地図。紙に書き込む、紙で持ち歩く、紙で提出する。そういう使い方をするものは、ページの文章にするより、決まった形のまま渡したほうが親切です。

表:よくあるPDFを、ページにするか・PDFのまま置くかで分ける(例はすべて架空)
今PDFで置いているものどうするか理由
料金表ページの表にする。印刷用のPDFは下に添えてもよい比べる段階の人がいちばん見る情報。拡大しないと読めないと、比べる前に離れられる
休業・営業日のお知らせお知らせの本文に、日付と内容をそのまま書く知りたいのは「何日が休みか」だけ。本文の1行目で答えられる
イベントや催しのチラシ日時・場所・申し込み方法をページに書き、チラシのPDFは添えるチラシを配りたい人には紙の形が要る。読むだけの人には要点の文章が要る
求人の募集要項採用のページに、仕事の内容・時間・給与を文章で書く応募を考える人はスマートフォンで見比べる。求人票の画像だけだと読まれにくい
申込書・注文書PDFのまま置く。何の書類か・いつの様式かを添える印刷して書き込む書類なので、決まった形のままのほうが使いやすい
会社案内・カタログ要点をページに書き、PDFは持ち帰り用に置く社内で回したい人、印刷したい人のためのもの。PDFだけにしない

迷ったときは、「読む人はこれを印刷するか」と問うと分けやすくなります。印刷しないものはページに、印刷するものはPDFで。両方の使い方があるものは、ページに要点を書いてPDFを添えます。貴社のPDFに合わせて読み替えてください。

「PDFをご覧ください」で終わるお知らせ

とくに多いのが、お知らせの欄です。題名は「年末年始の営業について」、本文は「詳しくはPDFをご覧ください」の1行だけ。

読む人が知りたいのは、何日から何日まで休みか、それだけです。その答えがPDFの中にしか無いと、1行で済む話のために、ファイルを開いて拡大する手間を払わせることになります。

お知らせの本文には、結論をそのまま書いてください。「12月29日(月)から1月4日(日)までお休みします。1月5日(月)から通常どおり営業します」。これで足ります。お知らせの書き方そのものは 「お知らせ」の欄に、何を書けばいいか にまとめました。

料金表は、ページで読めることがいちばん大事

料金表は、比べている人がいちばん先に探す情報です。どんな形で載せるかより前に、スマートフォンで、拡大せずに読めることを優先してください。

料金をどこまで、どういう形で載せるかの考え方は ホームページに料金を載せるか、載せないか に書きました。そこで決めた数字や条件を、PDFではなくページの表と文章で置く。それがこの記事の答えです。

5. PDFをページの文章に直す手順

ページにすると決めたものを、実際に直していきます。紙の内容をそのまま書き写すのではなく、画面で読む形に並べ直すのがこつです。

紙の中身を、3つに分ける

まず、紙に書いてあることを3つに分けます。

  • よく変わるところ ― 金額、日付、受付の期間
  • あまり変わらないところ ― サービスの内容、対象、手順
  • 注意書き ― 「別途かかるもの」「対象外のもの」「ご予約の取り消しについて」

紙では、この3つが1枚の中に混ざっています。ページにするときは、よく変わるところを表にまとめ、あまり変わらないところを文章にし、注意書きは表のすぐ下に置きます。こうしておくと、次に料金が変わったときは表の数字を書き換えるだけで済みます。

表は、スマートフォンの幅で読める形にする

紙の料金表は、横に長い表になっていることがよくあります。それをそのままページに置くと、スマートフォンでは横にはみ出して、結局読めなくなります。

列が多い表は、スマートフォンでは1行ずつ縦に並ぶ形にします。この記事の表もそうなっています。列を減らせるなら、減らすのがいちばんです。「税込」と「税別」の2列を並べるより、どちらかに決めて1列にするほうが読みやすくなります。

日付と「いつ時点か」を入れる

ページにした料金表やお知らせには、「2026年11月1日現在の料金です」のように、いつ時点の情報かを書いておきます。紙では書いていなかった会社も多いのですが、ページには入れてください。

日付があると、読む人は古いか新しいかを自分で判断できます。

紙は、ページから作る順に変える

最後に、作る順番を変えます。今は「紙を作る → PDFにする → サイトに上げる」の順になっている会社が多いと思います。これを「ページを直す → ページの内容で紙を作る」の順に変えます。

ページが正しい版になっていれば、紙はそこから作ればいい。紙とサイトの二重の更新が、1つの元から2つに出す形に変わります。どちらが正しいかで迷うこともなくなります。紙とウェブの役割の違いは 会社案内・チラシとホームページの、役割分担 でも書きました。

6. PDFを置くなら、3つのことを添える

PDFのまま置くと決めたものにも、ひと手間かけます。開く前に、何が入っているかが分かるようにすることです。

リンクの文字に、3つのことを書く

PDFへのリンクに書くのは、次の3つです。

  • 何のPDFか ― 「申込書」ではなく「点検のお申込書」のように、用途まで
  • ページ数 ― 1枚なのか、20ページあるのか
  • いつ時点か ― 「2026年11月版」「2026年4月1日改定」

並べると、こうなります。

「点検のお申込書(PDF・1枚・2026年11月版)」

これがあると、読む人は今ここで開くか、パソコンで開き直すかを自分で決められます。「こちら」「PDF」だけのリンクにはしないでください。何が開くのか分からないリンクは、押されにくくなります。

