1. 「子どもたちの楽しそうな顔を、載せたいんですが」
教室や地域の行事を運営している方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「うちの教室は、子どもたちの表情がいちばんの売りなんです。発表会の写真なんか、本当にいい顔をしていて。ただ、どこまで載せていいのか分からなくて、結局ホームページには建物の写真しか載せていないんですよ」
習い事の教室、学習塾、スポーツ教室、保育の施設、地域のお祭りや子ども会。子どもが主役の場所では、いちばん伝わる写真ほど、子どもの顔がはっきり写っています。
ただ、子どもの写真は、大人の写真と同じ扱いでは済みません。この記事では、子どもの安全を第一にするという立場から、載せる前に決めておくことを順番に書きます。了解の取り方、了解の範囲、顔が分からない写し方、一緒に出さない情報、そして外し方です。
この記事で書くこと
写真そのものの権利(撮った人の権利、素材写真の条件)の全体は ホームページの写真と文章、権利はどうなっているか にまとめました。地域の清掃や職場体験など、会社の活動として載せる話は 地域の活動や社会貢献を、ホームページにどう載せるか で書いています。
この記事は、その中でも子どもが写る場面だけを取り出して、教室や行事を運営する側が何を決めておけばよいかを書きます。
なお、子どもの写真や名前は、個人情報やプライバシーに関わることがあります。扱いは業種や施設の種類、自治体や団体の方針によって違います。細かい判断は、所管の窓口や専門家に確認してください。この記事で書くのは、その前に運営側で整えておける段取りです。
2. 子どもの写真が、大人の写真と違うところ
先に、なぜ子どもの写真を分けて考えるのかを書いておきます。理由は4つあります。
本人が、自分で判断できない
大人の社員なら、写真を見せて「サイトに載せていいですか」と聞けば、本人が決められます。子どもの場合、載せることの意味を本人が判断できる年齢とは限りません。だから保護者の方の了解が要ります。
ただし、保護者の方が了解しても、本人が嫌がっているなら載せないほうがいい場面もあります。小学校の高学年や中高生なら、本人にも一言聞いてください。
いつ・どこにいるかが分かってしまう
ここがいちばん大事なところです。教室の写真には、その子が、決まった曜日の決まった時間に、決まった場所に来るという情報が一緒についてきます。
顔と名前と場所と時間がそろうと、知らない大人がその子を待ち伏せできてしまいます。考えすぎに思えても、載せる側が考えておくべきことです。
一度出ると、手元に戻らない
ホームページやSNSの写真は、見た人が保存も転載もできます。サイトから消しても、誰かが保存した写真は消せません。本人が大きくなってから「載せないでほしかった」と思っても、運営側ができることは限られています。
成長しても、写真は残る
卒業した子、やめた子の写真が、ずっと「今の教室の様子」として載り続けることがあります。辞めた社員の写真が残るのと同じ問題で、辞めた社員の写真や名前が、ホームページに残っている にも書きました。
3. 保護者の了解を、書面で取る
ここから段取りに入ります。まずは了解の取り方です。
口頭ではなく、書面で残す
口頭の「いいですよ」は、半年後に確かめる手段がありません。了解は、書面かそれに近い形で残してください。
紙の用紙でも、申し込みフォームの確認欄でも構いません。大事なのは、誰が、いつ、何に了解したかがあとから分かることです。
入会のときに、まとめて聞く
いちばん聞きやすいのは、入会や申し込みのときです。入会の書類の中に、写真の扱いについての欄を1つ設けておきます。
入会時に基本の了解を取り、いつもと違う使い方をするときだけ、改めて聞くという形にすると回ります。たとえば、チラシの表紙に大きく使うときや、外部の媒体に出すときです。
「載せない」を、気軽に選べるようにする
了解の欄は、「載せてよい」「載せないでほしい」のどちらも同じように選べる形にしてください。最初から「載せてよい」に印がついている用紙は避けます。
そして、「載せないでほしい」を選んだ家庭が、教室の中で不利にならないようにします。発表会で後ろの列に回される、写真に写らないように端に寄せられる、といったことが起きると、保護者の方は本当の気持ちを書けなくなります。
写真には、ほかの子も写っている
集合写真や練習風景には、了解をくれた子と、そうでない子が一緒に写ります。1枚の写真に写っている全員の了解がそろっているかを確かめてから使ってください。
