1. 「検索すると、昔のサイトのほうが出てくるんです」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「去年ホームページを作り直したんです。ところが会社名で検索すると、前のサイトが先に出てくる。電話番号も前のままで、お客様に『どっちが本当のホームページですか』と聞かれてしまって」

作り直したはずの古いサイトが、別のURLで残っている。創業のころに無料のサービスで作ったページが、まだ公開されている。辞めた担当者が個人で作ったページがある。店舗ごとに、別々の人がサイトを作っていた。

形はいろいろですが、起きていることは同じです。自社のサイトが、自社の把握していないところで2つ以上ある状態です。

この記事では、その片付け方を順番に書きます。近い話を扱っている記事があるので、先に役割を分けておきます。

この記事は、その手前の話です。意図せず残ってしまったサイトを見つけて、どれを残し、どれを閉じるかを決めるところを扱います。

2. 古いサイトが残ってしまう、4つの形

古いサイトが残るのは、誰かが怠けたからではありません。作った人も、作った時期も、作った仕組みもばらばらだったことの結果です。よく見る形を4つに分けます。

図:古いサイトが残ってしまう4つの形(例はすべて架空)
① 作り直す前のサイト
新しいサイトを別のURLで作り、前のサイトを止めなかった

たとえば、制作会社を替えたときに新しいドメインで作り直し、前の会社が管理していたサイトがそのまま公開されている形です。前の契約が続いていて、気づかないまま費用を払っていることもあります。

止める手続きを、誰もしていない
② 無料サービスで作った昔のページ
創業のころに、とりあえず作った1枚

たとえば、開業前に無料のホームページ作成サービスで作ったページです。サービスの側で公開が続くので、作った本人が忘れていても残ります。登録に使ったメールアドレスが分からなくなっていることもあります。

作ったことも、入り方も忘れられている
③ 担当者が個人で作ったページ
善意で始めたが、会社の持ち物になっていない

たとえば、パソコンに詳しい社員が自分のアカウントで作った紹介ページやブログです。本人が辞めたり異動したりすると、会社からは触れなくなります。

名義が、会社ではなく個人
④ 店舗ごとに、別の人が作ったサイト
本社のサイトと、店舗ごとのサイトが並んでいる

たとえば、2号店を出したときに店長が独自に作ったサイトです。本社のサイトと料金や営業時間が食い違っても、どちらも直されないまま残ります。

誰がどれを直すのか、決まっていない

どの形も、作った時点では理由がありました。困るのは残っていることそのものより、どれが今の情報なのかを、読む人が見分けられないことです。

4つのうち、①と④は社内の誰かが事情を知っていることが多く、比較的片付けやすい形です。手間がかかるのは②と③です。ログインの方法が分からない、名義が会社にない、という壁があるからです。この2つは、第7章で扱います。

3. 両方残っていると、何が起きるか

古いサイトが残っていても、普段は困っていないように見えます。ただ、見えないところで次のことが起きています。

検索で、古いほうが出てくる

古いサイトは、長く公開されてきた分、ほかのサイトからのリンクや、検索エンジンに知られてきた時間を持っています。新しいサイトが公開されて間もないうちは、会社名で検索したときに、古いほうが先に出ることがあります。

新しいサイトの出来がどれだけ良くても、開かれなければ読まれません。

古い電話番号や料金が、生きたまま残る

いちばん困るのはこれです。古いサイトには、古い電話番号、移転前の住所、前の料金、やめたサービス、辞めた社員の名前が残っています。お客様はそれを見て連絡してきます。

  • つながらない電話 ― 以前の番号にかけて、つながらずに諦める
  • 前の料金での相談 ― 値上げ前の金額を見て、その前提で話が始まる
  • 終わったサービスの問い合わせ ― もう扱っていないものを頼まれる

古いサイトは、更新されないまま、今も貴社の名前で話し続けています。

どちらが本物か、分からない

2つのサイトで、ロゴも色も書いてあることも違う。読む人は、どちらが今の会社なのか迷います。片方を偽物ではないかと疑う人もいます。

社内でも、どれが正しいか分からなくなる

社員が名刺やメールの署名に古いURLを書いたままになっている。取引先に古いサイトを案内している。社内の人が迷う状態は、外の人にはもっと分かりません。

なお、自社のサイトではなく、業界の名簿や地域の情報サイトに古い情報が残っている場合は、片付け方が違います。そちらは 自社以外のサイトに残っている古い情報を、どう直すか にまとめてあります。

