1. 「うちより安いところと、比べられてしまうんです」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「見積もりを出すと、『ほかはもっと安かったんですけど』と言われることが増えました。皆さんネットで何社か調べてから連絡してくるので、ホームページの時点でもう比べられているんだと思います。うちも値段を下げないと、選ばれないんでしょうか」
比べられること自体は、止められません。読む人は何社かのサイトを開いて、並べて、どこに連絡するかを決めます。そのとき、値段の数字はいちばん比べやすい情報です。ほかの情報が比べにくい形で書かれていると、読む人は値段だけで決めるしかなくなります。
つまり、安い同業に負けているように見えるとき、負けているのは値段そのものではないことが多いのです。値段以外の違いが、比べられる形で書かれていない。だから、値段だけの勝負になっています。
私たち雄喜晃も、月額8,800円(税別)でホームページを作っていて、無料で作れる方法や、ほかの作り方と比べられる立場にいます。比べられる側として、ホームページに何を書けばいいかを整理します。
この記事で書くこと
- 値下げで張り合わない理由 ― 下げたあとに何が起きるか
- 値段の差が、何の差か ― 含まれるもの・手間・保証・対応の速さ
- 安い会社を悪く言わない ― 悪く言うと、自社の言葉まで疑われる
- 料金の内訳 ― 合計だけでなく、差の場所を見せる
- 合わないお客様 ― 全員に選ばれようとしない書き方
- 選ぶときに見るところ ― 比べられる前提で、物差しを渡す
2. 値下げで張り合うと、何が起きるか
いちばん早い対処に見えるのは、値段を下げることです。ただ、ホームページに載せる値段を下げる前に、起きることを並べておきます。
値段の勝負は、体力のある側が勝つ
値段で張り合うと、最後に残るのはいちばん安くしても続けられる会社です。仕入れの量が多い、人の配置が違う、ほかの事業で稼いでいる。理由はさまざまですが、こちらと同じ条件ではありません。
1社に合わせて下げても、次にもっと安い会社が出てきます。値段で選ぶお客様は、次の機会にもっと安いところを選びます。値段で取ったお客様は、値段で離れていくことが多いのです。
下げた値段は、戻しにくい
一度ホームページに載せた値段は、多くの人の目に入ります。あとで元に戻そうとすると、「値上げした」と受け取られます。下げるのは一瞬ですが、戻すには説明が要ります。
下げた分は、どこかを削ることになる
値段を下げても、原価や手間が同じなら、利益が減るだけです。続けるには、どこかを削ることになります。材料、作業の時間、終わったあとの対応。削った分は、いずれ仕事の中身に出ます。
そうなると、値段の差が小さくなった代わりに、中身の差も小さくなります。お客様から見ると「同じような会社が2つ」になり、結局は値段でしか選べなくなります。
値段を変えてよい場合もある
値下げが全部いけないわけではありません。原価が本当に下がったとき。中身を減らした安いプランを、別に用意するとき。この2つは、値段で張り合うのとは違います。
とくに2つ目は使えます。今のプランを下げるのではなく、「ここまでで良い方向け」の形を別に作る。何が含まれないかを書いておけば、今のプランの値段は守られます。
3. 値段の差が、何の差かを書く
ここが本題です。安い同業と比べられたとき、ホームページで書くべきことは1つです。値段の差が、何の差なのか。
読む人は、差の理由が分からないから安いほうを選ぶ
読む人の立場に立つと、話は単純です。A社とB社、やってくれることが同じに見えるなら、安いほうを選びます。当然の判断です。
高いほうが選ばれるのは、高い理由が分かり、その理由が自分に必要だと思えたときです。理由が書かれていなければ、読む人は同じものに見えたまま比べるしかありません。
差は、だいたい4つのどれか
値段の差の理由は、多くの場合、次の4つのどれかに収まります。
たとえば「下見・お見積もり・片付け・処分まで料金に含みます」。ほかでは別料金になることがある項目が、最初から入っている場合です。
たとえば「作業の前に、養生と下地の確認に半日かけます」。仕上がると見えなくなる工程にかける時間の差です。
たとえば「施工から〇年は、不具合があれば無償で直します。年に一度、こちらから点検に伺います」。範囲と期間を書いて、はじめて比べられます。
たとえば「平日の午前中のご連絡は、当日中に折り返します」。急ぎのときに、誰が、いつ来てくれるかの差です。
4つ全部を書く必要はありません。貴社の値段の差を、いちばんよく説明できるものを2つか3つ選んでください。例の中身は架空なので、貴社の事実で書いてください。
差の理由は、選んでくれた人に聞く
どれが当てはまるか分からないときは、過去のお客様に聞くのがいちばん早い方法です。ほかより高いと分かっていて、それでも頼んでくれたお客様に、決め手を聞いてみてください。その答えが、値段の差の理由そのものです。聞き方は 「うちの強み」を、ホームページにどう書くか にまとめました。
差は、あとから出ることもある
値段の差の中には、頼んだ直後には分からず、時間がたってから出てくるものがあります。保証や対応の速さは、とくにそうです。安く頼んだものが数年後にどうなるかは、ホームページ制作を例に 「安いから」で選んだホームページの、3年後 で書きました。業種は違っても、差が出る時期を書いておくと、読む人は今の値段だけで決めずに済みます。
