1. 「どこに電話すればいいのか、分からなくて」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「サイトを作ってくれた会社に電話したら、『それはサーバーの問題なので、サーバー会社に聞いてください』と言われて。サーバー会社に聞いたら、『ドメインの設定を見てください』と。ドメインは、前の担当者が個人で取ったものらしくて、誰もログインできないんです」

話を伺うと、こういう形になっている会社は珍しくありません。サイトを作ったのはA社、サーバーはB社、ドメインは当時の担当者が個人で契約、メールはさらに別の会社。どれも、そのときどきに必要があって契約したものです。

普段は何も困りません。困るのは、何かが止まったときや、変えたいときです。そのとき初めて、全体がどうつながっているかを知っている人が、社内にも社外にもいないことに気づきます。

この記事の役割

ホームページまわりの契約については、ほかの記事でも書いています。名義が誰になっているかの確かめ方は ホームページのドメインやアカウントは、誰の名義になっているか に、これから契約先を選ぶときの考え方は サーバーとドメインを、どこで契約するか にまとめました。

この記事で扱うのは、すでに契約先が何社かに分かれている状態を、どう回すかです。一覧の作り方、症状ごとの連絡の順番、窓口の決め方、まとめるならどの順番か、まとめないなら誰が全体を見るか。分かれていること自体を直すより先に、分かれたままでも困らない状態を作るところから書きます。

2. 分かれていると、困ることは3つ

契約先が分かれているときに起きる困りごとは、だいたい3つに収まります。

① 不具合のとき、どこへ連絡すればいいか分からない

サイトが開かない。メールが届かない。問い合わせフォームから通知が来ない。症状は分かっても、どの会社の持ち場で起きているのかは、外から見ても分かりません。

分かれていると、まず「どこに電話するか」を決めるところから始まります。慌てているときほど、ここで時間がかかります。

② 「うちではなく、あちらの問題です」が往復する

冒頭の言葉がこれです。どの会社も、自分の持ち場は確かめています。そのうえで「うちの側には問題がない」と答えるのは、嘘ではありません。

ただ、問題は持ち場と持ち場のつなぎ目で起きていることが多いのです。サーバーを移したのに、ドメインの向き先が古いまま。メールの設定を変えたら、フォームの通知が止まった。つなぎ目は、どの会社の持ち場でもありません。全体を知っている人がいないと、つなぎ目は誰にも見られないままになります。

③ 更新の期限が、ばらばらに来る

ドメインは年に1回、サーバーは契約によって月払いか年払い、SSLは別の時期、メールはまた別。更新の知らせも、それぞれ別の宛先に届きます。

宛先が辞めた担当者や制作会社のアドレスだと、知らせは社内の誰にも届きません。カードの期限切れで引き落とせず、気づいたら止まっていた、ということも起きます。止まったあとの対処は ドメインやサーバーの更新を忘れて、サイトが止まったとき にまとめました。

3. 分かれていること自体は、悪いことではない

ここで1つお伝えしておきたいことがあります。契約先が分かれていること自体は、悪いことではありません。

そのときどきに、頼める相手に頼んできた結果

たいていの場合、分かれているのには理由があります。最初は社員の方が自分でドメインを取った。数年後にサイトを作り直すとき、制作会社に頼んだ。メールは、社内のパソコンを見てくれている業者さんが用意してくれた。どれも、その時点では正しい判断です。

分けておく利点もある

分かれていると、制作会社を変えてもドメインは同じものを使い続けられます。1社に何かあったときに、全部が一度に止まらないのも、分けておく利点です。

困るのは、全体を見ている人がいないこと

ですから、すぐに1社にまとめなければいけない、という話ではありません。困りごとの元は、何がどこにあって、どうつながっているかを、誰も一覧で持っていないことです。

全体を見ている人がいれば、分かれたままでも回ります。1社にまとめても、その1社と話せる人が社内にいなければ同じことが起きます。ここからは、一覧を作り、窓口を決め、そのうえでまとめるかを考える順番で書きます。

