1. 「会員さんの情報が、何年も前のままで」

地域の団体で役員をされている経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「商店街のホームページがあるにはあるんです。でも、作ったのは何代か前の役員さんで。もう閉めたお店が載ったままだし、新しく入ったお店は載っていない。今年は私が担当なんですが、どこから直せばいいのか、誰に聞けばいいのかも分からなくて」

商店街、同業の組合、事業者の協議会、地域の会。形は違っても、団体のサイトでは同じことが起きやすいです。作ったときは熱心な方がいて、その方の任期が終わると更新が止まる。数年経つと、会員の情報も行事の予定も古いまま残ります。

これは、担当の方の熱意の問題ではありません。担当が持ち回りで替わることを前提にした作りになっていないことが原因です。

この記事で書くこと

この記事では、団体のサイトを、役員が替わっても続く形で作る段取りを書きます。誰に向けたサイトか、会員一覧の載せ方と更新の決め方、行事のお知らせ、名義と控えの持ち方、会員の店へのリンク、予算の考え方。

会社のサイトの話と重なるところも多いので、地域で商売をするサイト全体の考え方は 地域で商売をする会社の、ホームページの全体像 を、あわせて読んでいただくと話がつながりやすいと思います。

2. 団体のサイトが止まりやすい理由

先に、なぜ団体のサイトは止まりやすいのかを見ておきます。理由が分かると、どこを仕組みにすればいいかが見えてきます。

担当は、本業の合間に回ってくる

団体の役員や担当は、ほとんどの場合、自分のお店や会社の仕事をしながら引き受けています。サイトの更新は、その中でも後回しになりやすい仕事です。止まっても、誰からもすぐには言われないからです。

任期で人が替わり、知っていることが消える

1年や2年で担当が替わると、前の担当の方が覚えていたことが引き継がれません。どこにログインするのか、誰に頼めば直るのか、費用は誰が払っているのか。知っていたのは人で、団体には残っていなかった、という形です。

情報の元が、会員の数だけある

会社のサイトなら、情報の元は社内にあります。団体のサイトは違います。会員一人ひとりのお店の情報は、それぞれの会員の手元にしかありません。閉店や移転、電話番号の変更を、担当の方が知らないまま古い情報が残ります。

この3つは、担当の方の努力では埋めきれません。ですから、ここから先は人に頼らず続く決まりを、先に作る話になります。更新が止まる会社と続く会社の違いは 更新を続けられる会社と、止まる会社の違い にも書きましたが、団体の場合はそこに「任期」が加わります。

3. 誰に向けたサイトかを、先に決める

作り始める前に、1つ決めておくことがあります。このサイトを、いちばん誰に読んでほしいかです。団体のサイトは、読む人の種類が多いからです。

読む人は、だいたい3通り

  • 地域の人、来てくれる人 ― 商店街なら買い物に来る人、地域の会なら近くに住む人。行事の日程や、どんなお店があるかを探しています
  • 加入を考えている事業者 ― 会費はいくらか、入ると何があるか、どうやって入るか。新しくお店を開いた人が、名前で調べて来ることがあります
  • 行政や取材、ほかの団体 ― 連絡先、代表者、活動の内容。問い合わせる前に、団体として確かかを確かめに来ます

全員に同じ重さで向けると、誰にも届かない

3通りの人に、全部同じ重さで向けようとすると、トップページに何でも並ぶことになります。団体の目的に照らして、いちばん大事な読み手を1つ決めてください。商店街で来街者を増やしたいなら地域の人、会員を増やしたい組合なら加入を考える事業者が中心になります。

表:団体のサイトを読む人と、置くもの(団体の種類と中身は一例)
読む人探しているもの置くページ
地域の人、来てくれる人たとえば次の行事はいつか、どんなお店があるか、駐車場はあるか行事のお知らせ、会員の一覧と地図、アクセス
加入を考えている事業者たとえば会費、入ると何があるか、どんな会員がいるか、申し込み方団体の紹介、入会のご案内、会員の一覧
行政や取材、ほかの団体たとえば代表者と連絡先、活動の中身、過去の取り組み団体の概要、活動の記録、団体の連絡先

会員の一覧は、上の2通りの人のどちらにも読まれます。ですから、一覧を古くしないことが、団体のサイトでいちばん効くところです。連絡先は、役員個人ではなく団体の窓口を載せます。

4. 会員一覧の載せ方と、更新の決め方

団体のサイトで、いちばん古くなりやすく、いちばん読まれるのが会員一覧です。ここは載せ方と更新の決まりを、作る前に決めておきます。

載せる項目は、少なく揃える

会員ごとに載せる項目を、先に揃えます。項目は少ないほど、古くなりにくくなります。

  • 名前 ― 看板に出している名前と、表記を揃えます
  • 業種 ― 「飲食」「理容・美容」のように、団体で決めた分け方で
  • 所在地 ― 番地まで載せるか、通りの名前までにするかを団体で決めます
  • 電話番号 ― お店として公開している番号だけ
  • そのお店のサイトや地図へのリンク ― あれば

