1. 「同業で、ホームページを持っているところがないんです」
地域で長く商売をしている経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「うちの業界は、この辺りだとどこもホームページを持っていないんですよ。仕事は昔からの付き合いと紹介で回っているし、持っていなくて困っている会社も聞かない。うちだけ作っても、意味があるのかどうか」
同業の会社のサイトを調べようとしたら、そもそも見つからない。地域の業種別の一覧にも名前と電話番号しか出てこない。地域や業種によっては、こういうことが実際にあります。
このとき、考え方は2つに分かれます。「誰も持っていないのだから、要らない」と考えるか、「持っていれば、探した人が見つけるのは自社だけになる」と考えるか。どちらも筋は通っています。この記事では、どちらに当てはまるかを決めるために確かめることを、順番に書きます。
この記事で書くこと
同業のサイトが何社かあって、それと比べる方法は 同業他社のホームページを、どう見るか にまとめました。この記事は、その比べる相手がいない場合の話です。
創業したばかりで要るかどうかを迷っている場合は 創業したての会社に、ホームページは本当に必要か のほうが近いと思います。ここでは、すでに仕事が回っている会社が、同業の様子を見て迷っている場面を考えます。
2. 「誰も持っていない」には、2つの読み方がある
同業がどこもサイトを持っていない、という事実は同じでも、そこから読み取れることは2通りあります。
読み方①:お客様が、サイトを見ずに頼んでいる
1つ目は、その業種のお客様が、そもそもホームページを見て選んでいないという読み方です。取引先が決まっている、元請けから仕事が来る、地域の付き合いの中で頼む先が決まっている。こういう商売では、サイトがなくても仕事は回ります。
この場合、サイトを作っても、急に問い合わせが来るようになるわけではありません。ここは正直に書いておきます。
読み方②:探している人はいるが、見つける先がない
2つ目は、探している人はいるのに、見つかる先がないという読み方です。検索しても出てこないので、探した人は電話帳の番号にかけるか、知り合いに聞くか、あきらめるか。同業がそろって持っていないので、誰もそれに気づいていない状態です。
この場合、サイトがあれば、探した人の目に入るのは貴社だけになります。比べる相手がいないこと自体が、目に留まる理由になります。ただし、検索で上に出るかどうかや、問い合わせが増えるかどうかは、こちらでお約束できることではありません。
どちらに当たるかは、確かめないと分からない
社内で話していると、どうしても①の読み方に寄ります。「今まで困っていないから」です。ただ、困っていないのは、取りこぼしが見えていないだけかもしれません。サイトがなくて連絡をあきらめた人は、こちらからは見えないからです。
どちらに当たるかは、次の章の方法で確かめられます。
3. 探している人がいるかを、確かめる
探す人には2種類います。貴社の名前を知っていて探す人と、業種と地域で探す人です。分けて確かめます。
社名で探す人がいるか
社名で検索するのは、すでに貴社を知っている人です。紹介された人、名刺を受け取った人、看板や車を見かけた人。同業がサイトを持っているかどうかに関係なく、この人たちは貴社の名前で検索します。
確かめ方は、次のようなことです。
- お客様に、連絡の前に何をしたかを聞く ― 「うちの名前、どこで知りましたか。連絡する前に何か調べましたか」と、次の何件かで聞いてみる
- 自分のスマートフォンで社名を検索する ― 何が出てくるか。何も出ないのか、古い情報の載ったページが出るのか、同じ名前の別の会社が出るのか
- Googleマップの情報を見る ― 貴社が地図に出ているなら、そこに「ウェブサイト」の欄が空のままになっていないか
社名で検索して何も出てこないと、紹介された人は確かめる先がありません。この話は次の章で書きます。
業種と地域で探す人がいるか
もう1種類は、「地域名+業種」で探す人です。貴社をまだ知らない人です。
確かめ方は、お客様が使いそうな言葉で、実際に検索してみることです。業界の正式な呼び方ではなく、お客様が口にする呼び方で検索します。何が出てくるかを見てください。
探す人がいて、地図から電話している状態です。地図の情報欄から「もう少し詳しく知りたい」と思った人が開く先を用意できます。
探す人はいるものの、比べる材料が電話番号しかありません。何をしている会社かを書いたページがあれば、そこが唯一の材料になります。
その言葉で探す人が少ない可能性があります。言葉を変えて試し、それでも同じなら、検索からの入口には期待しすぎないほうが無難です。
どれに当たっても、作るか作らないかがそれだけで決まるわけではありません。①②なら検索からの入口として、③なら紹介と採用で確かめられる場所として考えると、何を載せるかが変わります。
③でも、作る意味がなくなるわけではない
検索で探す人が少なそうでも、サイトの役目がなくなるわけではありません。次の章から書く、紹介された人が確かめる場所と、採用で見られる場所の2つが残ります。こちらは、同業がサイトを持っているかどうかとは関係がありません。
公開したあとは、サーチコンソールで、どんな言葉で検索されて表示されたかを見られます。作る前の予想が合っていたかは、そこで確かめられます。
4. 紹介や口コミで来た人が、確かめる場所になる
