1. 「うちの社名、ちゃんと読んでもらえているんでしょうか」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「先日、取引先の方から『実は、社名をずっとなんとお読みするのか分からなくて』と言われまして。名刺交換から1年くらい経っているんです。電話のときも、社名を言わずに『あの、北区の……』と言っていたらしくて」
社名や店名は、付けた本人にとっては毎日口にする言葉です。だから、読めない人がいるということに、なかなか気づけません。難しい漢字、思いを込めた当て字、響きで選んだ英字。どれも良い名前ですが、初めて見た人が正しく読めるとは限りません。
そして、読めない名前は、口にしてもらえません。口にしてもらえない名前は、電話でも、検索でも、紹介でも使われにくくなります。この記事では、ホームページで読み方を伝える方法と、ほかの場所とのそろえ方を書きます。
この記事の役割
名前に関わる話を書いた記事がいくつかあるので、役割を先に分けておきます。
- 英語の社名の綴り ― ローマ字の揺れや「株式会社」の英語は 会社名の英語表記を、決めているか に書きました
- 似た名前の会社との取り違え ― 同じ名前や似た名前の会社と、間違えられる に書きました
- この記事 ― その手前の、日本語でどう読むかを伝える話です
この記事で書くこと
- 読めない名前で起きること
- 読み方を載せる場所
- ふりがなの付け方と、見た目
- 名前の由来を添えること
- 英字や記号の社名の、書き方の揺れ
- Googleマップ・名刺・看板とのそろえ方と、よくある失敗
2. 読めない名前で、起きること
先に、読めない名前で何が起きているかを見ておきます。どれも、貴社の側からは見えにくいことです。
電話で、名前を言えない
お客様が電話をかけてきたとき、最初に言うのは「〇〇さんですか」という確認です。読めない名前だと、ここで言葉に詰まります。社名を飛ばして、用件から話し始めるか、「ホームページを見たんですが」と前置きすることになります。
逆の場面もあります。貴社が電話で「とうわけんこうです」と名乗っても、相手の頭の中で漢字が浮かびません。あとで書類の宛名を書くときに、聞いた音から漢字を当てて、違う字で届くことがあります。
検索で、打てない
名刺やチラシを見た人が、あとで貴社を調べようとします。ところが読み方が分からないと、検索の欄に名前を打てません。それらしい読みで打っても、変換で同じ漢字が出てこないこともあります。
すると、名前で探すのをあきらめて、「北区 塗装」のように業種と地域で探し直します。その結果に貴社が出てくるとは限りません。同業のほかの会社のサイトを先に開いて、そちらで話が進むこともあります。社名で検索したときに出る候補の言葉については 社名で検索すると、「評判」や気になる言葉が一緒に出てくる に書きました。
紹介してもらいにくい
紹介は、名前を口で伝えることから始まります。「いい工務店があるよ。名前は……なんだっけ、漢字の難しい」。名前を言えないと、紹介の言葉がそこで止まります。紹介された人は、聞いた名前で探せません。
違う読みで、覚えられる
もう1つ、気づきにくいことがあります。読めないまま、それらしい読みで覚えられてしまうことです。取引先の社内で、違う読みのまま名前が広まる。名簿に、違うふりがなで載る。直す機会がないまま、何年も過ぎることがあります。
3. 読み方を載せる場所
ここからが本題です。読み方は、サイトのあちこちに書く必要はありません。名前が最初に目に入る場所と、名前を確かめに来る場所に置きます。
| 載せる場所 | 書き方の例 | 気をつけること |
|---|---|---|
| トップのいちばん上 | たとえばロゴの横か下に、小さく「とうわけんこう」 | ロゴの画像の中だけでなく、文字としても置く |
| 会社概要 | たとえば社名の行を「株式会社 燈和建工(とうわけんこう)」とする | 代表者の名前が読みにくい場合も、同じ形で添える |
| フッター | たとえば社名のすぐ下に「とうわけんこう」と1行 | 全ページに出る場所なので、どのページから読み始めた人にも届く |
| トップのタイトルや説明文 | たとえば説明文に「燈和建工(とうわけんこう)は、神戸市北区の…」 | 入れるのはトップに1回で足りる。全ページに詰め込まない |
| 電話番号の近く | たとえば「お電話では『とうわけんこうです』と出ます」 | かける前に読みが分かるので、名前を言いやすくなる |
