1. 「毎月払っている保守費、何に使われているんでしょう」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「作ったときから毎月、保守費というのを払っているんです。ただ、何をしてもらっているのかと聞かれると、正直よく分からなくて。文章を1行直してもらうのに、別に見積もりが来たこともあるんですよね」

この話は、どちらかが悪いという話ではないことが多いです。「保守」という言葉の中身が、契約の前に言葉で確かめられていなかった。それだけのことです。

保守費や管理費は、会社によって入っているものが違います。サーバーの契約の更新だけを指す会社もあれば、文章の差し替えまで含める会社もあります。どれが正しいということはありません。大事なのは、貴社が払っている、またはこれから払う保守費に、何が入っているかを知っていることです。

この記事では、保守の中身を5つの箱に分けて、それぞれに当てる質問を並べます。最後に、保守を止めたら何が起きるかも書きます。

2. 「保守費」「管理費」は、会社によって中身が違う

名前は同じでも、中身は決まっていない

「保守費」「管理費」「運用費」「サポート費」。呼び方はいろいろありますが、どの言葉にも、決まった中身はありません。同じ「保守費 月○円」でも、ある会社では契約の更新だけ、別の会社では不具合の対応や文章の差し替えまで、という違いが起きます。

見積書に「保守費」と1行だけあるとき、その中身は書いた会社の頭の中にしかありません。

高い・安いは、中身を並べてから

保守費の金額だけを比べても、判断はできません。月額が安い会社は入っているものが少なく、高い会社は多い。そういうことがよくあります。逆に、同じ金額でも中身が大きく違うこともあります。

金額を見るのは、中身を同じ並びにそろえてからです。相見積もりの比べ方全体は ホームページの相見積もりを、公平に比べる方法 に、制作費と保守費を3年の総額で並べる考え方は ホームページの費用は、3年で並べないと判断できない にまとめてあります。

保守の中身は、5つの箱に分けて考える

聞く前に、保守の中身を分けておきます。だいたい次の5つの箱に収まります。

図:「保守費」の中身を、5つの箱に分けて考える
① 契約の更新
サーバー・ドメイン・SSL

サイトを置く場所、住所にあたるドメイン、通信を守る証明書。それぞれの契約が切れないように更新します。費用が保守費の中か、別かを確かめます。

切れると、サイトもメールも止まる
② 仕組みの更新
サイトを動かしている部品を新しく保つ

管理画面や、フォームなどの部品は、作ったあとも新しい版が出ます。古いまま置いておくと、表示が崩れたり、不正に入られやすくなったりします。

作り方によって、要る量が違う
③ 不具合への対応
壊れたときに直す

表示が崩れた、フォームが届かない、改ざんされた。いちばん困るときに、いちばん頼りたい部分です。含まれているかどうかを、とくに確かめます。

「どこまでが不具合か」で揉めやすい
④ バックアップ
いざというときに戻せるようにする

サイトの中身を別の場所に写しておきます。取っているかだけでなく、戻せるか、戻すのに費用がかかるかまで聞きます。

取っている、と、戻せる、は別の話
⑤ 更新代行
文章や写真の差し替え

営業時間の変更、お知らせの追加、写真の入れ替え。保守に含める会社と、別料金にする会社で分かれます。回数や時間の上限も確かめます。

「1回」の数え方が会社ごとに違う

どの箱が保守費に入っているかは、会社によって違います。全部入っている会社が良い、少ない会社が悪い、という話ではありません。貴社にとって要る箱が入っているか、入っていない箱を誰がやるかが分かっていれば十分です。

ここからは、箱ごとに当てる質問を書いていきます。

3. 質問①:サーバー・ドメイン・SSLの更新は入っているか

1つ目の箱は、契約の更新です。サイトが表示され続けるための土台にあたります。

更新の費用は、保守費の中か、別か

サーバー、ドメイン、SSLには、それぞれ更新の費用がかかります。この費用が保守費に含まれているのか、別に請求されるのかを聞いてください。

「サーバーとドメインとSSLの更新の費用は、この保守費に含まれていますか。別の場合は、いつ、いくらくらい請求されますか」

保守費とは別に、年に一度ドメインの更新費用が来る、という形もよくあります。どちらが良いということではなく、知らないまま請求が来ると驚く、というだけの話です。

名義は誰か

更新の費用と一緒に聞いておきたいのが、契約の名義です。ドメインやサーバーが、貴社の名義なのか、制作会社の名義なのか。制作会社の名義であること自体は珍しくありませんが、保守をやめたときに動かせるかどうかに関わります。