4. 安い会社を悪く言わない
値段の差を書こうとすると、つい安い会社のことを書きたくなります。ここは、はっきり避けてください。
悪く言うと、自社の言葉まで疑われる
「安い業者は手抜きをしています」「格安には理由があります」。こうした書き方は、読む人を身構えさせます。どこの、何を見て、そう言っているのかという根拠が問われるからです。根拠を示せない言葉が1つあると、ほかの言葉まで疑われます。
安いほうを選んで、満足している人もいる
安い会社は、安く続けられる形を工夫しているのかもしれません。そして、安いほうを選んで満足しているお客様もいます。読んでいる人が、前に安いほうを選んだ人かもしれない。その人にとって、安い会社を悪く書いた文章は、自分の判断を責められているように読めます。
他社の安い理由を、推測で書かない
他社の値段がなぜ安いのか、本当のところは外からは分かりません。分からないことを、分かったように書かない。書くのは、自社が何をしているかだけで十分です。自社の中身が具体的に書かれていれば、比べるのは読む人のほうでやってくれます。
他社と比べる表現は、示し方によっては表示に関するルールの上で問題になる場合もあります。業種によって違うので、気になる表現は所管の窓口や専門家に確認してください。
書き方の例
避けたい書き方と、置き換えた書き方を並べます。
- 避けたい書き方 ― 「格安業者のような手抜き工事はいたしません」
- 置き換えた書き方 ― 「下地の確認に半日をかけてから作業に入ります。そのぶん、お見積もりは高めになることがあります」
後者は、他社に一言も触れていません。それでも、値段が高めの理由と、その代わりに受け取れるものが伝わります。
5. 料金の内訳を見せる
値段の差を伝える道具として、いちばん効くのが内訳です。
合計だけだと、合計しか比べられない
料金が「一式〇〇円」だけで書かれていると、読む人は合計の数字だけを並べて比べます。差がどこにあるのかが見えないので、安いほうが良く見えます。
内訳が見えると、話が変わります。「こちらは片付けまで入っている」「こちらは点検が入っている」。合計の差が、項目の差として見えるようになります。
内訳に入れる項目
内訳は、細かすぎると読まれません。お客様が比べるときに気にする項目に絞ってください。
| 項目 | 書き方の例 | 読む人に伝わること |
|---|---|---|
| 下見・見積もり | たとえば「下見とお見積もりは無料です。お見積もりのあと、こちらから催促の連絡はしません」 | 頼む前の段階で、費用がかかるかどうかが分かる |
| 材料 | たとえば、標準で使う材料と、選べる材料の違いを一覧で | 値段の差が材料の差なのかを確かめられる |
| 作業 | たとえば、作業の人数と日数の目安 | 手間の差が、時間として見える |
| 片付け・処分 | たとえば「出た廃材の処分まで料金に含みます」 | あとから別料金になる心配が減る |
| 保証・点検 | たとえば、保証の範囲と期間、点検に伺う時期 | 終わったあとに何が残るかを、比べられる |
| 含まれないもの | たとえば「高所の足場、夜間の作業は別にお見積もりします」 | 合計の数字の範囲がはっきりする |
項目は業種によって変わります。共通しているのは、ほかでは別料金になりやすいものが入っているなら、それを書いておくことです。最後の「含まれないもの」を書くと、残りの項目も信じてもらえます。
「含まれないもの」も書く
内訳には、含まれるものだけでなく、含まれないものも書いてください。良いことだけが並んでいると、読む人は「本当に全部入っているのか」と疑います。含まれないものが書いてあると、残りの項目が信じられるようになります。
料金ページとの関係
内訳は、料金ページに置くのが基本です。料金の載せ方そのもの、幅のある数字の出し方や、高くなる条件と安くなる条件の書き方は ホームページに料金を載せるか、載せないか にまとめてあります。この記事で足したいのは、合計の数字の下に、差の場所が見える内訳を置くという一点です。
6. 合わないお客様もいる、と書く
安い同業と比べられる会社ほど、書いておいたほうがいいことがあります。貴社に合わないお客様もいるということです。
全員に選ばれようとすると、値段で負ける
誰にでも合う会社を目指すと、書くことが平らになります。平らな会社同士が並ぶと、最後は値段で決まります。合うお客様と合わないお客様を書き分けると、合うお客様にとっては、ほかと比べにくい会社になります。
合わない方を、具体的に書く
書き方の例です。
「とにかく費用を抑えたい、という方には、もっとお力になれる会社があると思います。私たちがお役に立てるのは、多少高くても、あとから困らない形で頼みたいという方です」
「合わない方」と「合う方」を、セットで書くのがコツです。合わない方だけを書くと、突き放したように読めます。合わない方には別の選び方を、合う方には貴社を。両方に向けた案内として書いてください。
弱みも、一緒に書く
合わないお客様を書くと、自然に自社の弱みも書くことになります。「急ぎの小さな工事は、お待たせすることがあります」「対応エリアは〇〇市内に限っています」。できないことを先に書くと、できることのほうが信じてもらえます。値段が高めであることも、同じように正直に書いて構いません。
