1. 「会社概要なんて、誰も見ていないでしょう」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「会社概要のページは、住所と設立年くらいしか書いてないですね。あんなところ、誰も見てないでしょう。それより事業内容とか実績のほうに力を入れたいんですよ」

事業内容や実績に力を入れたい、というのはその通りです。ただ、会社概要は誰も読まないページだと思われているわりに、実際には取引の直前に、いちばん確かめられるページです。貴社のアクセス解析で、トップページの次にどのページが開かれているかを一度見てみてください。会社概要が上のほうに来ていることがあります。

しかも、会社概要を開く人は、たいてい何かを決める直前にいます。稟議を通す前、応募する前、契約する前。そこで項目が足りないと、話がそこで止まります。

会社概要に書く社名や住所の表記を、名刺や請求書とどう揃えるかは、ホームページと名刺・封筒で、書いてあることが違う に書きました。この記事では、その手前の会社概要に何を載せるかを扱います。

この記事で書くこと

  • 会社概要を見に来る人と、その人が確かめたいこと
  • 必ず載せる9項目と、あると効く項目
  • 許認可が必要な業種は、番号を必ず書く理由
  • 書き方の注意と、載せないほうがいいもの
  • 沿革の絞り方、地図の扱い、更新を忘れやすい項目

2. 会社概要を見に来るのは、決める直前の人

まず、誰が何のために会社概要を開くのかを整理します。ここが分かると、何を載せるべきかが自然に決まります。

取引先の担当者が、稟議を通す前

いちばん多いのがこれです。取引先の担当者は、貴社と会って話しているので、実態を知っています。しかし、社内の稟議を通すときには、会ったことのない上司や経理に説明しなければなりません。

そのときに使われるのが会社概要です。所在地、設立年、資本金、代表者名、従業員数。新しい取引先を登録するときの書類に、そのまま転記されることも多いです。下請けの仕事が中心の会社でこれがどう効くかは、下請けの仕事が中心の会社に、ホームページは効くのか に詳しく書きました。

求職者が、応募する前

次が求職者です。求人媒体で貴社を見つけた人は、応募する前に、ほぼ必ず会社名で検索します。そして会社概要を開いて、本当にある会社か、どれくらいの規模か、どこにあるのかを確かめます。

ここで設立年や従業員数が書かれていないと、応募を迷う理由になります。求職者にとって、会社の規模と続いている年数は、安心材料そのものだからです。

お客様が、契約する前

3つ目がお客様です。工事、リフォーム、車の売買、不用品の回収。金額が大きい、あるいは家に上がってもらう仕事ほど、契約の前に「ちゃんとした会社か」が確かめられます。

お客様が見ているのは、住所が実在するか、固定の電話番号があるか、代表者の名前が出ているか、許可を取っている会社か、といったところです。派手な説明ではなく、事実が書かれているかを見ています。

3者に共通するのは、「確かめたい項目が決まっている」こと

この3者は目的が違いますが、共通していることがあります。読む時間は短く、確かめたい項目は最初から決まっているということです。

だから会社概要は、読ませるページではなく、探している項目がすぐ見つかるページにする必要があります。文章で書くより、項目と中身を並べた表の形が向いています。そして、探している項目が無いことが、いちばんの問題になります。

3. 必ず載せる項目と、あると効く項目

では、何を載せればいいのか。必ず載せる項目は9つです。それに加えて、あると効く項目がいくつかあります。全体を表にまとめます。

表:会社概要に載せる項目と、書き方の注意
項目必須か書き方の注意
正式な社名必須登記どおりに。株式会社が前か後ろかまで一致させる。英語表記があれば併記
所在地必須郵便番号から、ビル名・階数まで省略しない。本店と事業所が違うなら両方
電話番号必須固定の代表番号を。スマートフォンでタップして発信できる形にする
代表者名必須肩書は登記に合わせる。読みにくい名前にはふりがなを添える
設立年月必須年だけでなく月まで。創業年が別にあるなら、どちらがどちらか明記する
資本金必須登記の金額と一致させる。増資したら必ず直す
事業内容必須箇条書きで3〜5行。詳しい説明は事業内容のページへリンクする
従業員数必須概数でよい。「◯年◯月時点」と添えると古くなっても誤解されない
許認可・登録番号該当業種は必須許可の名称、許可した行政庁、番号まで。更新したら番号の表記も確認する
取引銀行あると効く支店名まで。取引先の与信の確認で見られることがある
主要取引先あると効く相手の許可を取ったものだけ。許可が取れなければ業種で書く
加盟団体あると効く業界団体、商工会議所など。正式名称で
沿革あると効く全部書かない。会社にとって節目になった5〜8行に絞る
アクセスあると効く地図、最寄り駅からの道順、駐車場の有無。Googleマップの情報と一致させる

