1. 「カタログ、PDFで置いておけばいいですよね」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「会社案内とカタログは、印刷会社に作ってもらったPDFがあるんです。ホームページにはそれを置いておけば十分ですよね。取引先にも『サイトから落としてください』と言えるし」

手元にあるものを活かす、という考え方は正しいです。資料をサイトから受け取れるようにしておくと、便利な場面はたしかにあります。

ただ、置いたあとのことまで考えている会社は多くありません。置いた日から、その資料は古くなり始めます。価格が変わり、担当者が変わり、製品が入れ替わる。サイトのPDFは差し替えたつもりでも、検索結果や取引先のパソコンの中に、古い版が残り続けます。

この記事では、資料をダウンロードできるようにするかどうかを、置く前と置いたあとの両方から整理します。

この記事で書くこと

  • 資料を置くと便利な場面と、置かなくていい資料
  • PDFを置くだけで起きる3つのこと
  • ページで読ませて、PDFは持ち帰り用にする形
  • 名前やメールを入れてもらってから渡すか、そのまま渡すか
  • ファイル名と更新日の付け方
  • 古い版の差し替えの手順

2. 置くと便利な場面

まず、資料のダウンロードが役に立つのはどんなときかを見ておきます。共通しているのは、読む人が、その資料を誰かに渡したいときです。

社内で回して、検討してもらうとき

法人のお客様は、1人で決めません。担当者がサイトで貴社を見つけて、上司や購買の部署に「ここはどうでしょう」と回します。そのとき、1つのファイルにまとまった資料があると、担当者は説明が楽になります。

サイトのURLを送るだけでは、受け取った上司はどこを読めばいいか分かりません。会社案内や製品の資料が1つにまとまっていれば、それを添付して回せます。

展示会や商談のあとで、渡し直すとき

展示会で名刺を交換した相手は、会社に戻ってから資料を見直します。会場で受け取った紙は、どこかに紛れていることも多いものです。サイトから同じ資料を受け取れるようにしておくと、お礼のメールにリンクを1本入れるだけで済みます。

出展の前後にサイトで何をしておくかは 展示会・商談会に出る前と後に、ホームページでやること にまとめました。

取引先が、最新の版を取りに来るとき

すでに取引のある会社が、価格表や仕様書の最新版を確かめに来ることがあります。電話やメールで頼まなくても、最新の版がいつもサイトにある。これは取引先にとって手間が減りますし、こちらも同じ資料を何度も送る手間が減ります。

置かなくていい資料

逆に、置かなくていい資料もあります。

  • 中身がサイトのページとほぼ同じ資料 ― 同じことを2か所に書くと、直すときに片方が残ります
  • お客様ごとに中身が変わる資料 ― 見積書や個別の提案書は、置いても誰の役にも立ちません
  • 取引先にだけ見せている価格表 ― 誰でも受け取れる場所に置くと、見せたくない相手にも届きます
  • 何年も直していない資料 ― 古い資料を置くくらいなら、置かないほうが誤解を生みません

3. PDFを置くだけで起きる3つのこと

手元のPDFをそのまま置く。いちばん手軽な方法ですが、3つのことが起きます。

スマートフォンで読みにくい

印刷用に作ったA4のPDFをスマートフォンで開くと、ページ全体が画面に縮んで表示されます。文字を読むには、拡大して、横にずらして、また拡大して、という操作が要ります。多くの人は、そこまでせずに閉じます。

パソコンで仕事をしている法人の担当者ならまだ読めますが、移動中にスマートフォンで下見をする人には届きません。

古いまま残る

ここがいちばん見落とされます。PDFは、一度配ったらこちらから直せません。

  • ダウンロードした人のパソコンの中 ― 何年たっても、その日の版のまま残ります
  • メールで転送された先 ― 貴社が知らない人の手元に、古い版が回り続けます
  • 検索結果 ― サイトから外したつもりでも、ファイルがサーバーに残っていれば、検索から直接開かれることがあります

古い価格表を見たお客様から、古い金額で問い合わせが来る。辞めた担当者の名前に連絡が来る。これはPDFに限らず、配った資料すべてに起きることですが、PDFは特に気づきにくいのです。