4. まず、一覧にする ― 何を・どこが・名義・期限・連絡先

最初にやることは、一覧を作ることです。表計算でも紙でも構いません。1行に1つの契約、列は5つから始めます。

行に並べるもの

ホームページまわりで、たいてい別々の契約になっているものを挙げます。

  • サイトの中身 ― 作った会社、または今サイトを直してくれている会社
  • サーバー ― サイトのデータを置いている場所
  • ドメイン ― 「〇〇.co.jp」などの住所そのもの
  • ドメインの設定 ― サイトやメールの向き先を決める設定。ドメインと同じ会社のこともあれば、サーバー会社や制作会社が持っていることもあります
  • メール ― 独自ドメインのメールアドレスを提供している会社
  • 問い合わせフォームの届き先 ― フォームから送られた内容が、どのアドレスに届くか

このほかに、Googleビジネスプロフィールやサーチコンソール、GA4も、誰が管理しているかを書き足しておくと役に立ちます。それぞれの契約の中身は 独自ドメインとメールアドレスは、どこで何を契約すればいいか で整理しています。

列は5つ

  • 何を ― 上に挙げた、どの契約か
  • どこが ― 契約している会社の名前
  • 名義 ― 契約者は会社か、個人か、制作会社か
  • 期限 ― 次の更新日と、支払いの方法
  • 連絡先 ― 問い合わせの電話番号と窓口のアドレス、こちらの担当者がいればその名前

名義の確かめ方は、先に挙げた名義の記事に詳しく書きました。この記事では、そこに2つの列を足すことをお勧めします。

足す列は、「持ち場」と「確かめた日」

1つ目は持ち場です。その会社が、どこまでを自分の仕事として見てくれるのか。サーバー会社なら「サーバーが動いているかまで。サイトの中身は見ない」、制作会社なら「サイトの表示と更新。メールは見ない」のように書きます。

持ち場が書いてあると、不具合のときにどこが誰の持ち場でもないかが見えます。そこがつなぎ目です。2つ目は確かめた日。日付が古い行は、今もそのとおりか分かりません。

表:ホームページまわりの契約を、1枚の一覧にする(会社名・日付はすべて架空の例)
何をどこが名義期限連絡先持ち場
サイトの中身たとえば制作会社A自社保守契約は毎月、自動で継続A社の担当者の電話とメール表示と更新。メールは見ない
サーバーたとえばサーバー会社B制作会社A年払い。たとえば毎年4月A社経由。B社へは直接聞けないサーバーが動いているかまで
ドメインたとえば登録会社C前の担当者の個人名年払い。たとえば毎年9月登録メールが前の担当者のアドレス住所の契約と、向き先の設定
メールたとえば社内の機器を見ている業者D自社月払いD社の電話受信と送信。サイトは見ない
フォームの届き先制作会社Aが設定――A社届き先のアドレスを変えるのはA社

表を作ると、どこが誰の持ち場でもないかが見えてきます。この例なら、ドメインの向き先の設定と、メールとフォームのつなぎ目です。さらに右に「確かめた日」の列を足しておくと、古くなった行が分かります。

分からない欄は、空けたまま残す

埋まらない欄が出ても構いません。分からない欄が、次に確かめることの一覧になります。推測では埋めず、「要確認」と書いておきます。

5. 連絡の順番を決めておく ― 症状から当たる先

一覧ができたら、次は不具合のときの連絡の順番です。何が起きたら、まずどこに当たるかを、一覧の下に書き足しておきます。

症状ごとに、最初に当たる先

あくまで目安ですが、次のように決めておくと迷いにくくなります。

  • サイトがまったく開かない ― まずドメインとサーバーの期限を一覧で見る。期限が近くなければ、サイトの中身を見ている会社へ
  • 開くけれど、一部の表示がおかしい ― サイトの中身を見ている会社へ
  • メールが届かない、送れない ― メールの会社へ。あわせて、最近ドメインの設定を誰かが触っていないかを確かめる
  • フォームから送られたはずの内容が届かない ― フォームを設定した会社と、メールの会社の両方へ

開かないときに、最初の10分で確かめることは 自社のホームページが表示されないときに、まず確かめること に順番どおりに書きました。連絡する前に、範囲と画面の記録を手元に置いておくと話が早くなります。