同業がサイトを持っていない業種でも、仕事の多くは紹介や口コミで来ているはずです。その人たちが、連絡の前に何をするかを考えます。
紹介された人は、名前で検索する
「〇〇さんに紹介されて」と連絡してくる人も、その前に一度は名前で検索していることが多いはずです。疑っているわけではありません。どんな会社か、少し知ってから電話したいだけです。
そのとき何も出てこないと、紹介した人の言葉だけが頼りになります。それで連絡をくれる人もいますが、「もう少し調べてから」と後回しにされることもあります。紹介で来る人が何を確かめるかは 紹介で仕事が来る会社の、ホームページ に詳しく書きました。
同業が持っていないと、確かめる場所がないのが当たり前になる
同業がどこもサイトを持っていない業種では、お客様の側も「この業界は調べても出てこない」と思っていることがあります。そこで貴社の名前を検索して、何の会社か、どこにあるか、何をお願いできるかが1ページにまとまっていれば、それだけで安心の材料になります。
ここで大事なのは、立派なサイトである必要はないということです。比べる相手がいないので、知りたいことが書いてあるかどうかだけが見られます。
紹介してくれる人が、送れるものができる
紹介は、紹介してくれる人の口から始まります。そのとき、「ここに載っているから見てみて」と送れるページがあると、紹介する側も話が楽になります。サイトがないと、紹介してくれる人が、貴社の説明を全部自分の言葉でしなければなりません。
電話番号だけを伝えるのと、何をしている会社かが書かれたページを送るのとでは、受け取った人の安心が違います。紹介してくれる人の手間を減らすことも、サイトの役目の1つです。
地図とサイトの役目を分ける
近所のお客様が多い商売なら、Googleマップの情報を整えるほうが先になることもあります。地図は見つけてもらう入口、サイトは詳しく確かめる場所、という分け方です。どちらを先にするかは Googleマップとホームページ、どちらを先に整えるか で整理しました。地域の商売のサイト全体の考え方は 地域で商売をする会社の、ホームページの全体像 にまとめてあります。
5. 採用では、同業ではなく他業種と比べられる
お客様向けの話とは別に、もう1つ見落とされやすい場面があります。採用です。
応募する人は、業界の中だけで比べていない
お客様は、同業の中から頼む先を選びます。ところが仕事を探している人は、業種をまたいで比べています。同業がサイトを持っていなくても、隣の業種の会社や、近所の別の会社は持っているかもしれません。
求人を見て興味を持った人は、会社の名前で検索します。そこで何も出てこないと、どんな職場かが分かりません。同業の中では普通のことでも、応募する人から見ると、情報の少ない会社に見えます。
採用で見られるところ
応募を考えている人が確かめたいのは、大げさなことではありません。
- 何をしている会社か ― 仕事の中身。業界の外の人にも分かる言葉で
- どこにあるか ― 通えるかどうか。現場が移る仕事なら、主にどの辺りか
- どんな人が働いているか ― 顔写真でなくても、仕事中の手元や現場の写真で伝わります
- 続いている会社か ― 創業の年や、長く続けている取引の分野
求人媒体に出している内容と、サイトに書いてあることが食い違っていないかも見られます。求人の中身まで載せるかどうかは、会社の状況によって変わります。
取引の前に、会社を確かめる人もいる
採用と同じように、業界の外から貴社を確かめに来る人がいます。新しく取引を始める会社の担当者、元請けの会社、金融機関の方などです。この人たちも、まず社名で検索します。
ここで見られるのは、宣伝の言葉ではありません。所在地、代表者、創業の年、何をしている会社かといった基本の情報です。同業がサイトを持っていない業種でも、確かめる側は他業種の会社と同じ目で見ています。基本の情報が1ページにまとまっているだけで、説明の手間が減ります。
6. 大きく作らず、必要なページだけ
作ると決めた場合でも、最初から何ページものサイトにする必要はありません。比べる相手がいない業種では、なおさらです。
比べる相手がいないので、量で競わなくていい
同業がサイトを持っている業種では、ページの数や実績の数で比べられることがあります。同業が持っていない業種では、それがありません。知りたいことが書いてある1ページがあれば、役目の多くは果たせます。
最初に載せるもの
- 何の会社か ― 最初の画面で、業種と地域が分かる一文
- 何をお願いできるか ― 受けている仕事を、お客様の言葉で並べる
- どこまで行けるか ― 対応している地域
- どんな仕事をしてきたか ― 実績を数件。社名は出さなくても、内容と地域で伝わります
- どう連絡すればいいか ― 電話番号、受付の時間、フォーム
- 会社の基本情報 ― 所在地、代表者、創業の年
これだけで1ページに収まります。1ページから始めて、あとから増やす進め方は 1ページから始めて、あとから増やす進め方 に書きました。増やすのは、お客様から聞かれたことが溜まってからで十分です。
作らない、という判断もある
ここまで書いても、作らないほうがよい場合はあります。たとえば、取引先が限られていて新しいお客様を受ける予定がない、採用もしない、という場合です。その場合は、Googleマップの情報を正しくしておくだけで足りることもあります。作るかどうかは、来てほしい人がいるかどうかで決めてください。
7. 手本がないので、お客様の質問から書く
作ると決めて、いちばん手が止まるのがここです。同業のサイトがないので、何を書けばいいか、手本がありません。