検索で中身が見つかりにくい

PDFの中の文章も、検索エンジンが読めないわけではありません。ただ、ページの本文と比べると、検索から見つけてもらう入口としては弱くなりがちです。画像として取り込んだPDFは、中の文字がそもそも文字として扱われません。

カタログに詳しい仕様が書いてあっても、その型番や用途で探している人がたどり着けない。せっかくの中身が、ファイルの中に閉じ込められた状態になります。紙とウェブの役割の違いは 会社案内・チラシとホームページの、役割分担 でも書きました。

4. ページで読ませて、PDFは持ち帰り用にする

3つの問題への答えは、1つです。中身の要点はページの本文に書き、PDFは持ち帰りたい人のために添える。PDFを置くこと自体が悪いのではなく、PDFしか無いのが問題です。

ページに書くのは、要点だけでいい

カタログを丸ごと書き起こす必要はありません。ページに書くのは、次のくらいで十分です。

  • この資料に何が載っているか ― 「製品の寸法と材質、対応できる数量の一覧」
  • 中身の要点 ― 主な製品の名前と用途、価格表なら「いつ時点の価格か」
  • 資料を読んだあと、何をすればいいか ― 見積もりの相談、サンプルの依頼など

要点がページにあれば、スマートフォンで下見をする人にも届きますし、型番や用途で検索した人もたどり着けます。PDFを開くのは、社内で回したい人や、印刷したい人だけになります。

リンクの書き方で、開く前に分かるようにする

ダウンロードのリンクには、開く前に分かることを全部書いておきます。

「会社案内(PDF・12ページ・2026年10月版)をダウンロード」

ファイルの種類、ページ数、いつの版か。これがあると、読む人は「今ここで開くか、あとでパソコンで開くか」を自分で決められます。開いてみたら古い版だった、というがっかりも防げます。

PDFそのものも、少し整えておく

添えるPDFも、置く前に2つだけ確かめてください。

  • 文字が文字のまま入っているか ― 紙をスキャンして作ったPDFは、中の文字が写真と同じ扱いになります。開いて文字を選べなければ、元のデータから書き出し直します
  • 重すぎないか ― 印刷用の高画質のまま置くと、スマートフォンでは開くまでに時間がかかります。印刷会社に「ウェブに置く用に、軽くした版も」と頼んでおくと、次の版から困りません

5. 名前やメールを入れてもらうか、そのまま渡すか

資料を渡す前に、名前や会社名、メールアドレスを入れてもらうかどうか。迷う方が多いところです。

図:資料の渡し方を3つに分けると、起きることが変わる(例は架空)
① そのまま渡す
リンクを押せば、すぐ開ける

たとえば会社案内や、一般向けの製品の一覧。誰が受け取ったかは分かりませんが、社内で回してもらいやすく、検討の早い段階で使われます。

広く読まれるが、相手は見えない
② 入力してから渡す
名前とメールを入れると、開ける

たとえば詳しい技術資料や、導入の手順をまとめた資料。受け取った人が分かりますが、入力の手前で離れる人も出ます。

相手は分かるが、受け取る人は減る
③ 要点は公開、詳しい版は入力後
ページで要点を読め、詳しい資料だけ入力してもらう

たとえば価格の目安はページに書き、数量別の詳しい価格表だけを入力後に渡す。比較の段階では落ちず、本気で検討している人とはつながれます。

落ちる人を減らし、検討の深い人とつながる

どれが正しいかは、資料の中身と、受け取る人がどの段階にいるかで変わります。迷ったら①から始めて、詳しい資料が増えたときに③を足すのが、受け取る側に負担の少ない順番です。

そのまま渡すほうがいい資料

会社案内、一般向けのカタログ、営業日の一覧のような資料は、そのまま渡すほうが素直です。

これらは、検討の早い段階で読まれる資料です。まだ何社かを比べている段階の人に、名前や連絡先を求めると、多くの人はそこで別の会社に移ります。入力を求めた結果、連絡先は集まらず、資料も読まれない。いちばん損な形です。

入力してもらってから渡すのが合う資料

入力を挟んでもいいのは、受け取る人が、手間を払ってでも読みたい資料です。詳しい技術資料、導入までの手順書、業種ごとの事例集など。読む人がすでに具体的な検討に入っていて、こちらとしても、誰が読んでいるかを知ってお手伝いしたい資料です。

