1. 「結局、いつ公開できるんでしょうか」

「最初は『そんなにかかりませんよ』と言われたんです。でも気づいたら季節が変わっていて。向こうが遅いのか、うちが遅いのか、それも分からないんですよね」

ホームページの制作をご相談いただくと、こうしたお話をよく伺います。そして、経緯をお聞きしていくと、たいていは同じところで止まっています。

期間を延ばしているのは、作業の量ではなく「待ち」の長さです。制作会社が手を動かしている時間より、原稿や写真を待っている時間、確認の返事を待っている時間のほうが長くなっている。そういうことがよくあります。

先にお断りしておくと、この記事では「何日で終わります」という数字は書きません。待ちの長さは会社ごとにまったく違うので、日数を一般化しても貴社の判断には使えないからです。そのかわり、貴社の場合に何が期間を決めるのかを、自分で見積もれるように書きます。

この記事で書くこと

  • 期間の中身 ― 作業の時間と、待ちの時間の2つに分けて見る
  • 4つの待ち ― 原稿・写真・確認・決裁が、それぞれどこで長くなるか
  • 規模ごとの考え方 ― ページ数より、待ちが増える場所で見る
  • 逆算の段取り ― 公開日を先に決めて、手前に締切を置く
  • 急ぐとき ― 削れるものと、削ってはいけないもの
  • 遅れる典型 ― よくある6つの止まり方と、防ぎ方

2. 期間を決めているのは、作業より「待ち」

作業の時間と、待ちの時間

ホームページの制作期間は、2つの時間の足し算です。

1つは作業の時間です。構成を考える、デザインを作る、ページに組み込む、表示を確かめる。制作会社が手を動かしている時間です。これは、ページ数と内容が決まれば、ある程度見積もれます。

もう1つは待ちの時間です。制作会社が手を止めて、貴社からの原稿や写真、確認の返事を待っている時間です。こちらは見積もるのが難しい。貴社の社内の事情で決まるからです。繁忙期が重なる、担当の方が出張に出る、社長の予定が空かない。どれも制作会社の側からは動かせません。

待ちは、4つの場所で起きる

待ちが起きる場所は、だいたい4つに絞れます。

  • 原稿 ― 会社の説明やサービスの文章が、貴社から届くのを待つ
  • 写真 ― 現場や社員、商品の写真がそろうのを待つ
  • 確認 ― デザインや文章を見ていただき、修正の指示が戻るのを待つ
  • 決裁 ― 最後に決める方が「これで公開してよい」と言うのを待つ
図:制作の流れと、手が止まる4つの場所(流れは一般的な例です)
① 打ち合わせ・構成

誰に向けたサイトか、何ページにするか、何を載せるかを決めます。ここは制作会社と一緒に進める段です。

待ち:原稿と写真が届くまで。いちばん長くなりやすい場所です
▼
② デザイン・原稿の整理

届いた材料をもとに、見た目と文章を形にします。材料がそろっていれば、作業そのものは進みます。

待ち:確認の返事。確認する人が多いほど、往復が増えます
▼
③ 組み込み・動作の確認

ページを組み、スマートフォンでの表示や、問い合わせフォームが届くかを確かめます。

待ち:決裁。最後に決める方が初めて見ると、ここで戻ることがあります
▼
④ 公開

ドメインやメールの切り替えがある場合は、ここで手続きの待ちが入ることもあります。

期間を縮める余地は、作業の段より、間に挟まった待ちの段にあります

①〜④の作業は、制作会社の側で進められます。間に挟まった待ちは、貴社の側でしか縮められません。期間を見積もるときは、この待ちがそれぞれ何日くらいになりそうかを、社内の予定から考えてみてください。

「制作期間」と言われたら、何が入っているかを聞く

制作会社が出す期間は、多くの場合、作業の時間を前提にしています。待ちがどれだけ入っているかは、会社によって違います。見積もりで期間を示されたら、次の2つを聞いてみてください。

