1. 「うちには、書けるような強みが無いんです」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページに『当社の強み』を書いてくださいと言われるんですが、正直、思いつかないんです。真面目にやってます、くらいしか。結局『丁寧な対応』とか『確かな技術』とか書いて、自分で読んでもピンと来ないんですよね」
この話、本当によく伺います。そして、お話を続けていくと、たいていの場合は強みが無いわけではありません。社内では当たり前すぎて、強みだと思っていないだけです。
「それは普通のことですよ」と社長がおっしゃることが、お客様から見ると、ほかの会社では得られなかった理由になっている。こういう場面に何度も立ち会ってきました。強みは考えて作るものではなく、すでにあるものを見つけて、伝わる言葉に直すものです。
この記事で分かること
この記事では、強みの見つけ方と書き方を、手順として書きます。よくある書き方がなぜ伝わらないか、どこを探せば見つかるか、どう言い換えれば伝わるか、いくつに絞るか、どこに置くか。
強みは、お客様が何社かを見比べたときに初めて意味を持ちます。比べられ方の確かめ方は 同業他社のホームページを、どう見るか にまとめてあるので、先に読んでいただくと話がつながりやすいと思います。
2. 「丁寧な対応」「確かな技術」は、なぜ伝わらないのか
先に、よくある強みの書き方を見ておきます。「丁寧な対応」「確かな技術」「地域密着」「お客様第一」。どれも嘘ではありませんし、悪い言葉でもありません。それでも伝わらない理由があります。
どの会社も、同じ言葉を書いている
いちばんの理由はこれです。同じ地域の同業のサイトを5社開くと、5社とも、ほぼ同じ言葉が並んでいることがよくあります。
丁寧でない対応を掲げる会社はありませんし、技術が不確かだと書く会社もありません。全員が書いている言葉は、読む人にとっては「書いていないのと同じ」になります。目には入っても、記憶に残りません。
読む人は、比べる材料を探している
サイトを見ているお客様は、何社かを並べて「どこに頼むか」を決めようとしています。そのとき探しているのは、会社の姿勢ではなく、比べるための材料です。
「丁寧」は比べられません。どれくらい丁寧なのか、何をもって丁寧と言っているのかが分からないからです。比べられない言葉は、どれだけ立派でも判断に使われません。結果として、お客様は値段か、たまたま最初に開いた会社で決めることになります。
当たり前のことほど、書かれない
もう1つの理由は、社内の側にあります。毎日やっていることは、やっている本人には特別に見えません。「そんなことは、どこでもやっている」と思い込んで、書く候補から外してしまうのです。
ところが、実際には同業の多くがやっていないことも少なくありません。社内の目では、自分たちの普通がどれくらい珍しいかを測れないのです。だからこそ、強みは社内で考えるより、外に聞いたほうが早く見つかります。
3. 強みは「お客様に選ばれた理由」として探す
ここからが本題です。強みの探し方を、考え方から変えます。
自分で考えると、理想が出てくる
会議室で「うちの強みは何か」と話し合うと、たいていこうありたいという理想が出てきます。「技術力」「提案力」「スピード」。気持ちは分かりますが、それは自分たちの目標であって、お客様が感じたことかどうかは分かりません。
理想を書くと、読む人は少し引っかかります。根拠が書かれていないからです。強みとして書くべきなのは、すでに起きた事実のほうです。
過去のお客様に「なぜうちに頼んだか」を聞く
いちばん確実なのは、実際に頼んでくれたお客様に、理由を聞くことです。強みとは、言い換えれば「選ばれた理由」です。選んだ本人に聞くのが、いちばん正確です。
聞く相手は3人から5人で足ります。最近の仕事のお客様、長く付き合いのあるお客様、少し変わった依頼をくれたお客様。種類を散らすと、共通して出てくる理由が見えやすくなります。
聞き方は、比べた相手から入る
「うちの良いところはどこですか」と聞くと、相手は気を遣って褒めてくれます。それでは事実が出てきません。聞くのは、選んだときの状況です。
「ほかにも何社か当たられましたか。そのとき、最終的にうちにされた決め手は何だったんでしょう」
