1. 「代表挨拶って、何を書けばいいんですかね」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「代表挨拶のページ、一応あったほうがいいんですよね。でも何を書けばいいのか分からなくて。とりあえず『お客様第一』と『地域に貢献』と書いておけば、間違いはないかなと思ってるんですけど」
間違いは、ありません。ただ、間違いのない代表挨拶は、ほとんど読まれません。正確に言うと、読まれても何も残りません。
理由ははっきりしています。どの会社でも書けることしか書いていないからです。代表挨拶は、会社の中でいちばん「その会社にしか書けないこと」を書ける場所です。そこを、どの会社でも通用する言葉で埋めてしまうのは、もったいないことです。
社員紹介の記事でも書きましたが、中小企業では、代表の考えが待遇より読まれることがあります。詳しくは 社員紹介ページは、本当に要るのか をご覧ください。
この記事で分かること
この記事では、代表挨拶に何を書けば読まれるかを、4つの中身に分けて書きます。あわせて、長さ、写真、署名といった形の話と、本人が書けないときの進め方、書き直すべき時期も書きます。
読み終えたときに、「何を書けばいいか分からない」が「何を話せばいいか分かる」に変わることを目指しています。
2. よくある代表挨拶が、印象に残らない理由
先に、なぜよくある挨拶が残らないのかを書きます。ここが分かると、何を書けばいいかも見えてきます。
よく見る3つの言葉
代表挨拶でいちばんよく見るのは、次のような言葉です。
- 「お客様第一」。お客様の立場に立って、ご満足いただけるサービスを
- 「地域に貢献」。地域の皆様に支えられて、地域とともに歩む
- 「誠心誠意」。一つひとつの仕事に、真心を込めて取り組む
どれも立派な言葉ですし、書いた方は本気でそう思っています。それでも残らないのは、言葉の中身ではなく、誰が書いても同じ文になることに原因があります。
社名を入れ替えても成立する
試していただきたいことがあります。貴社の代表挨拶の社名の部分を、同業他社の社名に入れ替えて読んでみてください。
そのまま意味が通るなら、その挨拶は貴社のことを何も伝えていません。入れ替えても成立する文章は、読む人にとって、どの会社を選ぶかの判断材料になりません。
私が現場で見てきた限り、この入れ替えに耐える代表挨拶は多くありません。業種まで入れ替えても通る挨拶も、珍しくありません。
嘘ではない。だから、難しい
ここが難しいところです。よくある言葉は、どれも嘘ではありません。お客様を大事にしているのも、地域に感謝しているのも事実です。だから、書いた本人には何が足りないのかが見えにくい。
足りないのは、その言葉を裏づける具体です。「お客様第一」が、貴社の現場では具体的に何をすることなのか。そこまで書いて初めて、他社と違う文章になります。
読む人は、同じ文を何度も読んでいる
もう1つの理由は、読む側にあります。お客様も求職者も、何社かのサイトを見比べています。同じような挨拶を、すでに何度も読んでいるのです。
何度も読んだ言葉は、目が滑ります。読む人が止まるのは、初めて見る具体が出てきたときだけです。
3. 読む人が、代表挨拶で確かめていること
では、読む人は代表挨拶に何を求めているのか。私は、確かめていることは3つだと考えています。
この人に頼んで大丈夫か
中小企業の場合、お客様にとって代表は、最終的に責任を取る人です。困ったことが起きたとき、この人はどう動くのか。そこを確かめに来ています。
だから、経歴や年数も読まれます。ただし経歴を並べるだけでは足りず、その経歴の中で何を見てきた人なのかが伝わると、「この人なら」という判断につながります。
話が通じそうか
2つ目は、相性です。この人と話して、こちらの事情を分かってもらえそうか。文章の言葉づかいや、何を大事にしているかの書き方から、読む人はそれを感じ取っています。
専門用語が多い挨拶は、詳しい人には信頼されますが、初めての人には壁になります。誰に読んでほしいかで、言葉を選んでください。
どういう考えで仕事をしているか
3つ目は、判断の軸です。値段を優先するのか、品質を優先するのか。急ぎに対応するのか、じっくり進めるのか。考え方が見えると、読む人は自分に合う会社かどうかを判断できます。
合わない人が「合わない」と分かるのも、大事な効果です。合わない依頼が減れば、断る手間も、行き違いも減ります。