名義の確かめ方は ホームページのドメインやアカウントは、誰の名義になっているか に、契約先を選ぶときの観点は サーバーとドメインを、どこで契約するか に書いてあります。

更新の知らせは、どこに届くか

もう1つ、地味ですが大事な質問があります。更新の時期が近づいたときの知らせが、誰のメールに届くかです。制作会社が更新を引き受けているなら、制作会社に届く設定のはずです。貴社が自分で更新する部分があるなら、その知らせは貴社に届くようになっているかを確かめてください。

4. 質問②:仕組みの更新と、不具合への対応は入っているか

2つ目と3つ目の箱です。保守費の中身で差が出やすいところです。

作ったままでは、古くなる部分がある

ホームページは、作った日のまま止まっているように見えます。ただ、中では管理画面やフォームの部品などが動いていて、それぞれに新しい版が出続けています。古い版を使い続けると、表示が崩れたり、不正に入られる隙ができたりすることがあります。

どれくらいの頻度で更新が要るかは、サイトの作り方によって大きく違います。ですから、聞くのは頻度の数字より、仕組みの更新が保守に含まれているかどうかです。

「サイトの仕組みや部品の更新は、保守の中でやっていただけますか。やるときは、事前に知らせてもらえますか」

「不具合」は、どこまでか

不具合への対応が保守に含まれていると言われたら、どこまでを不具合と呼ぶのかを聞いてください。ここがあいまいだと、困ったときに「それは保守の範囲外です」となりやすいところです。

たとえば、次のような場面を挙げて聞くと、答えが具体的になります。

  • 表示が崩れた ― スマートフォンで見たら、文字や写真が重なっている
  • フォームが届かない ― 問い合わせを送っても、メールが来ない
  • 改ざんされた ― 見覚えのないページや文字が出ている
  • 開かなくなった ― サイトにつながらない

場面を置いて聞くと、「それは含まれます」「それは別料金です」と、相手も答えやすくなります。

原因が貴社の側にあるとき

もう1つ聞いておきたいのが、原因が貴社の側にあった場合の扱いです。管理画面で誤ってページを消してしまった、社内で写真を入れ替えたら表示が崩れた。こうした場合も保守の範囲で直してもらえるのか、別料金になるのか。

どちらでもおかしくない話ですが、先に知っておけば、社内で触るときの気のつけ方が変わります。

5. 質問③:バックアップは取っているか、戻せるか

4つ目の箱は、バックアップです。

取っているか、と、戻せるか、は別

「バックアップは取っています」と言われても、それで安心するのは少し早いです。バックアップは、取っていることより、戻せることのほうが大事だからです。聞くのは、次の3つです。

  • どれくらいの間隔で取っているか ― 毎日か、毎週か、更新のたびか
  • どこまでさかのぼれるか ― 昨日の状態だけか、何日か前の状態まで戻せるか
  • 戻すときの費用と時間 ― 保守の範囲で戻してもらえるか、別料金か、どれくらいで戻るか

改ざんに気づくのが数日後になることもあります。その場合、昨日の状態しか残っていなければ、昨日の状態もすでに改ざんされているかもしれません。どこまでさかのぼれるかは、そのためにも聞いておく価値があります。

貴社の手元にも、控えを残す

バックアップを制作会社に任せている場合でも、貴社の手元に残しておけるものがあります。サイトに載せている文章、写真の元のデータ、ロゴ。これらの元データを社内に置いておけば、最悪の場合でも作り直しの材料が残ります。