営業時間や定休日は、変わりやすい項目です。団体のサイトに載せると、変わるたびに担当の方に連絡が要ります。営業時間は載せず、各お店のサイトや地図へのリンクで見てもらうほうが、古くならずに済みます。

載せることへの了承をもらう

会員の情報は、会員のものです。サイトに載せる項目を見せて、載せてよいかの了承をもらってください。自宅で開業している会員の方は、住所を載せたくないこともあります。載せない項目があっても構いません。

入会の申込書に「団体のサイトに載せる項目」の欄を作っておくと、新しく入った会員の方の分は、入会のときに済みます。

更新の決まりは、時期と連絡の向きで決める

古くならないための決まりは、2つです。

  • 年に1回、全員に確かめる時期を決める ― 総会や会費の請求の時期に合わせると、忘れにくくなります。一覧を印刷して配り、変わったところに書き込んでもらう形が、いちばん返ってきやすいです
  • 変わったときは、会員から知らせてもらう ― 閉店・移転・名前の変更があったときに、誰に知らせればいいかを、団体の連絡網で伝えておきます

そのうえで、一覧の上に「〇年〇月時点の情報です」と確かめた時期を書いておくと、読む人も古さを判断できます。

5. 行事のお知らせは、年間の予定と1つずつのページで

行事のお知らせも、団体のサイトがよく読まれるところです。祭り、売り出し、清掃活動、勉強会、総会。

年間の予定を、1か所にまとめる

まず、1年分の行事を1つのページに並べておくと、地域の人は先の予定を、会員の方は自分たちの準備の時期を見られます。日にちが決まっていない行事は、「〇月ごろ」で構いません。

申し込みのある行事は、1つずつページを作る

参加の申し込みや持ち物がある行事は、1つの行事に1つのページを作ります。日時・場所・対象・費用・申し込み方・中止のときの知らせ方を、毎回同じ並びで書きます。項目の書き方は 説明会・セミナー・見学会の告知ページを、どう作るか にまとめました。団体の行事でも、そのまま使えます。

毎回同じ並びのひな形を作っておくと、担当が替わっても、日付と中身を差し替えるだけで済みます。

雨天や中止の知らせ方を、先に決める

屋外の行事では、天気で中止になることがあります。中止を決める人、決める時刻、知らせる場所を、行事のページに先に書いておきます。当日の朝に担当の方が慌ててサイトを直す、という形にならないようにするためです。

終わった行事は、記録として残す

行事が終わったら、ページを消さずに「開催しました」と書き換えます。団体が何を続けてきたかは、加入を考える事業者や取材の方が見るところです。写真を載せるときは、写っている人に了承をもらってください。お子さんが写る行事は、特に気をつけてください。

6. 役員が替わっても続く仕組み ― 名義は団体、担当は2人、控えは1か所

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。団体のサイトが続くかどうかは、作り方より、持ち方で決まります。

名義は、団体のものにする

ドメイン、サーバー、サイトの管理画面、Googleビジネスプロフィールやサーチコンソール。これらが役員個人のメールアドレスやカードで登録されていると、その方が退任したときに止まります。

団体として共有のメールアドレスを1つ持ち、登録はそのアドレスで行います。支払いも、団体の口座から出せる形にします。名義の確かめ方は ホームページのドメインやアカウントは、誰の名義になっているか に書きました。任意団体の場合、契約の名義をどうするかは契約先によって扱いが違うので、契約先や専門家に確かめてください。

更新の担当は、正と副の2人にする

担当を1人にすると、その方が忙しい時期に止まります。正と副の2人にして、任期をずらすと、どちらかが前の年のことを知っている状態が続きます。

副の方は、普段は何もしなくて構いません。管理画面に入れることと、どこに何があるかを知っていることが役目です。

控えは、団体の決まった場所に置く

ログインの入口、契約の一覧、更新日、制作をお願いしている先の連絡先。これを1枚の控えにまとめて、団体の決まった場所に置きます。会計の書類と同じ場所に置くのが、いちばん失くしにくいです。パスワードは控えに書かず、団体の決まりで別に保管してください。

図:役員が替わるときの、サイトの引き継ぎの順番(一例)
① 総会の前に、控えを見直す

今の担当の方が、控えに書いてあることが今もそのとおりかを確かめます。更新日が近い契約があれば、ここで書き出しておきます。

控えの「確かめた日」を書き直します
▼
② 新しい担当の方の入口を作る

新しい担当の方に、自分のIDで管理画面に入れるようにします。前の担当の方のIDを使い回すことはしません。

新しい担当の方が、1か所直してみて確かめます
▼
③ 前の担当の方の入口を閉じる

退任された方の権限を外します。団体の共有アドレスのパスワードも、団体の決まりに沿って変えます。

団体の連絡先と、制作をお願いしている先に、担当が替わったことを知らせます

順番は団体ごとに変わります。共通しているのは、新しい入口を作ってから古い入口を閉じることと、引き継ぎを総会や役員会の議題に入れておくことです。議題になっていれば、忘れられずに済みます。

