1. フォームは0件でも、電話は鳴っている

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「ホームページからの問い合わせは、ほとんど無いですね。たまに電話は来ますけど、それがホームページを見てかけてきたのかは分かりません」

この「たまに来る電話」が、実際にはそのサイトの成果のほとんどだった、ということが本当によくあります。

業種によりますが、地域の商売や、急ぎの用が発生する商売では、問い合わせの過半が電話です。水漏れ、鍵、車の不具合、当日の空き確認、見積もりの急ぎ。相手にはフォームを埋めて返事を待つ余裕がありません。それでも多くのサイトは、フォームを大きく作り込んだうえで、電話番号はいちばん下に小さく置いています。力を入れている場所と、実際に使われている入口が、逆になっています

この記事は、電話を「載せておくもの」ではなく「導線」として組み直すための整理です。やることは5つで、どれも作り直さずにできます。費用のかかる話も出てきますが、そこは「やらなくてよい」という判断も含めて書きます。

問い合わせが来ない原因の切り分け全体は ホームページを作ったのに問い合わせが来ない ― 公開後90日でやること にまとめてあります。この記事は、そのうち電話だけを深く掘ったものです。

2. 電話は、5つの段階のどこかで落ちている

「電話が鳴らない」とひとことで言っても、原因は1つではありません。私が現場で見てきた限り、落ちている場所は次の5つのどれかです。

落ちる場所は、たいてい電話の側にある

  • 見えていない。番号がフッターだけにあり、スクロールしないと出てこない
  • タップできない。番号が画像になっている、または文字なのにリンクになっていない
  • かける気にならない。受付時間が書かれていない、何を聞かれるか分からない、番号が複数あって迷う
  • 出られていない。作業中や運転中で取れず、留守番電話も設定されていない
  • 折り返していない。着信履歴は残っているが、誰も見ていない

ここで大事なのは、5つのうち後半の3つは、サイトを直しても解決しないということです。番号を大きくしても、出る人がいなければ同じです。逆に、社内の受け方を整えても、番号がタップできなければ最初の1件が発生しません。

もう1つ、この5段階には順番があります。上が詰まっていると、下をいくら整えても効きません。まず見えるようにして、次にタップできるようにして、それから受け方を整える。この順で手を付けてください。

図:電話がかかって商談になるまでの5段階と、落ちる場所
段階1 ─ 見える

探さずに番号が目に入る状態。スマートフォンで開いた最初の画面に、電話番号があるかどうか。フッターにしか無いサイトは、この段階で大半を落としています。費用はかからず、直すのは配置だけです。

下までスクロールする人は、そもそも興味が強い人だけです
段階2 ─ タップできる

指で触れば発信画面が出る状態。画像になった番号、リンクになっていない番号は、ここで止まります。番号を覚えて電話アプリを開き直す人は、ほとんどいません。修正は1行の作業です。

タップできないと、かける手間が数秒から数十秒に跳ね上がります
段階3 ─ かける気になる

押す直前のためらいが消えている状態。受付時間、何を聞かれるか、所要時間。この3つが番号のそばに書かれていると、初めての人でも押せます。書き足すだけなので、こちらも費用はかかりません。

番号を1つに絞るのも、この段階の仕事です
段階4 ─ 出る

ここから先はサイトの外です。取れなかったときに留守番電話が応答するかどうかで、印象がまったく変わります。呼び出し音だけで切れると、営業しているかどうかすら伝わりません。

設定していないと、動いていない会社に見えます
段階5 ─ 折り返す

着信履歴を見て、その日のうちに折り返す。ここを担当者と時間まで決めておかないと、履歴は溜まるだけになります。1日1回、決まった時刻に見る。それだけで取りこぼしは大きく減ります。

読み方。上から順に詰まっているところを探してください。段階1と2はサイトの問題、段階3は書き方の問題、段階4と5は社内の受け方の問題です。手を付ける順番も上からで、段階1が詰まったまま段階5だけ整えても、そもそも着信が発生しません。

3. 段階1:番号が、探さないと見つからない

まず、貴社のサイトをスマートフォンで開いてください。最初の画面に電話番号は見えていますか。

上の帯に、常に見えているか

来店や訪問が発生する商売では、画面上部の帯に電話番号を置き、スクロールしても消えない形が最も確実です。ページのどこを読んでいても、思い立った瞬間に押せます。

ここでよくある失敗が、上の帯にはロゴとメニューボタンだけを置く構成です。見た目はすっきりしますが、電話番号はメニューを開かないと出てきません。一手増えるごとに、押す人は減ります

