1. 「資格は、全部載せてあるんですけどね」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「会社概要に、持っている許可と資格は全部並べてあるんです。取るのにそれなりに苦労したので。でも先日、お客様から『それって、何ができるってことなんですか』と聞かれまして」
資格や許認可は、会社が時間とお金をかけて手に入れたものです。並べること自体は正しいことです。ただ、名前だけが並んだ一覧は、読む人にはほとんど伝わっていません。業界の外の人は、その資格が何を意味するのかを知らないからです。読む人の頭に残るのは「何かすごそうな名前がたくさんある」という印象だけで、「だからこの会社に頼める」という判断にはつながりません。
もう1つの問題は、載せた日から古くなり始めることです。許可には更新があり、認定には期限があり、資格を持つ社員は辞めることがあります。載せたときは正しくても、数年後には事実と違っている。これは、名前が伝わらないことより深刻です。
この記事で書くこと
- 名前を並べるだけでは、なぜ伝わらないのか
- お客様にとって何を意味するかを、一行添える書き方
- 番号・有効期限・取得年の書き方
- ロゴマークや認定マークを使う前に確かめること
- 期限切れ・退会・資格者の退職で起きる直し忘れ
- どこに、何を載せるか
なお、どの資格や許可が必要かは、業種によってまったく違います。この記事では個別の要件には触れず、持っているものを、どう載せるかだけを書きます。
2. 名前を並べるだけでは、伝わらない理由
読む人は、名前の意味を知らない
社内では毎日のように口にしている資格の名前も、お客様にとっては初めて見る言葉です。名前を見て、何ができる会社なのかを読み取れるのは、同業の人だけです。
工事の許可の名前を見ても、一般のお客様には何が違うのかが分かりません。人の資格も同じで、「一級」と「二級」の違いを知っている人は、業界の外にはあまりいません。
「すごそう」と「頼める」は違う
名前がたくさん並んでいると、読む人は「ちゃんとした会社なんだろう」とは感じます。それ自体に意味が無いわけではありません。ただ、読む人が本当に知りたいのは、自分の頼みたいことを、この会社に頼めるかどうかです。
「すごそう」は印象で、「頼める」は判断です。一覧は印象までは作れても、判断の材料にはなっていないことが多いのです。
5つの種類が、混ざって並んでいる
もう1つ、伝わりにくくしている理由があります。性質の違うものが、1つの一覧に混ざっていることです。
- 許認可 ― その仕事をしてよい、という行政からの許可や登録。会社が受けるもの
- 資格 ― 国や団体の試験などで、人が持つもの。持っている人が辞めれば、会社からは消える
- 認定・認証 ― 第三者が決めた基準を満たしている、と認められたもの。たとえば品質や環境の管理の認証など。期限があることが多い
- 受賞 ― ある時点で、ある審査で評価されたもの。年が経つと意味が薄れる
- 加盟団体 ― 業界団体や地域の団体に所属していること
この5つは、読む人にとっての意味が違います。許認可は「頼んでいい会社か」、資格は「誰が担当するか」、認定は「仕組みがあるか」、受賞は「外からどう評価されたか」、加盟団体は「業界の中で続けているか」。混ぜて並べると、どれが何を示しているのかが分からなくなります。
3. 「それがお客様に何を意味するか」を一行添える
ここが本題です。名前の横に、それを持っていることが、お客様にとって何を意味するのかを一行添えます。
名前の横に、できることを書く
許認可なら、その許可があることで何を引き受けられるのかを書きます。たとえば「この許可があるので、〇〇の工事も一括でお受けできます」。許可の要件を説明する必要はありません。読む人が知りたいのは、自分の頼みたいことが範囲に入っているかどうかだけです。
人の資格は、誰が、どの場面で
人が持つ資格は、誰が持っていて、どの場面でその人が関わるのかを書きます。
「有資格者〇名在籍」だけでは、自分の案件にその人が関わるかどうかが分かりません。「設計は、〇〇の資格を持つ代表が担当します」「現地確認には、資格を持つ担当者が同行します」。こう書くと、資格がお客様の案件の中で、どう効くのかが見えます。
認定・認証は、何の仕組みがあるか
認定や認証は、名前だけでは中身が想像しにくいものの代表です。その認定を受けるために、社内で何をしているかを一行で書きます。
「作業の手順を文書にして、毎年外部の確認を受けています」のような書き方です。認定の名前より、その一文のほうが、読む人には仕組みの存在が伝わります。