4. 自社のサイトを、全部洗い出す

片付ける前に、まず全部を見つけます。1つ閉じてから次が見つかる、をくり返すと、案内を出す作業が何度も発生します。最初に一度で洗い出してください。

会社名以外でも検索する

会社名だけで検索すると、見つからないものがあります。次の言葉でも調べます。

  • 会社名・屋号 ― 正式な名前、略称、カタカナや英字の表記、旧社名も
  • 電話番号 ― 今の番号と、以前使っていた番号
  • 住所 ― 今の住所と、移転前の住所
  • 代表者や担当者の名前 ― 会社名と組み合わせて
  • 店舗名 ― 店舗ごとの名前と、地名を組み合わせて

検索はスマートフォンとパソコンの両方で、最初の画面だけでなく少し先まで見ます。

社内の記憶と、紙を当たる

検索で出てこないページもあります。古くからいる社員、創業のころのメンバー、店長、以前の担当者に聞いてください。「昔、会社のホームページやブログを作ったことがある人はいませんか」と聞くと、思いがけない答えが返ってくることがあります。

古い名刺、チラシ、封筒、パンフレットに印刷されたURLも見ます。紙に残っているURLは、今も誰かの手元で使われている入口です。

お金の流れを見る

支払いの明細に、ドメインやサーバー、ホームページ作成サービスの請求が残っていないかを見ます。使っていないはずのサイトに、毎月や毎年の費用が出ていることがあります。それが、残っているサイトの手がかりになります。

1枚の表にまとめる

見つけたものは、1枚の表にまとめます。列にするのは、次の6つです。

  • URL ― 見つけたページの住所
  • 作った人と時期 ― 分かる範囲で
  • 名義とログイン ― 誰のアカウントか、今ログインできるか
  • 費用 ― 払っているか、誰がどこに
  • 載っている内容 ― 電話番号、住所、料金が今と合っているか
  • どこから案内しているか ― 名刺、チラシ、SNS、取引先のサイトなど

名義とログインの列は、埋まらないこともあります。埋まらない欄が、そのまま確かめることの一覧になります。名義の確かめ方は ホームページのドメインやアカウントは、誰の名義になっているか に書いてあります。

5. 残すものと、閉じるものを決める

表ができたら、それぞれをどうするかを決めます。

公式のサイトは1つ、と先に決める

最初に決めるのは、会社の公式のサイトはどれかです。たいていは新しく作ったサイトになりますが、迷う場合は「これから更新を続けられるのはどれか」で決めてください。更新できないサイトを公式にしても、同じことがくり返されます。

公式が決まったら、ほかのサイトは「公式ではないもの」として扱います。そのうえで、それぞれを次のどれかに振り分けます。

表:見つかったサイトの振り分け方(例はすべて架空)
見つかったもの振り分け進め方
たとえば、前の制作会社が管理しているサイト案内を出してから閉じる前の会社に連絡し、案内の掲載と公開の停止、契約の解約を頼む。転送ができるなら転送する
たとえば、無料サービスで作った昔のページ(ログインできる)案内を出してから閉じる中身を控えてから、案内に差し替える。しばらく置いて、公開を止める
たとえば、社員が個人で作ったページ本人と相談する事情を伝え、閉じてもらうか、会社の名義に移してもらう。辞めた人なら、連絡の仕方から考える
たとえば、店長が更新している店舗のサイト公式にまとめるか、分担して残す公式サイトの店舗ページに移すのが基本。分ける理由があれば残し、書く内容を分担して互いにリンクする
たとえば、誰もログインできないサイト閉じられない前提で動く作った人を探しつつ、公式サイトの側で上書きする(第7章)

振り分けの基準は、読む人が今の情報にたどり着けるかどうかです。どれも閉じたほうが話は単純ですが、閉じられないものがあっても、公式のサイトをはっきりさせれば迷う人は減らせます。