こう聞くと、「ほかは見積もりが来るまで1週間かかったけど、ここは翌日だった」「電話で話した人が、そのまま現場に来てくれた」のような、具体的な話が出てきます。聞いた言葉は、言い回しも含めてそのまま書き留めてください。
注意を1つだけ。聞くときに、割引やお礼の品をつけないでください。答えが変わりますし、もしその言葉をサイトに載せることになったとき、信用を損ねます。いただいた言葉をお客様の声として載せる場合の進め方は 「お客様の声」を、どう集めて、どう載せるか に書きました。
4. 強みが見つかる4つの場所
お客様に直接聞く以外にも、強みの手がかりは社内に残っています。探す場所は4つあります。
よく言われるお礼の言葉
仕事が終わったときに、お客様から言われる言葉を思い出してください。何度も言われる言葉は、そのまま強みの候補です。
たとえば「片付けまでしてもらえるとは思わなかった」と何度も言われるなら、それは同業の多くが片付けまではしていない、という意味かもしれません。現場の社員のほうが、こうした言葉をよく覚えています。経営者だけで考えず、現場に聞いてみてください。
他社で断られて来た依頼
「よそで断られたんですが」と言って来る依頼は、強みの宝庫です。ほかができなかったことを、貴社はできたということだからです。
小さすぎる工事、急ぎの対応、特殊な材料、遠い現場。断られた理由と、貴社が受けられた理由を並べると、ほかの会社との違いがはっきり出ます。これは比べる材料として、とても強い情報です。
リピートしているお客様が、戻ってくる理由
一度頼んで終わりではなく、何度も戻ってきてくれるお客様がいるなら、その理由を考えてください。初めての依頼より、2回目の依頼のほうが、選ぶ理由がはっきりしているからです。
値段が安いからではなく、前回の担当者を指名してくる。説明しなくても事情を分かってくれるから。こうした理由は、初めてのお客様にとっても「頼んだあとどうなるか」を想像する材料になります。
見積もりで勝ったとき、負けたとき
相見積もりの結果も手がかりです。勝ったときに「何が良かったか」、負けたときに「何が足りなかったか」を、分かる範囲で記録しておきます。
勝った理由が値段以外にあるなら、それが強みです。負けた理由も役に立ちます。負けた相手と貴社とで、選ばれるお客様の種類が違うことが見えてくるからです。誰にでも選ばれる会社を目指すより、誰に選ばれる会社かを書いたほうが伝わります。
5. 数字・期間・範囲にすると、伝わる
見つけた強みを、伝わる言葉に直します。やり方はひとつで、形容詞を、数字・期間・範囲に置き換えます。
「迅速」を、時間で書く
「迅速な対応」と書く代わりに、何がどれくらいの時間で起きるかを書きます。「平日の午前中にいただいたご連絡は、当日中に現地を確認します」。こう書けば、読む人は自分の状況に当てはめられます。
時間を書くと、守れなかったときが怖いと感じるかもしれません。その場合は、条件を添えてください。「繁忙期を除き」「〇〇市内であれば」。条件つきでも、形容詞よりずっと伝わります。
「豊富な実績」を、年数と件数で書く
「豊富な実績」は、「〇年で△件」に直します。件数を数えるのが難しければ、範囲を区切ってください。「この3年で、〇〇の工事を△件」。正確に数えられる範囲だけを書くほうが、大きな数字をぼかして書くより信用されます。
数えた件数が思ったより少なくても、気にしなくて大丈夫です。数字があること自体が、ほかの会社との違いになります。
「幅広く対応」を、一覧で書く
「幅広く対応」は、対応できるものを並べます。扱える材質、対応できる業種、受けられる大きさ。一覧にすると、読む人は自分の案件が入っているかを探せます。
逆に、対応できないものも書いておくと親切です。入っていない人は問い合わせる前に分かりますし、入っている人は安心して連絡できます。
| よくある書き方 | 伝わる書き方に直したもの | 直した理由 |
|---|---|---|
| 迅速な対応 | たとえば「平日の午前中にいただいたご連絡は、当日中に現地を確認します」 | どれくらい速いかが時間で分かる。条件を添えれば守れない心配も減る |
| 豊富な実績 | たとえば「創業から〇年で、△件の施工を担当しました」 | 「豊富」は比べられない。年数と件数なら、他社と並べて見られる |
| 幅広く対応 | たとえば「対応できる材質:ステンレス/アルミ/真鍮/樹脂」と一覧で載せる | 読む人が、自分の案件が入っているかを探せる |