受賞は、いつ・何で・誰から
受賞は、いつ、何が評価されて、どこから受けたものかまで書きます。「〇〇賞受賞」だけでは、何年前の、何の賞なのかが分かりません。
- いつ ― 受賞した年
- 何で ― 評価された作品や取り組み
- 誰から ― 主催した団体や自治体の正式名称
この3つがあれば、読む人は賞の重さを自分で判断できます。
加盟団体は、加盟していて何があるか
加盟団体は、名前を正式名称で書くのが基本です。そのうえで、加盟していることで、お客様に関係することがあれば添えます。
団体によっては、会員向けの研修があったり、相談の窓口があったりします。「団体の研修を毎年受けています」のように、事実として言えることがあれば書いてください。特に無ければ、正式名称だけで十分です。無理に意味を足す必要はありません。
| 種類 | 名前だけの書き方 | 一行を添えた書き方 | 添えた一行が答えていること |
|---|---|---|---|
| 許認可 | たとえば「〇〇業 許可」 | 「〇〇業の許可を受けているので、〇〇の工事も一括でお受けできます」 | 自分の頼みたいことが範囲に入っているか |
| 人の資格 | たとえば「有資格者3名在籍」 | 「現地確認には、〇〇の資格を持つ担当者が同行します(2026年6月時点で3名)」 | 自分の案件にその人が関わるか |
| 認定・認証 | たとえば「〇〇認証取得」 | 「作業の手順を文書にし、毎年外部の確認を受けています」 | 名前では分からない仕組みの中身 |
| 受賞 | たとえば「〇〇賞受賞」 | 「2024年、〇〇市主催のコンテストで、店舗の改装事例が優秀賞に選ばれました」 | いつ・何が・どこから評価されたか |
| 加盟団体 | たとえば「〇〇協会」 | 「一般社団法人〇〇協会 会員。協会の研修を毎年受けています」 | 正式名称と、言える事実だけ |
左の書き方が間違っているわけではありません。名前の横に、お客様にとっての意味を一行足すだけです。添える一行は、貴社の事実だけで書いてください。言えることが無ければ、無理に足さず正式名称だけで構いません。
4. 番号・有効期限・取得年の書き方
次は、名前以外に添える情報です。ここは見た目より、確かめに来た人が確かめられるかどうかで決まります。
許認可は、名称・行政庁・番号まで
許認可は、許可の名称、許可した行政庁、番号の3つを揃えて書きます。取引先の担当者は、この3つで確認をします。会社概要での書き方は 会社概要のページに、何を載せるか に詳しく書いたので、ここでは繰り返しません。
1つだけ足すと、番号の表記は許可証や登録証に書かれたとおりに写してください。括弧の位置や、年度を示す部分まで含めて、です。社内で使っている略した書き方のまま載せると、確かめる側が照合できません。
有効期限は、書くか、時点を書くか
有効期限のある許可や認定は、期限を書くかどうか迷うところです。考え方は2つあります。
- 期限を書く ― 「有効期間:〇年〇月〇日まで」。確かめる側には親切。更新を忘れると、サイトの上で期限切れが目に見える
- 時点を書く ― 「〇年〇月時点」。期限そのものは書かず、いつの情報かだけを示す
どちらでも構いません。大事なのは、更新のたびにサイトを直す、という段取りが社内にあるかどうかです。期限を書くと、直し忘れたときにすぐ分かります。それを面倒と見るか、忘れないための仕組みと見るかで選んでください。
人の資格は、人数より役割で
人が持つ資格は、人数で書くと、入退社のたびに数字が古くなります。「有資格者〇名」と書くなら、必ず「〇年〇月時点」を添えます。
もっと古くなりにくいのは、人数ではなく役割で書く方法です。「設計は有資格者が担当します」と書けば、担当者が入れ替わっても、資格を持つ人が担当している限り事実のままです。
取得年と受賞年は、必ず年を入れる
取得した年、受賞した年は、年を入れて書きます。年が無いと、読む人は最近のことだと受け取ります。何年も前の受賞を、年を書かずに載せていると、知ったときに印象が逆になります。
古い賞は、載せてはいけないわけではありません。年が書いてあれば、長く続けてきたことの記録として読まれます。
表示の決まりがある業種もある
業種によっては、ホームページや広告に、許可の番号などを表示することが求められている場合があります。表示する内容や場所に決まりがあることもあります。
どこまで必要かは業種によって違うので、所管の窓口や、許可の手続きをした専門家に確認してください。ここを確かめずに「載せなくてもいいだろう」と判断するのは避けたほうが安全です。
