1. 「家族に相談したら、やめておけと言われたそうで」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「面接ではすごく乗り気だったのに、内定を出したら辞退の連絡が来たんです。理由を聞いたら、家族に相談したら反対されたと。うちの何を見て反対したんでしょうね」

採用の話をしていると、こうした場面にたびたび出会います。本人は納得していた。条件も合っていた。それでも、最後の最後で話が止まる。そのとき、止めた人は面接の場にいません。本人の隣で、会社のホームページを開いていた家族です。

転職や就職は、本人ひとりで決めることではなくなっています。配偶者がいれば、暮らしがどう変わるかを一緒に考えます。学生や若い方なら、親が会社の名前を検索します。パートで働く方なら、子どもの送り迎えや家のことを家族と相談します。そのとき家族が手がかりにするのは、求人票と、会社のホームページです。

家族は、面接で質問できない

家族の立場には、1つ不利なところがあります。会社に直接質問する機会が無いことです。本人は面接で聞けますが、家族は本人の話と、画面に出ている情報だけで判断するしかありません。

だからこそ、ホームページに載っていないことは「分からないこと」になり、分からないことは不安として残ります。この記事では、家族が何を確かめているのか、採用ページにどう載せるのか、社員の顔や名前を出すときに何に気をつけるのかを、順に書いていきます。

この記事で書くこと

  • 家族が会社のホームページで確かめる4つのこと
  • 本人と家族では、同じページの読み方が違うこと
  • 採用ページに、家族向けの情報をどう入れるか
  • 社員の顔や名前を出すときの配慮
  • 古い情報が、なぜ家族の不安を生むのか

2. 本人の後ろで、家族もサイトを開いている

採用ページを作るとき、多くの会社は応募する本人だけを読み手に想定します。仕事のやりがい、成長できる環境、先輩の声。どれも大事ですが、読み手はもう1人いると考えたほうが現実に近いと思います。

応募者の家族

家族がサイトを見るのは、たいてい本人から「ここを受けようと思う」「内定が出た」と聞かされたときです。応募の前と、内定の後。この2つの場面で、家族は会社の名前を検索します。

応募の前に見る家族は、「こんな会社、本当にあるの」という確認をしています。内定の後に見る家族は、「ここで何年も働いて大丈夫か」という確認をしています。同じサイトを開いていても、確かめたいことの重さが違います。

いま働いている社員の家族

見落とされがちなのが、もう一方の家族です。すでに働いている社員の家族も、会社のホームページを見ています。

親戚の集まりで「どこで働いているの」と聞かれたとき、社員はスマートフォンで会社のサイトを見せます。子どもが学校で親の仕事を調べるとき、開くのも会社のサイトです。そのとき、何年も前の情報が並んでいたり、何をしている会社なのか分からなかったりすると、社員は少し肩身の狭い思いをします。

家族に見せて恥ずかしくないサイトかどうか。これは採用だけでなく、いま働いている人が長く続けられるかにも関わる話です。

パートで働く方の家族

パートやアルバイトの場合は、家族との相談がもっと具体的になります。何時に家を出て、何時に帰ってくるのか。子どもが熱を出したら休めるのか。扶養の範囲で働けるのか。これらは本人だけでなく、家族の暮らしの予定に直接かかわります。パートの募集ページの作り方は パート・アルバイト募集のページを、どう作るか にまとめてあります。

3. 家族が確かめる4つのこと

では、家族は会社のホームページで何を見ているのか。お話を伺っていると、たいてい次の4つに集まります。

①会社が実在するか

いちばん最初に確かめるのは、この会社が本当にあるのかどうかです。求人の情報だけでは、会社の実体が見えません。とくに名前を聞いたことのない会社だと、家族はまずそこを疑います。

見られるのは、所在地、電話番号、地図、代表者の名前、設立年、事業の中身です。会社概要のページにこれがそろっていて、住所を地図で開くと実際に建物がある。それだけで、家族の最初の不安はかなり減ります。

②続いているか

次に見るのは、この会社がこの先も続きそうかです。家族にとって、転職先がすぐに無くなってしまうことはいちばん困る事態です。

ただ、決算書を見るわけではありません。見ているのは、沿革に書かれた年数、取引先や仕事の実例、お知らせが最近まで書かれているかどうか。会社がいまも動いている気配を探しています。

③どう働くのか

3つ目は働き方です。本人は仕事の中身を気にしますが、家族は暮らしがどう変わるかを気にします。帰りは何時になるのか。土日は休めるのか。転勤はあるのか。夜勤や出張はあるのか。給料はどう決まるのか。

