1. 「最初に電話をくださるのは、ご家族のことが多いんです」

補聴器の専門店を営む方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「最初にお電話をくださるのは、息子さんや娘さんのことが多いんです。ご本人は、まだ要らないとおっしゃっていて。サイトには扱っている補聴器の写真を並べているんですが、ご家族が知りたいのは、たぶんそこじゃないんですよね」

補聴器は、欲しくて探す品というより、聞こえにくさに困って、あるいは困っている家族を見て、調べ始める品です。しかも、ご本人がすぐに乗り気になるとは限りません。「まだ早い」「高いのでは」という気持ちを抱えたまま、サイトを開いています。

そのため、補聴器の店のサイトに要るのは、品の写真の数よりも、相談したら何が起きるのか、いくらかかりそうか、合わなかったらどうなるのかが分かることです。

この記事では、補聴器の専門店のホームページに何を載せるかを、見に来る人が確かめる順に書きます。

この記事で書くこと

  • ご本人と、心配しているご家族、それぞれの入口
  • 来店から試聴・調整・お渡し・その後の調整までの流れ
  • 試しに使える期間や、貸し出しの書き方
  • 料金の見せ方(本体・調整・電池や修理)
  • 耳鼻科との関係と、出張や訪問の相談
  • 店の人の資格の書き方と、広告の決まりや助成の話

2. ご本人と、ご家族の入口を分ける

ご本人が気にしていること

聞こえにくさを感じているご本人がサイトで確かめたいのは、だいたい次のようなことです。

  • 相談だけで帰ってよいか ― 店に入ったら買わされるのではないか
  • どのくらい時間がかかるか ― 一度の来店で何をして、何回通うことになるのか
  • 目立たないか、面倒ではないか ― 着けたときの見た目や、毎日の手入れ
  • いくらかかりそうか ― 桁の見当だけでも知りたい

ご本人に向けては、「聞こえの相談だけでも構いません。その日にお決めいただく必要はありません」のような一文を、トップページの目立つところに置いておきます。言い回しは、ふだん店頭でかけている言葉に合わせてください。

ご家族が気にしていること

ご家族は、少し違うところを見ています。

  • 本人を連れて行っていいか、自分だけ先に相談していいか ― 本人が乗り気でない場合にどうするか
  • 一緒に話を聞けるか ― 付き添いで同席できるか、離れて暮らしていても電話で話を聞けるか
  • 試してから決められるか ― 買ってから使わなくなるのが心配
  • あとの面倒を見てもらえるか ― 本人が一人で店に通えなくなったときのこと

ご家族向けには、「ご家族だけでのご相談も承ります」「ご来店の際は、ご家族もご一緒にどうぞ」と書けるなら、そのことをはっきり書きます。離れて暮らすご家族が、親に番号を伝えて電話をかけてもらう、という場面もあります。どのページにも店名と電話番号を入れておくと、見た人と電話をかける人が違っても話がつながります。

トップページで、入口を2つ並べる

トップページの最初の画面で、「ご自分の聞こえが気になる方へ」と「ご家族のことでご相談の方へ」の2つの入口を並べておくと、どちらの人も自分の読むところを見つけやすくなります。中身が重なっていても構いません。

ご本人もご家族も、年配の方が読むことが多いサイトです。文字の大きさや、電話番号の出し方、カタカナ語の減らし方は、年配のお客様が多い会社の、ホームページの直し方 に順に書きました。

3. 来店から、試聴・調整・お渡し・その後まで

1回で終わらないことを、先に書く

補聴器は、眼鏡のように一度合わせて終わりではなく、着けて過ごしてもらい、様子を伺って、少しずつ合わせていくことが多い品だと思います。ところが、初めての人はそれを知りません。「何度も通わされるのか」と思われる前に、何回くらい、どんな間隔で来てもらうことが多いのかを書いておきます。

図:来店からその後の調整までの流れ(回数・時間はすべて「〇」の架空の例です)
① お話を伺い、聞こえを測る

聞こえにくい場面(会話、テレビ、電話など)や、耳鼻科にかかっているかを伺い、聞こえの具合を測ります。

たとえば「ここまで〇〇分ほど。お話だけでお帰りいただいても構いません」
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② 試聴する

聞こえの具合に合わせて補聴器を調整し、店の中で実際に着けて、声や音の聞こえ方を試していただきます。

貸し出しをしているなら、ここで「ご自宅でお試しいただけます」と案内する
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③ 選んで、お渡しする