6. 質問④:文章や写真の差し替えは、どこまで頼めるか

5つ目の箱は、更新代行です。経営者の方がいちばん「保守費の中でやってくれると思っていた」とおっしゃるのが、ここです。

「1回」は、何を指すのか

更新代行が保守に含まれていて、「月○回まで」と書かれている場合は、1回が何を指すのかを聞いてください。会社によって数え方が違います。

  • 依頼の連絡1回 ― 1通の連絡でまとめて頼めば、何か所でも1回
  • 直す箇所1つ ― 電話番号と営業時間を直すと、2回
  • 作業時間 ― 「〇分以内を1回」のように、時間で区切る

数え方で、同じ回数でもできることが大きく変わります。

範囲を超えたときの料金の決まり方

回数や時間の上限を超えたとき、また、新しいページを足すような大きな変更のときに、料金がどう決まるかも聞いておきます。1回ごとの金額が決まっているのか、そのつど見積もりなのか。

「新しいページを足したい」は、差し替えとは別の作業として扱われることが多いです。どこからが別の作業かを、先に線引きしてもらってください。

連絡してから、反映までの目安

もう1つ大事なのが、連絡してから反映されるまでの目安です。

「営業時間が変わったので直してください、とお願いしたら、だいたいどれくらいで反映されますか。休みの日や夜に連絡した場合はどうなりますか」

台風で臨時休業をお知らせしたい、という日に、反映が数日後では間に合いません。急ぎのときの連絡先と、受け付けている時間帯を聞いておくと安心です。

写真は、誰が用意するか

写真の差し替えを頼むときは、写真を誰が用意するかも確かめておくと話が早くなります。貴社で撮った写真を送れば整えて載せてもらえるのか、写真の用意まで頼めるのか。会社によって分かれるところです。

表:保守費の中身を確かめる質問リスト(答えの例は架空)
確かめること質問の言い方答えの例(架空)聞く理由
契約の更新サーバー・ドメイン・SSLの更新費用は、保守費に含まれますかたとえば「サーバーとSSLは含む。ドメインは年1回別に請求」知らないまま別の請求が来るのを防ぐ
名義ドメインとサーバーは、誰の名義ですかたとえば「ドメインは貴社名義、サーバーは当社名義」保守をやめたときに動かせるかが分かる
仕組みの更新部品や管理画面の更新は、保守の中でやってもらえますかたとえば「含む。大きな更新の前には連絡する」古いまま置かれて崩れる・入られるのを防ぐ
不具合表示崩れ・フォーム不達・改ざんは、どれが保守の範囲ですかたとえば「表示崩れとフォームは含む。改ざんの復旧は別見積もり」困ったときに範囲外と言われないように
バックアップどれくらいの間隔で取り、どこまで戻せて、戻す費用はかかりますかたとえば「〇日ごとに取得。△週前まで戻せる。復元は保守の範囲」取っているだけでなく戻せるかを確かめる
更新代行月の回数の上限と、「1回」の数え方を教えてくださいたとえば「月〇回まで。1通の連絡でまとめた分を1回と数える」同じ回数でも、できることが変わる
対応の目安連絡してから反映まで、どれくらいですか。休日はどうなりますかたとえば「平日は〇営業日以内。休日の連絡は翌営業日から」臨時休業のお知らせなど、急ぎの日に間に合わないのを防ぐ
やめたとき保守をやめたら、サイト・ドメイン・メール・データはどうなりますかたとえば「サイトは表示を続ける。更新とバックアップは止まる」やめたときの姿が、続けるかどうかの判断材料になる

答えの例は、聞き方のイメージをつかむための架空のものです。実際の答えは会社によって違います。答えは口頭で済ませず、メールなど文字で残してもらってください。あとで「言った・言わない」にならずに済みます。

7. 保守を止めたら、何が起きるか

質問リストの最後の行を、もう少し詳しく書きます。保守を止めたときに何が起きるかは、続けるかどうかを決めるときの、いちばんの判断材料になります。

サイトは表示されたままか

保守を止めても、サイトがそのまま表示され続ける場合もあれば、止めた時点で表示されなくなる場合もあります。サーバーの契約が保守の中に入っている場合は、保守を止めるとサーバーも止まることがあります。どちらになるかを、先に聞いておいてください。

