1. 「そのうち更新します」と言ったまま、2年が経つ
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページは3年前に作ったんですけどね。お知らせが最後、一昨年の年末で止まってるんですよ。更新しないとなとは思ってるんですけど。御社にお願いしたら、そこは続きますかね」
この状態、本当によくご相談をいただきます。そして、止まっている会社の経営者の方が、怠けているわけではありません。むしろ忙しくて手が回らない会社ほど、こうなります。
私が現場で見てきた限り、更新を続けられている会社と止まる会社の差は、意志や熱意の差ではありません。差がついているのは、誰が・いつ・何を・どこから更新するかが決まっているかどうか、それだけです。決まっていない会社は、必ず止まります。例外を見たことがありません。
料金の仕組みそのものについては 「制作費0円」のホームページは、どこで回収されているのか に書きました。この記事は、作ったあとの話です。
この記事で書くこと
- 更新が止まる会社で、実際に起きていること
- 「誰が」を決める ― カレンダーではなく当番表にする理由
- 「何を」を決める ― ネタは新しく作らず、すでに社内にあるものから拾う
- 「いつ」を決める ― 月1回30分に固定する
- 「どこから」を決める ― そもそも更新できる形で作っておく
- 止まったサイトを、もう一度動かす順番
2. 更新が止まるのは、熱意の差ではありません
まず、止まっている会社で実際に何が起きているのかを並べます。貴社に当てはまるものがあるかどうか、確かめてみてください。
止まる会社で、実際に起きていること
- 更新を担当していた人が退職した。その人が辞めた月から、お知らせが止まっています。よくあります
- 管理画面のパスワードが分からない。制作会社からもらったメールがどこかにあるはずだが、探せない。ここで止まります
- 何を書けばいいか分からない。「お知らせに載せるほどのことが、うちには無い」。これがいちばん多い理由です
- 更新に承認が要る。書いた文章を社長に見せて、直しが入って、また見せて。2往復した時点で誰も書かなくなります
- 直したい場所が、画像で作られている。料金表が1枚の画像なので、数字を1つ変えるにも制作会社に頼むしかない
「忙しいから」は、たいてい本当の理由ではありません
経営者の方は「忙しくて手が回らなくて」とおっしゃいます。もちろん忙しいのは本当です。ただ、上に並べたものを見ていただくと分かる通り、忙しさは直接の原因ではありません。
パスワードが分からないのは、忙しさとは関係ありません。何を書けばいいか分からないのも、承認で止まるのも、画像で作られていて直せないのも、全部そうです。忙しさは、決まっていないことを先送りにする言い訳として使われているだけのことが多い。これは責めているのではなく、決まってさえいれば忙しくても回る、という意味です。
決まっていないのは、この4つです
止まっている会社で決まっていないのは、いつも同じ4つです。
- 誰が更新するのか(名前で)
- いつ更新するのか(日付で)
- 何を載せるのか(探さなくていい状態で)
- どこから更新するのか(ログインできる状態で)
逆に言えば、この4つが決まっている会社は、担当者が代わっても、社長が出張していても、更新が続きます。続いている会社が特別に熱心なのではなく、決まっているから続いているだけです。
3. 誰が更新するか ― カレンダーではなく当番表にする
順番に見ていきます。まずは「誰が」です。
「気づいた人が」は、誰もやらないという意味です
更新の担当を決めていない会社では、「気づいた人がやる」という運用になっています。これは、実質的には「誰もやらない」と同じです。全員が「誰かがやるだろう」と思うからです。
問い合わせへの返信でも同じことが起きます。詳しくは 問い合わせが来たあと、何時間以内に返すべきか に書きましたが、宛先が全員は、宛先が誰もいないのと同じです。
更新カレンダーではなく、当番表にする
ここが一番申し上げたいところです。多くの会社が、更新カレンダーを作ろうとして失敗します。
更新カレンダーというのは、「1月は新年の挨拶、2月は展示会の告知、3月は年度末の…」と、何を書くかを先に決めておく表のことです。作った時点では立派に見えます。ただ、これはネタが先に決まっていないと成立しない形なので、2ヶ月目に「今月は特に何もない」となった瞬間に破綻します。
