1. 構成表を作ったまま、半年が経つ

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「去年、制作会社さんに構成の提案をもらったんです。トップ、会社概要、サービスが3つ、実績、よくある質問、お問い合わせ。全部で10ページくらい。それはいいなと思って、原稿を書き始めたんですけど、サービスの1つ目で止まってしまって。もう半年です」

この止まり方を、私は何度も見てきました。構成が悪いわけではありません。むしろ、構成としては真っ当です。問題は、その構成が「全部そろってから公開する」という前提で組まれていることです。

10ページの構成を出されると、公開の条件は「10ページぶんの原稿と写真がそろうこと」になります。日常業務を回しながら、それが自然にそろう日は来ません。

この記事では、1ページだけで公開して、あとから増やすという進め方を書きます。作らない話ではありません。順番を変えるだけの話です。そもそも創業期にホームページが要るかどうかの判断は 創業したての会社に、ホームページは本当に必要か にまとめてあります。

2. 10ページ構成で止まる、4つの理由

なぜ止まるのかを、構造で分けます。意志の問題ではありません。

原稿が10ページぶん要る

これが最大の壁です。1ページあたり800字から1,500字として、10ページなら1万字を超えます。本を1章書くのと変わらない量を、経営者が本業の合間に書くことになります。

しかも、書き慣れていない文章です。「サービス紹介の文章」という、日常のどこにも存在しない種類の文章を、ゼロから10本。手が止まるのは当然です。

写真も10ページぶん要る

ページが増えれば、そのページの見出しに入る写真も増えます。ページ数と必要な写真の枚数は、ほぼ比例します。10ページの構成には、少なくとも15枚から20枚の写真が要ります。

そして、写真は原稿より止まりやすい。撮影には掃除と天気と人の都合が絡むので、「そのうち撮ろう」が永遠に来ません。

決める人が、10回判断する

見落とされがちですが、これも効いています。10ページの構成では、ページごとに「これでいいか」の判断が発生します。文章、写真、並び順、載せる載せないの線引き。決裁が10回分たまります。

判断そのものは1回5分でも、「あとでまとめて見ます」と言われた瞬間に、10回分が1つの巨大な宿題に変わります。巨大な宿題は、着手されません。着手前に決めておくことの整理は ホームページを作る前に、決めておく5つのこと に書きました。

そして、誰も催促しない

社内の誰も、社長に「原稿はまだですか」とは言いません。制作会社も、着手金をもらっていなければ強く催促しません。止まっていることに、痛みを感じる人がいない構造になっています。

だから半年経ちます。1年経つこともあります。私が現場で見てきた限り、止まった案件が自然に再開したことは、ほとんどありません。再開するのは、取引先にURLを聞かれたときか、採用を始めたときです。

3. 1ページに、何を入れるか

では、1ページに何を載せるか。7つで足ります。この7つが入っていれば、会社を説明する道具としては成立します。

① 何の会社か

ページの上のほうに、一文で書きます。「神戸市北区で、〇〇向けに△△をしています」で十分です。ここが曖昧だと、その下を読んでもらえません。

会社案内によくある「お客様に寄り添い、地域社会に貢献します」という書き方は、ここでは避けてください。何をしている会社か分かりません。

② 誰の、何を解決するか

読んでいる人が「これは自分向けか」を判断する場所です。対象と困りごとを、具体的に書きます。

「〇〇でお困りの方へ」という形が、いちばん短く書けます。対象が複数あるなら、3つまで並べる。それ以上は、読む側が自分を見つけられません。

③ 料金か、料金の考え方

いちばん聞かれるのに、いちばん載っていない項目です。金額をそのまま出せない業種は多いので、出せないなら「どう決まるか」を書きます。

「面積と工事内容で決まります。一般的な戸建てで〇万円から〇万円が目安です」まで書ければ十分です。何も書かないと、問い合わせの前に候補から外れます。高いか安いかではなく、見当がつくかどうかで判断されています。