一人でも「載せないでほしい」の子が写っているなら、その写真は使わないか、その子が分からない形に直します。顔だけぼかした写真をそのまま使うかどうかは、次の章で書きます。
保護者の方が撮った写真を使うとき
保護者の方から写真を提供してもらう場合は、撮った方の了解と、写っている子ども全員の保護者の了解の両方が要ります。ほかの子も写っているからです。
4. 了解の範囲を、場所と期間で分ける
了解を取るときに、もう1つ決めておくことがあります。何に、どこまで、いつまで使ってよいかです。
「ホームページに載せてよい」だけでは足りない
「写真を使ってもよいですか」という一行だけだと、保護者の方はホームページを思い浮かべるかもしれません。ところが運営側は、SNSやチラシ、看板にも使うつもりでいる。ここで、了解した範囲と使った範囲がずれます。
使う場所によって、写真が届く人も、残り方も違います。チラシは配ったら回収できませんし、SNSは広がり方が読めません。場所ごとに分けて聞くと、保護者の方も判断しやすくなります。
顔を出すかどうか、名前を出すかどうか
場所に加えて、写り方も分けて聞きます。顔が分かる写真でよいのか、後ろ姿や手元ならよいのか。名前は出さないのか、下の名前だけならよいのか。
| 項目 | たとえばこう書く | 分けて聞く理由 |
|---|---|---|
| 使う場所 | ホームページ/教室のSNS/チラシ・ポスター/教室内の掲示。それぞれに「可・不可」を選ぶ欄 | 届く人と残り方が違う。チラシは配ったら回収できない |
| 写り方 | 顔が分かる写真も可/後ろ姿・手元など顔が分からない写真のみ可/どちらも不可 | 「顔なしなら載せてよい」家庭は多い。選べると本音を書きやすい |
| 名前 | 名前は出さない、を基本にする。出す場合だけ別に確認する | 顔と名前がそろうと、その子を特定できてしまう |
| 期間 | 在籍中のみ/卒業・退会後も行事の記録として掲載可 | 辞めたあとの扱いを、先に決めておける |
| 取り消し | いつでも取り消せること、連絡先、外すまでの目安 | 取り消せると分かっていると、了解しやすい |
| 外せないもの | 配布済みの印刷物や、第三者が保存した写真は回収できないこと | あとで「消えていない」と言われないよう、先に伝える |
項目を増やしすぎると、保護者の方が読み飛ばします。場所・写り方・名前・期間・取り消しの5つが入っていれば、たいていの場面で判断できます。了解書の文面そのものは、業種や施設の決まりによって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。
期間は「いつまで」を書く
見落とされやすいのが期間です。在籍している間だけなのか、卒業や退会のあとも載せてよいのか。ここが決まっていないと、辞めた子の写真をどうするかで、毎回迷うことになります。
迷ったら、「在籍中のみ」を基本にしてください。卒業後も載せたい写真があるなら、そのときに改めて聞けば済みます。了解の中身は、名簿の横に「サイト可・SNS不可・顔なしのみ」のように一行で書いておくと、写真を使うたびに引けます。
5. 顔が分からない写し方と、ぼかしの注意
了解がそろわないときや、そもそも顔を出さない方針にするときは、写し方を変えます。顔が写っていなくても、教室の様子は十分に伝わります。
顔が写らない写し方
- 後ろ姿 ― 先生の話を聞いている背中、ゴールへ走っていく後ろ姿。教室の雰囲気は、案外こちらのほうが伝わります
- 手元 ― 鍵盤の上の手、筆を持つ手。何を習う場所かが一目で分かります
- 道具と作品 ― 並んだ道具、書き上げた作品。子どもがいなくても成り立ちます
- 先生の側から ― 先生の表情や手元を撮り、子どもは背中だけにする。誰が教えるのかも伝わります
- 引きの写真 ― 教室全体を少し離れて撮り、一人ひとりの顔が分からない大きさにする
どの写真を選ぶかの手順は 手元にある写真から、ホームページに使う写真を選ぶ にまとめてあります。子どもの写真の場合は、そこに「顔が分かるかどうか」の確認が1つ加わると考えてください。
ぼかしは、思っているより分かる
顔をぼかした写真を使うこともできます。ただ、いくつか注意があります。
- 薄いぼかしは、顔が分かる ― 知っている人が見れば、髪型や体つきで誰だか分かります。ぼかすなら、はっきり塗りつぶすくらいにします
