1. 後悔が来るのは、たいてい3年目

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「3年前に安く作ってもらったんですけど、料金表が当時のままで。直したいんですが、作った人と連絡が取れないんです」

この相談を、本当に何度も受けます。そして共通しているのは、困っているのが金額ではなく、直せないことだという点です。月々の支払いはむしろ安いまま、あるいはもう払っていない。それでも手が出せない。

先に申し上げておくと、この記事は「格安は危ないからやめましょう」という話ではありません。安さそのものが悪いのではありません。安いことには、ちゃんと理由があります。工程を減らしているから安い。それは健全な商売です。

3年経ってから効いてくるのは、払った金額ではなく、直せるかどうかです。この記事では、1年目・2年目・3年目に順番に何が起きるかを並べ、契約前に確かめられる3つの質問と、今日からできる備えを書きます。

なお私たち雄喜晃も、月額8,800円(税別)でホームページをお作りしている、いわゆる安い側の会社です。ですからこの記事は、自分も同じ目で見られる前提で書きます。第8セクションに、私たちの条件をそのまま書きました。

金額そのものの比べ方は ホームページの費用は、3年で並べないと判断できない に、「制作費0円」と書かれた見積もりの読み方は 「制作費0円」のホームページは、どこで回収されているのか にまとめてあります。

2. 1年目は、たいてい何の問題も起きない

まずここを押さえておくことが大事です。安く作ったサイトが1年目に問題を起こすことは、ほとんどありません。

情報がまだ新しい

できたばかりなので、料金も、サービス内容も、スタッフの顔写真も、すべて事実と合っています。直す必要が発生していません。だから、直せる体制があるかどうかが問われないまま1年が過ぎます。

見た目もまだ古くなっていません。公開した直後にいちばん嬉しいのは「ちゃんとしたサイトができた」という感覚で、これは金額とほぼ関係なく得られます。1年目の満足度は、安く作ってもたいてい高いのです。

制作した相手も、まだそこにいる

公開して数ヶ月は、相手も対応してくれます。小さな修正を頼めば、たいてい応じてもらえる。ここで「頼めば直る」という印象ができます。

ただ、この印象はまだ何も試されていない状態で作られたものです。頼んだのは誤字の修正や電話番号の差し替えで、料金体系の入れ替えのような手間のかかる作業ではありません。

だから、1年目の評価は当てにならない

ここがいちばん伝えたい点です。安く作ったことが正しかったかどうかは、1年目には判定できません。判定できるのは、情報が変わってから、そして相手の状況が変わってからです。

私が現場で見てきた限り、安く作って良かった会社と、困っている会社の差は、1年目の時点ではまったく見えません。見えるのは2年目からです。

3. 2年目に出てくること

2年目に起きるのは、事実が変わることです。会社は動いているので、1年経てば必ず何かが変わります。

料金が変わる

いちばん多いのがこれです。値上げをした、プランを組み替えた、キャンペーンを終えた。サイトに載っている金額が、今の金額と違う状態になります。

これは単に古いというだけの話ではありません。問い合わせをしようとした人が、最初に見る数字が違っているということです。来店してから金額が違うと分かると、その場で信用が落ちます。

スタッフが変わる

社員紹介に載っている人が辞めた、新しく入った人が載っていない。採用ページを持っている会社だと、ここが効きます。辞めた人の写真が載り続けているサイトは、応募者から見ると不安な材料です。

退職した本人から「写真を外してほしい」と言われることもあります。すぐに対応できないと、別の問題になります。

サービスが増える、やめる

新しく始めた事業がサイトに載っていない。やめたサービスが載り続けている。いちばん売りたいものがサイトに1行も無いという状態は、実務では珍しくありません。

その直しに、毎回費用が出る

ここで安さの構造が顔を出します。安く作れた理由が「公開したら終わり」だった場合、直すのは別料金です。1箇所5,000円、まとめて数万円。年に数回なら、それなりの額になります。

そして金額以上にこたえるのが、頼みにくさです。1回5,000円かかると思うと、「まあ今度でいいか」と後回しになる。その積み重ねで、料金表が2年前のままになります。費用が更新を止めている状態は、本当によく起きています。

