1. 「たぶん、うちの名前になっていると思うんですけど」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「ドメインとかGoogleの登録とか、たぶん会社の名前になっていると思うんです。ただ、誰のメールアドレスで登録したのかと聞かれると、正直、自信がなくて」

ホームページは、1つのものに見えて、実際にはいくつもの契約やアカウントの上に乗っています。ドメイン、サーバー、メール、Googleマップに出る会社の情報、検索やアクセスの数字を見る画面、SNS。それぞれに「持ち主」と「入れる人」と「連絡が届く先」があります。

そして多くの会社では、それを一覧で見たことがありません。そのとき手の空いていた人が、手元にあったアドレスで登録した。それが何年もそのまま、ということがよくあります。

この記事の役割

雄喜晃メディアには、名義が問題になる場面の記事がすでにいくつかあります。担当者が辞めるときの ホームページの担当者が辞める・異動するときの引き継ぎ、制作会社を変えるときの ホームページを、別の会社に引き継いでもらう、そして非常時の 制作会社と連絡が取れなくなったときに、まずやること です。

この記事は、その手前の話です。誰も辞めず、どこも変えず、何も止まっていない今のうちに、名義を確かめておく。そのためのやり方を書きます。

2. 「名義」は1つではない ― 4つの立場を分けて見る

「名義は誰か」と聞かれると、たいてい「会社です」と答えます。ただ、それだけでは足りないことが多いです。

同じ契約に、4つの立場がある

1つの契約やアカウントには、少なくとも4つの立場があります。

  • 持ち主 ― 契約者や登録者として名前が載っている人や会社
  • いちばん強い権限を持つ人 ― 他の人を追加したり外したりできる人。オーナーや管理者と呼ばれることが多いです
  • 連絡が届く先 ― 更新のお知らせ、ログインの確認、パスワードの再設定が届くメールアドレスや電話番号
  • 払っている人 ― 毎月や毎年の費用が引き落とされている口座やカード

この4つは、同じ人とは限りません。持ち主は会社なのに、連絡は前の担当者のアドレスに届き、支払いは社長個人のカード。こういう組み合わせは珍しくありません。

図:1つの契約に、4つの立場がある(例はたとえばの架空のもの)
① 持ち主
契約者・登録者

契約の名前が誰になっているか。たとえば「株式会社〇〇」と載っていれば、ここは会社のものです。

ここだけ見て、安心してしまいやすい
② 強い権限
オーナー・管理者

人を追加したり外したりできる人。たとえば、いちばん上の権限が制作会社の担当者だけ、ということがあります。

持ち主が会社でも、会社の人が入れないことがある
③ 連絡先
登録メール・電話番号

更新のお知らせや確認の番号が届く先。たとえば、以前の担当者の個人アドレスのまま、ということがあります。

お知らせが届かないと、止まるまで気づけない
④ 支払い
口座・カード

費用がどこから出ているか。たとえば、社長個人のカードで立て替えたまま、ということがあります。

カードの期限切れで、更新が通らなくなる

4つが全部、会社の側にそろっていれば安心です。1つでも人に付いているものがあれば、そこが弱いところです。まずは4つを分けて書き出すところから始めます。

なぜ、平時に確かめるのか

名義を変える手続きは、多くの場合、今の持ち主や連絡先の人が操作しないと進みません。確認のメールや番号が、今の登録先に届くからです。

その人が社内にいて、関係も良好な今なら、短い時間で済むことがほとんどです。辞めたあとや、連絡がつかなくなったあとでは、同じことがずっと重くなります。確かめるのに、いちばん楽なのは今です。

3. ホームページにぶら下がっているものを、書き出す

まず、確かめる対象を全部挙げます。思っているより多いので、頭で考えずに、手がかりから拾っていきます。

よくある一覧

会社によって違いますが、たいていは次のようなものがあります。

  • ドメイン ― 会社のサイトとメールの住所
  • サーバー ― サイトを置いておく場所
  • 独自ドメインのメール ― 会社のアドレスを作ったり消したりする管理の画面
  • サイトの管理画面 ― お知らせや写真を差し替える画面
  • Googleビジネスプロフィール ― Googleマップに出る会社の情報
  • サーチコンソール ― 検索でどう見られているかを確かめる画面
  • GA4 ― サイトのアクセスを数える画面
  • SNS ― 会社として使っている各アカウント
  • その他の外部のサービス ― ネット予約、ネットショップ、ネット広告、有料の写真素材など