スクロールして消えていないか

上部に番号があっても、下にスクロールした瞬間に画面外へ流れていく作りは多いです。人が「電話してみよう」と思うのは、読み終わったあとです。トップの最初の1画面だけに置いても、決めた瞬間には見えていません。

対策は2つあります。上の帯を固定して常に見えるようにするか、ページの区切りごとに番号を置き直すかです。どちらでも構いません。ただし固定する場合は、本文を隠さない高さに抑えてください。

「お問い合わせ」ボタンの中に隠れていないか

「お問い合わせはこちら」という大きなボタンを押すと、フォームのページに飛び、番号はそのページの下のほうにある。この構成もよく見ます。電話をかけたい人にとっては、遠回りです

ボタンは、「お電話」と「フォーム」を並べて置くのが素直です。どちらを使うかは相手が決めます。こちらが決めることではありません。

なお、スマートフォンでの見え方全般は スマートフォンで見たときに、人が離れる7つのこと に整理してあります。番号の見え方も、その延長にある話です。

4. 段階2:番号が、タップできない

これは本当に多いです。そして、直すのはいちばん簡単です。

画像になっている電話番号

デザインの都合で、電話番号を画像として書き出しているサイトがあります。太い書体で、飾りの受話器マークが付いていて、見た目はきれいです。ですが、押しても何も起きません

スマートフォンで番号を見た人は、指で触れば発信画面が出ると思っています。触って反応が無いと、多くの人はそこで止まります。番号を覚えて、電話アプリを開いて、11桁を打ち込む。その手間を越える人は、よほど困っている人だけです

画像になっているかどうかは、指で長押しして文字が選択できるかで分かります。選択できなければ画像です。

文字なのに、リンクになっていない

もう1つ多いのが、文字では書かれているのにリンクの指定が抜けている形です。見た目は普通の番号なので、社内の誰も気づきません。パソコンで確認していると、そもそもタップという操作が存在しないので、永遠に見つかりません

制作会社への伝え方は一行で済みます。

「サイト内の電話番号を、スマートフォンでタップすると発信できる形にしてください」

これで通じます。作業としては数分です。

確かめ方は、10秒で終わる

自分のスマートフォンで、全ページの電話番号を1回ずつタップしてください。発信画面が出れば正常、何も起きなければ修正対象です。実際に発信する必要はありません。画面が出た時点で分かるので、そこで取り消せば大丈夫です。

トップページだけ直っていて、会社概要やサービスページの番号が直っていない、というのはよくある形です。全ページで確かめてください

同じ理屈で、住所をタップすると地図アプリが開くようにしておくと、来店の手前でつまずきません。電話とセットで確認する価値があります。

5. 段階3:番号は見えているのに、押されない

ここからは、書き方の話です。番号のまわりに何が書いてあるかで、押されるかどうかが変わります

受付時間が書かれていないと、一度きりで終わる

これがいちばん大きいと思っています。電話番号の隣に受付時間が無いと、時間外にかけて出なかった人は、もう一度かけてくれません

かけた側から見ると、出なかった理由は分かりません。営業時間外なのか、忙しいのか、やめてしまった会社なのか。判断できないので、他の会社を探すほうが早いという結論になります。

受付時間を書いておけば、この誤解は起きません。時間外にかけた人は「明日かけ直そう」と思えます。書き方は簡単です。

電話受付:平日 8:30〜18:00 / 土曜 8:30〜12:00(日祝休)

1行足すだけで、2回目の電話が発生するようになります。これは費用ゼロで効く数少ない施策です。

あわせて、時間外にかけた人の逃げ道も1つ書いておいてください。「時間外はフォームからお願いします」の一文があれば、その場で行き先が決まります。

「お気軽にお電話ください」は、あまり効かない

サイトでよく見る言い回しですが、これで気軽になる人はほとんどいません。初めて電話をかける人がためらう理由は、気軽さではなく、分からなさです。

  • 何を聞かれるのか
  • どこまで話さないといけないのか
  • どれくらい時間がかかるのか
  • 売り込まれないか

この4つが分からないから、押せません。だったら、書けばいいだけです。

お電話では、ご住所とお困りの内容だけ伺います。5分ほどで、概算とお伺いできる日をお伝えします。その場でのご契約はお願いしていません。

「気軽に」と書くより、何が起きるかを書くほうが、はるかに押されます。これはフォームの送信ボタンの手前と同じ理屈です。人は、次に何が起きるか分からないものを押しません。