どれも嘘ではなく、書いた本人は本気です。ただ、社名を同業他社に入れ替えても、そのまま意味が通ってしまいます。
お客様は責任者の人柄を、求職者はどんな人の下で働くかを確かめに来ています。探しているのは美しい言葉ではなく、判断の材料です。
この仕事を始めた理由、大事にしていることと、そのための具体的な行動。断っている仕事と、これからやりたいこと。
左から右へ読みます。①の挨拶が残らないのは、②で読む人が探している材料が入っていないからです。③の4つを書くと、社名を入れ替えたときに意味が通らなくなります。それが、貴社のことが書けている目安です。
求職者は、代表挨拶をよく読む
もう1つ、見落とされがちなことがあります。代表挨拶は、採用の場面で特によく読まれるページです。
中小企業では、社長との距離が近くなります。応募を迷っている人は、待遇と同じくらい「どんな人の下で働くことになるのか」を気にしています。求人媒体で見つけた会社を社名で検索し、代表挨拶を読んでから応募を決める。そういう流れは珍しくありません。採用の場面でのホームページの役割は 採用のためのホームページ ― 求人媒体との役割分担 にまとめました。
4. 書くべき4つ(前半):なぜこの仕事か、何を大事にしているか
ここから、書くべき中身です。4つあります。前半の2つから書きます。
① なぜ、この仕事をしているのか
1つ目は、この仕事を始めた理由、続けている理由です。代表挨拶の中で、いちばん「その人にしか書けない」部分です。
家業を継いだ、前の会社で見た光景が忘れられなかった、自分が客として困ったことがあった。理由は何でも構いません。大事なのは、実際にあった出来事として書くことです。「この仕事に誇りを持っている」より、「誇りを持つようになった出来事」のほうが伝わります。
きっかけは、小さくていい
立派な志である必要はありません。「たまたま人手が足りない会社に入ったのが始まりです」でも、正直に書けば十分に伝わります。
むしろ、作られた大きな物語のほうが、読む人に警戒されます。きっかけは小さくても、そこから何年続けてきたか、続けているうちに何に気づいたかを書けば、それが貴社の背景になります。
② 何を大事にしていて、そのために何をしているか
2つ目は、大事にしていることです。ここは多くの会社が書いています。ただし、ほとんどが言葉だけで終わっています。
「スピードを大事にしています」「丁寧な対応を心がけています」。これだけでは、2章で書いた入れ替えテストを通りません。どの会社も、遅さや雑さを大事にはしていないからです。
大事にしていることには、必ず行動を1つ添える
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいことです。大事にしていることを書いたら、そのために実際にしている行動を、必ず1つ添えてください。
- 「スピードを大事にしています」→ お問い合わせには、当日中に返します
- 「丁寧な説明を心がけています」→ 見積もりには、項目ごとに何の費用かを書いて、口頭でも説明します
- 「お客様の声を大切に」→ 工事のあと、1ヶ月後にこちらから様子を伺う電話をしています
- 「地域に貢献」→ 対応するのは〇〇市と△△町だけにして、その代わり、すぐに伺える距離を守っています
行動が添えてあると、読む人はそれを約束として受け取ります。約束は、他社と比べられる材料になります。
その分、書いた行動は守れるものだけにしてください。守れない約束を書くと、問い合わせのあとで信用を落とします。書く前に「これを明日から毎回できるか」を確かめるのが安全です。
5. 書くべき4つ(後半):何をしないか、これからどうしたいか
③ 何をしないか、断っている仕事
3つ目は、何をしないかです。ここを書いている代表挨拶はほとんどありません。だからこそ、書くと目立ちます。
断っている仕事、やらないと決めていること。「新築の大型工事はお受けしていません」「値引きを前提にした相見積もりには参加していません」「夜間の対応はしていません。その分、日中は必ず電話に出ます」。何をしないかが分かると、何をする会社かが、かえってはっきりします。
断る理由まで書く
しないことだけを書くと、冷たく見えることがあります。なぜしないのかを、一言添えてください。
