1. 「ホームページは、お持ちじゃないんですか」

「融資の相談に行ったら、担当の方に『ホームページはありますか』と聞かれたんです。あるにはあるんですが、何年も触っていなくて。あれ、見られているんでしょうか」

経営者の方から、こうしたお話を伺うことがあります。金融機関の担当者だけでなく、新しく取引を始める会社の購買や経理の担当者から、同じことを聞かれたという話もよく出てきます。

先に、はっきり書いておきます。審査の基準は、金融機関ごと、会社ごとに違います。どこを見て、どう判断しているかは、外からは分かりません。この記事は「こうすれば審査がうまくいく」という話ではありませんし、そういう方法をお伝えすることもできません。

書くのは、確かめる側の立場に立ったときに、ホームページで見ていると考えられることです。会社のことを確かめたい人が、サイトを開いたときに何を探すか。その視点で、貴社のサイトを見直すための材料をまとめます。

この記事で書くこと

  • なぜ開かれるのか ― 書類と面談のあいだを埋める、裏付けの1つとして
  • 見られていると考えられる6つのこと ― 登記との一致、事業の中身、所在地、更新、連絡先、代表者
  • やってはいけないこと ― 審査を意識して、サイトを盛ること
  • 見直す順番 ― 相談や申し込みの前に、どこから手を付けるか

2. 審査する人は、なぜホームページを開くのか

判断の中心は、書類と面談

最初に、思い違いを1つ外しておきます。融資でも取引でも、判断の中心になるのは、決算書や登記の書類、そして担当者との面談だと考えられます。ホームページだけで結論が出ることは考えにくいですし、サイトが無いことだけを理由に断られる、という単純な話でもないはずです。

それでも、担当者がサイトを開くことはあります。理由は大きく2つあると考えられます。

① 書類に書かれていることの、裏付けとして

1つ目は、書類に書かれたことが、外から見ても同じかどうかを確かめるためです。申込書に書いた事業内容、所在地、代表者。それが会社自身の発信と合っているか。合っていれば何も起きませんが、食い違っていれば質問が増えます。

② 会ったことのない人に、説明するために

2つ目は、社内の説明のためです。面談した担当者は貴社の実態を知っていても、最終的に判断する人は、貴社に会っていないことがあります。担当者はその人に向けて、貴社がどんな会社かを説明しなければなりません。そのときに、見てもらえるURLが1本あるかどうかで、説明の手間が変わります。

この構造は、下請けの仕事が中心の会社でも同じです。取引先の稟議でどう見られるかは 下請けの仕事が中心の会社に、ホームページは効くのか に、創業したての会社の場合は 創業したての会社に、ホームページは本当に必要か に書きました。

見られていると考えられる6つのこと

確かめる側の立場で考えると、サイトで見ていそうなことは6つに整理できます。

表:確かめる側が、サイトで見ていると考えられる6つのこと(あくまで一般的な見方で、基準は機関ごとに違います)
見ていると考えられること照らし合わせる先貴社で確かめること
① 会社概要と登記の一致登記の内容、申込書の記載社名・本店所在地・代表者・設立年月が、登記と一字一句同じか
② 事業の中身申込書の事業内容、決算書の売上の内訳何を、誰に、どこで売っているかが3行で分かるか
③ 所在地の実在地図、外観、郵便物の届き先住所が省略されず、Googleマップの情報と合っているか
④ 更新が止まっていないかお知らせの日付、料金や実績の新しさ最後のお知らせが何年も前のままになっていないか
⑤ 連絡先申込書の電話番号、名刺電話がつながり、フォームから送ったものが実際に届くか
⑥ 代表者登記の代表者、面談した相手代表者名が載っていて、交代があれば反映されているか

どれも、特別なページを作る話ではありません。すでに載っている情報が、書類や実態と合っているかを確かめる話です。右の列を上から順に見ていけば、一通りの確認ができます。

サイトが無い場合は、どうなるか

では、そもそもサイトが無い会社はどうか。無いことだけで判断が決まるとは考えにくいです。登記の書類や会社案内、面談で十分に説明できる場合も多いはずです。

ただ、確かめる側から見ると、照らし合わせる材料が1つ少ない状態です。そのぶん、書類での説明や質問への回答が増えることはあると考えられます。これから作る場合でも、最初から大きなサイトは要りません。会社概要と事業の説明、連絡先がそろった1ページがあれば、照らし合わせる材料としては足ります。