代わりに作っていただきたいのが、当番表です。
- 3月は田中さん、4月は佐藤さん、5月は社長。これだけです
- 何を書くかは決めません。その月の当番が、その月にあったことから選びます
- 当番が休みや繁忙で書けない月は、次の人に回すだけです
カレンダーは「何を」を先に決め、当番表は「誰が」を先に決めます。中小企業で続くのは、後者です。ネタは月によって変わりますが、当番は変わらないからです。
退職しても止まらないようにしておく
当番表を作るときに、あわせてやっておくことがあります。
- 管理画面のIDとパスワードを、2人以上が見られる場所に置く。個人のメールの中ではなく、共有のファイルに
- ログイン用のアカウントを、個人名のメールアドレスで作らない。
info@のような会社のアドレスにしておくと、担当が代わっても引き継げます - ドメインとサーバーの名義を、会社にしておく。ここが個人名義だと、辞めたときに触れなくなります
3つ目は特に効きます。名義の話は 月額制のホームページを解約したら、サイトはどうなるのか に詳しく書きました。名義が会社にあれば、担当者が辞めても、制作会社を変えても、サイトは貴社の手元に残ります。
4. 何を書くか ― ネタは、新しく作らない
「何を書けばいいか分からない」は、更新が止まる理由の1位です。ここを解きます。
探すのではなく、すでにあるものを拾う
更新のネタを、新しく考えないでください。考えようとするから止まります。中小企業のホームページに載せる内容は、ほぼ全部、すでに社内のどこかにあります。
新しく取材をして、新しく撮影をして、新しく書き起こす。これをやろうとすると、1本作るのに半日かかります。半日かかるものは続きません。すでにあるものを拾ってくれば、1本30分です。
職人さん、営業担当、現場の責任者。誰かのスマートフォンには、記録用に撮った写真が必ず入っています。撮り直す必要はありません。
お客様からの質問と、それに返した文章。3回以上返している質問は、よくある質問としてそのまま載せられます。文章はもうできています。
今月、請求書を出した仕事を見返します。何を、どこで、どういう条件でやったか。実績として載せられるものが、その中にあります。
3つに共通しているのは、更新のために新しく発生させた作業がひとつも無いことです。撮影も取材も要りません。すでに日々の仕事の中で生まれているものを、社外から見える場所に移しているだけです。掲載の可否だけは、お客様に確認してください。
現場の写真は、撮り直さない
工事、点検、納品、施工、イベントの設営。現場の人は、記録のために写真を撮っています。日報に添付されていたり、社内のチャットに流れていたりします。
あれをそのまま使ってください。プロが撮ったものである必要はありません。むしろ、現場のスマートフォンで撮った写真のほうが、実際に働いている感じが伝わります。写真が1枚も無い状態からの進め方は 写真が1枚も無い会社の、ホームページの作り方 に整理しました。
すでに答えたメールが、いちばん良い原稿です
お客様から同じ質問を3回以上受けているなら、それはよくある質問に載せるべき内容です。そして、答えた文章はすでにメールの中にあります。書き起こす必要はありません。
- 「対応エリアはどこまでですか」
- 「見積もりは無料ですか」
- 「工事の日は、立ち会いが必要ですか」
この3つに答えるだけで、1回分の更新になります。しかも、検索してくる人が実際に知りたがっていることなので、内容としても外れません。
終わった仕事を、月末に見返す
月末に請求書を出すとき、その月にやった仕事が一覧になります。そこから1件選んで、実績として載せる。これを当番の仕事にしておくと、ネタ探しが要らなくなります。
実績が少ない段階での書き方は 実績が1件も無い会社の、実績ページの作り方 に書きました。社名を出せない場合でも、業種と内容だけで載せられます。
5. いつ更新するか ― 月1回30分に固定する
次は「いつ」です。ここは、頻度を上げないことが続けるコツになります。
週1回にすると、続きません
「週1回は更新しましょう」と言われて始めた会社を、何度も見てきました。1ヶ月は続きます。2ヶ月目に飛びます。3ヶ月目で止まります。そして一度止まると、再開のハードルが上がります。
月1回で構いません。年12本です。3年続ければ36本になります。週1回で3ヶ月で止まるより、月1回で3年続くほうが、結果として量も多い。
30分で終わる形にしておく
