1. 「申込書は1枚だったので、裏まで読んでいなくて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「申込書は表に金額が書いてあって、裏に細かい字がびっしりで。正直、そこは読まずに判子を押しました。やめようと思ったときに初めて読んで、こんな条件だったのかと」

ホームページの契約で困ったという話は、ほとんどが契約したときではなく、やめようとしたときに出てきます。金額は納得して払っていた。困ったのは、途中で解約できなかった、サイトを持ち出せなかった、ドメインを移せなかった、といった話です。

そして、その条件は契約書のどこかに書いてあります。書いてあったのに、読まれていなかっただけ、という場合が少なくありません。

この記事では、ホームページ制作の契約書や申込書で、署名の前に読んでおきたい箇所を順に並べます。なお、これは法的な助言ではありません。契約の扱いは業種や契約の形によって違います。判断が難しいときは、署名の前に弁護士や商工会議所の相談窓口など、専門家に確認してください。

この記事で書くこと

  • 契約期間と自動更新 ― いつまで続き、いつならやめられるか
  • 途中解約の条件 ― やめたときに払うものと、残るもの
  • サイトとデータの権利 ― 契約が終わったあと、誰のものになるか
  • ドメインの名義 ― 会社の住所を、誰が持っているか
  • 更新・修正の範囲、納期、保守 ― 月額や制作費に何が入っているか
  • 支払い方法 ― リースの場合は、別の契約になることがある
  • 分からない言葉の聞き方 ― 失礼にならず、答えが残る聞き方

2. 契約書は、金額の欄より後ろに答えがある

先に、契約書の読み方そのものについて書いておきます。

大事な条件ほど、後ろのほうにある

ホームページの契約書は、だいたい前のほうに金額と制作の内容、後ろのほうに「契約期間」「解約」「権利」「免責」といった項目が並びます。あとで困る条件は、ほとんどが後ろのほうに書かれています。

申込書が1枚だけの場合も同じです。表に金額、裏に細かい字。あるいは「利用規約に同意します」というチェック欄があり、規約は別のページにある。この場合は、規約のほうが契約の中身だと考えてください。ウェブで申し込む形のサービスなら、サイトの下のほうに規約へのリンクがあるはずです。

見積もりの段階と、契約の段階は別

見積書で確認したことが、契約書にもそのまま書かれているとは限りません。打ち合わせで「ページは後からでも足せますよ」と言われていても、契約書に追加料金の決まりがあれば、そちらが基準になります。

見積書の段階で見る行については ホームページの相見積もりを、公平に比べる方法 にまとめました。この記事はその次の段階、1社に決めて、署名をする直前の話です。

持ち帰って読む時間をもらう

契約書をその場で渡されて、その場で署名を求められることがあります。急ぐ理由が無いのであれば、「一度持ち帰って読ませてください」と言って構いません。まともな相手なら、それで話が壊れることはありません。

持ち帰ったら、この記事の項目に沿って、気になる箇所に印をつけていきます。分からない言葉は、まとめて1回で質問します。聞き方は第7章で書きます。

3. 契約期間と自動更新、途中でやめるときの条件

最初に読むのは、いつまで続く契約か、です。

最低契約期間は何ヶ月か

月額制のホームページには、たいてい最低契約期間があります。半年、1年、2年、それ以上のものもあります。期間そのものより、期間の中でやめたときに何が起きるかが大事です。

最低契約期間がある理由は、多くの場合、制作にかかった費用を月額の中で少しずつ回収しているからです。ですから、期間がある契約が悪いわけではありません。期間があることを知らずに署名するのが問題です。

期間は、いつから数えるか

意外に書かれ方がばらばらなのが、契約期間の始まりの日です。申込書に判子を押した日から数えるのか、サイトが公開された日から数えるのか、最初の月額を払った月から数えるのか。

制作に時間がかかった場合、この違いは小さくありません。申し込んだ日から数える契約で、公開まで3ヶ月かかったとすると、サイトが動いている期間は、そのぶん短くなります。逆に、公開した日から数える契約なら、制作中の月額がどう扱われるかを確かめておきます。

どちらが良い悪いではなく、数え方を知っておけば、やめられる日を自分で計算できます。カレンダーに、その日を書き込んでおいてください。

自動更新と、申し出の期限

次に見るのは、期間が終わったあとです。「期間満了の〇ヶ月前までに申し出がない場合、同じ条件で更新する」と書かれていることがあります。

これがあると、やめられる月が、実質的に年に1回だけになることがあります。たとえば1年ごとの自動更新で、申し出の期限が満了の2ヶ月前だとすると、その期限を1日過ぎただけで、さらに1年続きます。