ここから、1つずつ見ていきます。

3. ① 会社概要と、登記が一致しているか

いちばん照らし合わせやすい場所

会社概要のページは、確かめる側にとっていちばん照らし合わせやすい場所です。社名、本店所在地、代表者、設立年月、資本金。手元の登記の書類と、そのまま並べて見比べられます。

ここで食い違いがあると、悪い意味で目に留まります。悪意のある食い違いでなくても、「どちらが正しいのか」という確認が1つ増えます。

よくある食い違い

実際によく見かけるのは、次のようなものです。

  • 社名の表記 ― 「株式会社」が前か後ろか、英字かカタカナか、略称のままか
  • 本店と事業所 ― 登記の本店と、実際に仕事をしている場所が違うのに、区別せず1つだけ書いている
  • 設立と創業 ― 個人事業として始めた年と、会社を設立した年が混ざっている
  • 資本金 ― 増資したのに、古い金額のまま
  • 代表者 ― 交代したのに、前の代表者の名前や挨拶が残っている

どれも、作った時期が違う、作った人が違う、というだけで自然に生まれるズレです。表記のズレがどこで生まれ、どう揃えるかは ホームページと名刺・封筒で、書いてあることが違う に詳しく書きました。

直すのは、サイトか、登記か

食い違いを見つけたら、基本はサイトを登記に合わせます。ただし、登記のほうが古い場合もあります。事務所を移したのに本店の住所が前のまま、役員が変わったのに手続きがまだ、といった状態です。

この場合は、サイトだけを直しても照らし合わせは合いません。先に登記の手続きが要ることがあります。必要な手続きや期限は会社の状況によって違うので、司法書士などの専門家に確認してください。

本店と事業所が違う場合は、両方書く

登記の本店と、実際の事業所が違う会社は珍しくありません。その場合は、両方を、区別がつくように書いてください。「本店所在地」「事業所(工場・店舗)」のように分けて書けば、登記と照らし合わせても、実際の場所を探しても、どちらも合います。

許認可が必要な業種は、番号まで

建設、運送、不動産、人材など、許認可が必要な業種では、許可の名称、許可した行政庁、番号まで書いておくと、確かめる側が照会しやすくなります。番号の書き方や表示の決まりは業種によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。会社概要に載せる項目の全体は 会社概要のページに、何を載せるか にまとめてあります。

4. ② 事業の中身が、外から分かるか

「何をしている会社か」が3行で分かるか

確かめる側が次に知りたいのは、この会社は、何で売上を立てているのかです。書類にも事業内容は書いてありますが、短い言葉だけでは実際の仕事が見えにくいことがあります。

サイトで見ておきたいのは、次の3つです。

  • 何を ― 売っている商品、提供しているサービス、請けている工事や加工
  • 誰に ― 個人のお客様か、法人か。法人なら、どんな業種か
  • どこで ― 対応している地域、店舗や工場の場所

この3つが、トップページかサービスのページを開いて、すぐに分かる状態かどうか。業界の言葉だけで書かれていて、外の人には何の会社か分からないサイトは、意外と多いものです。

申込書と、同じ言葉で書く

事業の説明は、申込書や会社案内に書いた言葉と揃えておくと、照らし合わせがしやすくなります。サイトでは「総合ソリューション」と書いてあって、申込書では「機械部品の切削加工」。これでは、同じ会社の説明に見えにくくなります。

サイトの言葉を、書類の言葉に寄せるのがおすすめです。書類のほうが具体的に書かれていることが多いからです。

売上の柱と、サイトの重みが合っているか

もう1つ見ておきたいのが、売上の柱と、サイトで大きく扱っている事業が合っているかです。決算書では売上の大半が部品の加工なのに、サイトのトップでは数年前に始めた新しい事業ばかりが目立っている。こういうことは、意外とよくあります。

