1. 「そろそろ古いと思うんですよね」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「うちのサイト、5年前に作ったきりで。そろそろ作り直したほうがいいですよね」
このご相談、半分は作り直す必要がありません。直すべき箇所が3つか4つあるだけで、全部を捨てる理由が見当たらないケースが本当に多いです。
作り直しは、費用も時間もかかります。それ自体が悪いわけではありませんが、「なんとなく古い」という感覚だけで作り直すと、新しくなっただけで結果は変わりません。5年後にまた同じ相談をすることになります。
この記事では、作り直すべき条件と、直すだけで足りる条件を分けます。そのうえで、作り直すと決めたときに検索流入を落とさない手順も書きます。
問い合わせが来ていないのが理由なら、先に ホームページを作ったのに問い合わせが来ない ― 公開後90日でやること を読んでいただくと、切り分けが早くなります。
2. まず、何が「古い」のかを分ける
古いという感覚は、たいてい次のどれかです。どれなのかで打つ手がまったく違います。
- 見た目が古い ― 配色、書体、余白の取り方
- 情報が古い ― 料金、実績、スタッフ、営業時間が実態と違う
- 技術が古い ― スマートフォンで崩れる、表示が遅い、常時SSLになっていない
- 構成が古い ― 事業内容が変わったのに、当時のままの構成になっている
- 動かせない ― 直したいのに、制作会社と連絡が取れない
このうち作り直しが要るのは、4番目と5番目だけです。1〜3番は、ほとんどの場合、直せば済みます。
そして実務でいちばん多いのは2番(情報が古い)です。これは作り直しても、更新する仕組みが無ければ1年でまた同じ状態に戻ります。作り直しでは解決しない問題だということを、先に押さえてください。
見分け方は簡単です。自分のサイトを開いて、事実と違う箇所に付箋を貼るつもりで数えてみてください。5箇所以上あるなら、それは「古い」のではなく「更新されていない」だけです。作り直しても、更新の担い手が決まっていなければ同じことが起きます。
3. 作り直したほうがいい6つの条件
次のどれかに当てはまるなら、作り直しを検討する価値があります。
① スマートフォンで見られる作りになっていない
拡大しないと読めない、横にはみ出す、押せない。これは部分的な修正では直りません。設計そのものが違うからです。今は問い合わせをする人の大半がスマートフォンなので、ここが致命的なら作り直しの理由になります。
判定は自分でできます。スマートフォンで開いて、指で拡大しないと本文が読めるか。読めないなら該当します。読めるなら、多少見づらくても致命傷ではありません。
② 常時SSL(httpsではない)
アドレスバーに「保護されていない通信」と出ている状態です。閲覧者に警告が出るうえ、検索の評価にも影響します。サーバーの設定で対応できる場合もあるので、まずは制作会社に確認してください。それが無理なサーバーなら、移設か作り直しです。
③ 事業内容が変わっている
主力サービスが変わった、対象のお客様が変わった、法人化した。構成そのものが実態と合っていないなら、直すより作り直すほうが安く済みます。部分的に足していくと、ちぐはぐな構成になります。
目安として、トップページで説明している事業と、いま売上の柱になっている事業が違うなら、これに当たります。ページを1枚足して済ませようとすると、どれが本業か分からないサイトになります。
④ 自分では1文字も直せず、直せる人もいない
制作会社と連絡が取れない、管理画面の情報が無い、当時の担当者が退職した。この状態は、直すという選択肢が物理的に無いので、作り直しが必要です。
⑤ 表示が極端に遅い
開くのに5秒以上かかるなら、多くの人は待ちません。原因が大きな画像だけなら差し替えで直りますが、土台の作りが原因なら作り直しになります。
⑥ セキュリティ上の問題が出ている
管理画面が乗っ取られた、身に覚えのないページが増えている、検索結果に関係ない言葉で出る。この状態は、直すより作り直すほうが確実です。
確認の仕方があります。検索窓に site: に続けて自社のドメイン を入れて検索すると、そのドメインで検索エンジンが把握しているページの一覧が出ます。身に覚えのないページが並んでいたら、その時点で異常です。月に一度見ておくと早く気づけます。
4. 直すだけで足りる場合
逆に、次の状態なら作り直しは要りません。
- 情報が古いだけ。料金、実績、スタッフ、営業時間。更新すれば直ります
- 見た目が少し古いだけで、崩れてはいない。配色と書体を変えるだけで印象は変わります
- 問い合わせが来ないだけで、来訪はある。これは中身の問題なので、作り直しても同じ結果になります
- 必要なページが足りないだけ。1〜2枚足せば済みます
とくに3番目は重要です。来訪があるのに問い合わせが来ない状態で作り直すと、原因が分からないまま作り直すことになります。先に切り分けてください。
そしてもう1つ。検索から人が来ているサイトは、慎重に扱ってください。何年もかけて評価が付いたサイトは、それ自体が資産です。作り直しで構成を変えると、その評価が一度リセットされることがあります。
とくに、記事やお知らせを何年も積み上げてきたサイトは要注意です。1本ずつは小さくても、合計では大きな流入源になっていることがあります。作り直しの見積もりを取る前に、Search Consoleでどのページにクリックが入っているかを確認してください。トップページ以外に入っているなら、そのページは残す設計にする必要があります。
5. 作り直すと決めたら、流入を落とさないために