5. ロゴマーク・認定マークを使う前に確かめること
資格や認定、加盟団体には、マークがついていることがあります。サイトに貼ると見た目の説得力が増すので、使いたくなるところです。ただ、ここには確かめておくことがあります。
マークには、使い方の決まりがあることが多い
団体や認定のマークには、それぞれの団体が決めた使い方の決まりがあることが多いです。
- 使ってよい人や会社の範囲
- 使ってよい場所(名刺はよいが広告は不可、など)
- 色や大きさ、余白の取り方
- 変形や加工をしてはいけないこと
- 使う前に申請や届出が要るかどうか
中身は団体ごとに違います。「会員だから自由に使っていい」とは限りません。使う前に、団体の規程を読むか、事務局に問い合わせて確かめてください。
画像は、どこかから拾ってこない
いちばん避けたいのは、検索で見つけたマークの画像を、そのまま貼ることです。古いデザインだったり、色が違っていたり、そもそも使ってよい形ではなかったりします。
使ってよいと確かめられたら、団体から正式なデータを受け取り、社内の決まった場所に保存しておきます。写真や画像の権利の考え方は ホームページの写真と文章、権利はどうなっているか にまとめてあります。
マークだけでなく、文字でも書く
マークを貼る場合も、その横に名前を文字で書いておきます。マークだけでは、そのマークを知らない人には何のことか分かりません。画像が表示されない環境や、読み上げで見ている人にも伝わりません。
文字で書いてあれば、サイトの中を検索して直すこともできます。期限が切れたり退会したりしたときに、見つけやすくなります。
6. 期限切れ・退会・資格者の退職で、直し忘れる
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。資格や許可の欄は、載せたあとに放っておかれやすい場所です。
よくある直し忘れ
実際によく見かけるのは、次のような状態です。
- 許可を更新したのに、番号が古いまま ― 更新で表記の一部が変わる許可がある
- 団体を退会したのに、マークが残っている ― トップやフッターの画像に入っていて気づかない
- 資格を持つ社員が辞めたのに、「有資格者在籍」のまま ― 人数も古いまま残る
- 認定の期限が切れたのに、認定取得と書いてある ― 更新をやめた判断が、サイトに伝わっていない
- 受賞が「最新の実績」のように見える ― 年が書かれていないので、何年経っても新しく見える
どれも悪気があって残っているわけではありません。変わったことを知っている人と、サイトを直す人が違うのです。
事実と違う表示は、信用だけの問題で済まないことがある
期限が切れた認定や、退会した団体のマークが残っていると、知った人は「この会社の書いていることは、どこまで本当なのか」と思います。サイトの他の部分まで疑われます。
それに加えて、持っていない許可や認定を持っているように見える表示は、業種や内容によっては、表示の決まりの上で問題になることもあります。どこまでが問題になるかは業種によって違うので、気になる表示があれば所管の窓口や専門家に確認してください。いちばん確かな対策は、変わったらすぐ直すことです。
期限と担当を、1枚の表にしておく
直し忘れを防ぐには、載せている資格や許可を、1枚の表にしておくのがいちばんです。
- 名前と種類(許認可・資格・認定・受賞・加盟団体)
- 番号と、有効期限または更新の時期
- 載せている場所(サイトのどのページ、名刺、パンフレット)
- 変わったときに知らせる人
最後の行が大事です。許可を更新した人、退会の手続きをした人、社員の退職を受けた人が、サイトを直す人に知らせる。この流れが決まっていれば、直し忘れはかなり減ります。
この表は、年に1回の点検のときに上から見直してください。点検の進め方そのものは ホームページの年1回の点検リスト にまとめてあります。
7. どこに、何を載せるか
最後に、載せる場所の話です。全部を1箇所に並べるより、場所ごとに役目を分けるほうが伝わります。
会社概要には、全部を正式に
会社概要は、確かめに来た人が見るページです。ここには持っているものを全部、正式名称と番号で並べます。一行の説明は無くても構いません。読む人は、照合するために見に来ているからです。
サービスのページには、関係するものだけを一行添えて
サービスのページには、そのサービスに関係するものだけを、一行を添えて置きます。前の章で書いた形です。全部を並べる必要はありません。その仕事を頼もうとしている人に、その仕事に効くものだけを見せます。
トップには、1つか2つ