5か所すべてに置かなくても構いません。最低限は、トップのいちばん上と、会社概要と、フッターです。ここに同じ読みが書いてあれば、名前が目に入る場所と、確かめに来る場所の両方に届きます。
トップのいちばん上:最初に名前を見る場所
トップページを開いた人が最初に見るのは、左上のロゴか社名です。ここで読み方が分かれば、そのあと本文を読むあいだ、頭の中で名前を正しく読めます。
注意したいのは、ロゴが画像になっている場合です。画像の中に小さくふりがなが入っていても、スマートフォンでは読めない大きさになります。検索エンジンも、画像の中の文字は読み取りにくいとされています。ロゴの近くに、文字として読み方を置いてください。
会社概要:名前を確かめに来る場所
会社概要は、取引の前に社名や住所を確かめに来る人が見るページです。書類に社名を書く人、電話をかける前の人が、ここで読み方を確かめます。社名の行に、かっこで読みを添えるのがいちばん分かりやすい形です。
会社概要に何を載せるかは 会社概要のページに、何を載せるか にまとめました。代表者の名前に読みを添える話も、そちらに書いています。
フッター:どのページにも出る場所
フッターは、全ページの下に同じものが出る場所です。検索から事例のページやお知らせに直接来た人は、トップを見ていません。どこから読み始めた人にも読み方を届けるなら、フッターがいちばん確かな場所です。フッター全体の組み方は ホームページのいちばん下(フッター)に、何を置くか に書きました。
タイトルと説明文:検索結果で見える場所
検索結果に出るページのタイトルと、その下の説明文にも、読み方を1回入れておくと、検索結果の段階で読みが伝わります。ただ、説明文は検索エンジンが書いたとおりに出すとは限りません。本文やフッターに書いてあることのほうが大事です。
読み方を書いておくと、ひらがなで名前を打った人にサイトが見つかりやすくなる、と考えたくなります。そういう場面もあるかもしれませんが、検索の結果は検索エンジンが決めるので、言い切れることではありません。見つけてもらうためというより、見つけた人に正しく読んでもらうために書く、と考えてください。
4. ふりがなの付け方と、見た目
読み方の付け方には、いくつかの形があります。見た目の印象も、読みやすさも少しずつ違います。
いちばん確かな形です。どの画面でも同じ大きさで読めます。会社概要の表の中や、本文で初めて名前が出るところに向いています。
社名の下に、ひと回り小さく読みを置く形です。ロゴの近くやフッターで、見た目を崩さずに読みを添えられます。
新聞のふりがなと同じ形です。制作会社には「ルビ」と伝えれば通じます。上品に見えますが、スマートフォンでは読みが小さくなりすぎることがあります。
画面によっては小さすぎて読めません。読み上げの機能にも、検索エンジンにも伝わりにくい形です。ほかの形と組み合わせてください。
どれか1つに決める必要はありません。場所ごとに合う形を選び、読み方そのものは全部の場所で同じにすることが大事です。
ひらがなか、カタカナか、ローマ字か
読みを書く文字は、ひらがなが無難です。漢字の社名にひらがなを添えると、やわらかく、読みやすく見えます。社名の中にカタカナが入っている場合は、全体をカタカナで書いたほうが収まりのいいこともあります。
ローマ字で添える形もあります。看板や名刺のデザインでは、ローマ字のほうが見た目になじむことが多いからです。ただ、ローマ字はのばす音や「ん」の書き方で、読みが揺れます。「Towa」と書くと「とわ」とも読めます。ローマ字を使うなら、ひらがなの読みも1か所は書いておくと安心です。ローマ字の綴りの決め方は、先に挙げた英語表記の記事に書きました。
何回も付けない
読みは、本文で名前が出るたびに付ける必要はありません。1ページに1回、最初に名前が出るところで足ります。何度もかっこが続くと、文章が読みにくくなります。
読み上げの機能にも、文字で伝える
目の見えにくい方などが使う、画面の文字を読み上げる機能があります。難しい漢字や当て字は、この機能が別の読みで読んでしまうことがあります。読み方が文字で書いてあれば、聞いている人にも正しい読みが届きます。
5. 名前の由来を添えると、覚えてもらえる
読み方と一緒に、名前の由来を短く添えておくと、名前が覚えてもらいやすくなります。
意味が分かると、読みが残る