挟むなら、入力の項目は少なくしてください。名前、会社名、メールアドレスの3つあれば十分です。電話番号や予算を必須にすると、その場で離れる人が増えます。項目の減らし方は 問い合わせフォームの項目は、いくつまで減らせるか に書きました。入力欄にいたずらの送信が増えた場合は、人が操作しているかを確かめる仕組み(Turnstile や reCAPTCHA など)を足します。

受け取った連絡先の使い方を、先に書いておく

入力してもらったメールアドレスに、あとから案内を送るつもりがあるなら、入力欄のそばにそのことを書いておきます。「資料をお送りしたあと、関連するご案内をお送りすることがあります」のように。

資料をもらうために入れたアドレスに、毎月の営業メールが届けば、受け取った人は驚きます。宣伝のメールの送り方には法律上の決まりもあります。ここでは一般論にとどめますが、業種や送る内容によって扱いが違うので、始める前に所管の窓口や専門家に確認してください。プライバシーポリシーの利用目的にも、同じことを書いておきます。

6. ファイル名と、更新日の付け方

置く資料が決まったら、名前と日付を決めます。ここを決めておかないと、次の差し替えで迷います。

ファイル名は、英数字で、何の資料か分かるように

ファイル名は、半角の英数字で、何の資料か分かる名前にします。日本語のファイル名は、リンクにしたときに長い記号の列に変わってしまい、メールで送ると途中で切れることがあります。

ダウンロードした人のパソコンにも、その名前で残ります。「document1.pdf」や「最終版2.pdf」のような名前では、あとで探せません。会社名と資料の種類が入っていれば、受け取った人のフォルダの中でも見つかります。

版をファイル名に入れるか、中に書くか

ここは2つの考え方があります。

  • URLを固定して、版は資料の中に書く ― 名刺のQRコードやお礼メールのリンクが、差し替えても切れません。そのかわり、表紙と各ページの下に版と日付を書いておく必要があります
  • 版ごとにファイル名を変える ― 受け取った人のパソコンの中で、どれが新しいかが一目で分かります。そのかわり、差し替えるたびにリンク元を全部直す必要があります

中小企業の場合は、前者のほうが運用しやすいことが多いです。リンク元を全部直すのは、思っているより漏れます。

表:資料ごとの、名前と日付の書き方(例はすべて架空)
資料ファイル名の例資料の中に書く日付
会社案内たとえば「marumaru-company-profile.pdf」表紙に「2026年10月版」。役員や所在地がいつ時点の情報かが分かる
製品カタログたとえば「marumaru-catalog.pdf」表紙と各ページの下に版。抜き出して回されても版が分かる
価格表たとえば「marumaru-price-list.pdf」「2026年10月1日現在の価格です」と適用の開始日を書く。日付が無いと古い金額で話が始まる
申込書たとえば「marumaru-application-form.pdf」右下に小さく版の番号。古い様式で届いたときに見分けられる

ファイル名は変えず、版と日付は資料の中とリンクの文字に書く形です。どの紙に印刷されても、どこに転送されても、いつの版かが分かることを目指します。貴社の資料の種類に合わせて読み替えてください。

表紙に「最新版はこちら」を入れておく

もう1つ、ぜひ入れておきたいものがあります。表紙か最終ページに、「最新版は、こちらのページでご確認いただけます」と、資料のページのURLを書いておくことです。

配った資料は回収できません。それでも、古い版を開いた人が最新版にたどり着ける道を、資料の中に残しておくことはできます。

7. 古い版の差し替え

資料を置いたら、いつか差し替える日が来ます。ここで取りこぼしが出ます。

差し替えのきっかけを、先に並べておく

差し替えが遅れるのは、「直さなければ」と気づくのが遅いからです。どんなときに資料を直すのかを、先に並べておきます。

  • 価格を改定したとき ― 価格表だけでなく、会社案内に価格の目安を書いていないかも見る
  • 担当者や役員が変わったとき ― 資料の最後の「お問い合わせ先」に名前を書いていることが多い
  • 移転や、電話番号の変更 ― 表紙と裏表紙の両方に書いてあることが多い
  • 製品やサービスの追加・終了 ― カタログの一覧と、ページの本文の両方