上の9項目は、稟議・応募・契約のどの場面でも確かめられるものです。1つでも欠けていると、そこで確認の電話かメールが1往復増えます。下の5項目は、無くても止まりませんが、あると「ちゃんとした会社だ」という判断が早くなります。

社名・所在地・電話番号は、「実在するか」の確認

最初の3つは、この会社が本当にあるかどうかを確かめるための項目です。住所が番地まで書いてあり、固定の電話番号がある。それだけで、読む人の警戒はかなり下がります。

逆に、携帯番号しか書いていない、住所が市区町村までしか無い、という会社概要を見ると、読む人は一歩引きます。実態がどうであれ、確かめようがないからです。

代表者名と設立年月は、「誰が、いつから」の確認

代表者名は、誰が責任を持っている会社かを示します。名前が出ていない会社概要は、思っている以上に不安を与えます。

設立年月は、どれくらい続いている会社かです。設立したばかりの会社でも、隠す必要はありません。新しいことが分かっていれば、読む人はそれを前提に判断します。書いていないことのほうが、判断を止めます。

資本金と従業員数は、「どれくらいの規模か」の確認

資本金と従業員数は、取引先の担当者がとくに気にする項目です。取引の規模に見合った相手かどうかを見ています。

従業員数は概数で構いません。「約20名」「10名前後」で十分です。ただし、パートやアルバイトを含むかどうかで数字が変わる会社は、「パート含む」のように一言添えてください。

事業内容は、短く並べて、詳しいページへ渡す

会社概要の事業内容は、何をしている会社かが一目で分かればよい欄です。ここで長い説明を書くと、表の中で読みにくくなります。

箇条書きで3〜5行に並べ、詳しい説明は事業内容やサービスのページにリンクで渡してください。会社概要は確かめるページ、事業内容は読むページと、役割を分けるのが基本です。

4. 許認可が必要な業種は、番号を必ず書く

9項目のうち、業種によって重みが大きく変わるのが許認可・登録番号です。該当する業種では、これがいちばん確かめられる項目になります。

番号が無いと、取引の段階で止まる

許可が必要な仕事を頼むとき、発注する側はその会社が許可を持っているかを確かめなければなりません。元請けの会社や、取引先の管理部門は、とくにここを厳しく見ます。

会社概要に番号が書いてあれば、確認はその場で終わります。書いていないと、問い合わせて、許可証の写しをもらって、という手間が1つ増えます。それだけで、他の会社に話が流れることがあります。

番号を書くことが多い主な許認可

すべては挙げられませんが、中小企業で多いのは次のようなものです。

  • 建設業許可 ― 一定の規模以上の工事を請け負う建設業
  • 宅地建物取引業の免許 ― 不動産の売買や仲介
  • 古物商の許可 ― 中古品の売買、買取
  • 一般貨物自動車運送事業の許可 ― トラックでの運送
  • 産業廃棄物収集運搬業の許可 ― 産業廃棄物の収集・運搬

このほかにも、業種ごとに許可や登録、届出があります。自社の仕事に必要なものが何かは、取得したときの書類で確かめてください。

書き方は、名称・行政庁・番号まで

番号だけを書くのではなく、どの許可を、どこから受けているかまで書きます。許可の名称、許可した行政庁(知事なのか大臣なのか、どの公安委員会なのか)、番号。この3つが揃っていると、確かめる側は迷いません。

許可の種類が複数ある会社は、すべて並べてください。建設業許可であれば、どの業種で許可を受けているかまで書いておくと、発注する側の確認が一度で済みます。

更新や、表示の決まりにも気をつける

許可には有効期間があるものが多く、更新したときに番号の表記の一部が変わる許可もあります。更新の手続きが終わったら、会社概要の番号も合わせて確認してください。

また、業種によっては、広告やホームページに許可の番号を表示すること自体が求められている場合があります。インターネットで中古品を売買している古物商などがその例です。どこまで必要かは業種によって違うので、所管の窓口か、許可の手続きをした専門家に確かめてください。