「大型工事をお受けしないのは、今の人数で目が行き届く規模を守りたいからです」。理由が書いてあると、断られた側も納得できますし、合う人には「この会社は自分の仕事を分かっている」と伝わります。
④ これから、どうしたいか
4つ目は、これからのことです。会社がどこに向かっているのかは、取引を長く続けたいお客様にも、入社を考えている人にも大事な情報です。
「事業を拡大し、地域ナンバーワンを目指します」のような書き方は、ここでも入れ替えテストを通りません。具体的に、何をどうしたいかを書いてください。
大きな目標でなくていい
「3年のうちに、若手の職人を2人育てたい」「今の対応エリアの中で、修理だけでなく点検まで任せてもらえる会社になりたい」。この程度の大きさで十分です。
手が届きそうな目標のほうが、読む人は本気だと受け取ります。大きすぎる目標は、どの会社も書いているので、やはり目が滑ります。
たとえば、こんな組み立てになります
4つを入れると、どんな文章になるか。たとえば、地域で水まわりの修理をしている会社を想定すると、こんな組み立てになります。実在の会社ではなく、説明のために作った例です。
「前職では、設備メーカーの修理受付をしていました。毎日のように聞いたのが『いつ来てもらえるのか分からない』という声です。独立して最初に決めたのは、お問い合わせには当日中にお返事することでした。その代わり、新築の設備工事はお受けしていません。修理に来てほしい方をお待たせしないためです。これからの3年で、同じ考えで動ける若手を2人育てるつもりです」
①から④が、1つずつ入っています。社名を入れ替えると、意味が通らなくなるはずです。実際にはここに経歴や地域の話が加わり、もう少し長くなります。
6. 長さ、写真、署名
中身が決まったら、形を整えます。ここは迷うところが少ないので、目安だけ書きます。
長さは、800〜1,500字
800〜1,500字が目安です。スマートフォンで、数回スクロールして読み終わる程度の長さです。
長すぎると、最後まで読まれません。3,000字を超える挨拶は、書いた本人の思いは伝わっても、読む人には負担になります。逆に、200〜300字の短い挨拶では、4つの中身が入りきらず、結局よくある言葉だけが残ります。4つを1段落ずつ書くと、自然にこの長さに収まります。
写真は、スーツの正面より仕事の場面
写真は、スーツを着て正面を向いた1枚より、仕事をしている場面のほうが伝わります。現場で説明している姿、図面を見ている手元、お客様と話している横顔。
正面の写真が悪いわけではありません。ただ、正面の写真からは顔しか分かりません。仕事の場面からは、この人がどんなふうに仕事をするかが分かります。読む人が確かめたいのは、こちらです。社内のスマートフォンで撮る場合も、明るい時間に、作業の手を止めずに撮ってもらうと自然な写真になります。
顔を出したくない場合
顔を出したくないという代表の方もいらっしゃいます。理由は人それぞれで、無理に出す必要はありません。代わりの方法はいくつかあります。
- 手元や後ろ姿の写真。作業をしている手は、顔と同じくらい仕事を伝えます
- 現場や道具の写真。代表が毎日使っている場所や物を載せる
- 写真は載せず、署名を手書きにする。文字には人柄が出ます
顔が無いことよりも、文章が誰でも書ける内容であることのほうが、信用には響きます。中身がしっかりしていれば、写真は後からでも足せます。
文末の署名
最後に、署名を入れてください。肩書と氏名は必ず書きます。できれば、手書きの署名を画像にして添えると、本人が書いた文章であることが伝わります。
日付も入れておくと、いつの考えなのかが分かります。ただし、日付を入れたら、古くなったときに書き直す必要が出てきます。次の章で、その時期について書きます。
7. 書けないとき、書き直すとき
本人が書けないなら、話して起こしてもらう
ここまで読んで、「書くことは分かったが、書く時間が無い」と感じた方もいらっしゃると思います。それで普通です。経営者は、本業の合間に文章を書けません。
おすすめは、書くのではなく話すことです。4つの問いに口頭で答え、それを誰かに文章に起こしてもらう。社内の人でも、制作会社でも構いません。進め方は ホームページの原稿を、経営者が書かずに済ませる方法 に詳しく書きました。
起こしてもらった文章で、確かめる2つ
人に起こしてもらった文章は、きれいに整っている分、よくある言葉が紛れ込みやすいものです。上がってきたら、2つだけ確かめてください。