試した感想を伺って、形や機能、料金から一緒に選びます。お渡しの際に、着け外しや手入れ、電池の替え方や充電の仕方をお伝えします。

耳の形に合わせて作る種類は、型を取ってからお渡しまで日数がかかることも添える
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④ 使いながら、調整を重ねる

しばらく使っていただいてから、聞こえ方や着け心地を伺い、調整します。その後も、定期的な点検や掃除で来ていただけます。

たとえば「お渡しから〇か月ほどは、〇週間ごとを目安にお越しいただくことが多いです」

中身と回数は、貴社の実際の進め方で書いてください。1回目に何分かかるかと、お渡しのあと何回くらい来てもらうことが多いかが書いてあると、ご本人もご家族も予定を立てやすくなります。慣れるまでの期間には個人差があるので、言い切らずに目安として書きます。

「聞こえるようになる」と言い切らない

流れの説明の中で気をつけたいのが、効き目の書き方です。「よく聞こえるようになります」「会話が楽になります」と言い切る書き方は避けてください。聞こえ方の変わり方は人によって違い、慣れるまでに時間がかかる方もいます。

代わりに、店がすることを書きます。「聞こえにくい場面を伺い、その場面に合わせて調整します」「着けて過ごした感想を伺いながら、調整を重ねます」。これなら、言い切らずに、店に来ると何が起きるかが伝わります。効き目の表現については、7章で広告の決まりとあわせて触れます。

予約の扱いと、持ってきてほしいもの

測定や試聴に時間がかかる店ほど、予約が要るか、予約なしでも来ていいかを書いておきます。電池の購入や掃除だけなら予約なしでよい、という店も多いはずです。用事ごとに分けて書いてください。

予約をネットで受けるかどうかの考え方は、予約をネットで受けるか、電話のままにするか にまとめました。補聴器の店では、ご本人が電話で聞き取りにくいことがあります。電話のほかに、フォームやファクスで日時の希望を受け、こちらから折り返す形を用意しておくと、ご本人が自分で申し込めます。

今お使いの補聴器や、耳鼻科で受け取った書類など、持ってきてほしいものも流れの近くに書いておくと、当日の話が早くなります。

4. 試しに使える期間と、貸し出しの書き方

「試してから決められるか」は、いちばん知りたいこと

ご本人もご家族も、いちばん心配しているのは、買ったのに使わなくなることです。店で着けたときはよくても、家や外では違って聞こえるかもしれない。だからこそ、試しに使える期間や貸し出しをしているなら、それはこの業種のサイトでいちばん目立たせてよい情報です。

書いておく条件

「お試しできます」とだけ書くと、読む人はそれぞれ違う想像をします。条件を分けて書いておきます。

  • 期間 ― たとえば「〇日間」「〇週間」のように。延ばせるかどうかも
  • 費用 ― 無料か、有料か。預かり金のようなものをお願いするなら、そのことと返し方
  • 対象の品 ― どの種類を試せるか。耳の型を取って作る種類のように、試せないものがあるなら、そのことも
  • 試している間の調整 ― 途中で店に寄って、調整してもらえるか
  • 返すとき ― 買わずに返してよいこと。なくしたり壊したりしたときの扱い

最後の一つ、「お試しのあと、お求めにならなくても構いません」の一文は、とても効きます。試したら断りにくくなるのでは、と心配して申し込みをためらう人がいるからです。

試している間に、気にしてほしいこと

貸し出しのページには、試している間に何を気にしてもらえば次の調整に役立つかも書いておくと親切です。テレビの音量、家族との会話、外を歩いているときの音、電話。「気になった場面をメモしてお持ちください」と添えると、ご本人だけでなく、一緒に暮らすご家族も協力しやすくなります。