手がかりは3つ

漏れを減らすには、次の3つの方向から探すと見つかりやすいです。

  • お金の流れから ― 会社のカードの明細や引き落としの記録で、毎月・毎年払っているものを拾います
  • 受信箱から ― 「更新のお知らせ」「ログインがありました」のようなメールを検索します。届いているアドレスが、登録に使われているアドレスです
  • サイトの画面から ― 自社のサイトを開いて、地図、SNSのアイコン、予約のボタンなど、外につながっているものを1つずつ見ます

無料で使っているものも、名義と連絡先は同じように確かめてください。お金を払っていないものほど、誰が作ったか分からなくなりやすいからです。

4. ひとつずつ、どこを見れば分かるか

書き出したら、1つずつ4つの立場を確かめます。目安を表にしました。画面の名前は契約先によって違うので、「何を確かめるか」を中心に読んでください。

表:ホームページにぶら下がるものと、確かめること(危ない例はたとえばのもの)
項目確かめること危ない状態の例
ドメイン登録者の名前、契約している会社、管理画面に入れる人、更新日と自動更新登録者が制作会社や知人のまま。管理画面のIDを誰も持っていない
サーバー契約者、月額に含まれているかどうか、契約が終わったときのデータの扱い誰が契約しているか、社内の誰も答えられない
独自ドメインのメールアドレスを作ったり止めたりできるのは誰か、どこと契約しているか新しい社員のアドレスを作るたびに、外の人に頼んでいる
サイトの管理画面いちばん上の管理者は誰か、社員ごとにIDがあるか1つのIDを何人かで使い回している
Googleビジネスプロフィールオーナーと管理者が誰のGoogleアカウントか、何人いるかオーナーが前の担当者の個人アカウント1つだけ
サーチコンソールオーナーの権限を持っているアカウント、ほかに見られる人制作会社のアカウントだけがオーナーで、会社の人は見られない
GA4管理者の権限を持つ人、アカウントそのものがどこに作られているか広告や制作を頼んだ会社のアカウントの中に作られている
SNS登録メールと電話番号、管理者が何人いるか、個人のアカウントに付いていないか社員の個人アカウントからしか会社の投稿ができない

どの行も、目指すのは同じ形です。持ち主は会社、いちばん強い権限は会社の人、連絡先は会社のアドレス、支払いは会社の口座かカード。外の会社が入っていても構いません。外の会社「だけ」のところを探します。

ドメインは、管理画面の登録者を見る

ドメインは、サイトとメールの両方の住所です。管理画面に入り、登録者の欄に何が書かれているかを見てください。入れない、IDが分からないという場合は、それ自体が1つの答えです。誰が入れるのかを、契約先か制作会社に聞きます。

ドメインの仕組みそのものや、どこで何を契約するかは 独自ドメインとメールアドレスは、どこで何を契約すればいいか に書きました。

Googleの3つは、権限の段を見る

Googleビジネスプロフィール、サーチコンソール、GA4は、どれも権限に段があるのが特徴です。見るだけの人、編集できる人、人を追加したり外したりできる人。いちばん上の段に誰がいるかを見ます。

多いのは、いちばん上の段に、会社の人が1人もいない状態です。数字は見られるので困っていないように見えますが、権限を足したいときや外したいときに、会社の側では何もできません。

SNSは、登録の電話番号まで見る

SNSは、ログインの確かめに電話番号を使うことが多いです。電話番号が担当者個人のスマートフォンなら、その人がいないと入れません。登録メールと一緒に、電話番号も一覧に書いてください。

5. 担当者個人のメールで登録されている危うさ

4つの立場を確かめると、たいてい見つかるのが、個人のメールアドレスで登録されているものです。

辞めなくても、困ることがある

個人のアドレスの問題は、担当者が辞めるときだけの話ではありません。在職中でも、次のようなことが起きます。

  • 大事なお知らせを、会社の誰も見ていない ― 更新の期限、不審なログインの知らせ、権限の申請が、1人の受信箱にだけ届いている
  • 休んでいる間に、誰も入れない ― パスワードを忘れたときの再設定が、その人の受信箱やスマートフォンにしか届かない
  • 個人のアカウントのトラブルに巻き込まれる ― 個人のアカウントに何かあって使えなくなると、そこに付いている会社の登録も一緒に動かせなくなる

