1. 「辞めた人の写真が、まだトップに出ていると言われまして」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「お客様から『○○さんはお元気ですか、サイトで見ましたよ』と言われたんです。その人、去年辞めているんですよ。社員紹介は消したつもりだったんですが、トップの集合写真とブログにまだ残っていて」

社員が辞めたとき、ホームページのことは後回しになりがちです。引き継ぎや手続きのほうが急ぐので、当然です。ところが、サイトの中では、辞めた人がそのまま働き続けていることになります。

担当者の引き継ぎとは、別の話です

先に、似た話題との違いを書いておきます。

ホームページを管理していた担当者が辞めるときに、ドメインの名義や管理画面のIDをどう引き継ぐか。これは ホームページの担当者が辞める・異動するときの引き継ぎ で扱いました。

この記事は、サイトに載っている人が辞めたときの話です。写真や名前、書いた記事、話したインタビューが、退職後もサイトに残っている。その状態をどう直すか、そしてどう防ぐかを書きます。

この記事で書くこと

  • 辞めた人が、サイトのどこに残りやすいか
  • 残っていると、何が起きるか
  • 載せるときに、本人と決めておくこと
  • 辞めたときに直す場所の一覧と、探し方
  • 集合写真の差し替え方
  • 名前だけ消すか、記事ごと下げるかの判断

2. 辞めた人は、思っている以上の場所に残る

「社員紹介のページを消せば終わり」と考えている会社が多いのですが、実際には人の写真や名前はあちこちに散らばっています。

人が載っているのは、社員紹介だけではない

よく残っている場所を挙げます。

  • 社員紹介・スタッフ紹介 ― 写真、名前、ひとこと。ここはまだ気づかれやすい場所です
  • 社員インタビュー ― 採用ページに載せた、入社の経緯や1日の流れの記事
  • ブログやコラムの署名 ― 「この記事を書いた人」の欄、記事の最後の名前
  • 集合写真 ― トップ、会社概要、採用ページの大きな写真
  • お知らせ ― 入社のお知らせ、資格の取得、イベントや研修の報告
  • 採用ページ ― 先輩の声、1日の流れの写真、「採用担当:○○」の表記
  • SNS ― 会社の投稿の中の写真、名前の入った紹介、サイトに埋め込んだ投稿

どれも、載せた時点では正しい情報でした。ただ、載せた場所が増えるほど、辞めたときに直す場所も増えます。

見落とされやすいのは、ページの外にあるもの

特に残りやすいのが、ページの本文ではないところです。

  • 画像の中の名前 ― バナーや図に文字として入っている名前は、サイト内を検索しても出てきません
  • PDF ― 会社案内や採用パンフレットに載っている写真と名前
  • 問い合わせ先の担当者名 ― フォームの送信後の画面や、自動返信のメールの中の名前

見えているのに読んでいない場所ほど、何年も残ります。

3. 残っていると起きる、3つのこと

辞めた人が残っていると、具体的にどんな困りごとが起きるのか。よくあるものを3つ書きます。

お客様が「○○さんに」と連絡してくる

1つ目は、お客様からの連絡です。サイトで見た名前を覚えていて、「○○さんにお願いしたいのですが」と電話やメールが来ます。

その人がもういないと伝えると、お客様は少し戸惑います。「サイトに載っていたのに」と思われます。小さなことですが、会社の情報が今と合っていないという印象が残ります。

特に、担当制の仕事や、指名で選ばれる仕事では起きやすいことです。対応する側も、毎回説明することになります。

本人から、削除の依頼が来る

2つ目は、辞めた本人からの連絡です。「私の写真と名前を、消してもらえませんか」という依頼です。

理由はさまざまです。新しい職場に知られたくない、前の職場の顔として出ていたくない、単に気持ちの区切りをつけたい。どれも、もっともな理由です。

困るのは、依頼が来てから探し始めることです。どこに載っているか分からないので、消し漏れが出ます。「消しました」と返したあとで、別の場所に残っていたと分かると、本人との関係がこじれます。退職後の関係は、こうした小さな対応で決まることがあります。