5. 書き方の注意と、載せないほうがいいもの

項目が揃ったら、次は書き方です。同じ項目でも、書き方次第で確かめやすさが変わります。

登記の内容と一致させる

会社概要の社名、所在地、代表者の肩書、資本金は、登記の内容と一致させてください。取引先は、登記簿と会社概要を見比べることがあります。

食い違っていても、たいていは悪意ではありません。名刺を作ったときの表記がそのまま残っている、というだけのことです。ただ、確かめる側は、どちらが正しいのかを問い合わせることになります。表記のズレがどこで生まれるかは、冒頭で触れた 表記の記事 に詳しく書きました。

住所は省略しない

住所は、郵便番号から、ビル名と階数まで書いてください。「神戸市北区」で止めない、ビル名を省かない、ということです。

省略すると、郵便や宅配が迷うだけでなく、初めて訪ねてくる人が迷います。同じ番地に建物がいくつもある場所では、ビル名が無いとたどり着けません。

電話番号は、タップできるように

会社概要を開く人の多くは、スマートフォンで見ています。電話番号は、タップしてそのまま発信できる形にしてください。

番号が画像になっていたり、ただの文字になっていたりすると、読む人は番号を覚えて、電話のアプリに打ち直すことになります。その一手間で、電話をかけるのをやめる人がいます。受付時間がある場合は、番号の横に書き添えておくと親切です。

載せないほうがいいもの

逆に、載せないほうがいいものもあります。載せても判断材料にならず、むしろ不安や手間を増やすものです。

  • 代表者の自宅住所 ― 本店が自宅とは別にあるなら、自宅の住所は載せない
  • 個人の携帯番号 ― 代表番号として載せると、営業電話も夜中の電話も全部そこに来る
  • 古い沿革の羅列 ― 何十行も続く年表は、読まれないうえに、今の会社の姿がぼやける

自宅が本店になっている会社は、どこまで載せるかを先に決めてください。番地まで出すかどうかは、取引の性質によって判断が分かれます。ただし、通信販売をしている場合など、法律で表示が求められている項目は別に要件があるので、そちらは確かめたうえで判断してください。

6. 沿革・地図・あると効く項目の書き方

沿革は、5〜8行に絞る

沿革は、あると効く項目の中でいちばん書き方に差が出ます。全部を書かず、会社にとって節目になった5〜8行に絞ってください。

  • 設立 ― 創業と設立が違うなら、両方
  • 拠点が変わったとき ― 移転、工場や事業所の開設
  • 事業が変わったとき ― 新しい事業を始めた、主力が変わった
  • 許可を取ったとき ― 仕事の範囲が広がった節目
  • 代表が代わったとき ― 代替わりは、読む人にとっても大事な情報です

毎年の出来事を並べた年表は、読む人には区別がつきません。節目だけを残すと、会社がどう変わってきたかが一目で分かります。

地図は、Googleマップの情報と一致させる

アクセスの欄に地図を埋め込むときは、Googleマップに登録されている社名・住所・電話番号と、会社概要の表記を一致させてください。

地図に出ている住所と、会社概要の住所が違っていると、読む人はどちらが正しいのか迷います。また、検索や地図の側でも同じ事業者として結びつきにくくなる面があります。地図のピンの位置が、実際の入口とずれていないかも、一度確かめておいてください。

地図だけでなく、最寄り駅からの道順と、駐車場の有無を文字で添えると、訪ねてくる人の電話が減ります。「駐車場はありません。近くのコインパーキングをご利用ください」の一行でも、無いよりずっと親切です。

取引銀行と主要取引先は、書けるものだけ

取引銀行は、取引先の与信の確認で見られることがあります。書いて困ることが無ければ、支店名まで書いておいてください。

主要取引先は、相手の許可を取ったものだけを載せます。取引があるからといって、相手の社名を勝手に出すのは避けてください。許可が取れない場合は、「大手住宅メーカー」「地元の工務店」のように業種で書けば、取引の傾向は伝わります。

加盟団体は、正式名称で

業界団体や商工会議所への加盟は、地域や業界の中で続けている会社だという判断材料になります。略称ではなく、正式名称で書いてください。

7. 更新を忘れやすい項目と、手を付ける順番

決算のタイミングで見直す

会社概要は、一度作ると何年も触られないページです。その間に、事実のほうが変わっていきます。とくに忘れやすいのが次の4つです。

  • 従業員数 ― 採用や退職で、気づかないうちに変わっている
  • 資本金 ― 増資したのに、サイトだけ古い金額のまま
  • 役員 ― 役員の就任や退任が反映されていない
  • 取引銀行 ― 取引をやめた銀行が残っている