新しい事業を伝えたい気持ちは自然なものです。ただ、確かめる側から見ると、書類で見た会社と、サイトで見た会社が別の会社のように見えるおそれがあります。トップでは今の売上の柱を先に書き、新しい事業はその次に置く。この順番にしておくと、書類とサイトの印象が揃います。

写真は、設備と作業の様子を

事業の中身を伝えるのに、写真は効きます。ただし、イメージ写真ではなく、実際の設備、作業の様子、店舗や事務所の中です。どこかで見たような素材写真が並んでいると、実態を確かめたい人にとっては材料になりません。

実績は、名前を出さずに傾向で

取引先の社名を出せない場合は、業種と規模で書けば十分です。「県内の製造業を中心に」「住宅のリフォームを年間を通して」のように、どんな相手と、どんな仕事をしているかの傾向が分かれば、事業の中身は伝わります。社名を載せるのは、相手の許可を取れたものだけにしてください。

5. ③ 所在地の実在と、⑤ 連絡先

住所は、省略せずに書く

所在地は、その場所に会社があり、そこで事業をしているかを確かめるための情報です。番地やビル名、階数まで省略せずに書いてください。「〇〇市〇〇町」で止まっていると、確かめる側は地図で探せません。

地図と外観で、実在が分かる

住所に加えて、地図と外観の写真があると、実在の確認がしやすくなります。地図は、Googleマップに登録している情報と住所・社名・電話番号が一致しているかを確かめておいてください。食い違っていると、どちらが正しいのかという疑問を生みます。

自宅兼事務所やシェアオフィスの場合

自宅を事務所にしている、シェアオフィスを使っている。そうした会社も多いはずです。この場合も、隠すより、正直に書くほうが確かめやすくなります。「打ち合わせは貴社に伺うか、オンラインで行います」のように、実際の働き方を一言添えておけば、所在地と事業の形がつながります。住所の公開範囲に迷う場合は、どこまで載せるかを専門家に相談したうえで決めてください。

電話がつながり、フォームが届くか

連絡先は、載っていることより、実際につながることが大事です。電話番号は申込書や名刺と同じか。受付時間は書いてあるか。問い合わせフォームは、送ったものが本当に届くか。

フォームは、見た目は送れたように見えても、届いていないことがあります。自分で1通送って、届くことを確かめてください。確かめる側が試しに連絡したときに返事が無い、という事態は避けたいところです。

メールアドレスの見え方

連絡先のメールアドレスが、会社の独自ドメインか、無料のメールサービスか。これだけで判断されるとは考えにくいですが、会社としての連絡先が整っているかという見え方には影響します。名刺とサイトで、同じアドレスを使っているかもあわせて見ておいてください。

6. ④ 更新が止まっていないか、⑥ 代表者

更新の止まり方は、事業の止まり方に見える

確かめる側は、この会社がいまも事業を続けているかも気にしていると考えられます。そのとき目に入るのが、更新の止まり方です。

  • お知らせの日付 ― 最後の投稿が何年も前で止まっている
  • 年末年始の休業案内 ― 何年も前の案内が、トップに残っている
  • 料金や実績 ― 改定前の料金や、古い実績だけが並んでいる
  • 終わったサービス ― もう受けていない事業が、いまも載っている

更新が止まっていること自体が問題というより、止まったサイトは、事業が止まっているように見えかねないことが問題です。とくに古いお知らせは、無いほうがまだ誤解を生みません。古い案内は消すか、お知らせ欄ごと外すほうが無難です。

「保護されていない通信」の表示

サイトを開いたときに、ブラウザに「保護されていない通信」と出る場合は、早めに直してください。SSLという、通信を暗号化する仕組みが入っていない状態です。手入れされていないサイトという印象につながりやすいので、更新の止まり方と同じように見られかねません。

代表者の名前と、交代の反映

代表者は、登記と面談の両方と照らし合わせられる項目です。代表者の名前が会社概要に載っているか、そして代表挨拶のページがあるなら、その名前と肩書が登記と同じかを確かめてください。

代表が交代した会社で多いのが、会社概要は直したのに、代表挨拶のページに前の代表の名前と写真が残っている、という状態です。照らし合わせる側から見ると、どちらが今の代表なのか分からないサイトになります。