連絡するときは、ほかの会社の名前も伝える

分かれているときに大事なのは、連絡する相手に全体の形も一緒に伝えることです。

「サーバーはB社、ドメインはC社、メールはD社です。昨日、D社がメールの設定を変えたと聞いています」

これがあるだけで、相手はどこを見ればいいかが分かります。何も伝えないと、相手は自分の持ち場だけを見て「問題ありません」と答えるしかありません。一覧の表を送ってしまうのが早い方法です。パスワードは表に書かず、送らないでください。

押し付け合いにならない聞き方

「どちらが悪いのか」を聞くと、どの会社も自分の持ち場を守る答えになります。聞くことを変えます。

  • 「そちらで確かめられるのは、どこまでですか」
  • 「そちらから見て、ほかの会社に何を確かめればいいですか」
  • 「ほかの会社の担当者と、直接やりとりしていただけますか」

3つ目は、相手の了承をもらったうえで、関係する会社の担当者を同じメールに入れる、というやり方です。貴社が伝言役になると、言葉が少しずつずれていきます。会社同士が直接話せる形を作るほうが、早く片づくことが多いです。

6. 窓口を1つに決める

連絡の順番を決めても、毎回その順番どおりに動けるとは限りません。そこで、最初に受ける先を1つに決めておくという手があります。

窓口は、全部を直す人ではない

ここで言う窓口は、全部を自分で直す人のことではありません。最初に話を受けて、どこの持ち場かを見当をつけ、そこへ振り分ける人のことです。

窓口が決まっていると、社内の誰が気づいても連絡先は1つで済みます。

社外に置くか、社内に置くか

窓口を置く場所は、2つ考えられます。

  • 社外に置く ― いちばん関わりの深い会社、たいていはサイトの中身を見ている会社に頼みます。持ち場と持ち場のつなぎ目に詳しいので、振り分けが早くなります
  • 社内に置く ― 総務の方や、ホームページの担当の方が受けます。詳しくなくても、一覧を持っていて、どこに当たるかを決められれば務まります

社外に置く場合でも、社内に一覧を持つ人は残してください。窓口の会社と連絡が取れなくなったとき、振り出しに戻らないためです。

社外に頼むなら、決めておくこと

窓口を社外の会社に頼むときは、次のことを先に話しておきます。

  • どこまでを受けてもらうか ― サイトだけか、メールの不具合も受けてもらうか
  • ほかの会社に、代わりに連絡してもらってよいか ― 貴社の名前で問い合わせてもらうことになるので、了承の範囲を決めます
  • 費用の扱い ― 振り分けや調べる作業が、毎月の保守費の中か、別料金か

3つ目は見落とされがちです。保守費に何が入っているかは会社によってまったく違うので、ホームページの「保守費」で、何をしてもらえるのか の質問を当てて確かめてください。

7. まとめるならどの順番で、まとめないなら誰が全体を見るか

一覧と窓口ができたら、そこで初めて「まとめるかどうか」を考えます。どちらを選んでも構いません。

まとめるなら、名義から

まとめると決めたら、一度に全部を動かさないでください。動かすたびに、つなぎ目で何かが止まる可能性があります。1つずつ、止まっても困らない順番で動かします。

図:契約先をまとめるときの順番(一例)
① ドメインの名義と連絡先を、会社のものにする

契約先は動かさず、名義と登録メールだけを会社のものに直します。個人名義のままだと、ここから先の手続きが進められないことがあるからです。

ここで、更新の知らせが会社に届くようになります
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② 今の設定を控える

ドメインの向き先の設定、メールの設定、フォームの届き先を、今の会社に聞いて書き残します。動かしたあとに、元の形に戻せるようにするためです。

控えは、一覧の表と同じ場所に置きます
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③ サーバーとサイトの中身を、まとめる先に移す

サイトを見てもらう会社と、サーバーの契約先をそろえます。切り替えの日は、問い合わせの少ない日を選びます。

切り替えの前後で、サイトの表示とフォームを試します
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④ メールは最後に、別の日に考える