「その期間は、こちらの原稿と写真がいつ届く前提ですか」 「確認は何回くらい、何日以内に返す前提ですか」

この答えで、期間の中身が見えます。前提どおりに材料を出せそうかどうかは、貴社のほうが分かります。

3. 4つの待ちを、1つずつ見る

原稿の待ち ― いちばん長くなりやすい

原稿は、待ちの中でいちばん長くなりやすい場所です。白紙から文章を書く作業は、日中の仕事に後回しにされるからです。経営者の方が書く前提になっていると、なおさらです。お客様の対応や現場が優先になり、「週末にやろう」が何度も繰り返されます。

対処は、書かずに済む形にすることです。話した内容を制作会社に起こしてもらう、既存の資料や見積書の説明文を渡す。原稿を経営者が書かずに進める方法は、ホームページの原稿を、経営者が書かずに済ませる方法 にまとめてあります。

写真の待ち ― 「いい写真を撮ってから」が止める

写真は、撮影の日程に左右されます。天気、現場の都合、写ってほしい社員がそろう日。条件が重なる日を待っているうちに、時間が過ぎていきます。

対処は、今ある写真で一度組んでおき、撮れたものから差し替える前提にすることです。撮影がどうしても必要な写真だけを先に決め、その日程だけは早めに押さえてください。

確認の待ち ― 確認する人が増えるほど延びる

確認は、人数が増えるほど長くなります。1人目の修正を2人目が戻す、2人目の意見を1人目に確かめる。往復が増えるのは、確認する人の数というより、順番に回していることが原因です。

対処は3つです。確認する人を最初に決める。返す締切を決める。全員の指摘をまとめて、1回で返す。この3つを決めておくだけで、往復はかなり減ります。

決裁の待ち ― 最後に出てくる人

いちばん大きく戻るのが、この待ちです。完成間近になって、社長や会長、親会社の方が初めてサイトを見て、方向そのものが変わる。それまでの確認が、すべてやり直しになります。

対処は、決める方に最初の打ち合わせに出ていただくことです。全部の回でなくても構いません。最初の1回と、構成が固まったところの1回。この2回を見ていただくだけで、最後の大きな戻りは起きにくくなります。打ち合わせに誰が出るべきかは 制作会社との打ち合わせを、1回で終わらせる準備 に書きました。

待ちの外側にある手続き

4つの待ちとは別に、手続きの待ちもあります。ドメインやメール、既存のサイトの契約です。ログインの情報が見つからない、前の制作会社に問い合わせないと分からない、契約者の名義が退職した社員のまま。作業そのものは短くても、ここで止まることがあります。

これは、着手の前に探しておけば済む話です。既存のサイトがある場合は、契約の書類とログインの情報が手元にあるかを、先に確かめておいてください。

4. 規模ごとの考え方 ― 日数より「待ちが増える場所」で見る

規模が大きくなれば、期間は延びます。ただ、ページ数に比例して延びるわけではありません。ページが増えて増えるのは、作業より、原稿・写真・確認の待ちのほうです。そして確認する人が増えると、決裁の待ちが増えます。

たとえば1ページなら短く済みやすく、ページ数や確認する人が増えるほど延びます。その延び方を、待ちの側から見ると次のようになります。

表:規模ごとに、待ちが増える場所(たとえばの考え方です。日数は会社ごとに違います)
規模増えやすい待ち延ばさないための考え方
1ページ原稿が1枚、確認が1回で済むので、待ちが少ないたとえば会社の説明・サービス・連絡先だけで先に出し、あとから足す
数ページページごとに原稿と写真が要る。1ページだけ遅れて、全体が止まることがあるそろったページから先に出すか、遅れそうなページを公開後に回す
多くのページ部署ごとに原稿を集めることになり、催促する人がいなくなりやすい原稿を集める担当を社内に1人決め、締切をその人が持つ
確認する人が多い確認が順番に回り、往復が何周もする指摘をまとめる人を決め、1回で返す。最後に決める人も最初から入れる
機能を足す予約や問い合わせの受け方など、社内で決めることが増える誰が受けて、いつ返すかを先に決める。決まらない機能は公開後に回す

表の中の例は、説明のための架空のものです。期間を見積もるときは、ページ数より「右の列の担当を決められるか」で考えるほうが、実際の期間に近づきます。

1ページは、待ちが少ない

1ページで始めると、原稿も写真も確認も1回で済みます。待ちが起きる場所そのものが少ないので、期間は短くなりやすいです。最初から全部のページを作らず、1ページで出してから増やす進め方は 1ページから始めて、あとから増やす進め方 にまとめました。

