1. 「両方はさすがに無理で」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「インスタもやったほうがいいって言われるんですが、ホームページの更新もできていなくて。どっちを先にやればいいんでしょう」
まっとうな悩みです。そして、答えは業種によって変わります。一般論で「両方やりましょう」と言うのは簡単ですが、社長1人か2人でやっている会社に、それは処方箋になりません。
先に整理しておきます。この2つは競合していません。
- SNS ― まだこちらを知らない人に、見つけてもらう場所
- ホームページ ― 知った人が、確かめに来る場所
役割が違うので、どちらかで代替できません。ただ、時間が限られているなら、どちらを先にやるかは決められます。この記事では、その順番の決め方を書きます。
2. どちらが先かは、商圏と商材で決まる
判断の軸は2つだけです。
- 見た目で選ばれる商売か(料理、髪型、内装、花、雑貨、施工の仕上がり)
- 困ってから探される商売か(水漏れ、税務、運送、修理、法律)
前者はSNSが先、後者はホームページが先です。
SNSが先に効く業種
飲食、美容、ネイル、整体、花屋、雑貨、パン・菓子、リフォームの内装、ペット関連。写真で「良さそう」と思ってもらえる商売です。この場合、検索されるのを待つより、こちらから見せに行くほうが早い。
ホームページが先に効く業種
士業、運送、製造・加工、設備工事、修理、BtoBのサービス業。困った人が「〇〇 依頼」と検索する商売です。この場合、SNSに写真を上げても、必要になった瞬間に思い出してもらえません。探されたときに出てくることのほうが大事です。
自分の業種がどちらか迷ったら、直近のお客様に「どうやってうちを知りましたか」と聞いてください。5人で傾向が出ます。推測より確実です。
もう1つの見分け方があります。買うまでの時間の長さです。
- その場で決まる商売(ランチ、カット、雑貨)はSNSが効きます。見た瞬間に「行こう」となるからです
- 数日から数ヶ月かかる商売(工事、士業、システム、車)はサイトが効きます。比べて、調べて、決める過程があるので、情報が置いてある場所が要ります
短いほどSNS、長いほどサイト。これで大半は判断できます。
3. SNSを選ぶときの、現実的な話
SNSが先だと決めた場合でも、押さえておくことがあります。
続けられる本数から始める
週3本と決めて2週間で止まるより、月2本を1年続けるほうが効きます。止まったアカウントは、動いていないことが見えてしまうぶん、無いよりマイナスになることもあります。
どれか1つに絞る
Instagram、X、Facebook、TikTok、LINE。全部やろうとすると全部止まります。お客様がいる場所を1つ選んでください。地域の個人向けなら Instagram と LINE、BtoB なら Facebook、というのが実務での目安です。
撮る仕組みを作る
止まる理由はネタ切れではなく、撮る習慣が無いことです。「毎日1枚、仕事中に撮る」だけ決めておくと、投稿するときに困りません。
反応の数を目的にしない
「いいね」が増えても、売上は増えません。見るべきは、プロフィールが見られた数と、そこからURLが押された数です。この2つは管理画面で見られます。数字を見る場所を決めておかないと、続ける理由も見失います。
プロフィールにURLを置く
これを忘れているアカウントが本当に多いです。興味を持った人が次に行く場所が無いと、そこで終わります。ホームページがまだ無いなら、問い合わせ先だけでも置いてください。
4. SNSだけで続けることの、3つのリスク
SNSだけで回している会社もあります。実際に回っているなら否定しませんが、知っておいてほしいことが3つあります。
- アカウントは自分のものではありません。規約が変わる、判定を誤られる、乗っ取られる。止まったとき、そこに貯めた発信も連絡先も一度に失います。実際に見たことがあります
- 見つけてもらえても、確かめる場所が無い。与信、取引先登録、補助金の申請、採用。SNSのURLでは通らない場面があります
- 情報が流れていく。料金も、対応エリアも、過去の投稿に埋もれます。「探せば書いてある」は、書いていないのと同じです
だから、SNSが主戦場でも、確かめる場所を1枚は持っておいてください。5ページも要りません。1枚で足ります。この考え方は 創業したての会社に、ホームページは本当に必要か にも書きました。
逆に言えば、サイトが主戦場でも、SNSのアカウントだけは押さえておく価値があります。投稿しなくても構いません。社名のアカウントを他人に取られないための、名前の確保です。
5. ホームページが先の場合、何をどこまでやるか
ホームページが先だと決めた場合、SNSはゼロでも構いません。やらない、という判断は立派な判断です。