確かめるのは3つです。

  • 更新の単位 ― 1ヶ月ごとか、1年ごとか
  • 申し出の期限 ― 満了の何ヶ月前までか
  • 申し出の方法 ― 電話でいいのか、書面やメールが要るのか

申し出の方法は見落とされがちです。電話で伝えたつもりでも、契約書に「書面による」とあれば、伝わっていない扱いになることがあります。

途中でやめたときに、払うもの

最低契約期間の途中でやめる場合、何を払うかが書かれています。よくある形は次のようなものです。

  • 残りの期間の月額を、まとめて払う
  • 決まった額の解約金を払う
  • 制作費の残りを払う

どれが正しいということはありません。ただ、金額がいくらになるかを、署名の前に一度計算してください。月額が小さく見えても、残りの期間が長ければ、まとまった金額になります。

確かめ方:「今日やめたら」を聞く

契約書を読んでもよく分からないときは、こう聞くのがいちばん早いです。

「仮に、契約して1年たったところでやめるとしたら、いくら払って、サイトとドメインはどうなりますか」

時期を具体的に置いて聞くと、相手も具体的に答えるしかありません。答えはメールでもらい、契約書と一緒に保管してください。解約したときに起きることの全体は 月額制のホームページを解約したら、サイトはどうなるのか に書いてあります。

4. サイトとデータは、誰のものになるか

次に読むのは、作ったサイトが誰のものになるか、です。ここは契約書の中でも言葉が硬く、読み飛ばされやすいところです。

「権利」と「受け取れるか」は、別の話

権利の欄を読むときは、2つに分けて考えると整理がつきます。

  • 作ったものの権利 ― デザインや、制作会社が書いた文章、撮った写真の権利が、制作会社に残るのか、貴社に移るのか
  • データを受け取れるか ― 契約が終わったときに、サイトのデータを渡してもらえるのか、非公開になって終わるのか

この2つは、別々に書かれていることもあれば、どちらかしか書かれていないこともあります。権利が貴社に移ると書いてあっても、データの受け渡しについて何も書かれていなければ、実際には手元に何も残らないということが起こり得ます。

契約が終わったあとの扱い

月額制の場合、契約が終わるとサイトが非公開になる形がよくあります。これは珍しいことではなく、サーバーや保守を月額に含めている以上、そうなる仕組みのサービスもあります。

大事なのは、それが書いてあるかどうかです。「契約終了後の取り扱い」が書かれていない契約書もあります。書かれていない場合は、署名の前に聞いて、答えを文字で残してください。

貴社が用意した写真や文章

貴社が自分で撮った写真や、自分で書いた文章を渡して載せてもらうこともあると思います。これらは、もともと貴社のものです。ただ、契約書の書き方によっては、サイトに載せたものをまとめて「成果物」と呼んでいることがあります。

気になる場合は、「こちらで用意した写真と原稿は、契約が終わったあとも、こちらで自由に使えますか」と聞いてください。写真と文章の権利の考え方は ホームページの写真と文章、権利はどうなっているか に整理してあります。

5. ドメインの名義と、サーバーの契約者

権利の話と並んで、あとから効いてくるのがドメインです。

ドメインは、会社の住所

独自ドメインは、サイトとメールアドレスの住所です。名刺にも、チラシにも、看板にも、この住所が印刷されています。ドメインの名義を誰が持っているかで、あとで動けるかどうかが決まります。

名義が制作会社になっていると、制作会社を変えるときに、住所ごと移すための手続きに協力してもらう必要があります。協力してもらえれば問題ありませんが、連絡が取れない、手数料がかかる、といった話になることもあります。

契約書に書いていなければ、聞く

ドメインの名義は、契約書に書かれていないことが多い項目です。書かれていなければ、こう聞いてください。

「ドメインの名義は、どなたになりますか。契約が終わったときに、こちらへ移すことはできますか」

答えによって、契約をやめる理由になるとは限りません。名義が制作会社であっても、移すときの手順や費用が決まっているなら、それで十分という判断もあります。知らないまま署名することだけを避けてください。ドメインとメールの契約の分け方は 独自ドメインとメールアドレスは、どこで何を契約すればいいか にまとめました。

メールアドレスも、同じ住所の上にある

もう1つ、見落としやすいことがあります。独自ドメインのメールアドレスを使っている場合、メールもドメインの上で動いています。ドメインやサーバーの扱いが変わると、メールが届かなくなることがあります。