閉じる前に、中身を拾っておく

古いサイトにしか残っていないものがあるかもしれません。昔の施工の写真、創業のころの文章、取り扱いをやめた商品の説明。閉じてから「あの写真がほしかった」となっても、取り戻せないことがあります。

閉じる前に、ページごとに画面を保存し、写真と文章を控えておきます。新しいサイトに移すかどうかは、そのあとで決めれば十分です。

店舗ごとのサイトは、分ける理由を確かめる

店舗のサイトが別々なのは、お客様の層がまったく違うなど、意図してそうした場合もあります。分ける理由があるなら、閉じる必要はありません。ただし、会社としての情報(会社名、代表者、本社の連絡先)は公式サイトに寄せ、店舗のサイトからは公式サイトへリンクする形にそろえます。分けるかどうかの考え方は、冒頭で挙げた 事業が増えたとき、ホームページを分けるか、1つにまとめるか の基準がそのまま使えます。

6. 閉じる前に、新しいサイトへの案内を出す

閉じるものが決まっても、すぐには消さないでください。

いきなり消さない

古いサイトにも、名刺のURLや取引先のリンクから見に来ている人がいます。案内なしに消えると、その人たちは「ページが見つかりません」の画面で止まります。会社がなくなったと受け取る人もいるかもしれません。

案内の文面

古いサイトの全部のページに、次のような案内を出します。トップページだけでなく、各ページの上のほうに置くのがよいと思います。

「このホームページは更新を終了しました。最新の情報は、新しいホームページをご覧ください。(新しいURL)」

あわせて、古いサイトに残っている電話番号や料金は、消すか今のものに直します。案内を出している間も、古い情報が並んでいれば、そちらを見て連絡してくる人がいます。

転送できるなら、転送する

古いサイトを開いた人を、新しいサイトの同じ内容のページへ自動で送れる場合があります。ドメインやサーバーを貴社で管理できているなら、管理している相手に相談してください。転送の考え方と、古いURLと新しいURLの対応表の作り方は、冒頭で挙げた リニューアルでURLが変わるときに、失うもの に書いてあります。

古いドメインそのものを持ち続けるか手放すかは、別の判断です。手放したドメインは第三者に取られうるので、決める前に 昔使っていたドメインを、持ち続けるか手放すか に目を通してください。

外の入口も、同じ時期にそろえる

古いサイトに人を送っている入口を、新しいサイトに向け直します。

  • Googleビジネスプロフィール ― ウェブサイトの欄が、新しいサイトになっているか
  • SNSのプロフィール ― リンク先が古いURLのままになっていないか
  • 名刺・メールの署名・チラシ ― 署名はすぐ、印刷物は次に刷るときに
  • 取引先や団体のサイト ― リンクを張ってもらっているなら、書き換えをお願いする

閉じる日を、社内で決めておく

案内を出してから閉じるまでの期間に、決まりはありません。古いサイトの名刺やチラシがまだ出回っているか、外の入口を直し終えたかを見て決めます。大事なのは、閉じる日を決めて、社内で共有しておくことです。決めずにおくと、案内のまま何年も残ります。

7. 閉じられないとき ― ログインできない古いサイト

誰が作ったか、何で作ったかを突き止める

まず、そのサイトが何の仕組みで作られているかを見ます。ページのいちばん下や、URLの一部に、サービスの名前が出ていることがあります。分かれば、そのサービスの窓口が連絡先の1つになります。

並行して、社内で聞き、契約書や支払いの明細を見て、作った人を探します。作った人が分かれば、話はかなり進みます。

作った人や、サービスの窓口に連絡する

  • 前の制作会社 ― 契約の控えを手元に置いて、公開の停止と解約を頼む。新しいサイトへの案内を先に出してもらえるかも聞く
  • 辞めた社員や元の担当者 ― 事情を丁寧に伝え、閉じてもらうか、会社の名義に移してもらえないかを相談する。本人のアカウントなので、会社の側から勝手に閉じることはできません。お願いする立場で連絡します
  • 無料サービスの窓口 ― 登録したメールアドレスが分かれば、パスワードの再設定で入れることがあります。分からない場合は、サービスの問い合わせ窓口に、持ち主であることをどう示せばよいかを聞きます

連絡がつかない、断られた、手続きが進まない、ということもあります。名前やロゴの扱いをめぐって話がこじれそうなときは、契約の中身や事情によって答えが違うので、専門家に確認してください。

