1. サイトを公開すると、電話が増える
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページを作ってから、SEOの営業電話がすごく増えて。1位にしますとか言われるんですけど、あれって本当なんですか」
増えます。これは偶然ではなく、新しく公開されたドメインは公開情報から分かるためです。作った直後の会社は、集客に困っていて、判断の基準を持っていない。営業する側から見れば、いちばん話が通りやすい相手です。
すべてが悪い業者だとは思いません。まっとうなSEOの会社は存在します。ただ、電話で最初に「1位にします」と言ってくる相手は、その中には入りません。
念のため書いておくと、SEOという分野そのものは怪しくありません。検索で見つけてもらうために、ページの中身を整え、探されている言葉に答える。これはまっとうな仕事です。問題なのは、その仕事の中身が外から見えにくいことを利用した売り方のほうです。
この記事は、断るための記事ではありません。その場で聞ける5つの質問を用意して、まともな相手かどうかを見分けられるようにするための記事です。
自分でできることの全体像は ホームページを作ったのに問い合わせが来ない ― 公開後90日でやること にまとめてあります。
2. よくある売り文句と、その中身
「1位を保証します」
保証できません。検索結果の順位を決めているのはGoogleで、業者ではないからです。保証という言葉が出た時点で、話半分に聞いてください。
ただし、抜け道があります。誰も検索していない言葉なら、1位は簡単に取れます。「〇〇株式会社 神戸 ホームページ制作 格安 実績」のような長い言葉で1位を取って、「達成しました」と報告する。契約前に、どの言葉で1位を狙うのかを必ず確認してください。
「上位表示されるまで費用はかかりません」
成果報酬型です。一見すると安全ですが、上と同じで、狙う言葉次第です。誰も検索しない言葉で上位を取れば、成果として請求されます。
「その言葉は月に何回くらい検索されていますか」と聞いてください。答えられない、あるいは「検索数は関係ありません」と言われたら、そこで判断できます。
「被リンクを増やします」
外部のサイトから自社サイトへリンクを張ってもらう施策です。質の高いリンクは今でも有効ですが、業者が売っているのは多くの場合そうではありません。
自作のブログや、リンクを売るためだけのサイトから機械的に張られたリンクは、Googleのガイドラインに反します。発覚した場合、順位が下がるだけでなく、検索結果から外されることもあります。この場合、損をするのは業者ではなく貴社です。
「Googleの認定パートナーです」
SEOに関するGoogleの公式認定制度はありません。広告(Google Ads)のパートナー制度はありますが、それはSEOとは別の話です。混同させる言い方なので、ここが出たら注意してください。
「今なら初月無料です」「本日中のご返答で」
急がせる言い方が出たら、内容ではなく売り方を見てください。サイトのSEOは、来月始めても再来月始めても、成果の出方はほとんど変わりません。急ぐ理由がこちら側に無いのに急がされているなら、それは相手の都合です。
「御社のサイトを診断しました。重大な問題があります」
診断そのものは有効です。ただ、自動ツールの結果をそのまま読み上げているだけのことがよくあります。見分け方は簡単で、「どのページの、どの箇所ですか」と聞く。具体的なページ名が出てこないなら、実際には見ていません。
3. その場で聞く、5つの質問
長話を聞く必要はありません。この5つを順に聞けば、3分で判断できます。
- 「どの言葉で上位を狙いますか。その言葉は月に何回検索されていますか」 具体的な言葉と数字が出るかどうか。ここでほとんど分かれます
- 「具体的に何をしますか。作業の内訳を教えてください」 「サイトを最適化します」では答えになっていません。何のページを、どう直すのか
- 「被リンクを付ける施策は含まれますか。含まれる場合、どこから張りますか」 張り先を答えられないなら、聞かないほうがいい類のリンクです
- 「契約期間と、途中解約の条件を教えてください」 最低12ヶ月・途中解約不可、という形が多いです。成果が出なくても払い続ける契約かどうか
- 「これまでの実績を、実際のサイトのURLで見せてもらえますか」 出せないなら、判断材料がありません
5つとも、答えを濁されたなら、それが答えです。まっとうな会社なら全部答えられますし、答えたうえで「保証はできません」と言います。
4. 契約してしまった場合に確認すること
すでに契約している場合でも、確認はできます。
- 契約書の期間と解約条件を読む。自動更新か、解約の申し出はいつまでか
- 毎月何をしているのか、作業報告を求める。「順位レポート」だけなら、作業実態は分かりません
- サイトに何を入れられたかを確認する。外部のスクリプト、勝手に追加されたページ、書き換えられた文章
- 被リンクの一覧をもらう。Search Consoleの「リンク」でも自分で見られます
- ドメインとサーバーの名義を確認する。SEO業者がサイトごと預かっている場合、解約時に困ります
3番目と4番目は、自分でも確認できます。Search Consoleを開いて、身に覚えのないページやリンクが増えていないかを見てください。