| 地域密着 | たとえば対応する市町村名を並べ、「〇〇区は当日、それ以外は翌日に伺います」 | 「地域」がどこまでか分からないと、頼める範囲か迷われる |
| 丁寧な対応 | たとえば「工事の前日までに、ご近所へのご挨拶に伺います」 | 何をもって丁寧と言っているかを、行動で示す |
| お客様第一 | たとえば「お見積もりのあと、こちらから契約を急かすお電話はしません」 | 姿勢は読む人が確かめられない。約束の形にすると信じる材料になる |
左の言葉は、どれも嘘ではありませんが、どの会社も書いています。真ん中のように直すと、他社と並べて比べられる材料になります。直し方は、形容詞を時間・数・範囲・行動に置き換えるだけです。中身は、貴社の事実で書いてください。
数字が無いときは、行動で書く
すべての強みが数字になるわけではありません。「丁寧」や「誠実」のように、数えにくいものもあります。その場合は、何をしているかを具体的な行動で書きます。
「ご近所への挨拶に伺います」「作業の写真を毎日お送りします」「見積もりの内訳を1行ずつ説明します」。行動で書かれた強みは、読む人が頭の中で場面を思い浮かべられます。それが、形容詞との決定的な違いです。
6. 3つに絞り、弱みとセットで書く
強みの候補が出そろうと、全部書きたくなります。ここで絞ることが、伝わるかどうかを大きく分けます。
全部書くと、どれも目立たない
候補が8つも9つも並んでいると、読む人はどれが本当の強みなのか分からなくなります。全部書くと、全部が同じ重さに見えて、どれも目立たないのです。
目安は3つです。3つなら、読む人も覚えていられます。残りの候補は捨てるのではなく、サービスのページや実績の中で、事実として触れていけば十分です。
絞るときの基準
どれを残すかは、次の3つで決めます。
- お客様から聞いた言葉に、何度も出てきたか。自分たちの思いではなく、選ばれた理由として出てきたもの
- 同業のサイトに、書かれていないか。比べたときに、ほかに無いもの
- これからも続けられるか。人が辞めたら消えるものや、たまたま1回できたことではないもの
3つ目は見落とされがちです。特定の社員1人の頑張りで成り立っている強みは、その人がいなくなると書けなくなります。会社として続けられるものを選んでください。
弱みとセットで書くと、信じてもらえる
ここは少し勇気が要るところです。強みを書くとき、あえて弱みを一緒に書くと、強みのほうが信じてもらえるようになります。
「小さい会社なので、大きな工事はお受けできません。そのかわり、代表が必ず現場に伺います」
良いことだけが並んでいる文章は、読む人に「本当かな」と思わせます。できないことを先に書くと、残りの言葉に重みが出ます。そして、大きな工事を探している人は問い合わせる前に分かるので、お互いの時間も無駄になりません。
他社と比べた言い方はしない
最後に、避けたい書き方を1つ。「他社より安い」「地域で一番早い」のような、他社と比べる言い方は使わないほうが無難です。
比べる言い方をすると、読む人は「どこと比べて、どうやって確かめたのか」という根拠を求めます。根拠を示せないと、かえって信用を落とします。また、他社と比べる表示は、示し方によっては表示に関するルールの上で問題になる場合もあると言われています。気になる表現があるときは、専門家に確認してください。比べる言葉を使わなくても、時間や件数を書けば、比べるのは読む人のほうでやってくれます。
7. どこに置くか、いつ見直すか
書けた強みを、サイトのどこに置くか。そして、いつ見直すか。ここまでで、強みの仕事は一巡します。
トップの一画面目には、1つだけ
トップページを開いて、最初に見える画面。ここに置く強みは1つだけにしてください。3つ全部を最初の画面に詰め込むと、文字が小さくなり、どれも読まれません。
選ぶのは、3つの中で、いちばん多くのお客様に当てはまるものです。「何の会社か」「どこの会社か」が分かる一文と一緒に、強みを1つ。それだけで、最初の画面の役目は果たせます。
残りは、サービスのページで書く
残りの2つは、サービスのページや、実績のページで書きます。その強みが効く場面のすぐ近くに置くのがコツです。
たとえば「当日中に現地確認」はトラブル対応のページに、「対応できる材質の一覧」は加工のページに。強みが、それを必要としている人の目の前に出てくるように配置します。