トップページに置くなら、1つか2つに絞ります。選ぶのは、お客様がいちばん確かめたいものです。業種によって、それは許可だったり、人の資格だったりします。
資格や許可は、強みそのものではなく、強みを裏付ける根拠として置くと効きます。「設計から施工まで一社で」という強みの横に、それを可能にしている許可がある、という並べ方です。強みの見つけ方と書き方は 「うちの強み」を、ホームページにどう書くか に書きました。
業種ごとに何を必ず載せるかは、業種別・ホームページに必ず載せるもの ― 士業/工務店/飲食/運送 に業種別の一覧があります。
| 載せる場所 | 載せるもの | 書き方 |
|---|---|---|
| 会社概要 | 持っているもの全部 | 正式名称・行政庁・番号。種類ごとに分けて並べる |
| サービスのページ | その仕事に関係するものだけ | たとえば「この許可があるので、〇〇も一括でお受けできます」と一行添える |
| トップページ | 1つか2つに絞る | 強みの横に、その根拠として置く |
| 社員紹介・代表挨拶 | 人が持つ資格 | 誰が持っていて、どの場面で関わるか |
| フッター・画像 | マーク | 使い方の決まりを確かめてから。横に名前を文字で |
| 名刺・見積書・パンフレット | サイトと同じもの | 番号の表記をサイトと揃える。変わったら一緒に直す |
場所ごとに役目が違います。会社概要は照合のため、サービスとトップは判断のために置きます。どの場所に何を載せたかは、6章の表に書き留めておいてください。
8. 雄喜晃の伴走:証書を見ながら、一行を一緒に書きます
私たち雄喜晃がサイトをお作りするときは、資格や許可の欄を、名刺や古いパンフレットから写すことはしません。許可証、登録証、認定書、賞状を見せていただき、そこに書かれたとおりの名称と番号で載せます。
私たちがやること
最初のお打ち合わせで、持っているものを種類ごとに分けて伺います。そのうえで、それぞれがお客様にとって何を意味するのかを一緒に言葉にして、サービスのページやトップに一行を添えた形で配置します。会社概要には、全部を正式な表記で並べます。マークを使う場合は、使い方の決まりを貴社で確かめていただいたうえで、正式なデータを載せます。
公開したあとに、許可を更新した、団体を退会した、資格を持つ社員が辞めた、というときは、ご連絡いただければこちらで直します。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、番号の変更やマークの差し替えも、月額の範囲でお受けできます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
持っていない資格や許可、受けていない認定を載せることはしません。期限が切れたものを、そのまま残すこともしません。ご要望があっても、そこはお断りしています。
また、どの許可が必要か、表示にどんな決まりがあるかを判断することもいたしません。それは業種ごとに違い、所管の窓口や専門家が答える話だからです。検索の順位や、問い合わせの件数をお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。「資格は並べてあるのに、何ができる会社なのか伝わっていない気がする」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:名前に意味を添えて、変わったらすぐ直す
資格・許認可・受賞・加盟団体を載せるときに押さえることは、5つです。
- 種類ごとに分けて並べる ― 許認可、資格、認定、受賞、加盟団体は、読む人にとっての意味が違う
- お客様にとっての意味を一行添える ― 何を引き受けられるか、誰が関わるか、いつ何が評価されたか
- 番号は証書のとおりに、年と時点を入れる ― 確かめに来た人が照合できる形で
- マークは、使い方の決まりを確かめてから ― 団体から正式なデータを受け取り、横に文字でも書く
- 1枚の表にして、変わったらすぐ直す ― 期限、載せた場所、知らせる人まで書いておく
資格や許可は、会社が積み上げてきたものの記録です。名前だけで終わらせず、読む人が判断に使える形にすることで、取るのにかけた手間が、ようやくお客様に届きます。
今日できることを1つだけ挙げます。自社のサイトに載っている資格・許可・マークを、全部書き出してみてください。そして、それぞれが今も有効かどうかを、証書と見比べます。それだけで、直すべきところが見つかることがあります。
載せている資格や許可を、どう書き直せばいいか迷っているという方は、一度ご相談ください。