契約書を読むときは、サイトのことだけでなく、「メールはこの契約に含まれているか」「やめたときメールはどうなるか」もあわせて確かめてください。

6. 更新の範囲、追加料金、納期、保守の中身

ここからは、契約している間のことです。金額に何が入っていて、何が入っていないか。

「更新」「修正」「追加」はどこまでか

月額や制作費に「更新」が含まれている、と書かれていても、その中身は会社によって大きく違います。読むときは、次の3つに分けてください。

  • 更新 ― 文字や写真を差し替える。お知らせを載せる
  • 修正 ― 公開したあとに見つかった誤りや、表示の崩れを直す
  • 追加 ― ページを増やす。フォームの項目を変える。新しい機能を入れる

それぞれ、月に何回までか、1回とは何を指すのか、範囲を超えたらいくらか。「1回」の数え方は特に聞いておく価値があります。1ページの中の3か所の修正が1回なのか、3回なのかで、使える範囲が変わります。

追加料金の決まり方

範囲を超えた作業の料金が、契約書に書かれているかを見てください。単価が書かれていれば安心です。「別途お見積もり」とだけ書かれている場合は、よくある作業の目安だけでも聞いておくと、あとで驚かずに済みます。

制作費が0円の契約では、追加の作業で費用を回収する形のものもあります。どこで回収している契約なのかの見分け方は 「制作費0円」のホームページは、どこで回収されているのか に書きました。

納期と、遅れたとき

納期が書かれているか。そして、遅れたときにどうなるかが書かれているか。ここで大事なのは、遅れの理由がどちらにあるかです。

ホームページの制作が遅れる理由で多いのは、原稿や写真がそろわないことです。つまり、頼む側の作業が止まっている場合です。契約書に「原稿の提出が遅れた場合、公開日は順延する」とあれば、それは公平な書き方です。一方で、制作会社側の都合で遅れたときに何も書かれていなければ、聞いておいてください。

連絡の窓口と、返事が来るまでの目安

契約書の中で、あまり読まれないのが連絡の方法です。直してほしいことがあるとき、誰に、何で連絡するのか。電話なのか、メールなのか、専用の受付があるのか。そして、返事が来るまでの目安が書かれているか。

ここが決まっていないと、直したいことが出てくるたびに、誰に言えばいいかを探すところから始まります。担当者の個人の携帯電話しか連絡先がない場合は、その人が辞めたときに窓口が消えます。会社としての連絡先を一つ、控えておいてください。

「保守」の中身を、3つに分けて聞く

「保守費込み」と書かれていても、何をしてくれるのかは書かれていないことがあります。保守は、だいたい次の3つに分けられます。

  • 止まらないようにする ― サーバーやSSLの更新、ドメインの更新
  • 壊れたら直す ― 表示が崩れた、フォームが届かない、改ざんされた、というときの対応
  • 中身を変える ― 文字や写真の差し替え(これは上の「更新」と重なります)

どれが含まれていて、どれが別料金か。「壊れたら直す」が含まれているかどうかは、とくに確かめてください。いちばん困るときに、いちばん頼りたい部分だからです。

7. 支払い方法と、分からない言葉の聞き方

最後に、お金の払い方と、読んでも分からなかったときの聞き方です。

支払い方法

月額の払い方は、口座振替、クレジットカード、請求書での振込などがあります。どれでも構いませんが、支払いが止まったときにどうなるかは一度読んでおいてください。たとえば、カードの期限が切れて引き落としが止まり、気づかないうちにサイトが止まる、ということも起こり得ます。

リースの場合は、別の契約になることがある

支払いの形の中で、とくに注意したいのがリースです。ホームページの契約がリースの形になっている場合、制作会社との契約とは別に、リース会社との契約になっていることがあります。

リースの契約は、途中でやめにくい形になっていることがあります。また、契約の形によっては、サイトの出来に不満があっても、制作会社と連絡が取れなくなっても、リース会社への支払いは続く、という扱いになることがあります。申込書の中に、制作会社以外の会社名が書かれていたら、その会社とどういう契約になるのかを確かめてください。

リースが悪いという話ではありません。ただ、扱いは業種や契約の形によって違います。判断が難しいときは、所管の窓口や専門家に確認してください。

分からない言葉は、場面を置いて聞く

契約書には、普段使わない言葉が出てきます。「瑕疵」「免責」「成果物」「帰属」「期間満了」。読んでも意味が取れないのは、当然のことです。

聞き方にはコツがあります。言葉の意味を聞くより、場面を置いて聞くほうが、役に立つ答えが返ってきます。

  • 「免責とは何ですか」ではなく、「サイトが表示されなくなったとき、この一文で、どちらが何をすることになりますか」
  • 「成果物の帰属とは」ではなく、「契約が終わったあと、こちらで使い続けられるものは何ですか」
  • 「期間満了の扱いは」ではなく、「来年の今ごろやめたいと思ったら、いつまでに、どうやって伝えればいいですか」