- ぼかす前の写真を、公開の場所に置かない ― 元の写真が共有フォルダやSNSの下書きに残っていると、そこから出ていくことがあります
- 1人だけぼかした集合写真は、目立つ ― ほかの子はみんな笑顔で、1人だけぼかしがかかっている。かえってその子に目が向きます。その場合は、写真ごと別のものにするほうが自然です
迷うなら、最初から顔が写らない写真を選ぶほうが、手間も心配も少なく済みます。
写真のファイルに残っている情報
スマートフォンで撮った写真には、撮った場所や日時の情報がファイルの中に残っていることがあります。見ただけでは分かりませんが、調べれば読み取れます。載せる前に、位置の情報が消えているかを確かめてください。制作会社に任せている場合は、消してから載せているかを聞いておくと安心です。
6. 写真と一緒に出さない情報
顔が写っていなくても、写真の周りの情報で子どもが特定されることがあります。写真そのものより、写真と一緒に何が出ているかを見てください。
写真の中に写り込むもの
- 名札・ゼッケン・持ち物の名前 ― 胸の名札、背中のゼッケン、水筒や上履きに書かれた名前。拡大すると読めることがあります
- 制服・体操服・校章 ― どこの学校に通っているかが分かります。近所の人なら、校章だけで学校が分かります
- 背景の看板や建物 ― 学校の校舎、公園の名前の看板、自宅の近くと分かる景色
- 車のナンバー ― 送り迎えの車が写り込んでいる写真は、外してください
載せる前に、パソコンの画面で拡大して端から順に見てください。スマートフォンの小さな画面では、名札の文字を見落とします。
文章のほうで、出してしまうもの
写真の説明文や、お知らせの本文にも気をつけます。
- フルネーム ― 「〇〇大会で優勝した△△□□くん」。名前は出さないか、出すとしても下の名前だけに
- 学校名と学年 ― 「〇〇小学校3年生の」と書くと、名前がなくても絞り込めます
- 練習の曜日・時間・場所と、その子の写真 ― 教室の時間割は載せる必要があります。ただ、時間割のすぐ横に特定の子の写真を並べると、いつそこにいるかが分かってしまいます
曜日と時間と場所を書くのは、教室の案内として当然です。問題は、特定の子の写真と、その子が来る時間が、同じ画面で結びつくことです。時間割のページと子どもの写真のページは、分けておきます。
大会の結果や表彰
頑張った子を紹介したい気持ちはよく分かります。ただ、大会の結果の記事は、顔と名前と学年がそろいやすい場所です。載せるなら、保護者の方に文面と写真を見てもらってから公開してください。「チームとして準優勝しました」のように、個人を出さない書き方もできます。
体験会や発表会の告知ページの作り方は 説明会・セミナー・見学会の告知ページを、どう作るか にまとめました。告知を開催報告に書き換えるときは、写真の確認が抜けやすいので、ここまでの確認を一通り通してください。
7. 取り消されたとき、卒業・退会したあと
了解は、取り消されることがあります。そのときにすぐ動けるかどうかで、保護者の方からの信頼が変わります。
どの写真を、どこに使ったかを一覧にしておく
取り消しの連絡が来たとき、いちばん困るのはその子の写真をどこに使ったか、誰も把握していないことです。対策は、写真を使うたびに一行記録を残すこと。写真のファイル名、写っている子、使った場所、使った日。表計算の1枚で足ります。
取り消しの連絡が来てから、外すまで
誰から、いつ、どの範囲の取り消しかを書き留めます。「全部外してほしい」のか「SNSだけ」なのかを、その場で確かめます。
写真の一覧から、その子が写っている写真と、使った場所を全部引き出します。集合写真に写っているものも含めます。
すぐに外せる場所から外します。集合写真は、写真ごと別のものに差し替えるか、その子が分からない形に直します。
配ってしまったチラシは回収できません。在庫は使わずに止め、次に刷るときに差し替えます。掲示物はその日のうちに外します。
どこから外したか、外せなかったものは何かを伝えます。外したあとも、しばらく検索結果に古い写真が出ることがある点も添えます。
大事なのは③までの速さです。サイトを自分たちで、またはすぐに頼んで直せる状態にしておかないと、外すまでに時間がかかります。更新を誰がやるかは、写真を載せる前に決めておいてください。
検索結果や、保存された写真のこと
サイトから外しても、検索結果の画像にはしばらく残ることがあります。保存や転載された写真は、運営側では消せません。これは了解を取るときに先に伝えておくことです。あとから伝えると言い訳に聞こえますが、先に伝えてあれば、保護者の方は承知のうえで判断できます。