採用で「人が辞めた会社」に見える

3つ目は、採用への影響です。応募を考えている人は、社員紹介やインタビューをよく読みます。そして面接で、「インタビューに出ていた○○さんは、今どの部署ですか」と聞くことがあります。

その人がもういないと分かると、応募者は「人が辞める会社なのかな」と考えます。人が辞めること自体は、どの会社にもあることです。問題は、辞めたことが直されないまま残っていることのほうです。サイトを手入れしていない会社に見えてしまいます。

4. 載せるときに、退職時の扱いを本人と決めておく

ここがいちばん効くところです。辞めたときにどうするかは、載せる前に決めておくのがいちばん楽です。

掲載の同意の取り方と、退職後に消す期限・担当の決め方の基本は 社員紹介ページは、本当に要るのか に書きました。インタビューならではの注意は 採用ページの「社員インタビュー」を、どう作るか にあります。ここでは、それに足して決めておくことを書きます。

決めておくのは、「何を」「どこまで」

退職したときに消す、と決めるだけでは足りません。何をどこまで消すのかを、種類ごとに決めておきます。

  • 写真 ― 本人が写っている写真は、原則として外す
  • 名前 ― 社員紹介やインタビューの名前は外す。ブログの署名をどうするかは、記事ごとに決める
  • 集合写真 ― 1人が辞めるたびに差し替えるのか、次の撮り直しまで待つのか
  • お知らせ ― 入社や表彰のような過去の記録を、残すのか下げるのか

本人が「残してほしい」と言う場合

退職する人の中には、「そのまま残してもらって構わない」と言う人もいます。自分の書いた記事に愛着がある、紹介された記事を気に入っている、という場合です。

そのときは、残し方を決めます。「○年○月取材」「在籍時に書いた記事です」のように、今は在籍していないことが分かる形にしておくと、お客様や応募者を混乱させません。口頭の了承だけでなく、メールなど後から確かめられる形で残しておいてください。

消しきれないものは、先に伝えておく

もう1つ、正直に伝えておきたいことがあります。会社のSNSの過去の投稿や、外のサイトに転載されたものは、あとから全部消すのが難しいということです。

掲載の同意を取るときに、「サイトからは消せますが、すでに保存されたものや転載されたものまでは消しきれないことがあります」と伝えておきます。先に聞いていれば、本人も判断しやすくなります。

個人情報と肖像の扱いは、確認を

人の写真や名前の扱いには、個人情報や肖像に関わる決まりが関係します。ここで書いているのは一般的な考え方です。業種や雇用の形によって違うので、所管の窓口や専門家に確認してください。社員の情報をどう扱うかを社内で決めたら、ホームページのプライバシーポリシーに、何を書くか で書いた問い合わせの窓口とも合わせておくと、削除の依頼が来たときに受け付ける場所がはっきりします。

5. 辞めたときに直す場所の一覧

実際に誰かが辞めたときに、どこを直すか。一覧にしておくと、毎回探し回らずに済みます。

表:社員が辞めたときに、直す場所と直し方の目安(例はすべて架空。貴社のサイトにある場所だけを残してください)
場所残り方の例直し方の目安
問い合わせ先の担当者名たとえば「担当:○○」の表記や、自動返信メールの署名最初に直す。部署名か代表の名前に替える
社員紹介・インタビュー写真と名前、入社の経緯の記事決めた期限までに外す。本人が残すと言えば、取材時期を明記
集合写真トップや採用ページの大きな写真人が特定されない写真へ一時的に替える。次の撮り直しで戻す
ブログ・コラムの署名「この記事を書いた人」の欄中身が今も役に立つなら、署名を部署名などに替える
お知らせ入社のお知らせ、研修の報告の写真本人の希望を聞いて、名前を外すか、記事ごと下げる
画像・PDFの中バナーの文字、会社案内の写真検索では見つからないので、目で1つずつ確かめる
SNS・外のサイト会社の投稿、求人の媒体に転載した文会社のアカウントで消せるものは消す。転載先には依頼する