どれも、変わった瞬間には誰も会社概要を思い出しません。だから、見直す日を決めてしまうのがいちばん確実です。おすすめは決算のタイミングです。数字を締めるついでに、会社概要の表を1回開いて、上から確かめてください。

移転や社名変更、代表の交代のように、大きく変わるときに直す場所は、移転・社名変更・代表交代のときに、サイトで直すところ に一覧にしました。会社概要以外にも直す場所が多いので、そちらも合わせてご覧ください。

「◯年◯月時点」を書いておく

従業員数のように変わりやすい数字には、「◯年◯月時点」を添えておくと、多少古くなっても誤解されません。「約20名(2026年4月時点)」と書いてあれば、読む人はそれを前提に読みます。

日付が無い数字は、いつの数字か分からないので、読む人は今の数字だと受け取ります。書いておくだけで、更新が少し遅れても困らなくなります。

会社概要と代表挨拶は、分ける

会社概要の中に、代表の長い挨拶文が入っているサイトをよく見かけます。会社概要と代表挨拶は、ページを分けてください。

会社概要は事実を確かめるページで、代表挨拶は考え方を伝えるページです。役割が違うので、同じページにあると、事実を確かめたい人には挨拶が邪魔になり、挨拶を読みたい人には表が邪魔になります。代表挨拶に何を書くかは、代表挨拶のページに、何を書くか にまとめています。

手を付ける順番

全部を一度に直そうとすると止まります。この順番でどうぞ。

Step 1(今週) ― 今の会社概要を開いて、必ず載せる9項目のうち、欠けているものに印をつける。登記簿と見比べて、食い違っているところにも印をつける

Step 2(今月) ― 欠けている項目を埋め、食い違いを直す。許認可がある業種は、番号をここで必ず入れる。電話番号をタップできる形にする

Step 3(次の決算) ― 沿革を5〜8行に絞り、地図とGoogleマップの表記を揃える。以後は決算のたびに、表を上から確かめる

Step 1は30分あれば終わります。欠けている項目が分かれば、あとは埋めるだけです。

8. 雄喜晃の伴走:事実の確認から、ご一緒します

私たち雄喜晃がサイトをお作りするとき、会社概要は必ず載せる9項目を埋めた状態でお渡しします。そのために、最初の打ち合わせで登記の内容と許認可の書類を確かめさせていただきます。名刺や古いパンフレットからではなく、登記と許可証から書くのが私たちのやり方です。

公開したあとも、従業員数が変わった、役員が代わった、許可を更新した、というときにご連絡いただければ、こちらで直します。月5回までの更新代行を月額に含めているので、決算のたびの見直しも、お知らせいただくだけで済みます。

一方で、私たちがやらないことも書いておきます。事実と違う内容や、確かめられない内容は載せません。従業員数を大きく見せる、許可を取っていない業務を書き足す、許可を取っていない取引先の社名を出す。ご要望があっても、そこはお断りしています。会社概要は、確かめられることを前提に読まれるページだからです。

また、許認可の要否や表示の義務について、法的な判断をこちらで下すことはしません。それは所管の窓口や専門家が判断することです。私たちは、確認すべき点を洗い出し、確かめた結果を正しく載せるところまでをご一緒します。

分析や提案だけで終わらせず、項目の洗い出しから、表の形にして公開するところまで手を動かします。「会社概要は昔作ったまま、何が足りないのか分からない」という会社は、一度ご相談ください。私たち自身の事例は 制作実績 に、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せています。

9. まとめ:確かめに来た人が、確かめられるように

会社概要のページで押さえることは、3つです。

  • 必ず載せる9項目を揃える ― 社名・所在地・電話番号・代表者名・設立年月・資本金・事業内容・従業員数・許認可の番号
  • 登記と一致させ、省略しない ― 住所はビル名まで、電話はタップできる形で、許可は名称・行政庁・番号まで
  • 決算のたびに見直す ― 従業員数、資本金、役員、取引銀行は、気づかないうちに古くなる

会社概要は、読ませるページではありません。決める直前の人が、確かめに来るページです。そこで探している項目が見つかれば、話はそのまま進みます。見つからなければ、確認の1往復が増えるか、話がそこで止まります。

私が現場で見てきた限り、会社概要に力を入れている会社は、ほとんどありません。だからこそ、9項目がきちんと揃っているだけで、取引先や求職者には「ちゃんとした会社だ」と伝わります。

まずは、今の会社概要を開いて、9項目のうちいくつ書いてあるかを数えてみてください。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。確かめに来た人が、迷わず確かめられるページを、一緒に作っていきましょう。