1つは、2章の入れ替えテストです。社名を他社に入れ替えて、意味が通る段落が無いか。もう1つは、自分が言っていないことが書かれていないかです。言っていない約束や目標が足されていたら、削ってください。代表挨拶は、代表本人の言葉であることにいちばん価値があります。
代表が交代したとき
代表が交代したら、代表挨拶は必ず書き直してください。前の代表の挨拶を名前だけ差し替えるのは避けたほうが安全です。中身は前の代表の考えのままだからです。
交代のときは、挨拶以外にも直す場所がいくつも出てきます。会社概要、登記の情報、名刺との表記の揃え。まとめて確認するときは 移転・社名変更・代表交代のときに、サイトで直すところ が使えます。
事業が変わったとき
代表が同じでも、事業の中身が変わったら書き直す時期です。主力の仕事が変わった、断る仕事が変わった、これからの目標が達成された。4つのうちどれか1つでも変わったら、その段落だけでも書き換えてください。
目安として、年に1回は読み返す日を決めておくと、古くなったまま残ることを防げます。決算の時期や創業記念日など、毎年必ず来る日に合わせると忘れません。
8. 雄喜晃の伴走:話を伺って、代表の言葉のまま形にします
私たち雄喜晃のホームページ制作では、代表挨拶を代表の方に書いていただくことを前提にしていません。この記事の4つの問いを軸にお話を伺い、こちらで文章に起こします。代表の方にお願いするのは、上がってきた文章を読んで直していただくことだけです。
私たちがやらないこと
先に、やらないことを書きます。お話を伺わずに、それらしい代表挨拶を作文することはしません。「お客様第一」「地域に貢献」のような言葉を足して、見栄えを整えることもしません。整えるほど、どの会社でも通る文章に近づくからです。
代表の方が言っていない約束や目標を書くこともしません。書いた行動は、問い合わせのあとで必ず確かめられます。守れることだけを書くのが、結果としていちばん信用につながります。また、スタジオでの撮影や映像の制作は、私たちの本業ではありません。必要な場合は、専門にしている会社にお願いされたほうが確実です。
私たちがやること
1時間ほどお話を伺えば、4つの中身はたいてい揃います。なぜこの仕事をしているのか、何を大事にしていてそのために何をしているか、何をしないか、これからどうしたいか。話していただいた言葉を、できるだけそのまま残して文章にします。分析や提案だけで終わらせず、公開できる形まで仕上げるところが私たちの仕事です。
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、事業が変わって挨拶を書き直すときも、ご連絡いただければこちらで反映します。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。最低契約期間は6ヶ月で、7〜35ヶ月で解約された場合はサイトが非公開になり、36ヶ月以上ご継続いただいた場合はサイトをお渡しします。
「代表挨拶に何を書けばいいか分からない」という経営者の方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
9. まとめ:貴社の社名でしか成立しない挨拶を
代表挨拶に書くべきことは、4つです。
- ① なぜこの仕事をしているのか ― 実際にあった出来事として。きっかけは小さくていい
- ② 何を大事にしていて、そのために何をしているか ― 大事にしていることには、必ず行動を1つ添える
- ③ 何をしないか ― 断っている仕事と、その理由
- ④ これからどうしたいか ― 手が届きそうな、具体的な目標
長さは800〜1,500字。写真は仕事の場面で、顔を出したくなければ手元や署名で代える。文末には肩書と氏名、できれば手書きの署名と日付。そして、代表が交代したときと事業が変わったときに書き直します。
書けたかどうかの確かめ方は、1つだけです。社名を同業他社に入れ替えて読んでみてください。意味が通らなくなっていれば、それは貴社にしか書けない代表挨拶です。
まずは今日、4つの問いに、口に出して答えてみてください。書くのはそのあとで構いません。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。代表の言葉を、そのまま貴社の資産として残すところから、ご一緒します。