上から順に、仕事への影響が大きい場所を並べています。問い合わせ先の名前は、辞めた日に直すのが目安です。表の例は架空なので、貴社のサイトに合わせて行を足し引きしてください。

探し方は、名前で検索するところから

まずは、辞めた人の名前でサイト内を検索します。名字だけ、フルネーム、ローマ字、ニックネームの順に試すと、拾い漏れが減ります。ブログでは、名字の代わりに下の名前で呼んでいることもあるからです。

次に、検索では出てこない場所を目で見ます。画像の中の文字、PDF、自動返信のメール。これらは、ページを開いて見ないと分かりません。

直す順番

全部を一度に直せないときは、順番を決めます。

  • 最初に ― 問い合わせ先の担当者名。お客様の連絡が、いない人に向かってしまうからです
  • 次に ― 本人から依頼のあったもの。返事の速さが、本人との関係を左右します
  • その次に ― 採用ページ。応募者が読むので、募集している時期は特に早めに
  • 最後に ― ブログやお知らせの過去の記事

一覧は、載せたときに作っておく

いちばん楽なのは、人を載せたときに、その場で一覧に書き足しておくことです。「誰を、どのページに、いつ載せたか」を1枚の表にしておけば、辞めたときにその人の行を見るだけで済みます。

6. 集合写真は、どう差し替えるか

直す場所の中で、いちばん悩まれるのが集合写真です。

1人辞めるたびに撮り直すのは、続かない

集合写真には、たくさんの人が写っています。誰か1人が辞めるたびに全員を集めて撮り直すのは、現実的ではありません。続かない仕組みは、やがて放置されます。

そこで、集合写真は載せる場所によって扱いを分けます。

長く載せる場所には、人が特定されない写真を

トップや会社概要のように、何年も同じ写真が載り続ける場所。ここには、人が特定されにくい写真を使うと、辞めるたびに困らずに済みます。

たとえば、少し離れた場所から撮った作業風景、後ろ姿が中心の写真、事務所や作業場そのものの写真。人の雰囲気は伝わり、誰が辞めても差し替える必要がありません。

記録として載せる写真は、日付を添える

一方で、社員旅行や研修の報告のように、その時の記録として載せる写真もあります。これは、時期が分かれば、辞めた人が写っていても不自然ではありません。

「2026年春の研修にて」のように、写真に日付を添えておきます。ただし、本人から外してほしいと言われたら、その写真は下げます。記録だから残してよい、とは言い切れないからです。

1人だけ消す加工は、勧めません

写真の中から辞めた人だけを消したり、ぼかしたりする方法もあります。ただ、私はあまり勧めません。不自然な空白やぼかしは、かえって目立つからです。ほかの人の写り方も変わってしまいます。

加工するより、写真ごと差し替えるほうがすっきりします。差し替える写真が無いときは、しばらく写真無しで載せるほうが誠実です。

撮り直す時期を、先に決めておく

集合写真を撮り直すなら、年に一度など、時期を先に決めておくと回ります。その時期までは、人が特定されない写真でしのぐ。撮り直したら、その年の写真に入れ替える。この流れにしておけば、辞めるたびに慌てずに済みます。

7. 名前だけ消すか、記事ごと下げるか

ブログやお知らせのように、辞めた人が書いた記事や、辞めた人が主役の記事。これを、名前だけ外して残すのか、記事ごと下げるのか。判断の目安を書きます。

図:辞めた人が関わる記事を、どう扱うかの順番(例は架空)
① 本人の希望を確かめる

まず、本人が消してほしいと言っているかを確かめます。消してほしいという希望があれば、それを最優先にします。

希望があれば、名前と写真を外すか、記事ごと下げます
▼
② その人の話が、記事の中身か

インタビューのように、その人の経験そのものが記事の中身なら、名前を外すと意味が通らなくなります。

中身ならば、記事ごと下げます。たとえば入社の経緯を語ったインタビュー
▼
③ 中身が、今も役に立つか

仕事の説明やよくある質問への答えのように、誰が書いても同じ価値がある記事なら、残す意味があります。

役に立つなら、署名を部署名などに替えて残します。たとえば作業の手順を解説したコラム

①が最優先です。②と③は、本人が残してよいと言っている場合の判断です。残す場合も、在籍していないことが分かる形にしておくと、読む人を混乱させません。

名前だけ替えて残すとき

中身が今も役に立つ記事なら、残す価値があります。たとえば、作業の手順を解説したコラムや、よくある質問に答えた記事です。

この場合は、署名を「施工部」「編集部」のような部署名や、会社名に替えます。記事の中で「私は」と書いている部分があれば、そこも読み直してください。名前を外しても、本文の中に本人だと分かる書き方が残っていることがあります。