ここが曖昧だと、家族は「入ってみないと分からない」と受け取ります。入ってみないと分からない会社に、家族を送り出すのはためらわれます。

④安全に気を配っているか

4つ目は、現場の仕事がある会社ほど重くなります。工事、運送、製造、介護、清掃。体を使う仕事や、危ない場面がある仕事では、家族はけがをしないかを心配します。

安全のための決まり、新人の教え方、使っている道具や装備、健康診断。こうしたことがどこにも書かれていないと、家族は最悪の場面を想像します。書いてあれば、「この会社は考えている」と受け取ってもらえます。

表:家族が確かめる4つのことと、ホームページで見せる場所(例はすべて架空)
家族が確かめること見に行く場所載せておくもの
実在するか会社概要、アクセス、トップページの下の欄所在地と地図、電話番号、代表者の名前、設立年。たとえば「事務所の外観写真と、最寄り駅からの道順」
続いているか沿革、実績、お知らせ創業からの歩み、最近の仕事の実例、日付の新しいお知らせ。たとえば「今月の施工の報告」
どう働くのか採用ページ、募集要項、よくある質問始業と終業の時刻、休日、転勤の有無、給与の決まり方。たとえば「1日の流れを時刻つきで」
安全への取り組み採用ページ、会社の取り組み、サービスのページ安全の決まり、新人の教え方、装備、健康診断。たとえば「朝礼で危ない箇所を確認してから現場に入ります」

家族は、採用ページだけを読むわけではありません。会社概要や沿革、お知らせまで行き来して、会社全体を確かめています。採用ページを整えても、ほかのページが古いままだと、そこで不安が生まれます。

4. 本人と家族では、同じページの読み方が違う

4つの中身が分かったところで、もう1つ押さえておきたいことがあります。同じ採用ページでも、本人と家族では、読んでいる場所が違うということです。

本人は「仕事」を読み、家族は「暮らし」を読む

本人が採用ページで探しているのは、どんな仕事をするのか、どんな人と働くのか、自分にできるのかです。家族が探しているのは、その仕事によって家の毎日がどう変わるかです。

たとえば「やりがいのある仕事です」という一文。本人には響いても、家族には何も伝わりません。家族が知りたいのは、「毎日何時に帰ってくるのか」のほうです。

暮らしの言葉に直す

ですから、採用ページの条件の部分は、暮らしの言葉に直して書くと家族に伝わります。

  • 勤務時間 ― 「8時〜17時」だけでなく、「現場が遠い日は、7時に事務所を出ます。帰りは18時ごろが多いです」
  • 休日 ― 「週休2日」だけでなく、「日曜と、隔週で土曜が休みです。年末年始とお盆はまとめて休みます」
  • 残業 ― 「残業あり」だけでなく、「月末の数日は遅くなることがあります。それ以外はほぼ定時です」
  • 転勤 ― 「転勤はありません」と、無いことも書く
  • 急な休み ― 「子どもの急な発熱などで休むときは、当日の朝の電話で構いません」

無いことを書くのも大事です。転勤が無い、夜勤が無い、という情報は、家族にとって大きな安心材料になります。書かれていないと、家族は「あるのかもしれない」と考えます。

条件の書き方には、決まりがある場合も

給与や労働時間の書き方には、求人の表示に関する決まりがある場合があります。業種や雇用の形によっても違うので、細かいところは所管の窓口や社会保険労務士などの専門家に確認してください。ここで書いているのは、決まりを守ったうえで、どう書けば家族に伝わるかという話です。採用ページ全体の組み立ては 採用のためのホームページ ― 求人媒体との役割分担 に書いてあります。

5. 採用ページに、家族向けの情報をどう入れるか

では、家族向けの情報を、採用ページのどこにどう入れるか。いくつかのやり方があります。

「ご家族の方へ」の欄を、1つ作る

いちばん分かりやすいのは、採用ページの中に「ご家族の方へ」という短い欄を1つ作ることです。別のページにする必要はありません。数行から十数行で足ります。

書くのは、次のようなことです。

  • 会社の紹介を一言で ― 何をしている会社で、いつからあるのか
  • 働き方の要点 ― 帰りの時刻、休み、転勤の有無
  • 安全と健康のこと ― 何に気をつけているか、何を用意しているか
  • 困ったときの窓口 ― ご家族から会社に連絡したいときは、どこに連絡すればいいか