時間も決めてください。月1回、30分。それ以上かかる形にしていると、まとまった時間が取れる日を待つことになり、その日は来ません。
30分で終わらせるには、こうします。
- 写真は選ぶだけ。撮影に行かない
- 文章は5行まで。長く書こうとしない
- その場で公開する。下書きで置くと、そのまま忘れます
- 誰かの確認を待たない。ここは次で書きます
承認を1往復以内にする
更新が止まる原因として、承認は見落とされがちですが、かなり効いています。書いた人が、社長に見せて、直しが入って、また見せる。この2往復で、担当者のやる気は消えます。
対策は2つです。
- お知らせと実績は、承認なしで公開してよいと決める。誤字は後で直せます
- 金額と契約条件に触れる内容だけ、確認を通す。ここだけ守れば、実害はほぼ出ません
すべてに承認をかけるから、すべてが止まります。承認が要るものと要らないものを分けてください。
質は、あとから上げればいい
最初の数本は、うまく書けなくて当然です。それでも公開してください。5行の実績紹介でも、日付が新しいだけで意味があります。
サイトを見た人は、「この会社は、今も動いているか」を最終確認しています。お知らせが2年前で止まっていると、そこで「まだ営業しているのだろうか」という疑問が生まれます。文章の巧拙より、日付のほうが効いている場面は多いです。
6. どこから更新するか ― 更新できる形で作っておく
最後は「どこから」です。ここは制作の段階で決まってしまうので、これから作る会社に特に読んでいただきたいところです。
画像で作った箇所は、誰も直せません
料金表、スタッフ紹介、キャンペーンの案内。これらが1枚の画像として作られているサイトが、かなりあります。見た目はきれいです。ただし、数字を1つ変えるにも、元のデザインデータを持っている会社に頼むしかありません。
そして、制作会社との関係が切れていると、そこで詰みます。連絡が取れなくなったときの対処は 制作会社と連絡が取れなくなったときに、まずやること にまとめました。
変わる可能性があるものは、文字で作る。料金、営業時間、電話番号、担当者名。ここを画像にしないだけで、更新の難易度が変わります。
お知らせ欄と実績欄は、CMSにしておく
更新が発生する場所は、だいたい決まっています。お知らせと、実績。この2つは、管理画面から追加できる形(CMS)にしておいてください。
- お知らせ ― 休業案内、料金改定、新しい取り扱い、受賞や認定
- 実績 ― 施工事例、導入事例、対応した案件
逆に、それ以外のページはCMSでなくても困りません。会社概要や理念は、そう頻繁に変わらないからです。全部をCMS化しようとすると費用が上がるので、更新が発生する2箇所だけで十分です。
CMSそのものの選び方は WordPressか、それ以外か ― 中小企業のための判断軸 に書きました。判断の基準は、更新を担当する人の名前を今言えるかどうか、その一点です。
更新の入口を、1つにする
もう1つ、地味ですが効くことがあります。更新の入口を1つにしてください。
お知らせはWordPressから、実績は別のサービスから、写真はまた別のところから。こういう状態になっていると、当番が代わるたびに引き継ぎが発生します。入口が1つなら、教えることも1つです。
そして、ログインの手順を紙1枚にまとめておく。URL、ID、パスワードの場所、投稿ボタンの位置。これがあるだけで、退職時の引き継ぎが5分で終わります。
7. 止まったサイトを、もう一度動かす順番
すでに止まっているサイトをお持ちの場合、どこから手を付けるかを書きます。いきなり月1回を目指さないでください。
Step 1(1ヶ月目):入れるようにする
まず、管理画面にログインできる状態を作ります。ここで止まっている会社が本当に多い。
- 制作会社からもらったメールを探す。見つからなければ、制作会社に連絡して再発行してもらう
- ログイン情報を、共有のファイルにまとめる
- 2人がログインできることを、その場で確認する
ここまでで1ヶ月目は終わりで構いません。入れないサイトは、何も始まりません。
Step 2(2ヶ月目):当番と時間を決める
次に、当番表を作ります。3人分、3ヶ月分で十分です。そして、月のどの日にやるかを決めます。
- 「毎月20日、朝の30分」のように、日付と時間帯まで決める
- カレンダーに繰り返しの予定として入れる
- 承認が要るもの・要らないものを分ける