④ 実績を2〜3件

多くは要りません。2件でも3件でも構いません。1件も無いより、2件あるほうが圧倒的に強いです。写真1枚と、3行の説明で足ります。

業種、規模、何をしたか、どれくらいかかったか。社名を出せない場合でも「神戸市内・従業員10名前後の建設業」までは書けます。

⑤ よくある質問

電話や商談で実際に聞かれていることを、そのまま5つ書きます。ここは考えて作らないでください。思い出して書くだけです。

「対応エリアはどこまでですか」「見積もりは無料ですか」「土日は対応していますか」「最短でいつから入れますか」。この4つは、多くの業種で共通して聞かれます。

⑥ 連絡先と受付時間

電話番号、メールアドレス、問い合わせフォーム、そして受付している時間帯。最後の1つが抜けているサイトが本当に多いです。

「電話がつながる時間は平日9時から18時、フォームは24時間受付、返信は翌営業日中」まで書いてあると、受け取る側も送る側も、期待値がずれません。

⑦ 地図

来訪がある業種なら必須、無くても実在を示す材料になります。住所を文字で書き、地図を1つ埋め込みます。

以上7つ。原稿の量にすると、2,000字ほどです。10ページの1万字と比べれば、話しながら1日で作れる量です。

4. 1ページでも、検索に出ないわけではない

ここは誤解が多いので、断定を避けつつ整理します。

ページ数と検索順位は、直結していない

「ページ数が多いほうが検索に強い」と言われることがあります。これは、正確ではないが、まったくの誤りでもないという位置づけです。

検索エンジンが評価しているのは、ページの数そのものではなく、そのページが誰かの検索に答えているかどうかです。中身の薄い10ページを作っても、順位は上がりません。逆に、内容の詰まった1ページが、社名や地域名の検索で上位に出ることは普通にあります。

実際、創業まもない会社が最初に検索されるのは社名か、代表者名か、「地域名+業種」です。この3つに答えるだけなら、1ページで足ります。

ただし、1ページで取れる言葉は限られる

一方で、限界も正直に書きます。1ページで上位を狙える検索語は、多くありません。1つのページが強く答えられるテーマは、基本的に1つだからです。

「神戸 外構工事」と「神戸 外構工事 費用」と「ウッドデッキ 施工事例」を1ページで全部取ろうとすると、どれも中途半端になります。検索から人を集めることが目的なら、いずれページは増やす必要があります。

ですが、それは公開したあとに増やせばいいことです。公開前に10ページ組む理由にはなりません。

5. 公開してから、増やす順番

1ページで公開したあと、どう増やしていくか。順番があります。

図:1ページで公開したあと、ページを増やしていく順番
段階1 ─ まず1ページで公開する

会社概要、対象と困りごと、料金の考え方、実績2〜3件、よくある質問、連絡先と受付時間、地図。原稿は2,000字ほどで足ります。ここまでを2週間で出します。

段階2 ─ 3か月、反応を見る

問い合わせが何件来たか、どの言葉で検索されて表示されたか、どこまで読まれているか。見る数字は3つで足ります。この期間に、増やすべきページが自然と見えてきます。

反応を見ずに増やすと、読まれないページが増えるだけになります
段階3 ─ よく聞かれる質問を、ページにする

電話で3回以上聞かれたことは、ページにする価値があります。企画会議で考えたページより、聞かれたことのページのほうが読まれます。1つの質問に1ページ。ここから増やします。

段階4 ─ 実績が溜まったら、実績ページ

5件を超えたあたりから、独立したページにする意味が出ます。1ページ目に2〜3件しか置けないので、続きの置き場所が要るという順番です。業種か困りごとで分けます。

段階5 ─ 求人を出すときに、採用ページ

採用を始める段階で足します。募集要項では伝わらないこと、つまりどんな考えでやっている会社かを置く場所です。専用の採用サイトは要りません。1ページで足ります。

読み方:上から順に進みます。段階2を飛ばして段階3以降に進まないことが、いちばんの要点です。何が読まれるかは公開前には分からないので、反応を見てから増やすほうが、結果として少ない手間で効くページが増えます。

① 反応を見る

公開してすぐページを増やしたくなりますが、まず3か月見ます。見る数字は、問い合わせ件数、検索で表示された言葉、どこまで読まれたかの3つで足ります。有料のツールは要りません。

② よく聞かれる質問を、ページにする

いちばん効く増やし方です。電話で3回以上聞かれたことは、ページにしてください。3回聞かれたということは、聞かずに離れた人が何倍もいるということです。

これは検索対策としても筋がいいです。実際に人が口に出して聞いている言葉は、実際に検索されている言葉とほぼ一致します。

③ 実績が溜まったら、実績ページ

1ページ目に置ける実績は2〜3件が限界です。それを超えたら、続きの置き場所として実績ページを作ります。順番が逆になっている会社が、本当に多いです。実績が0件のうちに実績ページの枠だけ作ると、空欄が並びます。

④ 求人が要るときに、採用ページ

採用を始めると決まってから作ります。求人媒体は出会う場所、サイトは確かめる場所という役割分担なので、媒体に出す前月には用意しておきたいところです。

増やすときは、必ず「聞かれたこと」から作る

4つに共通する原則です。企画で考えたページは、読まれません。

「業界の豆知識」「代表のブログ」「サービスの特長5つ」。こうしたページを先に作った会社を何社も見てきましたが、アクセスはほぼゼロです。理由は単純で、誰もそれを探していないからです。

一方、「対応エリアはどこまでか」「見積もりに何日かかるか」というページには、人が来ます。実際に困って探している人がいるからです。ネタを新しく考える必要はありません。既に社内にあります。電話のメモと、送ったメールの中にあります。