記事ごと下げるとき

その人の経験や人柄が記事の中身になっているものは、名前を外すと記事として成り立ちません。インタビュー、入社のお知らせ、個人の紹介記事などです。これは記事ごと下げるのが素直です。

下げるときは、そのページに来た人が行き止まりにならないようにしてください。採用ページや社員紹介の一覧など、近いページに案内します。ページを消すときの段取りは 古くなったページを、消すか・残すか・直すか にまとめてあります。

検索結果には、しばらく残る

ページを消しても、検索結果に古いページが出続けることがあります。検索エンジンが消えたことに気づくまで、時間がかかるからです。

本人から急ぎの依頼があるときは、サーチコンソールから古いページを検索結果に出さないよう申請する方法もあります。ただ、ほかのサイトに残った写しまでは手が届きません。消せる範囲と消せない範囲を、本人には正直に伝えてください。

8. 雄喜晃の伴走:人が載っている場所を、一覧にしておきます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、社員の方を載せるときに「辞めたときにどうするか」を、載せる前に一緒に決めます。

私たちがやること

社員紹介、インタビュー、ブログの署名、集合写真、お知らせ。サイトの中で人の写真や名前が載っている場所を、一覧にしてお渡しします。誰を、どのページに、いつ載せたかが分かる表です。

社員の方が辞められたときは、ご連絡をいただければ、その一覧に沿って直します。名前を外す、署名を部署名に替える、記事を下げて近いページへ案内する、集合写真を差し替える。どれにするかは、本人のご希望と貴社のお考えを伺って決めます。差し替える写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、退職に伴う削除や差し替えも、その範囲で反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトを譲渡します。

私たちがやらないこと

私たちは、撮影はお受けしていません。集合写真を撮り直す場合も、写真は貴社で撮っていただいたものをお預かりします。

また、写真から辞めた方だけを消して、元からいなかったように見せる加工はしません。個人情報や肖像の扱いについて、法律の上でどうかという判断もいたしません。そこは専門家にご確認ください。辞めた方との連絡や交渉を、貴社に代わって行うこともしません。会社のSNSや外のサイトの投稿は、貴社のアカウントで消していただく形になります。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。私たちは神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「辞めた人の写真がどこに残っているか、もう分からなくなっている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:辞めたときのことは、載せるときに決める

辞めた社員の写真や名前について押さえることは、5つです。

  • 残る場所は、社員紹介だけではない ― 集合写真、ブログの署名、お知らせ、採用ページ、SNS、画像やPDFの中にも残ります
  • 残ると、3つのことが起きる ― お客様からの指名の連絡、本人からの削除依頼、応募者の不安
  • 扱いは、載せる前に本人と決める ― 何をどこまで消すか、残す場合はどう書くか、消しきれないものがあること
  • 直す場所を一覧にしておく ― 問い合わせ先の名前を最初に。探すときは名前で検索し、画像とPDFは目で見る
  • 集合写真と記事は、場所と中身で分ける ― 長く載せる写真は人が特定されないものに。記事は本人の希望を最優先に、名前だけ替えるか記事ごと下げるかを決める

人が辞めることは、どの会社にもあります。困るのは、辞めたことがサイトに反映されないまま残ることです。載せるときに少しだけ先のことを決めておけば、辞めたときの手間はずっと軽くなります。

今日できることを1つだけ挙げます。去年から今年にかけて辞めた方の名前で、貴社のサイトを検索してみてください。1件でも出てきたら、そこが最初に直す場所です。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。人が載っている場所を洗い出すところから、ご一緒します。