社長ご自身のアドレスも、同じこと

見落とされやすいのが、経営者ご自身の個人のアドレスで登録しているものです。社長なら辞めないから大丈夫、と思われがちです。

ただ、入院や長い出張で連絡が取りにくくなることはあります。いずれ事業を誰かに渡すこともあります。そのとき、会社の大事な登録が社長個人の受信箱にぶら下がっていると、社長ご本人にしか動かせないものが残ります。人ではなく、「web@」「info@」のような役割に付いた会社のアドレスにしておくと、こうした心配が減ります。

移すときの順番

移すときは、会社のアドレスを先に足し、届くことを確かめてから、個人のものを外すという順番を守ってください。逆にすると、誰も入れない日ができます。細かい手順は、先に挙げた引き継ぎの記事に書いたとおりで、平時に移す場合も同じ順番で進められます。

6. 制作会社の名義になっている場合に、何を聞くか

確かめてみると、いくつかが制作会社の名義になっていることもあります。月額で頼んでいる場合は特に多いです。

制作会社の名義そのものは、悪いことではない

先にお伝えしておくと、制作会社の名義になっていること自体は、すぐに問題になるわけではありません。月額の中にサーバーやドメインが含まれている形では、制作会社が契約者になっているのが普通です。管理を任せられるので、助かっている面もあります。

大事なのは、契約が続いている間と、終わるときに、どうなるかを知っておくことです。知っていれば、変えるかどうかはあとで決められます。

聞くことは5つ

制作会社に、次の5つを聞いてください。

  • 契約者と登録者 ― ドメインとサーバーは、誰の名前で契約されていますか
  • 会社の人が入れるか ― 当社の人が見られるIDや権限を作っていただけますか
  • Googleまわりの権限 ― ビジネスプロフィール、サーチコンソール、GA4のいちばん上の権限に、当社のアカウントを入れていただけますか
  • 更新日と費用 ― 更新はいつで、費用はどこに含まれていますか
  • 契約が終わるとき ― 解約したら、ドメインとサイトとデータはどうなりますか。名義を移せるなら、手順と費用はどうなりますか

聞き方は、構えなくて構いません。

「社内で、ホームページまわりの契約を一覧にして整理しています。今後のために、名義と権限がどうなっているかを教えていただけますか」

整理のためと伝えれば、まっとうな会社は答えてくれます。答えは、メールなどの文字でもらってください。一覧表に書き写すときにも使えます。

契約書と見比べる

答えをもらったら、手元の契約書や申込書と見比べます。食い違うところがあれば、そこをもう一度聞きます。契約書のどこを読むかは ホームページ制作の契約書で、サインする前に読むところ に、月額制を解約したときの扱いは 月額制のホームページを解約したら、サイトはどうなるのか にまとめてあります。

契約の解釈で迷うところは、業種や契約の形によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。

7. 会社として持っておくもの ― 一覧表・契約の控え・更新日

確かめた結果は、会社に残します。持っておくものは3つです。

① 一覧表

これまで書き出したものを、1枚の表にします。列は次のとおりです。

  • 項目 ― ドメイン、サーバー、GA4など
  • 契約先 ― どこと契約しているか
  • 持ち主 ― 契約者・登録者の名前
  • いちばん強い権限 ― 誰のアカウントか、何人いるか
  • 連絡先 ― 登録メールと電話番号
  • 支払い ― どの口座やカードか、カードの期限
  • 更新日 ― 次に更新する日
  • 確かめた日 ― この行を最後に確かめた日付

最後の列が大事です。日付が古い行は、今もそうか分かりません。この表は、経営者が持っておいてください。操作できなくても構いません。何がどこにあるかを、会社として知っておくための表です。

② 契約の控え

申込書、契約書、利用規約、請求書。紙でもデータでも、1か所にまとめて置きます。利用規約は変わることがあるので、契約したときの版を保存しておくと安心です。制作会社からもらった、名義や権限についての回答のメールも、ここに入れておきます。