場面を置くと、相手は自分の言葉で説明するしかなくなります。答えがはっきりしない場合は、それ自体が判断の材料になります。

表:署名の前に読むところと、聞き方の例(聞き方の例は架空です)
読むところ確かめること聞き方の例
契約期間・自動更新最低期間、更新の単位、申し出の期限と方法たとえば「来年やめたいときは、いつまでに、何で伝えますか」
途中解約期間の途中でやめたときに払うものの金額たとえば「1年でやめたら、いくら払いますか」
サイトとデータの権利権利がどちらにあるか、データを受け取れるかたとえば「契約が終わったら、手元に何が残りますか」
ドメインの名義名義が誰か、やめたときに移せるか、メールはどうなるかたとえば「ドメインの名義はどなたですか。移すときの手順は」
更新・修正の範囲月の回数、「1回」の数え方、範囲外の単価たとえば「1ページで3か所直したら、何回の扱いですか」
納期公開日、遅れたときの扱い、遅れの理由がどちらにあるかたとえば「原稿が遅れたら、公開日はどうなりますか」
保守の中身止まらないようにする/壊れたら直す/中身を変える、のどれが入っているかたとえば「フォームが届かなくなったら、直していただけますか」
支払い方法払い方、止まったときの扱い、別の会社との契約になっていないかたとえば「申込書にある〇〇社とは、どういう契約になりますか」

全部を読むのに、長い時間はかかりません。印をつけた箇所だけを、場面を置いた質問にして、まとめて1回で送ると、答えも1回で返ってきます。判断が難しい箇所は、署名の前に専門家に確認してください。

答えは、文字で残してもらう

質問の答えは、電話や口頭ではなく、メールなど文字で残る形でもらってください。「打ち合わせではそう言われた」という記憶は、担当者が変わると通りません。あとで食い違ったときに残るのは、文字のほうです。

聞いた結果、契約書の書き方を変えてもらいたい箇所が出てくることもあります。その場合は、遠慮せずに相談してください。すべてに応じてもらえるとは限りませんが、相談して断られることと、知らずに署名することは、まったく違います。

8. 雄喜晃の伴走:条件は、署名の前にすべてお見せします

私たち雄喜晃のホームページ制作では、契約の前に、この記事で書いた項目に沿って条件をご説明しています。料金と条件は、サイトにもそのまま載せています。

私たちがやること

契約期間、解約したときの扱い、更新の範囲、月額に含まれるもの。これらを、契約の前に1つずつお伝えします。分からない言葉があれば、その場で、または文字でお答えします。持ち帰ってお読みいただく時間も、もちろん取っていただいて構いません。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も、同じ月額の中に入っています。

やめるときの条件も先に書きます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。2つ目は、貴社にとって不利に見える条件です。それでも、契約したあとに知る条件ほど困るものはないので、最初にお伝えしています。

私たちがやらないこと

他社の契約書について、法的な良し悪しを判断することはしません。それは弁護士など専門家の仕事です。私たちにできるのは、ホームページの仕組みとして、この一文が実際にどういう場面に関わるかをご説明するところまでです。また、署名を急かすこともしません。

「今の契約書を読み返してみたら、分からない言葉ばかりだった」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、私たちの料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

9. まとめ:金額の次に、やめるときの条件を読む

ホームページ制作の契約書で、署名の前に読んでおきたいのは、次のところです。

  • 契約期間と自動更新 ― 最低期間、更新の単位、申し出の期限と方法
  • 途中解約 ― やめたときに払う金額を、一度計算しておく
  • サイトとデータ ― 権利の欄と、データを受け取れるかを分けて読む
  • ドメインの名義 ― 書いていなければ聞く。メールのことも一緒に
  • 更新・保守・納期 ― 「1回」の数え方と、「壊れたら直す」が入っているか
  • 支払い方法 ― 別の会社との契約になっていないか

困るのは、たいてい契約したときではなく、やめるときです。やめるときの条件は、始めるときにしか確かめられません。

今日できることを1つだけ挙げます。いま契約しているホームページがあれば、その契約書か規約を出して、「契約期間」と「解約」の欄だけを読んでみてください。次に更新を申し出られる日が分かれば、それだけで、いつでも動ける状態になります。

契約書を前にして手が止まっている、という方は、一度ご相談ください。