書くと、問い合わせの中身が変わる
合わないお客様を書くと、問い合わせの件数は減るかもしれません。ただ、そのぶん値段の話から始まる問い合わせが減ります。値段だけで選ぶ方は、問い合わせの前に別の会社へ行くからです。残った問い合わせは、中身の話から始められます。値引きの交渉に使っていた時間を、本来の仕事に戻せます。
7. 比べられる前提で「選ぶときに見るところ」を書く
最後は、比べられることを止めるのではなく、比べ方そのものを読む人に渡す方法です。
比べられるなら、物差しを渡す
読む人は、どのみち何社かを比べます。それなら、何を見て比べればいいかを、こちらから書いておきます。ページの中に「〇〇を選ぶときに見るところ」という区画を作ります。
- 料金に含まれるもの ― 下見・材料・片付け・処分まで入っているか
- 追加になる条件 ― どんなときに、あとから費用が増えるか
- 誰が作業するか ― 見積もりに来た人と、作業する人は同じか
- 終わったあとの対応 ― 不具合があったとき、どこに連絡して、いつまで見てくれるか
- 連絡の速さ ― 問い合わせから、どれくらいで返事が来るか
他社の名前は出しません。読む人はこの物差しを持って、ほかのサイトを開きます。貴社が答えられる項目が並んでいれば、比べた結果として貴社が残ります。
自社が弱い項目も、入れておく
物差しを自社に有利な項目だけで作ると、読む人はすぐに気づきます。自社が強くない項目も、1つは正直に入れてください。たとえば「価格」を物差しに入れて、「価格だけで比べるなら、私たちより安い会社はあります」と書く。そのうえで、ほかの項目で何が違うかを示します。
置き場所と、比較表との違い
「選ぶときに見るところ」は、サービスの説明と料金のあと、問い合わせの手前に置くと収まります。料金を見て迷っている人に、判断の材料を渡す位置です。
他社と並べた比較表を作りたくなるかもしれません。ただ、他社の情報は根拠を示しにくく、すぐに古くなります。表で勝ち負けを見せるより、比べ方を渡すほうが、根拠を問われずに済みます。比較表を載せるかどうかの判断は ホームページに「比較表」を載せるかどうか に詳しく書きました。
8. 雄喜晃の伴走:値段の差を、中身の言葉にします
私たち雄喜晃自身が、比べられる側の会社です。そのため、自社のページでは、月額の中に何が含まれているかを並べて書いています。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守、月5回までの更新代行。値段の数字だけでなく、その中身が見えるようにしています。貴社のホームページでも、同じことを一緒に進めます。
私たちがやること
最初のお打ち合わせで、ほかより高いと分かっていて頼んでくれたお客様の話や、見積もりで比べられた場面の話を伺います。そこから、値段の差が何の差なのかを言葉にします。それを、料金の内訳、合うお客様と合わないお客様、「選ぶときに見るところ」の区画として、ページに組みます。
公開後に料金や内訳が変わったときも、ご連絡いただければこちらで書き換えます。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、値段を見直したときの書き換えも、その範囲で承ります。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
貴社の料金そのものを決めることはしません。値段は経営の判断なので、「この金額にしましょう」とこちらから決めることはありません。他社の料金を調べて並べるだけの調査も、お受けしていません。
また、安い会社を悪く書いて貴社を良く見せる文章は書きません。「業界最安」「地域でいちばん」のような、根拠を示せない言葉も使いません。値段の差を書くことで、検索の順位や問い合わせの数をお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月に設立した会社です。
「安いところと比べられて、値下げするしかないのかと迷っている」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:値段ではなく、差の中身で比べてもらう
安い同業と比べられたとき、ホームページで押さえることは5つです。
- 値下げで張り合わない ― 体力のある側が勝ち、下げた値段は戻しにくい
- 値段の差が何の差かを書く ― 含まれるもの・手間・保証・対応の速さから2つか3つ
- 安い会社を悪く言わない ― 書くのは自社の中身だけ。比べるのは読む人に任せる
- 内訳と、合わないお客様を書く ― 差の場所を見せ、全員に選ばれようとしない
- 選ぶときに見るところを渡す ― 自社が弱い項目も入れて、物差しとして書く
安い同業に負けているように見えるとき、負けているのは値段ではなく、値段以外の違いが見えないことです。違いが見える形に書けば、比べられることは怖くなくなります。
まず、今日できること
ほかより高いと分かっていて頼んでくれたお客様を、1人思い出してください。そして、その方に「なぜうちにしてくださったんですか」と聞いてみる。返ってきた言葉が、値段の差の理由として、ホームページに書く最初の一行になります。