「燈和建工」と読みだけを書くより、「家に明かりを燈し、暮らしの和をつくる、という思いで付けました」と1行あるほうが、読みと意味がつながって、記憶に残ります。例は架空ですが、難しい漢字や当て字の名前ほど、由来を聞くと「なるほど」と腑に落ちることが多いものです。
由来は、名刺交換や商談の場で、話のきっかけにもなります。「お名前の由来、ホームページで拝見しました」と言ってもらえると、最初の会話が少し楽になります。
置く場所は、会社概要か代表挨拶
由来は、トップに大きく書くものではありません。会社概要の社名の近くに2〜3行、または代表挨拶の中がなじみます。店であれば、店の紹介のページに添えるのもよい形です。
事実だけを、短く
由来を書くときは、実際の経緯をそのまま書いてください。創業者の名前から1字ずつ取った、生まれた町の名前から取った、響きが好きだった。それで十分です。後から立派な意味を付け足すと、古くからの取引先に「そんな話だったかな」と思われることがあります。長さは2〜3行までにしておくと、読まれます。
6. 英字や記号の社名は、書き方の揺れをそろえる
英字やカタカナ、記号の入った社名には、別の悩みがあります。読みが1つに決まっていないことと、書き方が場所ごとに変わることです。
英字の名前は、カタカナの読みを1つ決める
たとえば「Ciel工房」(例は架空)。付けた人は「シエル」と読んでほしくても、初めて見た人は「シール」「キエル」と読むかもしれません。英字の名前は、カタカナでどう読むかを1つ決めて、サイトに書いておきます。「Ciel工房(シエルこうぼう)」のような形です。
記号と区切りの書き方を、1つに決める
記号の入った名前は、書き方が揺れやすいところです。よくあるのは、次のような揺れです。
- 「&」の扱い ― 「Ciel&Co.」「Ciel & Co.」「シエルアンドコー」が混ざる
- 中黒と空白 ― 「アオイ・クラフト」「アオイクラフト」「アオイ クラフト」が混ざる
- 大文字と小文字 ― 「CIEL」「Ciel」「ciel」が場所によって違う
- 全角と半角 ― 英字や記号が、ページによって全角になったり半角になったりする
例はすべて架空です。どれも小さな違いですが、読む人には別の会社の名前に見えることがあります。どの書き方を正式にするかを決めて、サイトの中で1つにそろえてください。
登記の表記と、ふだんの書き方
登記の社名と、看板やロゴで使っている書き方が違う会社もあります。その場合も、会社概要には登記どおりの社名を書き、ふだんの呼び名と読み方を添えておくと、確かめに来た人が迷いません。登記で使える文字には決まりがあるので、気になる場合は専門家に確認してください。社名の表記全体のそろえ方は ホームページと名刺・封筒で、書いてあることが違う にまとめました。
7. ほかの場所の名前と、そろえる
サイトで読み方を整えたら、ほかの場所の名前も見直します。どこで見ても、同じ名前に、同じ読みが理想です。
Googleマップ
Googleマップに出る名前は、看板や店先で使っている名前と同じにするのが基本です。読み方や説明の言葉を名前の欄に足すことは、Googleの案内で認められていない場合があります。名前の欄はそのままにして、読み方は説明の欄や、リンク先のホームページで伝える形が無難です。ホームページの社名と、Googleマップの名前の書き方(記号や空白も含めて)がそろっているかも、一度見比べてください。
名刺
名刺は、名前が読めないことがいちばん起きやすい場所です。社名の近くに、小さくひらがなかローマ字で読みを添えます。担当者の名前が読みにくい場合も同じです。名刺を作り直すときに、サイトと同じ読みにそろえてください。
看板と車
看板や車の文字は、作り直すのに費用がかかります。急いで替える必要はありません。次に作り直すときに、読みかローマ字を添えると決めておけば十分です。新しく作る場合は、遠くから見たときに読みの文字が小さすぎないかも確かめてください。
電話の名乗りと、SNS
電話に出るときの名乗りも、読みをそろえる場所の1つです。ゆっくり、はっきり名乗るだけで、相手は名前を覚えやすくなります。SNSのアカウント名がローマ字の場合は、その綴りがサイトの読みと合っているかも確かめてください。
よくある失敗
- ロゴの画像の中にしか、読みがない ― スマートフォンでは読めず、検索エンジンにも伝わりにくい
- 場所によって読みが違う ― サイトはひらがなで「とうわ」、名刺のローマ字は「Towa」で「とわ」とも読める