担当の方が替わるときに何を渡すかは、会社の場合とほぼ同じです。項目の一覧は ホームページの担当者が辞める・異動するときの引き継ぎ にまとめました。

7. 会員の店へのリンクと、予算の考え方

最後に、会員のお店へのリンクと、予算の決め方です。

会員の店へのリンクは、団体のサイトの役目の1つ

団体のサイトから会員のお店のサイトへリンクを張るのは、団体の役目として自然なことです。地域の人は団体のサイトからお店を探せますし、会員の側から見ても、団体に入っている理由の1つになります。

リンク先は、お店のサイトがあればそこへ、無ければGoogleマップのお店のページやSNSへ。リンクの文字は、「こちら」ではなく、お店の名前にします。リンクの考え方は 取引先や団体からのリンクと、外へのリンクをどう考えるか に書きました。

リンク先が変わっていないか、年に1回押す

お店が閉まったり、サイトのアドレスが変わったりすると、リンク先が消えたり、まったく別のサイトになっていたりします。年に1回、会員の情報を確かめる時期に、一覧のリンクを全部押してみてください。会員の方には、「サイトのアドレスが変わったら知らせてください」と、更新の決まりと一緒に伝えておきます。

予算は、作る費用より、続ける費用で考える

予算の決め方は、団体の規模や会費によって大きく違うので、ここでは考え方だけ書きます。

  • 毎年かかる費用を先に数える ― ドメイン、サーバー、更新を頼むならその費用。作る費用より、毎年の費用のほうが、団体の会計では重くなりがちです
  • 単年度で作り直さない ― 予算が付いた年に作り、次の年は費用が出ずに止まる、という形を避けます。続ける費用が毎年出せる範囲で、作り方を選びます
  • 補助や助成を使うなら、その後の費用も見ておく ― 作る費用が出ても、続ける費用は出ないことがあります。制度の条件は制度ごとに違うので、所管の窓口に確かめてください

続ける費用が会費の中で無理なく出せるか。ここが決まってから作り方を選ぶと、数年後にまた止まることを避けられます。

8. 雄喜晃の伴走:担当が替わっても続く形で、団体のサイトをお作りします

私たち雄喜晃は、団体のサイトも、担当の方が替わることを前提にお作りします。

私たちがやること

  • 読む人と、置くものを一緒に決める ― 団体の目的を伺い、いちばん大事な読み手と、トップに置くものを決めます
  • 会員一覧と行事のページを、差し替えやすい形で作る ― 項目を揃えた一覧と、毎回同じ並びの行事のひな形を用意します
  • 更新を代わりに行う ― 会員の入退会、行事の告知、中止の知らせも、月5回までの更新代行の中で反映します。担当の方は、変わったことを私たちに知らせていただくだけで済みます
  • 引き継ぎの控えを一緒に作る ― 私たちが関わっている部分について、どこに何があるか、誰に連絡すればいいかを文字でお渡しします。担当が替わったときは、新しい担当の方にも同じご説明をします

写真は、団体で撮っていただいたものを、私たちが整えて載せます。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれ、月5回までの更新代行も同じ月額の中です。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。毎年かかる費用が月額の形で決まっているので、団体の予算に組み込みやすいと思います。

私たちがやらないこと

  • 会員の方の情報を、了承なく載せることはしません。載せる項目と了承は、団体から会員の方に確かめていただきます
  • 会員の方一人ひとりに、情報の確認を代わりに取って回ることはしません。年に1回の確認は、団体の連絡網で行っていただくのがいちばん返ってきます
  • 団体の会計や規約、補助の申請を代わりに決めることはしません。団体のご判断と、所管の窓口や専門家にお任せします
  • 来街者や会員が増えることを、お約束することはしません。サイトは、団体の活動を確かめに来た人に、正しい情報を渡す場所です

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「団体のサイトが、何代か前の担当の方のときから止まったまま」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:人ではなく、決まりで続ける

組合や商店街、地域の団体のサイトを作るときに、押さえることは5つです。

  • 止まるのは熱意の差ではない ― 担当が持ち回りで替わることを前提にした作りになっていないから
  • いちばん大事な読み手を1つ決める ― 地域の人、加入を考える事業者、行政や取材。全員に同じ重さで向けない
  • 会員一覧は、項目を少なく、更新の時期を決める ― 営業時間は載せずにリンクで。確かめた時期を一覧に書く
  • 名義は団体、担当は2人、控えは1か所 ― 引き継ぎは総会や役員会の議題に入れる
  • 予算は、続ける費用から考える ― 単年度で作り直さない

団体のサイトが古くなるのは、担当の方が怠けたからではありません。知っていたのが人で、団体に決まりが残っていなかったからです。決まりを先に作れば、担当が替わっても続きます。

まず、今日できること

今日のうちに、1つだけやってみてください。団体のサイトの会員一覧を開いて、閉めたお店と、載っていない新しいお店に印を付ける。その印の数が、更新の決まりを作る理由になります。次の役員会に、その一覧を持っていってください。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。担当が替わっても続く形を決めるところから、ご一緒します。