ここで、最初の1本を必ず公開してください。内容は何でも構いません。「ホームページを更新できる体制にしました」でも構いません。止まっていたものが動いた、という事実が要ります。
Step 3(3ヶ月目以降):3件たまってから、形を考える
3ヶ月続けると、実績なりお知らせなりが3件たまります。そこで初めて、見せ方を考えます。
- 実績のページに、業種や地域で絞り込む仕組みを足すか
- お知らせを、トップページのどこに出すか
- 写真の大きさや並び方を揃えるか
順番が逆になっている会社が、本当に多いです。先に立派な実績ページの仕組みを作って、中身が3件も入らないまま止まる。先に中身を貯めて、あとから形を整えるほうが、確実に続きます。
そして、更新が回り始めたら、次は成果の話になります。公開後にやることは ホームページを作ったのに問い合わせが来ない ― 公開後90日でやること に書きました。
8. 雄喜晃の伴走:更新が止まらない形にしてお渡しします
私たち雄喜晃がお作りするサイトは、更新が発生する場所だけをCMSにしてお渡しします。お知らせと実績です。料金や営業時間のような変わりうる情報は、画像にしません。これは見た目の好みではなく、あとで直せるかどうかの問題として決めています。
そして、月額8,800円(税別)のプランには、月5回までの更新代行が含まれます。ご連絡をいただければ、こちらで反映します。だから、自社で更新できる人がいない会社でも、サイトは止まりません。「更新する人がいないから、ホームページを持っても仕方ない」とお考えの会社にこそ、この形は向いています。
制作費は0円です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。代表の木戸がヒアリングから制作、運用まで直接担当します。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
契約の条件
条件も先に書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7ヶ月目以降はいつでも解約でき、違約金はありません。ただし、7〜35ヶ月目で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、ドメイン代等のご負担を条件に、サイトをお渡しします。ここは契約前に必ずご説明します。
私たちがやらないこと
一方で、私たちがやらないことも書いておきます。記事の執筆を代行することはしていません。ブログ記事やコラムを毎月何本、という形の請け負いはしていないということです。現場の写真も、お客様の声も、貴社の中にしかないものだからです。
そして、更新のネタを、私たちが考えることもしません。考えて出したネタは、貴社の実務と離れていきます。私たちがやるのは、貴社の中にすでにあるものを、どこから拾ってくるかを一緒に決めることと、それを反映する手を動かすことです。分析や提案だけで終わらせず、実際に載る形にするところまでご一緒します。
「更新しないといけないのは分かっているが、社内に動かせる人がいない」という経営者の方には、私たちは間違いなくお役に立てます。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
9. まとめ:止まるのは、決まっていないからです
ホームページの更新を続けるために必要なことは、4つです。
- 誰が ― カレンダーではなく当番表。3人分・3ヶ月分で足ります
- いつ ― 月1回30分に固定する。週1回にすると3ヶ月で止まります
- 何を ― 新しく作らず、現場の写真・答えたメール・終わった仕事から拾う
- どこから ― 更新する場所だけCMSにする。変わるものを画像にしない
この4つが決まっていない会社は、どれだけ熱意があっても止まります。逆に、決まっていれば、担当者が代わっても続きます。続いている会社が特別なのではありません。
まず、今日できること
まずは、貴社のホームページの管理画面に、今すぐログインできるか試してみてください。ログインできたなら、次は当番表です。できなかったなら、そこが最初に手を付けるところです。
そして、お知らせの最終更新日を見てください。1年以上前で止まっているなら、サイトを見た人も同じ日付を見ています。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。止まらない形を、一緒に作っていきましょう。