メールは切り替えのときに取りこぼしが出やすいので、サイトと同じ日には動かしません。今のままで困っていなければ、動かさない選択もあります。

まとめたあと、一覧の行を書き直して「確かめた日」を入れます

順番は会社ごとに変わります。共通しているのは、名義を先に会社に戻すことと、メールとサイトを同じ日に動かさないことです。乗り換えのときに実際に起きることは、サーバーとドメインの記事にまとめています。

まとめないなら、社内の誰が全体を見るか

分かれたままにする、と決めることもできます。その場合に決めるのは、社内で全体を見る人を1人置くことです。技術に詳しい必要はありません。やることは次の4つです。

  • 一覧を持つ ― 表を最新にしておき、どこにあるかを社内に知らせておく
  • 期限の前に見る ― 更新日の1ヶ月前に、自動更新と支払いのカードの期限を確かめる
  • 変える前に知らせる ― どこか1社が設定を変えるときは、関係するほかの会社にも先に伝える
  • 不具合のときに最初に受ける ― 社内の窓口として、当たる先を決める

3つ目がいちばん効きます。つなぎ目の事故の多くは、1社が変えたことを、ほかの会社が知らなかったことから起きるからです。

人が変わるときに、一覧を渡す

全体を見る人が辞めたり異動したりすると、また誰も知らない状態に戻ります。一覧の表を後任に渡すことを、引き継ぎの項目に入れておいてください。人に付いていた全体の見取り図を、会社に残すためです。

8. 雄喜晃の伴走:サイトまわりの窓口を、1か所にします

私たち雄喜晃がお作りするサイトでは、サーバー・独自ドメイン・SSL・保守を月額の中に含めています。サイトの中身と、サイトを置く場所と、住所と、その更新の期限が、1か所にそろった形です。

私たちがやること

  • サイトまわりの窓口になる ― サイトが開かない、表示がおかしいといったご連絡は、私たちが受けて調べます。分かったことと分かっていないことを分けてお伝えします
  • 更新の期限を、こちらで持つ ― サーバー、ドメイン、SSLは月額に含まれるので、貴社でそれぞれの更新の手続きをしていただく必要はありません
  • 一覧づくりのお手伝い ― 貴社の一覧のうち、私たちが関わっている行について、持ち場と連絡先を文字でお答えします。メールなど別の会社との契約が残る場合は、その行の確かめ方を一緒に考えます
  • サイトの書き換えを代わりに行う ― 連絡先や担当者の変更も、月5回までの更新代行の中で反映します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれ、月5回までの更新代行も同じ月額の中です。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • ほかの会社と結んでいる契約の名義変更を、代わりに手続きすることはしません。多くの場合、今の名義を持つ方ご本人の操作が要るからです
  • ほかの会社が管理しているところを、ログインできないまま触ることはしません。まずそちらへの連絡の仕方を一緒に考えます
  • どの会社に落ち度があったかを決める役は、お引き受けしません。私たちが見られる範囲で分かった事実をお伝えするところまでです。契約上の責任の話になる場合は、専門家にご相談ください
  • 社内のパソコンやネットワークの修理はしません。社内の機器を見ている業者さんにご相談ください

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「サイトが止まったら、どこに電話すればいいのか社内の誰も知らない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:分かれていても、全体を見る人がいれば回る

契約先が分かれているときに、押さえることは5つです。

  • 分かれていること自体は悪くない ― 困りごとの元は、全体を見ている人がいないこと
  • 一覧にする ― 何を・どこが・名義・期限・連絡先に、持ち場と確かめた日を足す
  • 症状から当たる先を決める ― 連絡するときは、ほかの会社の名前と最近の変更も伝える
  • 窓口を1つ決める ― 社外に頼んでも、社内に一覧を持つ人は残す
  • まとめるなら名義から、1つずつ ― まとめないなら、全体を見る人を社内に1人置く

不具合のときに困るのは、どこかの会社が仕事をしていないからではありません。持ち場と持ち場のつなぎ目を、誰も見ていないからです。一覧があれば、つなぎ目がどこにあるかが見えます。

まず、今日できること

今日のうちに、1つだけやってみてください。ホームページまわりの契約を、思いつく分だけ紙に書き出し、それぞれの横にどこの会社かを書く。分からないところは空欄で構いません。空欄の数が、次に確かめることの数です。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。分かれている契約を一覧にするところから、ご一緒します。