PDFの中にも、日付を入れる

ダウンロードされたPDFは、受け取った人のパソコンの中で、何年も残ります。ファイルの中にも、表紙か右下に日付を入れておきます。印刷されて回されても、いつの版かが分かるようにするためです。

ファイル名は、決まりを1つ作る

ファイル名は、半角の英数字で、何の書類か分かる名前にします。たとえば「application-form.pdf」「price-list.pdf」のように。社内で決まりを1つ作っておくと、担当者が変わっても名前がばらばらになりません。

名前を版ごとに変えるか、同じ名前で上書きするかの考え方は、会社案内やカタログを、ホームページからダウンロードできるようにするか に表で整理しました。中小企業の場合は、名前を変えずに上書きし、版と日付はPDFの中とリンクの文字に書く形のほうが、リンクが切れにくく運用しやすいことが多いです。

7. 古いPDFの差し替えと、片付け

最後に、残ってしまった古いPDFの扱いです。ここを放っておくと、ページを直しても古い情報が外から開かれ続けます。

ページにしたら、元のPDFをどうするか

料金表をページの表に直したら、元のPDFへのリンクは外します。ただ、リンクを外しただけでは、ファイルはサーバーに残っています。検索結果や、以前に送ったメールのリンクからは、まだ開けてしまいます。

元のPDFは、次のどちらかにします。

  • 消して、新しいページへ転送する ― 古いPDFのURLを開いた人を、料金のページに案内する。いちばん親切な形です
  • 新しい版で上書きする ― 印刷用のPDFを残す場合は、同じ名前で新しい版に置き換える

転送をせずに消すだけだと、古いリンクを押した人は「ページが見つかりません」の画面にたどり着きます。古くなったものを消すか残すかの考え方は 古くなったページを、消すか・残すか・直すか に書きました。PDFも、考え方は同じです。

差し替えるときの順番

料金や様式が変わって、PDFを差し替えるときは、次の順番で進めます。

  • ページの本文を先に直す ― 表の数字、日付、注意書き
  • PDFを新しい版で作る ― 中の日付も直す
  • 同じ名前で上書きする ― リンク元を直さずに済む
  • リンクの文字を直す ― 「2026年11月版」の表記
  • スマートフォンとパソコンの両方で開いて確かめる ― 古い版が出たら、少し時間をおいてもう一度

古い版は、「いつ、どの料金を出していたか」をあとから確かめられるよう、社内のフォルダに残しておきます。

年に1回、棚卸しの表を見直す

第3章で作った表は、1回作って終わりにせず、年に1回、同じ手順で見直します。決算の時期や、料金を見直す時期に合わせておくと忘れません。

見直すときに確かめるのは、表に無いPDFが増えていないか、日付の古いものが残っていないか、検索に古いPDFが出ていないか。この3つです。担当者が変わったときは、この表をそのまま引き継いでください。

8. 雄喜晃の伴走:PDFの中身をページに起こし、差し替えまで引き受けます

私たちがやること

私たち雄喜晃は、料金表やお知らせをPDFのまま置くのではなく、ページの文章と表に起こして載せる形で作ります。今サイトにあるPDFを一緒に洗い出し、ページにするもの、PDFのまま置くもの、外すものに分けるところから始めます。紙の料金表は、よく変わるところを表に、変わらないところを文章に並べ直し、スマートフォンで拡大せずに読める形にします。PDFのまま置く申込書などには、何の書類か、ページ数、いつ時点かを添えます。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、料金が変わったときの表の書き換えや、休業のお知らせ、PDFの差し替えも、ご連絡いただければこちらで反映します。紙を作り直す前に、ページのほうを先に直す流れが作りやすくなります。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

料金表やお知らせに書かれた金額や条件が正しいかどうかを、私たちが判断することはしません。貴社の商売の中身だからです。ページに起こしたあとは、公開の前に貴社で中身を確かめていただくようお願いしています。また、スキャンした紙の文字を読み取って、確かめないまま公開することもしません。ページにしたことで検索の順位が上がる、問い合わせが増える、といったお約束もいたしません。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「サイトのPDFが、いつの版なのか分からなくなっている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:読むものはページに、印刷するものはPDFに

料金表やお知らせをPDFのまま載せている状態を直すときに押さえることは、5つです。

  • PDFのままだと4つのことが起きる ― スマートフォンで読めない、検索で拾われにくい、紙と二重の更新で古い版が残る、ファイル名がばらばらになる
  • まず棚卸しをする ― 何のPDFか、どこからリンクしているか、いつ時点か、元のデータはどこかを1枚の表に
  • 分ける軸は「印刷して使うか」 ― 料金表やお知らせはページに、申込書や印刷して使う書類はPDFのままで
  • PDFを置くなら3つ添える ― 何のPDFか、ページ数、いつ時点か。PDFの中にも日付を
  • 古いPDFは、転送か上書きで片付ける ― リンクを外しただけでは、外から開かれ続ける

PDFは便利な形です。ただ、読んで判断する中身までPDFの中に入れてしまうと、読む人の手間が増え、直す人の手間も増えます。ページを正しい版にして、紙はそこから作る。この順番に変えるだけで、二重の更新から抜けられます。

今日できることを1つだけ挙げます。自社のサイトをスマートフォンで開いて、料金表とお知らせのPDFを1つずつ開いてみてください。拡大しないと読めないものがあれば、それが最初にページへ起こすものです。