移転や社名変更のときに直す場所は、資料以外も含めて 移転・社名変更・代表交代のときに、サイトで直すところ にまとめました。資料はその一覧の中でも、いちばん漏れやすいところです。

差し替えの手順を、先に決めておく

差し替えは、次の順番で進めます。

  • 新しい版を作る ― 表紙と各ページの下の日付を、忘れずに直す
  • 同じファイル名で上書きする ― URLを変えないので、リンク元は切れません
  • リンクの文字と、ページの本文を直す ― 「2026年10月版」の表記、ページに書いた要点や価格の目安
  • 開いて確かめる ― パソコンとスマートフォンの両方で、新しい版が開くかを見る。古い版が表示されたら、少し時間をおいてもう一度確かめる
  • 古い版は、社内に保管する ― 「いつ、どの版を出していたか」を後から確かめられるように

別の名前のファイルが残っていないか

過去に、版ごとに名前を変えて置いていた場合は注意が要ります。サイトのリンクを新しい版に変えても、古いファイル自体がサーバーに残っていれば、検索結果や古いメールのリンクから開かれます。

古いファイルは消すか、新しい版のページへ転送するかを決めてください。消してしまうと、古いリンクを押した人が行き止まりになります。転送できるなら、資料のページへ転送するのが親切です。ページを消すか残すかの考え方は 古くなったページを、消すか・残すか・直すか にまとめました。

サイトの外のリンクも探す

資料へのリンクは、サイトの中だけにあるとは限りません。

  • お礼メールや、メールの署名
  • 名刺やチラシのQRコード
  • 取引先のサイトや、紹介されているページ
  • 社内の営業資料や、見積書のひな形

URLを固定していれば、これらは差し替えても切れません。版ごとに名前を変えていた場合は、ここを全部たどる必要があります。資料を置いた場所とリンクした場所を、1枚の表にして残しておくと、次の差し替えが楽になります。

古い版を残しておいたほうがいい場合

例外もあります。すでに販売を終えた製品の取扱説明書や、旧製品の仕様書は、まだその製品を使っている人がいます。この場合は消さずに、「販売終了品の資料です」と分かる場所にまとめて残します。最新のカタログと同じ一覧に並べないことが大事です。

8. 雄喜晃の伴走:資料の要点をページにし、差し替えまで引き受けます

私たちがやること

私たち雄喜晃は、資料をダウンロードできるようにするとき、PDFを置くだけで終わらせません。資料の要点をページの本文に書き起こし、その下にPDFを添える形で作ります。リンクの文字には、ページ数といつの版かを入れます。そのまま渡す資料と、入力してから渡す資料を分けるかどうかも、資料の中身を見ながら一緒に決めます。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、価格表やカタログの新しい版ができたときの差し替えと、ページの本文の書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

資料に書かれた価格や仕様の正しさを、私たちが判断することはしません。貴社の商売の中身だからです。差し替えの前に、新しい版の中身は貴社で確かめていただくようお願いしています。また、連絡先を集めることだけを目的に、すべての資料を入力の奥に置くような作り方はお勧めしません。ダウンロードの数や問い合わせの件数、検索の順位をお約束することもいたしません。

「PDFは置いてあるけれど、いつの版か分からなくなっている」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:置く前に、差し替える日のことを決める

資料をホームページからダウンロードできるようにするときに押さえることは、5つです。

  • 置くのは、誰かに渡したくなる資料 ― 社内で回す、商談のあとで見直す、最新版を取りに来る
  • 要点はページに、PDFは持ち帰り用に ― PDFしか無いと、スマートフォンでも検索でも届きにくい
  • 入力を挟むのは、詳しい資料だけ ― 会社案内やカタログはそのまま渡す。挟むなら項目は少なく
  • ファイル名は固定し、版と日付は中に書く ― 表紙と各ページの下、リンクの文字にも
  • 差し替えの手順と、リンクした場所の表を残す ― 古い版がサーバーやサイトの外に残っていないかを確かめる

資料は、置いた日から古くなり始めます。置くかどうかより、次に差し替える日に誰が何をするかを決めておくほうが大事です。

今日できることを1つだけ挙げます。今サイトに置いてある資料を開いて、表紙にいつの版かが書いてあるかを確かめてください。書いていなければ、それが最初に直すところです。