最後の項目は、意外と喜ばれます。家族が会社に直接連絡することはめったにありませんが、連絡先が分かっているだけで安心できるものです。

1日の流れを、時刻つきで書く

家族にいちばん伝わるのは、1日の流れを時刻つきで書いたものです。何時に出社して、何をして、何時に昼休みで、何時に帰るのか。

たとえば架空の例で言えば、「7時30分 事務所に集合、朝礼で今日の現場と危ない箇所を確認」「12時 現場で昼休み」「17時 片付けを終えて事務所に戻る」「17時30分 退社」。こう書かれていると、家族は自分の家の時間割に重ねて考えられます。

職場見学に、家族も来てよいと書く

もし実際に受け入れられるなら、「職場見学には、ご家族の方もご一緒にどうぞ」と書いておくのも1つの方法です。実際に来る家族は多くないかもしれませんが、書いてあること自体が、隠すことの無い会社だという合図になります。

ただし、受け入れる準備が無いなら書かないでください。書いてあるのに断られると、かえって不信を生みます。実際にやっていることだけを書く。これは家族向けの情報でも同じです。

福利厚生は、使われているものだけを

福利厚生を並べるときも同じです。制度として存在していても、誰も使っていないものを並べると、入ってから「話が違う」になります。実際に使われているものを、使われ方と一緒に書くほうが家族には響きます。たとえば「子どもの行事の日に、半日だけ休む社員がよくいます」のように、貴社で実際に起きていることを書けば、制度の名前より伝わります。

6. 社員の顔や名前を出すときの配慮

家族に安心してもらうには、どんな人が働いているかが見えることが大きな材料になります。顔の見える会社は、それだけで実在が伝わります。ただし、社員の顔や名前を出すには、いくつか配慮が要ります。

同意は、1人ずつ取る

まず、写真や名前を載せるときは、1人ずつ本人の同意を取ってください。全体朝礼で「載せるけどいいよね」と聞くのは、同意とは言えません。断りにくい場で聞かれた「はい」は、本心とは限らないからです。

同意を取るときは、どの写真を、どのページに、名前をどこまで出すかを見せたうえで聞きます。そして断っても何も不利にならないことを、はっきり伝えてください。

出したくない理由は、聞かない

社員の中には、事情があって顔や名前を出したくない人がいます。家族の事情かもしれませんし、以前の職場との関係かもしれません。理由は聞かずに、出さない選択をそのまま受け入れてください。

出し方にも段階があります。

  • 顔も名前も出す ― フルネームと顔写真
  • 名前を一部にする ― 名字だけ、あるいは下の名前だけ、イニシャル
  • 顔を出さない ― 後ろ姿や、手元だけの写真
  • 載せない ― 写真にも名前にも出ない

この4段階から本人に選んでもらえば、誰かに無理をさせずに、働いている人の姿を見せられます。

社員の家族やお子さんが写る写真

社内行事の写真に、社員の家族やお子さんが写っていることがあります。会社の雰囲気が伝わる写真ですが、家族やお子さん本人は、会社のホームページに載ることに同意していません。

載せるなら、写っている家族の同意も取る必要があります。お子さんの場合は保護者に確認します。顔が分からないように引きの写真にする、そもそも家族が写った写真は使わない、という判断のほうが無難な場面も多いと思います。

退職したときの扱いを、先に決めておく

もう1つ、退職したときに写真や名前をどうするかを、載せる前に決めておいてください。辞めた人の写真がいつまでも残っていると、本人にとっても、その写真を見た応募者や家族にとっても、よくありません。

「退職したら、ひと月以内に外す」と決めて、同意を取るときに一緒に伝えておくのがおすすめです。社員紹介ページそのものが要るかどうかは 社員紹介ページは、本当に要るのか に、インタビューを載せるときの同意と退職後の扱いは 採用ページの「社員インタビュー」を、どう作るか に詳しく書いてあります。

7. 古い情報が、家族の不安を生む

最後に、いちばん見落とされやすい話です。家族の不安は、書いてある中身だけでなく、情報の古さからも生まれます。

古さは、「動いていない」と読まれる

本人は、多少古い情報があっても「更新が追いついていないんだろう」と受け流します。面接で会社の人と会っているからです。家族は違います。会社と会ったことが無いので、古い情報をそのまま「この会社はいま動いていないのかもしれない」と読みます。