または、連絡が遅い

もう1つの形は、料金ではなく速度です。メールを送っても3日返ってこない。頼んだ修正が2週間入らない。悪意があるわけではなく、相手が本業で手一杯なだけです。

ただ、こちらにとっては結果が同じです。直せない状態と、直すのに2週間かかる状態は、実務ではほとんど同じ意味を持ちます。

4. 3年目に出てくること

3年目は、相手側の事情が出てきます。2年目は自社の変化でしたが、3年目は向こうの変化です。

担当者が辞めている

制作会社は残っているが、担当した人がいない。引き継ぎ資料も無い。どういう作りになっているかを知っている人が、組織の中にいなくなっています。

この状態で修正を頼むと、「調べますので時間をください」から始まります。悪い対応ではないのですが、進みません。

会社と連絡が取れない

個人で請けていた人が本業に戻った、連絡先が変わった、会社が無くなった。メールが返ってこない、電話が繋がらない。サイトは今も表示されているのに、誰にも頼めないという状態です。

この状態になったときに何から手を付けるかは、制作会社と連絡が取れなくなったときに、まずやること にまとめました。サイトが表示されているうちが勝負です。

管理画面のIDが分からない

当時メールで送られたIDとパスワードが見つからない。担当していた社員が辞めて、そのメールも消えている。ドメインを管理している画面、サーバーの画面、サイトの更新画面。どれも入れないと、何もできません。

これは相手の問題ではなく、こちら側の管理の問題です。そしていちばん起きやすい失い方でもあります。

データをもらえない

連絡が取れても、データを渡してもらえないことがあります。契約にそう書いてある場合もあれば、本当に手元に無い場合もあります。サイトのデータが誰の手にあるかは、契約書に書いていなければ、たいてい曖昧なままです。

そして文章と写真が手元に無いと、作り直しの出発点がゼロになります。

図:安く作ったホームページに、年ごとに何が起きるか
1年目:何も起きない

できたばかりなので情報が事実と合っていて、直す必要が発生しません。小さな修正なら相手も応じてくれます。満足度はいちばん高い時期で、金額の多寡はまだ表に出てきません。

この時期の評価では、安く作ったことの正否は判定できません
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2年目:事実が変わる

料金が変わった、スタッフが入れ替わった、サービスが増えた。直したい箇所が初めて出てきます。ここで「直すたびに費用が出る」か「連絡が遅い」かのどちらかに当たります。

頼みにくさで更新が止まり、古い情報が残り始めます
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3年目:相手の事情が出る

担当者が辞めた、会社と連絡が取れない、管理画面のIDが分からない、データを渡してもらえない。サイトは表示されているのに、誰にも頼めない状態になります。

動かせないサイトが、会社の顔として残り続けます
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作り直し:ゼロから

別の会社に頼み直すことになります。文章も写真も手元に無いので、ヒアリングから撮影までやり直しです。初回より高くつくのはこのためで、金額ではなく工程が増えています。

3年で2回払うことになり、総額では安くなくなります

段ごとに主語が変わっているところを見てください。1年目は何も起きず、2年目は貴社側の変化、3年目は相手側の変化が原因です。安さが問題になるのは3年目で、しかも問われているのは金額ではなく、直せる体制が残っているかです。

5. 安さの正体を見分ける、3つの質問

安いこと自体は問題ではないので、見るべきは「何を削って安くしているか」です。契約前に3つ聞けば、ほぼ分かります。専門的な知識は要りません。

質問① 誰が作っているのか

社内の人が作るのか、外部に出すのか。1人の個人事業主か、複数人の会社か。ここを聞くのは、腕を測るためではなく、その人がいなくなったときに代わりがいるかを知るためです。

1人で請けている形が悪いわけではありません。小回りが効いて、安く、丁寧なことも多いです。ただ、3年目に「本業が忙しくなった」が起きたときに、代わりがいません。そこを承知で選ぶなら、何も問題はありません。

聞き方は、こう一言で足ります。

「制作は御社の中でやられるんですか。それとも外注されますか」

質問② 直すとき、誰に言うのか

公開した後、料金表を直したいとき、どこに連絡するのか。メールか、電話か、チャットか。費用はかかるのか、月額に含まれるのか、含まれるなら月に何回までか。

ここは必ず文字で確認してください。口頭で「軽微なものなら対応します」と言われても、軽微の線は人によって違います。見積書か契約書に、回数か範囲が書いてあるかを見ます。