作り直しでいちばん多い事故が、公開後に検索からの流入が消えることです。原因はほぼ1つで、URLが変わったのに転送を設定していないからです。
必ずやる4つ
- 旧URLの一覧を作る。Search Consoleから、どのページに人が来ていたかを書き出します
- URLを変えないで済むなら、変えない。これがいちばん確実です
- 変えるなら、旧URLから新URLへ転送を設定する。1ページずつ対応させます。まとめてトップページに飛ばすのは避けてください
- 公開後にSearch Consoleを確認する。エラーが出ていないか、1週間は見ます
あわせてやること
- 今の検索流入の内訳を控えておく。どのページに、どんな言葉で来ていたか。作り直し後に比較できます
- アクセス解析の設定を引き継ぐ。新しいサイトにタグを入れ忘れると、比較できなくなります
- サイトマップを作り直して再送信する
流入があるサイトほど、この手順を飛ばしてはいけません。逆に、もともと検索から誰も来ていないサイトなら、ここは気にしなくて構いません。失うものが無いからです。
公開のタイミング
もう1つ実務的な話です。繁忙期の直前に公開しないでください。何かあったときに対応できません。切り替えは、平日の午前中、かつ落ち着いている時期に行うのが鉄則です。
そして、旧サイトはすぐに消さないでください。別の場所に一式を保存しておくと、後から「あの文章はどう書いてあったか」を確認できます。消してしまうと戻せません。
6. 判断の順番
まとめると、こう進めます。
- Step 1:何が古いのかを5つに分ける。見た目か、情報か、技術か、構成か、動かせないのか
- Step 2:3節の6条件に当てはまるか見る。当てはまれば作り直し、当てはまらなければ修正
- Step 3:修正で済むなら、優先順位をつけて1つずつ直す。同時に全部変えない
- Step 4:作り直すなら、まず現状の流入を記録する。失うものを把握してから動く
Step 1を飛ばして見積もりを取りに行くと、たいてい作り直しの見積もりが返ってきます。制作会社に「古くなったので」と伝えれば、作り直しの提案が来るのは自然なことです。何が古いのかを自分で分けてから相談すると、話が変わります。
相談するときの言い方も変えてみてください。「リニューアルの見積もりをください」ではなく、「この3点が気になっています。直すだけで済みますか、作り直しが要りますか」と聞く。まっとうな制作会社なら、直すだけで済む場合はそう答えます。その答え方自体が、相手を見る材料になります。
7. 費用の考え方
作り直しの費用は、初回とほぼ同じかかります。「一度作ってあるから安くなる」ということは、あまりありません。文章と写真が流用できる分は減りますが、設計と構築はもう一度必要になるからです。
だからこそ、次に作り直しが来ないようにするという観点で選ぶ価値があります。
- 情報を自分たちで(あるいは頼んで)更新できる形にする
- 公開後も見てくれる相手を選ぶ
- 一度に作り込みすぎない
3つ目は補足が要ります。最初から10ページ作るより、5ページで公開して、必要になったページを足していくほうが、結果として長く使えます。使われないページは、作った時点から古くなり始めるからです。
5年ごとに作り直すのと、更新しながら使い続けるのとでは、10年で見たときの総額が変わります。この比べ方は ホームページの費用は、3年で並べないと判断できない に書きました。
なお、部分的な修正なら数万円から対応してもらえることがほとんどです。作り直しの前に、まず「この3箇所を直したらいくらですか」と聞いてみてください。数万円で解決する話に、数十万円かける必要はありません。
8. 雄喜晃の伴走:直すだけで足りるなら、そう申し上げます
私たち雄喜晃にリニューアルのご相談をいただいたとき、まず今のサイトを見て、直すだけで足りるかどうかを判断します。足りるなら、そう申し上げます。作り直しの案件にしたほうが私たちの売上にはなりますが、必要のない作り直しを勧めるのは、貴社にとっても私たちにとっても損だからです。
作り直す場合は、現状の検索流入を記録してから着手します。旧URLの一覧を作り、転送を設定し、公開後にエラーが出ていないかを確認するところまでが範囲です。ここを飛ばして「新しくなりました」で終わらせません。
一方で、私たちがやらないことも書いておきます。予約システムや会員機能を含む作り直しは範囲外です。そういう要件なら、システムを組める制作会社のほうが確実です。
「古い気がするけれど、何をどうすればいいか分からない」という状態の会社には、私たちは間違いなくお役に立てます。今のサイトを見て、直すところを挙げるだけでも構いません。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:作り直しは、最後の選択肢
リニューアルすべきかを判断するために必要なことは、3つです。
- 何が古いのかを分ける ― 見た目・情報・技術・構成・動かせない。打つ手が全部違います
- 6つの条件に当てはまるか見る ― スマホ非対応、非SSL、事業内容の変更、動かせない、極端に遅い、セキュリティ問題
- 流入があるサイトは、記録してから動く ― 転送を設定しないと、積み上げた評価が消えます
この3つを踏むと、作り直さずに済むケースがかなりあります。作り直しは選択肢のひとつであって、古くなったときの標準的な答えではありません。
まずは、ご自身のサイトをスマートフォンで開いて、5つのうちどれが気になっているのかを言葉にしてみてください。そこから判断が始まります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。作り直すべきかどうかを、正直に見極めるところから、ご一緒します。