卒業・退会したあとの写真
取り消しの連絡がなくても、卒業や退会のタイミングで写真を見直してください。了解書で「在籍中のみ」としているなら、外すのが基本です。
- トップや教室紹介の写真 ― 「今の様子」として見られる場所なので、辞めた子の写真は差し替える
- 過去の行事の報告 ― 日付の入った記録として残すかどうかは、了解の期間に従う。迷ったら、顔の分からない写真に替える
- SNSの過去の投稿 ― 見落としやすい場所です。写真の一覧に、SNSの投稿も入れておく
退会の書類に「写真の掲載について」の一行を入れて、退会のときに一言聞くのが、いちばん手間がかかりません。あわせて年度の変わり目など、時期を決めて名簿と写真の一覧を並べ、外すべきものをまとめて見直します。
サイトで集めた情報の扱いをどう書くかは、ホームページのプライバシーポリシーに、何を書くか にまとめました。体験会の申し込みフォームで子どもの名前や学年を受け取っている場合は、そちらもあわせて見直してください。
8. 雄喜晃の伴走:子どもの写真は、了解の範囲を確かめてから載せます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、教室や行事の写真をお預かりするとき、写っている子どもの了解がどの範囲で取れているかを先に伺います。写真の出来より、そちらを先に確かめます。
私たちがやること
お預かりした写真の中から、ページの役目に合うものを一緒に選びます。そのうえで、名札やゼッケン、制服、背景の看板など、子どもを特定できるものが写り込んでいないかを拡大して確かめます。写真のファイルに残っている撮影場所の情報も、消してから載せます。
了解が「顔なしのみ」の子が写っている写真は、使わないか、顔の分からない写真への差し替えをご提案します。
どの写真をどのページに使ったかは、一覧にしてお渡しします。取り消しの連絡があったときは、ご連絡いただければこちらで外します。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、卒業や退会の時期に写真を差し替えるときも、同じ月額の中で対応します。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
先に書いておきます。私たちは、撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでが私たちの仕事です。
また、了解が確認できない子どもの写真は、どれだけ良い写真でも載せません。保護者の方への了解の取り方そのものや、了解書の文面が法律の上で足りているかの判断も、私たちの立場ではお答えできません。そこは所管の窓口や専門家にご確認ください。写真を載せることで入会や問い合わせが増えるとお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「子どもたちの様子を伝えたいけれど、どこまで載せていいか分からない」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:載せる前に、外し方まで決めておく
教室やイベントで子どもが写った写真をホームページに載せるときに押さえることは、5つです。
- 了解は書面で、入会のときに ― 「載せない」も同じように選べる形にし、選んだ家庭が不利にならないようにする
- 場所・写り方・名前・期間で分けて聞く ― サイト・SNS・チラシのどれか、顔を出すか、名前を出すか、いつまでか
- 迷ったら、顔の写らない写真にする ― 後ろ姿、手元、道具、先生の側から。薄いぼかしは分かることがある
- 写真の周りの情報を見る ― 名札、制服、校舎、フルネーム、学校名。練習の時間と特定の子の写真を同じ画面に並べない
- 外し方を先に用意する ― どの写真をどこに使ったかの一覧を作り、取り消しや卒業・退会のときにすぐ外せるようにする
子どもの写真は、教室の良さをいちばん伝えてくれる材料です。だからこそ、載せるときより、外すときのことを先に考えておくと、保護者の方にも安心して了解してもらえます。
まず、今日できること
今のホームページとSNSを開いて、子どもが写っている写真を数えてみてください。その横に、了解がどの範囲で取れているかを書けるかどうか。書けない写真があれば、そこから見直しを始めてください。