ドメインとメールはどうなるか

サイトより影響が大きいのが、ドメインとメールです。会社のメールアドレスが、サイトと同じドメインの上にある場合、ドメインの契約が止まると、メールも届かなくなります。取引先とのやりとりが止まるので、サイトが消えるより困ることもあります。

ドメインを貴社に移せるのか、移すときに何が要るのかも聞いておいてください。

データは受け取れるか

保守をやめて、別の会社に引き継ぐ、または自社で管理するときに、サイトのデータを受け取れるかどうかも大事です。受け取れる場合でも、どんな形で受け取れるかによって、そのまま使えるかどうかが変わります。

このあたりの条件は、契約書に書かれていることが多いです。署名の前に読むところは ホームページ制作の契約書で、サインする前に読むところ にまとめてあります。見積書の中で中身の分かりにくい行の聞き方は、見積書に「SEO対策費」と書かれていたら、何を聞くか の考え方も使えます。

止めること自体は、選択肢の1つ

最後に、誤解のないように書いておきます。保守を止めることは、悪いことではありません。社内に更新できる人がいて、サーバーやドメインの契約を自分で管理できるなら、止めて費用を減らすという判断もあります。

逆に、更新する人がいない会社なら、保守費を払って任せたほうが安心なこともあります。どちらが合うかは、貴社の体制によって違います。

8. 雄喜晃の伴走:月額に含まれるものを、先にお伝えします

私たち雄喜晃のホームページ制作でも、保守は月額に含まれています。だからこそ、月額の中に何が入っているかを、契約の前にお伝えすることを大事にしています。

私たちがやること

  • 月額に含まれるものを、先にお伝えする ― サーバー、独自ドメイン、SSL、保守が月額に含まれていることを、契約の前にご説明します
  • 文章や写真の差し替えを、代わりに行う ― 月5回までの更新代行が月額に含まれています。営業時間の変更やお知らせの追加は、ご連絡いただければこちらで反映します
  • 写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せる ― お送りいただいた写真の向きや大きさを整えて、ページに入れます
  • この記事の質問に、お答えする ― 上の質問リストは、私たちに当てていただいて構いません。気になる点は、契約の前にお問い合わせください

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中です。

終わるときの条件も書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。7章に書いた「やめたら何が起きるか」は、私たちの場合はこの条件になります。

私たちがやらないこと

他社と結んでいる保守契約の中身が良いか悪いかを、判断することはしません。どの箱が要るかは貴社の体制によって違い、良し悪しで決められる話ではないからです。ご相談いただければ、この記事の5つの箱に分けて、整理するお手伝いまではいたします。

また、他社との契約の解約手続きを代わりに行うこともできません。契約書の解釈について法的な判断が要る場合は、専門家にご相談ください。検索の順位や、問い合わせの件数をお約束することもいたしません。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。「毎月の保守費で何をしてもらっているのか、説明できない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:保守費は、質問を当てて中身を見る

ホームページの保守費で何をしてもらえるかは、会社によって違います。確かめるときに押さえることは、4つです。

  • 中身を5つの箱に分ける ― 契約の更新、仕組みの更新、不具合への対応、バックアップ、更新代行
  • 場面を置いて聞く ― 「フォームが届かないときは」「営業時間を直したいときは」と具体的に聞くと、答えも具体的になる
  • 回数・時間・目安を確かめる ― 「1回」の数え方、上限を超えたときの料金、連絡してから反映までの目安
  • やめたときの姿を聞く ― サイト、ドメイン、メール、データがどうなるか

金額を比べるのは、この4つで中身をそろえてからです。保守費は、高いか安いかより、何が入っているかで決まります。

まず、今日できること

今日できることを1つだけ挙げます。いま払っている保守費について、6章の質問リストを制作会社にメールで送ってみてください。答えが文字で返ってくれば、それがそのまま、貴社の保守の中身の一覧になります。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社に要る箱がどれかを整理するところから、ご一緒します。