手本は、お客様の質問の中にある
同業のサイトがない代わりに、手本になるものがあります。お客様から、いつも聞かれていることです。電話で最初に聞かれること、見積もりのときに聞かれること、初めてのお客様が戸惑うこと。それを書けば、サイトを見に来た人が知りたいことと、ほとんど重なります。
| いつも聞かれること | ページに書く中身 | 置く場所 |
|---|---|---|
| たとえば「こういうのも頼めますか」 | 受けている仕事と、受けていない仕事を並べる。受けていないものは、どこに頼めばいいかも一言 | 何をお願いできるか |
| たとえば「うちの辺りまで来てもらえますか」 | 対応している市町村の名前を並べる。それ以外は相談、と書く | 対応している地域 |
| たとえば「だいたい、いくらくらいですか」 | 金額の決まり方を書く。出せるなら、よくある依頼の幅を条件つきで | 料金の考え方 |
| たとえば「どれくらいで来てもらえますか」 | 連絡してから伺うまでの流れと、日数の目安。繁忙期は延びることも | ご依頼の流れ |
| たとえば「何を用意しておけばいいですか」 | 連絡のときに伝えてほしいこと、当日に用意してほしいもの | よくある質問 |
左の列は、電話を受けている方に聞くといちばん早く集まります。聞かれた言葉をそのまま見出しにすると、探している人が自分の疑問を見つけやすくなります。中身は、貴社の事実で書いてください。
業界の言葉を、お客様の言葉に直す
同業がサイトを持っていない業種は、業界の外の人に向けて説明する機会がもともと少ないことが多いです。そのぶん、社内では当たり前の言葉が、お客様には通じないことがあります。
書いたら、業界の外の人に読んでもらってください。家族でも、取引のない知り合いでも構いません。分からなかった言葉に印をつけてもらい、そこを言い換えます。
他業種のサイトを、構成の参考にする
同業のサイトがないなら、近い商売をしている他業種のサイトを見ます。地域で出張して仕事をする業種、職人の仕事を扱う業種など、お客様との関わり方が近いものです。見るのは、ページの並び順や、何を最初に書いているかです。文章や写真をそのまま写すことはしないでください。
あとから同業が作ったとき
いつか、同業の会社がサイトを作るかもしれません。そのとき比べられるのは、知りたいことが書いてあるかどうかと、情報が今のものかどうかです。先に作ったことより、書いてあることが古くなっていないことのほうが効きます。半年に一度は、聞かれることが変わっていないかを見直してください。
8. 雄喜晃の伴走:お客様の質問から、1枚目を一緒に作ります
私たち雄喜晃のホームページ制作では、同業のサイトがなくて何を書けばいいか分からないというところから、ご一緒します。
私たちがやること
最初のお打ち合わせで、お客様からいつも聞かれていることを伺います。電話で聞かれること、見積もりで聞かれること、初めての方が戸惑うこと。そこから、ページに書く中身と並び順を決めて、業界の外の人にも通じる言葉に直します。
社名と「地域名+業種」で検索したときに何が出てくるかも、一緒に確かめます。公開したあとは、どんな言葉で検索されているかを見ながら、聞かれたことからページを足していきます。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、質問が溜まったときの追加や、情報の書き換えも同じ月額の中です。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
同業がいないから検索の上位に出る、問い合わせが増える、とお約束することはしません。検索の結果は、こちらで決められるものではないからです。最初から何ページものサイトを勧めることもしません。必要なページだけで始めて、聞かれたことから増やします。
また、撮影はお受けしていません。お客様の質問に出てこない、どの会社にも当てはまる言葉でページを埋めることもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「同業がどこも持っていないので、作るかどうか決めかねている」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:比べる相手がいないなら、知りたいことだけを書く
同業の会社がどこもホームページを持っていないときに押さえることは、5つです。
- 「誰も持っていない」の読み方を確かめる ― サイトを見ずに頼む商売なのか、探す人はいるのに見つける先がないのか
- 社名と「地域名+業種」で検索してみる ― お客様の言葉で検索し、地図・一覧・関係のない結果のどれが出るかを見る
- 紹介と採用の役目は、同業と関係なく残る ― 紹介された人は名前で確かめ、応募する人は業種をまたいで比べている
- 大きく作らず、必要なページだけ ― 比べる相手がいないので、量で競わなくていい
- 手本は、お客様の質問の中にある ― いつも聞かれることを、そのまま見出しにする
同業が持っていないことは、作らない理由にも、作る理由にもなります。決め手になるのは同業の様子ではなく、貴社を探している人がいるかどうかです。
まず、今日できること
自分のスマートフォンで、貴社の社名を検索してみてください。次に、お客様が口にする呼び方で「地域名+業種」を検索してみてください。2つの結果を見れば、どちらの読み方に近いかの見当がつきます。