とくに気をつけたいのが、サイトの編集権限を渡している場合です。管理画面のIDを渡していると、こちらの知らないうちにページが増えたり、外部へのリンクが仕込まれたりすることがあります。契約が終わったら、パスワードは必ず変更してください。
なお、契約を解除したら順位が下がる、と言われることがあります。まっとうな施策(中身の改善)で上がったものは、やめても急には落ちません。やめた途端に落ちるなら、それは外から支えていただけということです。
5. 業者に頼む前に、自分でやれること
多くの場合、業者に払う前にやれることが残っています。そして、それらは無料です。
- Googleビジネスプロフィールを整える。地域で商売しているなら、これがいちばん早い。詳しくは Googleマップとホームページ、どちらを先に整えるか
- サーチコンソールとアクセス解析を入れる。入っていないなら、そもそも効果を測れません
- サイトマップを送信する。ページの存在をGoogleに伝えます
- 狙う言葉を、ページのタイトルと見出しに入れる。当たり前ですが、やっていないサイトが多い
- 料金・対応エリア・実績を書く。探している人が確かめたい情報です
これらをやらないまま業者に頼むと、業者が最初にやるのも同じ作業です。しかも有料で。先に自分でやっておけば、業者に頼むべき範囲がはっきりします。
そしてもう1つ。そもそも自社の商品が検索で探されているかを、先に確かめてください。確かめ方は単純で、自分がお客様だったら何と検索するかを、実際に検索してみる。結果に同業他社が並ぶなら、探されている市場です。並ばないなら、SEOにお金を使っても届きません。
この確認を先にやるだけで、払う必要のない費用の大半は消えます。
6. まともなSEO会社は、何を言うか
対比として書いておきます。信頼できる相手は、こういう話をします。
- 順位ではなく、問い合わせや売上の話から入る。「何位を取りたいですか」ではなく「どんなお客様が欲しいですか」
- 保証をしない。代わりに「何ヶ月でどこまで見えるか」の見通しを話します
- 今のサイトの問題を、具体的に指摘する。電話口で「〇〇のページのタイトルが〜」と言えるなら、実際に見ています
- できないことを言う。「この商材は検索されていないので、SEOより別の手段が向きます」と言える相手は信用できます
- 契約前に、無料で診断結果を出す。中身のある診断であれば、それ自体が判断材料になります
共通しているのは、断定しないことと、範囲を区切ることです。「全部おまかせで大丈夫です」と言う相手より、「ここまではできますが、ここから先は御社の商品次第です」と言う相手のほうが、実際には成果が出ます。
7. 電話への、実際の返し方
最後に、実務的な話を。丁寧に断る必要はありますが、長く話す必要はありません。
「ありがとうございます。検討の材料が必要なので、狙うキーワードと月間の検索数、作業内容の内訳、契約期間と解約条件を、メールでいただけますか」
これで、多くの場合は連絡が途絶えます。送ってくる会社は、話を聞く価値があります。文字で残るものを出せるかどうかが、そのまま線引きになります。
そして、その場で決めないでください。「今日中にご返事いただければ」と言われたら、その時点で断って構いません。まっとうな提案が、その日限りということはありません。
もう1つ。今の制作会社に一度相談してください。サイトを作った会社なら、中身を知っています。「こういう提案が来たのですが、どう思いますか」と聞けば、判断材料が増えます。その反応自体も、制作会社を見る材料になります。
8. 雄喜晃の伴走:順位を保証しません
私たち雄喜晃も、ホームページの制作にあわせてSEOの内部対策を含めています。そのうえで、順位の保証はしません。できないからです。
私たちがやるのは、狙う言葉を決めて、その言葉で探している人が確かめたい情報をページに置くことです。地味ですが、これがいちばん効きます。そして、公開後にサーチコンソールを見ながら、どの言葉で表示されているかを一緒に確認します。分析や提案だけで終わらせず、実際にページを直すところまでが範囲です。
一方で、正直に申し上げます。被リンクを増やす施策はしません。リスクを貴社に負わせることになるからです。そして、検索で探されていない商材の場合は、SEOより別の入口を提案します。サイトを売ることが目的ではありません。
「SEOの営業電話が来て、判断がつかない」という状態でしたら、提案書を見せていただければ、内容についての見方をお伝えできます。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:保証という言葉が出たら、そこで判断できる
SEOの営業に対応するために必要なことは、3つです。
- 狙う言葉と、その検索数を聞く ― ここで大半が分かれます
- 文字でもらう ― キーワード、作業内訳、契約期間、解約条件。口頭の約束は残りません
- 先に無料でやれることを済ませる ― ビジネスプロフィール、サーチコンソール、サイトマップ、タイトルと見出し
この3つで、払わなくていいお金を払わずに済みます。そして、本当に必要になったときに、まともな相手を選べます。
次に電話が来たら、「狙うキーワードと月間検索数を教えてください」と聞いてみてください。それだけで、話は短く終わります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。今の提案書を一緒に読むところからで構いません。