そのうえで、ホームページ側でやることは多くありません。
- 探されている言葉を、タイトルと見出しに入れる
- 料金・対応エリア・対応できることを具体的に書く
- Googleビジネスプロフィールを整える(地域商売なら、SNSよりこちらが先です)
- サーチコンソールとアクセス解析を入れる
この4つは、一度やれば終わります。SNSのように毎週やる必要がありません。時間の使い方として、ここが決定的に違います。
地域の商売なら、SNSよりGoogleマップのほうが確実に早いです。詳しくは Googleマップとホームページ、どちらを先に整えるか に書きました。
6. 最小の労力で、両方を回す形
どちらも捨てたくない、という場合の現実的な形を書きます。新しく何かを作らないのがコツです。
- 仕事中に写真を撮る(1日1枚)
- その写真をSNSに上げる(週2回、一言添えるだけ)
- 月に1回、その中から1つをホームページのお知らせに転記する
素材は1つ、出し先が2つ。これなら、増える手間は月に30分くらいです。
逆にやってはいけないのは、SNS用とサイト用で別々に内容を考えることです。そこで一気に重くなり、止まります。同じ素材を、粒度を変えて出すだけで十分です。
そして、SNSからサイトへ、サイトからSNSへ、両方向にリンクを置いてください。片方だけだと、行き来が生まれません。
もう1つ、投稿を「置き場所」にしないでください。料金や営業時間をSNSの投稿だけに書くと、1ヶ月後には誰も掘り返せません。変わらない情報はサイト、動く情報はSNS。この分け方だけ守れば、両方が機能します。
7. 判断の順番
まとめると、こうです。
- Step 1:直近のお客様5人に、どうやって知ったかを聞く
- Step 2:見た目で選ばれる商売か、困ってから探される商売かを決める
- Step 3:見た目で選ばれるならSNSを先に、困ってから探されるならサイトを先に
- Step 4:先にやらないほうも、最低限だけ用意する(サイトなら1枚、SNSならプロフィールとURLだけ)
- Step 5:3ヶ月やって、数字で確かめる
Step 1を飛ばさないでください。ここを推測でやると、向いていないほうに時間を注ぎ続けることになります。
Step 5の「数字で確かめる」も具体的に書いておきます。3ヶ月後に見るのは、フォロワー数でも表示回数でもありません。問い合わせが何件来て、そのうち何件がどちらの経路だったか。それだけです。経路が分からないなら、問い合わせのときに「どこでお知りになりましたか」と一言聞けば済みます。
そして、やらないと決めることも判断です。SNSをやらない会社が失敗するわけではありません。中途半端に両方やって、両方止まるのがいちばん損です。
8. 雄喜晃の伴走:やらないほうを、はっきりさせます
私たち雄喜晃は、ホームページの制作とSNSの運用代行、両方をお受けしています。そのうえで、ご相談いただいた段階で「SNSは今やらなくていいです」と申し上げることがあります。業種と体制を見て、効かないと判断したときです。
ホームページ側では、公開後に数値を見ながら一緒に直すところまでが月額の範囲です。分析や提案だけで終わらせません。SNSと広告まで含めた集客の流れを設計することもできますが、それは必要な会社にだけ提案します。
一方で、私たちがやらないことも書いておきます。「とりあえず全部やりましょう」とは申し上げません。中小企業でいちばん足りないのは予算ではなく、経営者の時間だからです。増やす提案より、やらないことを決める提案のほうが役に立つ場面が多いと考えています。
「SNSもやったほうがいいと言われるが、手が回らない」という状態の会社には、私たちはお役に立てます。まずどちらが効く商売かを整理するところからで構いません。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:比べるのではなく、順番を決める
ホームページとSNSで迷わないために必要なことは、3つです。
- 役割が違うと知る ― SNSは見つけてもらう場所、サイトは確かめる場所。代替できません
- 商材で順番を決める ― 見た目で選ばれるならSNS、困ってから探されるならサイト
- やらないほうも最低限だけ持つ ― サイトなら1枚、SNSならプロフィールとURLだけ
この3つで、時間の使い方が決まります。両方に均等に力を入れるのが、いちばん効きません。
まずは、直近のお客様5人に「どうやってうちを知りましたか」と聞いてみてください。それだけで、注ぐべき方向が決まります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。どちらに時間を使うべきかを整理するところから、ご一緒します。