番号は1つに絞る

会社概要のページに、代表番号・営業部・工場・支店の番号が縦に4つ並んでいる。よくある形です。社内の都合としては正しいのですが、外から見ると選べません

どれにかけるのが正解か分からないと、人は「間違えたら気まずい」と考えて、かけるのをやめます。あるいは代表番号にかけて、取り次ぎで待たされます。

サイトに出す番号は1つに絞ってください。迷わせないことのほうが、正確に振り分けることより大事です。取り次ぎの手間は社内で吸収できますが、かけなかった人は戻ってきません。

どうしても分けたい場合は、「初めての方はこちら」と「お取引のある方はこちら」の2つまでにしてください。役割で分けると、外の人にも判断できます。

Googleマップの番号と、サイトの番号がずれていないか

意外と起きます。移転や電話回線の変更のあとに、サイトだけ直してGoogleビジネスプロフィールを直していない。あるいはその逆です。

地図に出ている番号と、サイトに出ている番号が違うと、それだけで不安になります。どちらが正しいのか判断できないからです。加えて、地図側の情報が古いままだと、そもそも別の場所へ電話が行きます。

来店・訪問が発生する業種では、そもそも地図のほうが先に見られています。この順番の話は Googleマップとホームページ、どちらを先に整えるか に書きました。番号の整合は、地図側から確認してください

確認する場所は、サイトとGoogleビジネスプロフィールのほかに、名刺、看板、チラシ、業種別の掲載サイト、SNSのプロフィール欄です。年に1回、まとめて見直す日を決めておくと楽になります。

6. 段階4:かかってきているのに、出られていない

ここから先はサイトの外の話ですが、電話の成果を決めているのは、実はこちら側です。

留守番電話を設定していないと、やっていない会社に見える

現場作業や運転中で取れないのは仕方ありません。問題は、取れなかったときに何も起きないことです。

呼び出し音が20回鳴って切れる。かけた側には、休業なのか、廃業なのか、単に忙しいのかが分かりません。判断できないときの人の行動は、次を探すことです

留守番電話が応答するだけで、この不安は消えます。設定は電話会社の手続きだけで済み、費用も小さい範囲です。やっていない会社は、まずここから設定してください

吹き込む内容は、3つだけでいい

長い挨拶は要りません。次の3つを短く入れてください。

  • 社名(かけ間違いでないことが分かる)
  • 折り返す旨。「本日中に折り返しご連絡いたします」
  • 名前と番号を残してほしいという依頼

いちばん効くのは、折り返すと言い切ることです。人が留守番電話にメッセージを残さない最大の理由は、残しても返ってこないと思っているからです。返ってくると分かれば、残します。

なお、折り返すと吹き込んだら、必ず折り返してください。言って返さないほうが、何も言わないより印象が悪くなります。

自動音声は、長くしない

「ただいま電話が混み合っております。ご用件の方は1を、その他の方は2を」といった自動音声は、規模の大きい会社では有効ですが、中小企業では逆効果になることが多いと感じています。

理由は2つです。選択肢を聞いている間に、かけた側の気持ちが冷めること。そして、近くの小さな会社に期待しているのは、人が出ることだからです。

自動音声を入れるなら、最初の一言までを5秒以内に収めてください。用件の分岐は、よほど問い合わせ量が多くない限り要りません。

7. 段階5:着信は残っているのに、折り返していない

最後の段階です。ここは仕組みの問題なので、決めれば解決します。

着信履歴を毎日見る担当を決める

「気づいた人が折り返す」は、誰も折り返さないという意味です。担当と時刻を決めてください。

  • 誰が見るか(1人。休みの日の代わりも決めておく)
  • いつ見るか(朝の始業時と、夕方の1回。1日2回で十分です)
  • どこまでやるか(つながらなければ2回まで。3回目はやらない、と決めておく)

決めたことは、紙1枚にして電話の横に貼ってください。この考え方は 問い合わせが増えたあと、社内で何を決めておくか と同じで、電話も体制の話です。

折り返しの速さは、フォームより短く見積もる

電話をかけてきた人は、フォームを送ってきた人より急いでいます。フォームなら翌営業日でも許されますが、電話は当日中が実質の期限です。

問い合わせに何時間以内に返すべきかは 問い合わせが来たあと、何時間以内に返すべきか にまとめてありますが、電話はその中でもいちばん短い部類だと考えてください。かけた側は、他社にもかけながら待っています。