- ふりがなが小さすぎる、薄すぎる ― 付けてあるのに、読めない
- 本文のあちこちに、かっこの読みが続く ― 1ページに1回で足りる
- 由来が長すぎる ― 会社の歴史まで書くと、読みの話が埋もれる
Step 1(今週):社外の人に、名前を読んでもらう
ここからはやる順番です。まず、貴社と付き合いの浅い人に、名刺かサイトを見せて、名前を声に出して読んでもらってください。家族や社員では、読み方を知っているので確かめになりません。読み間違えや言いよどみがあれば、読み方を伝えたほうがよい名前です。
Step 2(今月):サイトの3か所に、同じ読みを置く
トップのいちばん上、会社概要、フッターに、同じ読みを文字で置きます。英字や記号の名前なら、正式な書き方とカタカナの読みを決めます。由来も、2〜3行で書けるなら添えます。
Step 3(作り直すたび):名刺・看板・Googleマップをそろえる
名刺を刷り直すとき、看板を掛け替えるとき、Googleマップを見直すときに、サイトと同じ名前と読みにそろえます。
8. 雄喜晃の伴走:名前の読み方を、サイトの中でそろえます
私たち雄喜晃がホームページを作るときは、最初のお打ち合わせで、社名や店名を声に出して読んでいただくところから始めます。読み方、由来、英字や記号の正式な書き方を伺い、サイトのどこに何を置くかを決めます。
私たちがやること
- 読み方を置く場所を決める ― トップのいちばん上、会社概要、フッターに、同じ読みを文字で置きます
- 見た目に合うふりがなの形を選ぶ ― かっこ、下の行、ルビのどれが合うかを、スマートフォンでの見え方を確かめながら決めます
- 由来を短い言葉にする ― 伺った経緯を、2〜3行の文にまとめて、会社概要か代表挨拶に置きます
- 書き方の揺れを一覧にする ― 記号や大文字・小文字の正式な形を決め、サイトの中を全部そろえます。名刺やGoogleマップと見比べるための一覧もお渡しします
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、名刺や看板に合わせて読みの書き方を直したいときも、この回数の中でお受けします。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトを譲渡します。
私たちがやらないこと
- 社名や店名を付ける・変える提案はしません。名前は経営の判断なので、いまの名前を伝わる形にするところまでが私たちの仕事です
- 由来を作文して、立派に見せることはしません。伺った事実だけを、短い言葉にします
- 名刺や看板の制作はお受けしていません。サイトと同じ書き方の一覧をお渡しするので、作る会社にそのままお伝えください
- 読み方を書けば検索で見つかりやすくなる、とはお約束しません。見つけた人に正しく読んでもらうためのものです
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。
「社名を初めて見た人に、読み方を聞かれることがよくある」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:名前は、読めて初めて呼んでもらえる
社名や店名の読み方を、ホームページで伝えるときに押さえることは5つです。
- 読めない名前は、口にしてもらえない ― 電話でも、検索でも、紹介でも使われにくくなる
- 読みは、トップのいちばん上・会社概要・フッターに ― ロゴの画像の中だけにせず、文字で置く
- ふりがなは、場所に合う形で、読みは1つに ― 迷ったら、かっこで後ろに。1ページに1回で足りる
- 由来を2〜3行添えると、覚えてもらえる ― 実際の経緯を、そのまま短く
- 英字や記号の書き方をそろえ、ほかの場所も合わせる ― Googleマップ、名刺、看板、電話の名乗りまで
名前は、会社がいちばん多く口にしてもらいたい言葉です。読み方が1行あるだけで、その名前を呼んでもらえる場面が増えます。
まず、今日できること
貴社のサイトのトップページを、初めて見る人のつもりで開いてみてください。社名や店名を、声に出して読めるか。読み方がどこにも書いていなければ、それが最初に足すところです。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の名前を、正しく呼んでもらえる形にするところからご一緒します。