それでも閉じられないなら、公式サイトの側で上書きする

閉じられないサイトは、残る前提で動きます。やることは、公式のサイトがどれなのかを、読む人にはっきり分かるようにすることです。

  • 公式サイトに一文を置く ― 会社概要などに「当社の公式ホームページはこのサイトです。以前のサイトは更新しておりません」と書く
  • 連絡先を目立たせる ― 会社名、住所、電話番号を、最初の画面とページの下に、はっきり出す
  • 外の入口を全部そろえる ― Googleビジネスプロフィール、SNS、名刺、取引先のリンクを、すべて公式サイトに向ける
  • 古い番号への問い合わせに備える ― 古い番号が残っていることを社内で共有し、よくある質問に今の連絡先を書いておく

検索で古いほうが先に出る状態は、すぐには変わらないかもしれません。いつ入れ替わるかは、こちらでは決められません。それでも、公式サイトを更新し続け、外からの入口を集めていくことが取れる手段です。

次に同じことを起こさないために

最後に、これから作るものについて決めておきます。

  • 会社の名義で作る ― サイトもアカウントも、会社の共有のメールアドレスで登録する
  • 作ったら、一覧に足す ― 第4章の表を、作った日に更新する
  • 試しに作るときも同じ ― 無料のサービスで試すときも、個人のアドレスは使わない

無料のサービスには、続くかどうかを貴社が決められないという面もあります。何を代わりに渡しているのかは 無料で作れるホームページの、見えない費用 にまとめました。

8. 雄喜晃の伴走:散らばったサイトを、1つにまとめるところから

私たち雄喜晃がホームページをお作りするときは、新しいサイトを作る前に、今、貴社の名前でどんなサイトが公開されているかを一緒に確かめるところから始めます。

私たちがやること

  • 洗い出しをお手伝いする ― 会社名、電話番号、旧住所などで検索し、見つかったものを第4章の表の形にまとめます
  • 古いサイトから、使えるものを拾う ― 写真や文章を控え、新しいサイトに載せられるものは整えて載せます
  • 公式のサイトを作り、案内の一文を置く ― 「当社の公式ホームページはこのサイトです」のような一文と、連絡先の出し方を整えます
  • 直す入口を一覧にする ― GoogleビジネスプロフィールやSNSのリンク先など、貴社の側で直していただく場所を書き出してお渡しします
  • 店舗の情報をまとめる ― 店舗ごとに散らばっていた情報を、公式サイトの店舗ページにまとめます

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、公開後に古いサイトがまた見つかったときの案内の追加も、ご連絡いただければ反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 前の制作会社や元の担当者と、貴社の代わりに交渉することはしません。連絡の文面を一緒に考えるところまでお手伝いします
  • ログインできないサイトを、正規の手続きを経ずに閉じることはしません。持ち主の手続きを通すのが前提です
  • 検索で新しいサイトが先に出るようになる時期を、お約束することはしません。取れる手段を一緒に進めます

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

「会社のサイトがいくつあるのか、正直よく分からない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:公式を1つに決め、案内してから閉じる

古いサイトと新しいサイトが両方残っているときに、押さえることは5つです。

  • 全部を一度に洗い出す ― 会社名だけでなく、電話番号、旧住所、店舗名でも検索し、社内と紙と支払いの明細も当たる
  • 公式のサイトを1つ決める ― 迷ったら、これから更新を続けられるもの
  • 閉じる前に中身を拾う ― 古いサイトにしかない写真や文章を控える
  • 案内を出してから閉じる ― 全ページに案内、古い電話番号は消す、外の入口をそろえる、閉じる日を決める
  • 閉じられないなら、公式の側で上書きする ― 「公式はこのサイトです」の一文と、外の入口の向け直し

困るのは、古いサイトがあることより、どれが今の情報なのかをお客様が見分けられないことです。公式が1つにはっきりしていれば、迷う人は減らせます。

まず、今日できること

ご自分のスマートフォンで、以前使っていた電話番号を検索してみてください。出てきたページの中に、貴社の古いサイトがあれば、それが最初に片付けるものです。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社の名前で公開されているサイトを洗い出すところから、ご一緒します。