採用のことだけ整えても、ほかのページが古ければ、家族はそちらを見て判断します。

図:家族が引っかかる「古さ」の例(例はすべて架空)
① 年度が古い
「2022年度 採用情報」のまま

いまも募集しているのか、それとも何年も採用していないのか、家族には区別がつきません。年度の表記は、毎年直すか、最初から書かないかのどちらかにします。

募集が本当か、疑われる
② お知らせが止まっている
最後の更新が3年前

会社が続いているかを見ている家族にとって、止まったお知らせは不安そのものです。書くことが無ければ、日付の出る欄をトップに置かないという手もあります。

会社が動いているか、疑われる
③ 辞めた人が載っている
退職した社員のインタビュー

本人から「この人はもういない」と聞いた家族は、「人が辞める会社なのか」と受け取ります。退職したら外す決まりを、先に作っておきます。

人が続かない会社と、受け取られる

どれも、中身が悪いわけではありません。古いまま残っていることが、家族にとっての不安になります。年に一度でよいので、家族の目でサイト全体を開いてみてください。

条件が変わったら、採用ページから直す

給与を上げた、休日を増やした、勤務時間を変えた。こうした変更は、会社にとっては良い話です。ところが、ホームページの採用ページだけ古い条件のままになっていることがよくあります。

求人媒体の原稿は直したのに、サイトは直していない。すると家族は、求人票とホームページで条件が違うことに気づきます。どちらが本当なのか分からない会社は、それだけで信用を落とします。条件を変えたときは、求人媒体とホームページを同じ日に直すと決めておくと漏れません。

家族の目で、年に一度サイトを開く

おすすめしたいのは、年に一度、家族になったつもりでサイトを開いてみることです。社員の家族に頼んで、実際に見てもらうのも1つの方法です。

「この会社、何をしているの」「帰りは何時なの」「危なくないの」。家族が口にしそうな質問に、ホームページが答えられているか。答えられていない質問が、次に足すべき情報です。

8. 雄喜晃の伴走:家族が読んでも分かる採用ページに整えます

私たち雄喜晃は、採用ページを作るとき、応募する本人だけでなく、その家族が読むことを前提に組み立てます。

私たちがやること

最初のお打ち合わせで、1日の流れ、休みの取り方、転勤の有無、安全のために現場でしていることを伺います。それを家族にも伝わる言葉に直し、採用ページに「ご家族の方へ」の欄や、時刻つきの1日の流れとして配置します。家族が行き来する会社概要や沿革も、あわせて見直します。

社員の写真は、貴社で撮っていただいたものを、ページに合う形に整えて載せます。載せる前には、誰の写真をどこに、名前をどこまで出すかを一覧にして、貴社で本人の同意を確かめていただく段取りにしています。

条件が変わったときや社員が退職したときの書き換えは、月5回までの更新代行の中でこちらが反映します。ご連絡いただければ、採用ページだけでなく、関係するページもまとめて直します。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。採用ページを含めて6ページ構成にする場合は月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

先に書いておきます。社員の声やインタビューを、こちらで作文することはしません。実際に働いている方の言葉ではないものを載せると、入社した人が「話が違う」と感じる原因になるからです。

給与や労働時間などの条件そのものを決めることも、私たちの役目ではありません。条件の表示についての判断が必要な場合は、社会保険労務士などの専門家に確認していただくようお願いしています。また、応募が何件増えるといったお約束もしません。私たちにできるのは、家族が読んだときに「分からない」が残らないページにすることです。

「内定を出しても、家族の反対で辞退される」という経験がある会社は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:本人の隣にいる人に、答えておく

社員や応募者の家族に向けて、ホームページで押さえておくことは5つです。

  • 家族も読み手だと考える ― 応募の前と内定の後、家族は会社の名前を検索しています
  • 4つの問いに答える ― 実在するか、続いているか、どう働くのか、安全に気を配っているか
  • 暮らしの言葉で書く ― 帰りの時刻、休み、転勤の有無。無いことも書く
  • 顔と名前は、1人ずつの同意で ― 出し方を選んでもらい、退職したときの扱いを先に決める
  • 古さをなくす ― 年度、止まったお知らせ、辞めた人の写真。古さは「動いていない」と読まれます

家族は面接の場にいません。会社に質問することもできません。だからこそ、ホームページが家族の質問に先回りして答えておく必要があります。

今日できることを1つだけ挙げます。ご自身の家族に、自社の採用ページをスマートフォンで見てもらってください。最初に出てきた質問が、次に書き足すべきことです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の働き方を、家族にも伝わる言葉にするところから、ご一緒します。