もう1つ、返信までの目安も聞いておくと差が出ます。「3営業日以内」と書ける会社と、書けない会社があります。

質問③ 契約が終わったら、何が残るのか

これがいちばん効きます。3年目に困る会社は、ほぼ全部ここを確認していません。

確認するのは4つです。

  • ドメインの名義 ― 貴社名義か、制作側の名義か
  • サイトのデータ ― 契約が終わったら受け取れるのか、受け取れないのか
  • サイトの公開 ― 解約したらサイトはどうなるのか。残るのか、消えるのか
  • 管理画面 ― ID とパスワードは貴社に渡されるのか

このうちドメインの名義だけは、後から変えるのが面倒です。最初に自社名義で取ってもらうのが、いちばん安い保険になります。

答えが曖昧でも、それだけで断る理由にはなりません。曖昧なまま契約しないことが大事なだけです。「書面に書いていただけますか」で済みます。

6. テンプレートは悪くない。高く払っても同じことは起きる

安さの話をすると、2つの誤解が必ず出てきます。先に潰しておきます。

テンプレートを使うこと自体は、問題ではない

「テンプレートだから安い」はよく言われますが、これは正しく、そして悪いことではありません。デザインをゼロから設計する工程が減るので、そのぶん安くなる。削っているのは工程であって、品質ではありません。

実際、型が決まっているほうが、スマートフォンでの見え方が安定することもあります。情報の並び順も、業種ごとに効く形がだいたい決まっています。そこを毎回ゼロから考え直す必要は、必ずしもありません。

問題になるのは型ではなく、運用のほうです。型を使って安く作ったうえで、公開後に直せる体制があるかどうか。そこが分かれ目です。テンプレートかどうかは、3年目にはほとんど関係しません。

高く払っても、同じことは起きる

もう1つの誤解は、「きちんと払えば大丈夫」です。これも違います。

100万円払って作ったサイトでも、担当者は辞めます。会社は方針を変えます。管理画面のIDは行方不明になります。金額と、直し続けられるかどうかは、別の話です。

私が現場で見てきた限り、高く払ったサイトのほうがむしろ厄介なことがあります。作り込まれているぶん、他社が引き継ぎにくい。独自の仕組みが入っていて、触れる人が限られる。作り込みは、引き継ぎやすさとは逆を向くことがあります。

3年目に作り直しになる会社と、ならない会社の差

では何が差を作っているのか。金額ではないとすれば、何か。実務で見ている限り、差はこの3つに出ます。

  • 直す道が1本でも通っているか ― 誰に言えば直るかが、今はっきり言えるかどうか
  • 中身が手元にあるか ― 文章と写真が、サイトの外にも保存されているかどうか
  • 名義が自社か ― とくにドメイン。ここが自社なら、作り直しても引き継げます

この3つが揃っていれば、相手が誰であっても、作り直しにはなりません。別の会社に引き継げるからです。逆にこの3つが無いと、払った金額に関係なく、ゼロからやり直しになります。

7. 作り直しが高くつく理由と、今から備えられること

作り直しが高くつく、本当の理由

作り直しは、初回とほぼ同額、場合によっては初回より高くつきます。理由は単純で、初回と同じ工程をもう一度やるからです。

ホームページの費用のうち、いちばん時間を食うのはデザインではありません。文章と写真を用意する工程です。原稿が手元にあれば、そこは丸ごと省けます。手元に無ければ、ヒアリングからやり直しになります。

3年目に作り直しになる会社は、たいていこの状態です。サイトの文章は画面上にしか無い。写真も制作側が持っていて手元に無い。自分の会社の説明文が、自分の手元に1つも無いという状態から始めるので、高くなります。

逆に言えば、ここは今から対策できます。費用も時間もほとんどかかりません。

備え① ドメインを自社名義にする

いちばん効きます。ドメインが自社名義なら、制作会社が変わっても、連絡が取れなくなっても、サイトを作り直して同じアドレスで公開できます。名刺もチラシも刷り直さずに済みます。

今の名義が分からない場合は、契約先の管理画面か、更新のお知らせメールの宛先を見てください。制作会社の社名になっていたら、名義の変更を相談するのが先です。

備え② 原稿と写真を、手元に保存する

公開したら、サイトの文章をコピーして1つのファイルにまとめ、写真は元データをフォルダに入れて保存します。これだけで、作り直しの費用の半分以上が消えます。

写真は必ず元のサイズで保存してください。サイトに載っている画像は縮めてあるので、そこから取り出しても次に使えません。撮影したカメラやスマートフォンのデータを、そのまま残します。