5. 料金の見せ方:本体・調整・電池や修理

何に、いくらかかるかを分ける

補聴器の料金は、ご家族がいちばん気にするところです。本体の値段だけが分かっても、あとで何がかかるかが分からないと、連絡の手前で止まってしまいます。

料金は、本体の代金と、調整の料金と、使い続けるあいだにかかるものに分けて書きます。

表:補聴器の料金の書き方を、組み立てで分ける(金額はすべて「〇」の架空の例です)
料金の部分書き方の例(たとえば)添えておきたいこと
本体「片耳で〇〇,〇〇〇円から〇〇〇,〇〇〇円ほど。両耳の場合はその2台分が目安です」値段の差が何で決まるか(形、機能、作り方)を一行で書く
調整・点検「当店でお求めの補聴器の調整と点検は、無料で承ります」期間に限りがあるか、ほかの店で買った品の調整を受けるか
電池・充電「電池は〇個入りで〇〇〇円。充電式の場合は電池代はかかりません」使い方で持ちが変わるので、交換の頻度を言い切らない
修理「保証の期間内は無料。期間を過ぎた修理は、お見積もりのうえで承ります」修理のあいだに代わりの品を貸せるかも書く
耳の型を取って作る場合「型を取る費用は本体の代金に含まれます。お渡しまで〇週間ほどかかります」作り直しの条件と、その費用

金額と中身は、貴社の実際の料金で書いてください。本体の代金に何が含まれ、使い続けるあいだに何がかかるのかが分かれば、ご家族は総額の見当をつけられます。税込か税別か、片耳か両耳かも、サイトの中でそろえておきます。

安い品の金額だけを大きく出さない

いちばん安い品の金額だけを大きく出す形には気をつけてください。その金額を見て来た人が、試聴のあとに勧められた品の金額を聞くと、言っていたことと違うという受け取り方になります。下限を書くなら、実際によく選ばれる価格の幅も一緒に書きます。条件つきの数字の出し方は、ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。

保証の中身を書く

保証は、何が、いつまで、どんな条件で対象になるかを分けて書きます。壊れたときの修理、なくしたときの扱い、作り手の保証と店の保証が別にあるならその違い。対象にならない場合も書いておくと、あとの行き違いが減ります。保証の書き方全体は、保証やアフターサービスを、ホームページにどう書くか にまとめました。サイトに書いた内容と、お渡ししている保証書の内容がそろっているかも、公開の前に確かめてください。

6. 耳鼻科との関係と、出張や訪問の相談

店は医療機関ではないことを、はっきり書く

補聴器の店のサイトで、いちばん丁寧に書いておきたいのがここです。補聴器の店は医療機関ではなく、耳の病気かどうかの判断や、治療は行いません。このことを、サイトにはっきり書いておきます。

「当店で行うのは、補聴器を選び、合わせるための聞こえの測定です。耳の病気の診断や治療は行っていません。急に聞こえにくくなった、耳が痛い、耳だれが出る、めまいがあるといった場合は、まず耳鼻科を受診してください」(言い回しは架空の例です)

聞こえにくさの裏には、補聴器では解決できない理由があることもあります。「どちらに先に行けばいいか分からない」という人に、行き先を示すつもりで書いてください。

耳鼻科との連携を、事実だけ書く

耳鼻科で診てもらってから補聴器の相談に来る人もいれば、店に来てから耳鼻科をすすめられる人もいます。どういう場合に、先に耳鼻科の受診をおすすめしているかを書いておくと、読む人は順番を迷いません。

医療機関の名前を出すときは、先方の了解を取ってください。了解がないまま名前を出すと、連携しているかのように受け取られることがあります。

出張や訪問の相談

店に来るのが難しい方のために、ご自宅や施設に伺っているなら、その条件を書いておきます。

  • 伺える地域 ― 市や町の名前で。範囲の外でも相談できるかどうか
  • 料金 ― 出張の費用がかかるか。かかる場合はいくらか、どこからかかるか
  • 伺ってできること ― 測定、試聴、調整、掃除、電池のお届け。周りの音の大きさによって、店と同じように測れない場合があるなら、そのことも
  • 申し込める人 ― ご家族や、施設の職員の方からの申し込みを受けるか

「施設のご担当の方とも相談しながら伺います」のような一文が書けるなら、離れて暮らすご家族も連絡しやすくなります。

7. 店の人の資格と、広告の決まり、助成の話

資格は、持っているものだけを正確に

補聴器を扱う仕事には、業界の団体などが設けている認定や、それに関わる制度があります。店や店の人が認定を受けているなら、サイトに載せると安心の材料になります。書き方の一般的な注意を挙げます。

  • 正式な名前で書く ― 略した呼び方だけにしない
  • 誰が持っているかを書く ― 店として受けている認定か、店の人が持っている資格か
  • 何を確かめる資格かを一行で ― 名前だけでは、読む人には中身が分からない
  • 辞めた人の資格を残さない ― 在籍していない人の名前と資格が残っていないか