ページが増えると、いちばん遅いページに合わせることになる

数ページのサイトで起きやすいのは、1ページだけ原稿が来ないせいで、ほかのページも公開できないという状態です。全部をそろえてから公開する前提だと、いちばん遅いページが全体の期間を決めます。

この場合は、遅れているページを公開後に回すかどうかを、早めに決めてください。公開日を守るか、ページをそろえるか。どちらを優先するかが決まっていれば、迷う時間がなくなります。

機能を足すと、作業より「決めること」が増える

予約、問い合わせの振り分け、ネットショップ、多言語。機能を足すと作業も増えますが、それ以上に社内で決めることが増えます。誰が受けるのか、何時間以内に返すのか、在庫が切れたらどうするのか。決まらないと、作業は終わっていても公開できません。

作り直しは、「今の中身の確認」が待ちになる

既存のサイトを作り直す場合は、ゼロから作るより早いと思われがちです。文章も写真もすでにあるからです。ところが実際には、今載っている情報のうち、どれがまだ正しいかを確かめる待ちが入ります。

改定前の料金、退職した社員の写真、もう受けていないサービス。1ページずつ「これは残す」「これは直す」を決めていくと、その判断に時間がかかります。古いページのURLをどう扱うかも、決めておくことの1つです。この点は リニューアルでURLが変わるときに、失うもの に書きました。作り直しの場合は、まず今のサイトを印刷して、残すものに丸をつけるところから始めると早く進みます。

5. 公開日から逆算する段取り

先に、公開日を決める

期間を短くしたいなら、まず公開日を決めてください。期限のない仕事は、待ちが伸びます。「できたら公開しましょう」と言っている限り、原稿も確認も、ほかの仕事に後回しにされます。

公開日には、理由をつけておくと守られやすくなります。展示会、新年度、移転、採用の開始、新しいサービスの開始。その日に間に合わないと困る理由があると、社内の優先順位が上がります。

Step 1:公開日と、その理由を決める

まず、公開したい日と、その日である理由を1行で書きます。理由が無ければ、「〇月中に公開する」と社内に宣言するだけでも構いません。

Step 2:最後に決める人の予定を、先に押さえる

公開日の手前に、決める方が最終確認をする日を置きます。この日の予定を、最初に押さえてください。決める方の予定が空かないことが、最後の待ちをいちばん長くします。

Step 3:確認の回数と、返す締切を決める

デザインと文章の確認を何回にするか、それぞれ何日以内に返すかを決めます。回数は少ないほど期間が読みやすくなります。

Step 4:原稿と写真の締切を決める

いちばん手前に来るのが、原稿と写真の締切です。ここが遅れると、後ろの全部が押されます。そろわないものは、仮の文章や今ある写真で進める、と先に決めておいてください。

Step 5:余白を、確認の前に置く

予定どおりに進む前提で組むと、待ちが1回延びただけで公開日が動きます。余白は、確認の前に置いておくのがおすすめです。原稿が少し遅れても、確認の日程を動かさずに済みます。

段取りは、1枚の表にして両方で持つ

ここまでを、日付・やること・担当の3列の表にしてください。大事なのは、貴社側の締切も同じ表に書いてあることです。制作会社の作業の予定だけが書かれた表では、待ちが見えません。進める前に何を決めておくかは、ホームページを作る前に、決めておく5つのこと とあわせて見ていただくと整理しやすいと思います。

6. 急ぐときに、削れるもの・削れないもの

公開日が近いのに間に合いそうにないとき、何を削るかで結果が変わります。

削れるもの

  • ページ数 ― 最初は少ないページで出し、残りは公開後に足す
  • 撮り下ろしの写真 ― 今ある写真で出し、撮影が済んだら差し替える
  • 凝った動きや装飾 ― 見た目の演出は、あとから足しても困りません
  • 足したい機能 ― 予約やショップは後回しにして、最初は電話とフォームで受ける
  • 文章の磨き込み ― 情報が正しければ、言い回しは公開後に直せます