代表挨拶では、強みが生まれた理由を書く
強みを、代表の言葉として語れる場所もあります。代表挨拶のページです。ここでは強みそのものより、なぜそうしているのかを書くと効きます。
「以前、ご近所からの苦情で工事が止まったことがあって、それから前日の挨拶を欠かさないようにしています」。理由が書かれていると、強みが一時の売り文句ではないことが伝わります。書き方は 代表挨拶のページに、何を書くか にまとめました。
Step 1(今月):お客様3人に、選んだ理由を聞く
ここからはやる順番です。まずは、過去のお客様3人に、なぜ貴社に頼んだかを聞くところから始めてください。電話でも、次に会ったときの立ち話でも構いません。聞いた言葉は、そのまま書き留めます。
Step 2(翌月):言葉を直して、3つに絞る
集まった言葉と、社内で拾った4つの場所の手がかりを並べます。何度も出てくるものを選び、数字・期間・範囲・行動に直して、3つに絞ります。1つをトップに、残りをサービスのページに置きます。
Step 3(半年〜1年ごと):強みを見直す
強みは変わります。人が増えれば対応できる範囲が広がりますし、同業が同じことを始めれば、それはもう違いになりません。半年から1年に一度、同じ手順で見直してください。
見直すときは、直近のお客様に改めて聞くのがいちばんです。前回と違う理由が出てきたら、それが今の貴社の強みです。
8. 雄喜晃の伴走:強みは、お話を聞くところから一緒に探します
私たち雄喜晃のホームページ制作では、強みの欄を、経営者の方に宿題として出すことはしません。最初のお打ち合わせで、どんなお客様が、どんな経緯で頼んでくれたのかを伺い、その中から一緒に探します。
私たちがやらないこと
先に、やらないことを書きます。それらしい強みを、こちらで作文して埋めることはしません。「丁寧な対応」「確かな技術」のような、どの会社にも当てはまる言葉で枠を埋めることもしません。読んでも伝わらないうえに、貴社の事実ではないからです。
また、お客様の声を作文することも、「他社より〇〇」のような比べる言葉で飾ることもいたしません。検索の順位をお約束するような話もしません。
私たちがやること
経営者の方や現場の方から、よく言われるお礼の言葉、断られて来た依頼の話、見積もりで勝った負けたの話を伺います。そこから強みを拾い、数字や行動の言葉に直して、ページに配置するところまで担当します。分析や提案だけで終わらせず、実際のページに落とし込むのが私たちの仕事です。
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、半年後に強みを見直したときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。
条件も書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
「うちには強みと呼べるものが無い」と感じている経営者の方こそ、一度ご相談ください。お話を伺えば、たいていは見つかります。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
9. まとめ:強みは、もう貴社の中にある
ホームページに強みを書くときに押さえることは、5つです。
- どの会社も書く言葉は使わない ― 「丁寧」「確か」「地域密着」は、比べる材料にならない
- 強みは、選ばれた理由として探す ― 自分で考えず、過去のお客様に「なぜうちに」と聞く
- 数字・期間・範囲・行動に直す ― 形容詞を、読む人が当てはめられる言葉に置き換える
- 3つに絞り、弱みとセットで書く ― 全部書くと目立たない。できないことを先に書くと信じてもらえる
- トップには1つ、残りはサービスのページへ ― そして半年から1年ごとに見直す
強みが見つからないのは、強みが無いからではありません。毎日やっていることが、社内ではあまりに普通に見えているからです。外から聞けば、たいていの場合は見つかります。
まずは今月、いちばん最近のお客様に、なぜうちに頼んでくれたのかを一度聞いてみてください。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社が選ばれてきた理由を、伝わる言葉にするところから、ご一緒します。