制度の中身や名前は変わることがあります。説明を書くときは、資格を出している団体の案内で確かめてください。資格の載せ方全体は、資格・許認可・受賞歴を、ホームページにどう載せるか にまとめました。

資格の名前よりも伝わるのが、誰が測って、誰が調整するのかです。店の人の名前と、補聴器に関わってきた年数、どんな相談が多いか。調整を重ねる業種なので、いつも同じ人に見てもらえるかを気にする方もいます。

広告の決まりは、所管の窓口に確認する

補聴器は医療機器として扱われる品で、販売や広告に決まりが関わります。効き目をうたう書き方、使った人の体験談の載せ方、ほかの品と比べる書き方などは、特に気をつけたいところです。何が当てはまるかは扱う品や書き方によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。業種によってホームページに書けないことがある、という話は、業種によっては、ホームページに書けないことがある にまとめました。

助成の話は、窓口に確認を促す

補聴器の費用について、聞こえの程度や年齢などによって、公的な制度や市区町村の助成が使える場合があります。ただ、対象になる人や金額、手続きの順番は、制度や自治体によって違い、変わることもあります。

サイトでは、制度の中身を詳しく説明するより、「使える制度があるかどうかは、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください」と案内しておくのが無難です。手続きの前に耳鼻科の受診や書類が要る場合もあるので、買う前に窓口へ確かめていただくよう書いておくと、あとで「使えたはずなのに」ということが起きにくくなります。店として手続きの相談に乗れる範囲があるなら、そのことだけを書きます。

8. 雄喜晃の伴走:相談に来る前の不安に、先に答えます

私たち雄喜晃は、補聴器の店のホームページを作るとき、最初に「最初の電話で、何を聞かれることが多いか」を伺うところから始めます。相談だけでいいのか、試せるのか、いくらかかるのか、家族も一緒に行っていいのか。その答えがサイトに書いてあれば、電話をかける前の迷いが減ります。

私たちがやること

  • ご本人とご家族、それぞれの入口を作ります ― 店頭でかけている言葉を伺い、トップページの文章にします
  • 来店からその後の調整までを、流れの図にします ― 実際の回数と時間の目安を伺って書きます
  • 試しに使える期間と貸し出しの条件を、表や箇条書きにします
  • 料金を、組み立てで書ける形にします ― 本体、調整、電池、修理、保証を、伺った料金で表にします
  • 耳鼻科との関係を、はっきり書きます ― 店がすることと、しないことを、迷わない言葉で
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます ― 明るさや向き、大きさをそろえ、店の中や店の人の紹介の中に配置します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、料金の改定や、出張の日のお知らせ、店の人の入れ替わりも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでです
  • 料金や保証、貸し出しの条件を、こちらで決めることはしません。それはお店の経営の判断です
  • 表示が決まりに合っているかの判断はしません。医療機器の広告に関わる書き方や、資格の表示、助成の案内は、所管の窓口や専門家に確認していただくようお願いしています
  • 聞こえの効果を、それらしく書くこともしません。ご要望があっても、そこはお断りしています
  • 検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「時間をかけて合わせているのに、サイトでは品の写真しか見てもらえていない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:迷っている人と、心配している人に、先に答える

補聴器の専門店のホームページで押さえることは、5つです。

  • ご本人とご家族の入口を分ける ― 相談だけでよいこと、家族だけでも相談できること、同席できることを書く
  • 流れと回数の目安を書く ― 測る、試す、選ぶ、お渡し、その後の調整。聞こえるようになるとは言い切らない
  • 試しに使える期間を、条件つきで書く ― 期間、費用、対象の品、買わずに返してよいこと
  • 料金は組み立てで書く ― 本体、調整、電池、修理、保証。安い品の金額だけを大きく出さない
  • 耳鼻科との関係と、決まりの話を正確に書く ― 医療機関ではないことをはっきりと。広告の決まりは所管の窓口や専門家に、助成は市区町村の窓口に確認する

補聴器は、着けてからが長い品です。あとで何度も見てもらえる店だと分かれば、ご本人もご家族も、最初の一歩を踏み出しやすくなります。

まず、今日できること

この1か月に受けた最初の電話を、思い出せる分だけ書き出してみてください。かけてきたのはご本人か、ご家族か。最初に何を聞かれたか。その一覧が、そのまま2章の入口の中身と、トップページに置く一文になります。