削れないもの

  • 載せる情報の正しさ ― 社名、住所、電話番号、料金、許認可の番号。間違ったまま出すと、直すまでのあいだに信用が減ります
  • 問い合わせが届くこと ― フォームから実際に送って、届く先と受ける人を確かめる
  • スマートフォンでの表示 ― パソコンだけで確かめて公開しない
  • 決める人の確認 ― 飛ばすと、公開したあとに戻ることになります
  • メールを止めない切り替え ― 既存のサイトから移るときは、メールが届かなくなる時間が出ないかを確かめる

急ぐときほど、確認の回数を減らす

急ぐと、確認を急かしたくなります。ただ、縮めやすいのは確認の速さより、確認の回数です。指摘をまとめて1回で返す。決める人に、最初から同じ画面を見てもらう。急ぐ理由を社内で共有しておくと、返事も早くなります。

7. 遅れる典型と、防ぎ方

最後に、よくある止まり方を6つ挙げます。どれも、始める前に手が打てるものです。

典型①:原稿を「全部そろってから」渡そうとする

全部書けてから渡そうとすると、いちばん書きにくいページが全体を止めます。そろったものから、1ページずつ渡してください。制作会社は、届いたものから作業を進められます。

典型②:確認する人が、途中で増える

最初は担当の方だけだったのに、途中から部長が入り、最後に社長が入る。そのたびに、前の確認がやり直しになります。確認する人の名前は、最初に決めておきます。

典型③:最後に決める人が、完成間際に初めて見る

先に書いたとおり、いちばん大きく戻るのがこれです。構成が固まった段階で、一度だけでも見ていただいてください。

典型④:公開直前に「やっぱり、これも」

完成が見えてくると、足したいものが出てきます。気持ちは分かりますが、足したいものは公開後のリストに書くと決めておくと、公開日が動きません。

典型⑤:ログインの情報や契約の書類が見つからない

既存のドメインやサーバーの情報が分からず、切り替えの直前で止まる。これは着手の前に探しておけば防げます。

典型⑥:制作会社の返事が遅い

待ちは、貴社の側だけで起きるわけではありません。制作会社の返事が遅いことも、もちろんあります。最初の打ち合わせで、返事の目安を聞いておいてください。お互いの返事の目安が決まっていれば、どちらで止まっているかがすぐ分かります。

8. 雄喜晃の伴走:待ちを短くするところから、ご一緒します

私たちがやること

私たち雄喜晃は、最初の打ち合わせで公開したい日と、その理由を伺います。そこから、貴社側の締切も含めた段取りを一緒に組みます。原稿は、経営者の方に白紙から書いていただくのではなく、お話を伺って私たちが文章に起こします。写真は今あるもので一度組み、撮れたものから差し替えます。確認していただく箇所はまとめてお見せし、1回で返していただける形にします。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、公開後の写真の差し替えや文章の直しも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

待ちの見込みが立たないうちに、公開日だけを約束することはしません。急ぐために、載せる情報の確認やフォームの送信テストを飛ばすこともしません。検索の順位や、問い合わせの件数をお約束することもいたしません。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

公開したい日はあるのに、何から手を付ければ間に合うのか分からないという方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:期間は、待ちの段取りで決まる

ホームページの制作期間について、押さえておくことは5つです。

  • 期間は、作業と待ちの足し算 ― 縮める余地が大きいのは、待ちのほう
  • 待ちは4つの場所で起きる ― 原稿・写真・確認・決裁。それぞれに担当と締切を置く
  • 規模はページ数より、待ちの増え方で見る ― 1ページなら短く、ページや確認する人が増えるほど延びる
  • 公開日を先に決めて、逆算する ― 決める人の予定を最初に押さえ、余白は確認の前に置く
  • 急ぐときは、正しさを削らない ― 削るのはページ数・写真・装飾・機能。情報の正しさと、問い合わせが届くことは残す

「どれくらいかかりますか」という問いの答えは、半分は貴社の手元にあります。待ちの段取りが決まれば、期間はかなり読めるようになります。

今日できることを1つ挙げます。公開したい日とその理由を1行で書き、その下に「原稿・写真・確認・決裁」の4つを並べて、それぞれに社内の担当者の名前を書いてみてください。名前が入らない欄が、貴社の期間をいちばん延ばしそうな場所です。