保存先は、社内の共有フォルダでも、クラウドでも構いません。大事なのは、サイト以外の場所に1つあることです。

備え③ 管理画面のIDを控える

ドメインの管理画面、サーバーの管理画面、サイトの更新画面。この3つのIDとパスワード、そしてログイン先のURLを控えます。

控える場所は、担当者の個人メールではなく、会社の資料として残してください。IDが行方不明になる原因の1位は、担当者の退職です。紙でも構いません。社長が1部持っているだけで、ずいぶん変わります。

備え④ 連絡先を1つに決める

誰に言えば直るのかを、1人に決めて社内で共有します。制作会社の担当者名、メールアドレス、電話番号。「たしか社長が誰かに頼んだ」という状態をなくすことが目的です。

そして年に1回、その連絡先が生きているか確かめてください。何も用がなくても、一言メールを送るだけで足ります。返ってこなければ、それが分かった時点で動けます。連絡が取れないことに気づくのが遅れるほど、取り返しにくくなります。

この4つは、合わせて1時間ほどで終わります。費用はかかりません。やっているかどうかで、3年目の選択肢がまったく変わります。

8. 雄喜晃の伴走:私たちも安い側なので、条件を先に書きます

ここまで安さの読み方を書いてきましたが、私たち雄喜晃自身が月額8,800円(税別)という安い側の会社です。同じ目で見られる前提なので、条件をそのまま書きます。

私たちの条件

  • 月額8,800円(税別) ― 1ページ構成。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です
  • 制作費は0円 ― サーバー・独自ドメイン・SSL・保守を月額に含めています
  • 月5回までの修正更新 ― 料金表やお知らせの差し替えは、月額の中で承ります
  • 最低契約期間は6ヶ月
  • 7〜35ヶ月で解約した場合、サイトは非公開になります ― ここは不利な条件ですが、隠しません
  • 36ヶ月以上ご利用いただいた場合、サイトを譲渡します
  • ドメインは貴社名義で取得します ― 私たちとの契約が終わっても、貴社に残ります

第5セクションの3つの質問に、私たちの答えを当てはめるとこうなります。作るのは私たち自身です。直すときは私たちに直接言っていただきます。契約が終わったら、ドメインは貴社に残り、36ヶ月以上ご利用いただいた場合はサイトごとお渡しします。

私たちがしないこと

36ヶ月に届かない解約でサイトが残る、という言い方はしません。7〜35ヶ月での解約ではサイトは非公開になります。そこを曖昧にしたまま契約していただくことは、しません。

もう1つ。5年、10年と同じ内容のまま使い続ける前提なら、一括で作るほうが総額は安くなります。そういう業種と使い方は確かにあって、そこを隠して月額制を勧めることはしません。分析や提案だけで終わらせず、公開後に一緒に直し続ける前提だから、月額という形にしています。

私たちがお役に立てるのは、「サイトは要るけれど、公開した後に社内で誰も触れない」という会社です。そして「3年前に安く作って、今どうにもできなくなっている」という会社も、一度ご相談ください。今あるサイトの状態から、何が引き継げて何が引き継げないかを一緒に確かめるところからできます。

実際にお作りしたサイトは 制作実績 に、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。ご相談いただいたら、貴社のサンプルを先に無料でお作りします。見て断っていただいても費用はかかりません。

9. まとめ:金額ではなく、直せるかどうかで見る

3年後に困らないために確かめることは、3つです。

  • 誰が作っているのか ― その人がいなくなったときに、代わりがいるかどうか
  • 直すとき、誰に言うのか ― 費用と回数と速度を、文字で確認する
  • 契約が終わったら何が残るのか ― ドメインの名義、データ、サイトの公開、管理画面のID

この3つを聞いておけば、安く作っても3年目に困りません。逆にこれを聞かずに金額だけで決めると、安いほうを選んだのに、3年で2回払うことになります。

そして今すでに安く作ったサイトをお持ちなら、今日できることが4つあります。ドメインを自社名義にする、原稿と写真を手元に保存する、管理画面のIDを控える、連絡先を1つに決める。合わせて1時間ほどで終わります。

最後にもう一度書いておきます。安いことは、悪いことではありません。削っている工程がはっきりしていて、直す道が残っているなら、安く作るのは合理的な判断です。問われているのは金額ではなく、3年後に手が出せるかどうかだけです。

まずは、今のサイトのドメインが誰の名義になっているかを調べてみてください。それだけで、見え方がかなり変わるはずです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。今あるものから何が引き継げるかを確かめるところから、ご一緒します。