どこから来た電話か分からない、という問題

「ホームページを見てかけてきたのか、看板を見てかけてきたのか分からない」。これは、ほぼすべての会社で起きています。

方法としては、サイト用に別の番号を用意して、どちらが鳴ったかで判別するやり方があります。転送や番号追加のサービスを使えば実現できます。ただし、月々の費用がかかります。

判断は費用対効果で決めてください。月に数件しか電話が来ない規模で、判別のために毎月の固定費を払うのは、たいてい割に合いません。サイト経由の件数が月に何十件も動くようになってから考えれば十分です。

費用をかけないなら、サイトの番号のそばに一文添えるやり方があります。

お電話の際は「ホームページを見た」とお伝えください。

完全な計測にはなりませんが、傾向はつかめます。そして受ける側にも「今のはサイト経由だ」と分かるので、記録が残せます。表計算1枚に、日付・経路・内容・担当・結果の5列で書き溜めておけば、半年後には十分な材料になります。

電話が苦手な人への逃げ道を、1つだけ用意する

ここまで電話の話をしてきましたが、電話をかけられない人は確実にいます。若い層だけでなく、勤務中で話せない人、聴こえ方に不安のある人、内容を文字で残したい人。理由はさまざまです。

だからといって、入口を5つも並べる必要はありません。電話のほかに、フォームかメールを1つだけ用意してください。2つあれば、ほとんどの人は自分に合うほうを選べます。

そのとき、どちらを使ってほしいかを書かないことも大事です。「お急ぎの方はお電話、それ以外はフォーム」程度の案内で十分で、優劣を付けると、選ばなかった側の人が申し訳なく感じてやめてしまいます。

8. 雄喜晃の伴走:電話を、導線として設計します

私たち雄喜晃がお作りするサイトでは、電話番号を「載せておくもの」として扱いません。上部の帯に置いて常に見える状態にし、スマートフォンでタップすれば発信できる形にし、受付時間と、電話で何を聞くかを番号のそばに書きます。公開前には実機で全ページの番号をタップして確認します。

Googleビジネスプロフィールに載っている番号と、サイトの番号が一致しているかも、公開時に一緒に見ます。地図が先に見られている業種では、そちらのほうが影響が大きいからです。

一方で、私たちがやらないことも書いておきます。電話の受け方そのものを代行することはしません。電話代行サービスやコールセンターの手配は範囲外で、そこが必要なら専門の会社のほうが確実です。私たちができるのは、かかってくるところまでを整えることと、社内でどう受けるかを一緒に決めることまでです。

もう1つ、サイト専用の番号を持つことを、こちらから勧めることはしません。毎月の費用が発生するので、件数が小さいうちは「ホームページを見た」と言ってもらう一文で足ります。必要になる規模かどうかを、数字を見ながら一緒に判断します。

「電話は来ているが、それがサイト経由なのか分からない」という会社にも、「番号は載せているのに鳴らない」という会社にも、私たちはお役に立てます。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。月額8,800円(税別)に、公開後の更新代行も含まれているので、受付時間の変更や番号の差し替えはご連絡いただければこちらで直します。

9. まとめ:番号を大きくする前に、5段階を上から見る

電話を鳴らすために必要なことは、3つです。

  • 上から順に詰まりを探す ― 見える、タップできる、かける気になる、出る、折り返す。上が詰まったまま下を整えても効きません
  • 番号のそばに、受付時間と「何を聞くか」を書く ― 費用ゼロで、いちばん効きます
  • 着信履歴を見る担当と時刻を決める ― 折り返さなければ、鳴っていないのと同じです

この3つは、どれも制作会社に頼む前に自分で確かめられます。そして見つかった問題のほとんどは、作り直さずに直せます。番号の配置とリンクの指定、そして一行の追記で片付く話です。

まずは今、ご自身のスマートフォンで自社のサイトを開いて、最初の画面に電話番号があるか、そしてそれをタップできるかを見てください。どちらかが欠けていたら、そこが最初に直すところです。

そのうえで、自社の番号に、社外の電話から一度かけてみてください。何回鳴るか、留守番電話が応答するか、何と吹き込まれているか。お客様が聞いている音を、自分で聞いてみると分かることがあります。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。電話が鳴るところまでを、一緒に整えていきましょう。