6. 1ページのままでよい会社と、足りなくなるサイン

増やすことが常に正しいわけではありません。両方書きます。

1ページのままでよい会社

  • 取引先が決まっていて、新規開拓の予定がない。名刺代わりの1枚があれば足ります
  • 紹介だけで仕事が回っている。会う前に確かめられる場所が1つあればよく、集めるページは要りません
  • 元請け1社との取引で成り立っている。与信や取引先登録でURLを求められたときに答えられれば十分です
  • 社員が代表1人。採用ページも実績ページも、まだ役目がありません

この状態で無理にページを増やすと、更新できないページが増えるだけです。更新されないページは、時間が経つほど信用を落とします。営業時間や料金が古いまま残るからです。

1ページで足りなくなるサイン

逆に、次のことが起きているなら、増やす時期です。

  • 同じ質問を、電話で何度も受けている。答える時間が積み上がっているなら、ページにするほうが安いです
  • 説明のために、毎回PDFを送っている。サービス説明の資料を都度メールに添付しているなら、それはページにするべき内容です
  • 求人を出したい。応募を考える人は必ず社名で検索します
  • 問い合わせは来るが、対象外の相談が多い。何をしていて何をしていないかが、1ページでは書ききれていません
  • 実績が5件を超えた。1ページに全部は載りません

いずれも、実際に困りごとが発生してから増やしている点が共通しています。これが正しい順番です。

7. 2週間で出すための、3つの進め方

最後に、実際に2週間で公開するための段取りです。

原稿は、書かずに話して起こす

経営者に原稿を書いていただこうとすると、そこで止まります。書く時間が取れないからではなく、書く作業が本業と種類が違いすぎるからです。

代わりに、話してもらいます。「どんな会社ですか」「どんな相談が多いですか」「よく聞かれることは」を口頭で聞いて、こちらで文章に起こす。1時間の聞き取りで、1ページぶんの原稿は埋まります。

自社で進める場合でも同じで、社内の誰かに質問してもらって、その答えを録音して文字にするほうが早いです。詳しい手順は ホームページの原稿を、経営者が書かずに済ませる方法 にまとめました。

写真は、今あるもので出す

撮影を待たないでください。スマートフォンで撮った外観が1枚あれば、公開はできます。無ければ、文字と余白と数字で構成する方法もあります。

写真は、公開後に差し替えられます。枠が空いているのが見えていると、撮りたくなります。逆に、撮ってから作ろうとした会社は、半年経っても撮れていません。

完璧な文章より、正しい情報

2週間で出すために、いちばん大事な割り切りです。文章の巧拙は、後から直せます。情報の誤りは、直すまで損が出続けます。

優先すべきは、営業時間、対応エリア、料金の目安、連絡先、受付時間。この5つが正確であることです。言い回しが素っ気なくても、情報が正しければ問い合わせは来ます。逆に、美しい文章でも対応エリアが書いていなければ、問い合わせは来ません。

公開は締め切りではなく、出発点です。直せる形で出しておけば、あとはいくらでも直せます。

8. 雄喜晃の伴走:1ページから始めて、一緒に増やします

私たち雄喜晃のホームページ制作は、1ページから始めることを前提にしています。

条件は正直に書きます。制作費は0円、月額8,800円(税別)、最低契約期間は6ヶ月です。サーバー、ドメイン、SSL、保守が含まれていて、更新は月5回まで代行します。7〜35ヶ月の時点で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご利用いただいた場合は、サイトを貴社に譲渡します。この条件を、最初にお伝えします。

なぜ1ページからかというと、公開を早めることが、いちばん効くと考えているからです。月5回まで更新を代行するのは、公開後に増やしていく前提だからです。「聞かれたことをページにしたい」とご連絡いただければ、その回で対応します。

一方で、私たちがやらないことも書いておきます。最初から10ページの構成をご提案することはしません。そして、公開前に「もっとページを増やしましょう」とは申し上げません。何が読まれるかは公開前には分からないので、増やす提案は反応を見てからにしています。大規模なサイトを一度に作りたい場合は、私たちより適した会社があります。そこは正直に申し上げます。

「構成表をもらったまま、原稿で止まっている」という経営者の方には、私たちは間違いなくお役に立てます。ご相談いただいたら、お話を伺った内容で1ページぶんのサンプルを無料でお作りします。見て断っていただいても費用はかかりません。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。

9. まとめ:小さく出して、聞かれたことから増やす

1ページから始めるために必要なことは、4つです。

  • 公開の条件を、1ページぶんに下げる ― 7項目、2,000字。10ページの1万字とは別物です
  • 反応を3か月見てから増やす ― 何が読まれるかは、公開前には分かりません
  • 増やすのは、聞かれたことから ― 企画で考えたページは読まれません
  • 1ページのままでよい場合もある ― 更新されないページは、信用を落とします

この4つで、半年止まっていたものが2週間で動きます。10ページの構成表があることより、1ページが公開されていることのほうが、はるかに価値があります。

まずは、7項目を紙に書き出してみてください。書けない項目があれば、そこが今いちばん決まっていないところです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。まず1ページ出すところから、ご一緒します。