③ 更新日

ドメインやサーバーの更新日は、一覧表に書くだけでなく、会社の予定表に、1ヶ月前の日付で入れておきます。その日に、自動更新が有効か、支払いのカードの期限が切れていないかを見ます。年に一度のこの日を、一覧表全体を見直す日にしてしまうと忘れません。

ログイン情報は、社内の決まりで保管する

一覧表には、パスワードを書かないでください。表は人に見せたり印刷したりするものだからです。パスワードの扱いは、一般的には次の考え方が基本です。

  • 紙やメールやチャットに書いて回さない ― 書いたものは残り、思わぬ人の目に入ります
  • 人ごとにIDを作れるものは、人ごとに作る ― 渡す場面がそもそも無くなり、誰が何をしたかも分かります
  • 確認の番号を受ける端末は、会社のものにする ― 個人のスマートフォンに届く形を残さない
  • 共有するしかないものは、会社で決めた保管の仕組みに置く ― どこに置くかを社内の決まりにして、人が入れ替わったら変える

どの仕組みを使うかは会社によって違うので、社内の決まりとして1つ決めておいてください。

やる順番

  • 今月 ― 3つの手がかりから書き出し、項目の列だけ埋める
  • 来月 ― 1行ずつ4つの立場を確かめ、分からないところは聞く
  • 年に一度 ― 更新日の1ヶ月前に、表を見直して日付を入れ直す

8. 雄喜晃の伴走:月額に何が含まれ、どう終わるかを先にお話しします

私たち雄喜晃のホームページ制作でも、ドメインやサーバーは月額に含まれています。だからこそ、何が含まれていて、契約がどう終わるのかを最初にお話しします。

私たちがやること

  • 月額に含まれるものを説明する ― サーバー、独自ドメイン、SSL、保守が含まれていることを、契約の前にお伝えします
  • 一覧表づくりのお手伝い ― 貴社の一覧表のうち、私たちが関わっている行について、聞かれたことに文字でお答えします
  • サイトの更新を代わりに行う ― 月5回までの更新代行が月額に含まれているので、連絡先の書き換えや、SNSのリンク先の差し替えもご連絡いただければ反映します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も、同じ月額の中です。

終わるときの条件も書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。契約が終わったときの扱いは、名義と同じくらい大事なことなので、先に書いておきます。

私たちがやらないこと

貴社のパスワードをお預かりして、一覧で管理することはしません。パスワードは、貴社の中で決めた仕組みで持っていただくものです。メールの本文でパスワードを送っていただくこともお願いしていません。

また、他社と結んでいる契約の名義変更を、代わりに手続きすることもできません。名義を変える手続きは、多くの場合、今の名義を持つ方ご本人の操作が要るからです。契約書の解釈についても、法的な判断は専門家のお仕事です。

「ホームページまわりの名義を、社内の誰も一覧で見たことがない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

9. まとめ:困っていない今のうちに、名義を一覧にする

ホームページのドメインやアカウントの名義を確かめるときに押さえることは、5つです。

  • 名義は4つに分けて見る ― 持ち主、いちばん強い権限、連絡先、支払い。同じ人とは限らない
  • ぶら下がっているものを全部書き出す ― お金の流れ、受信箱、サイトの画面の3方向から探す
  • 個人に付いているものを探す ― 担当者だけでなく、社長ご自身の個人アドレスも同じ。役割のアドレスに移す
  • 制作会社の名義なら、5つ聞く ― 名義そのものより、続いている間と終わるときの扱いを知っておく
  • 一覧表・契約の控え・更新日を会社に残す ― 表にパスワードは書かず、年に一度見直す

名義の確認は、困っているときには重い作業です。困っていないときには、軽い作業です。名義を持つ人が社内にいて、契約先とも話ができる今が、いちばん楽な時期です。

今日できることを1つだけ挙げます。受信箱で「更新」「ログイン」と検索して、ホームページまわりのお知らせがどのアドレスに届いているかを見てみてください。届き先が人の名前のアドレスなら、そこが一覧表の最初の1行になります。

何から確かめればいいか分からない、という方は、一度ご相談ください。