代表者の言葉があると、説明がしやすい

代表挨拶のページは、確かめる側にとって、会社の考え方を知る材料になります。長い文章は要りません。なぜこの事業をしているのか、これから何をしたいのかが数行で書いてあれば、面談で話したことと重なり、社内での説明もしやすくなると考えられます。

7. 盛らない。そして、相談の前に見ておく順番

審査を意識して、盛らない

ここまで読んで、サイトを立派に見せたくなった方もいるかもしれません。ただ、いちばん避けたいのは、審査を意識してサイトを盛ることです。

  • 従業員数を大きく書く ― 決算書や社会保険の書類と食い違う
  • 実績や取引先を足す ― 相手の了解なく社名を載せると、取引先との信頼を損ねる
  • 拠点を多く見せる ― 実体のない「営業所」は、所在地の確認で行き詰まる
  • 事業を広く書きすぎる ― 申込書の事業内容と合わなくなる

サイトは、書類と照らし合わせられることを前提に読まれます。盛った部分は、照らし合わせたときに食い違いとして出てきます。小さく見えても正確なサイトのほうが、確かめる側にとってはずっと扱いやすいはずです。

Step 1:登記の書類を手元に置く

まず、登記の内容が分かる書類を用意します。これが、すべての照らし合わせの基準になります。

Step 2:会社概要を、登記と1行ずつ見比べる

社名、本店所在地、代表者、設立年月、資本金。表の左に登記、右にサイトを書き、違うところに印をつけます。ここがいちばん効果の大きい確認です。

Step 3:トップとサービスのページで、事業の中身を読む

申込書や会社案内と並べて、何を、誰に、どこで、が同じ言葉で書かれているかを見ます。社外の方に読んでもらうと、分かりにくいところがすぐに見つかります。

Step 4:所在地・連絡先・代表者を、外から確かめる

Googleマップと住所を見比べ、電話をかけ、フォームから1通送ります。代表者の名前が、全ページで今の代表になっているかも見ます。

Step 5:古いお知らせと、終わったサービスを外す

最後に、何年も前のお知らせや、もう受けていない事業の記載を外します。足すより、外すほうが先です。

8. 雄喜晃の伴走:確かめられるサイトを、一緒に整えます

私たちがやること

私たち雄喜晃がサイトをお作りするときは、会社概要を名刺や古い資料からではなく、登記の内容と許可証から書きます。最初の打ち合わせで書類を確かめさせていただき、社名や住所の表記を揃えたうえで載せます。事業の説明は、お話を伺って、外の人が読んでも分かる言葉に私たちが起こします。代表挨拶も同じように、お話から原稿にします。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、代表の交代や増資、移転があったときも、ご連絡いただければこちらで直します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

審査の結果をお約束することはしません。審査の基準は各機関で違い、私たちが判断できるものではないからです。従業員数や実績を大きく見せる、確かめられない内容を書き足す、といったご要望もお断りしています。融資の手続きや決算書の中身についての助言も、私たちの仕事ではありません。そこは金融機関や税理士などの専門家にご相談ください。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

融資や新しい取引の前に、自社のサイトが書類と合っているか不安があるという方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:審査のためではなく、確かめられるために

融資や取引の審査を前にして、ホームページで見直しておくことは6つです。

  • 会社概要と登記の一致 ― 社名・本店所在地・代表者・設立年月・資本金を、一字一句揃える
  • 事業の中身 ― 何を、誰に、どこでを、書類と同じ言葉で書く
  • 所在地の実在 ― 住所を省略せず、地図と外観で場所が分かるようにする
  • 更新の止まり方 ― 古いお知らせと終わったサービスを外す
  • 連絡先 ― 電話がつながり、フォームが届くことを自分で確かめる
  • 代表者 ― 今の代表者の名前が、すべてのページで揃っているか見る

どれも、サイトを立派にする話ではありません。確かめに来た人が、確かめられる状態にしておく話です。審査の基準は各機関で違いますが、書類と実態とサイトが合っている会社が、説明に困ることは少ないはずです。

今日できることを1つ挙げます。登記の内容が分かる書類と、自社の会社概要のページを並べて、1行ずつ見比べてみてください。違うところが1つでも見つかれば、それが最初に直す場所です。