1. 「使っていないドメインの案内が、毎年届くんです」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「昔の社名のドメインと、何年か前のキャンペーンで取ったドメインの更新の案内が、毎年届くんです。もう使っていないので、やめてしまっていいですよね」

更新の案内が来るたびに、何に使っていたかを思い出すところから始まる。そんなドメインを抱えている会社は少なくありません。社名を変えたとき、サイトを作り直したとき、新しい商品やキャンペーンを始めたとき。ドメインは、増えるときには理由がありますが、減らすときの決まりがありません。

使っていないなら、手放せばいい。そう考えるのは自然です。ただ、貴社が使っていなくても、そのドメインを使っている人がいることがあります。古い名刺を見て開く人、昔のアドレスにメールを送ってくる取引先、検索結果に残った古いページから来る人です。

この記事では、昔のドメインを持ち続けるか手放すかを、手放したときに起きうることから順に整理します。結論を先に書くと、決める前に確かめることがあり、確かめ終えるまでは持ち続けておくのが安全です。

この記事で書くこと

  • 手元にあるドメインを、まず全部書き出す
  • 手放したドメインが、第三者に取られうること
  • 名刺や紙、外のサイトに残ったURL
  • メールアドレスとして使っていた場合の注意
  • 持ち続けるなら、新しいサイトへ転送する
  • 更新費と更新日の管理と、手放す前に確かめること

2. まず、持っているドメインを全部書き出す

持ち続けるか手放すかを決める前に、何を持っているかを一覧にするところから始めます。全部を把握できている会社は、意外と多くありません。

昔のドメインは、だいたい4種類

使わなくなったドメインは、出どころで分けると、たいてい次の4つです。

  • 旧社名・旧屋号のドメイン ― 社名を変える前に使っていたもの。名刺や看板、取引先の登録情報に長く残ります
  • 旧サイトのドメイン ― 作り直したときにドメインごと変えた、以前のサイトのもの
  • キャンペーン・商品用のドメイン ― 期間限定の企画や、特定の商品のために取ったもの。チラシやパッケージに刷られていることがあります
  • 押さえておいただけのドメイン ― 綴りの違いや、末尾の違いで取っておいたもの

一覧にする項目

それぞれについて、次のことを書き出します。

  • ドメイン名 ― 正確な綴りと、末尾まで
  • 何に使っていたか ― いつからいつまで、どこに刷ったか
  • 登録している会社と名義 ― 貴社名義か、制作会社や前の担当者の名義か
  • 更新日と更新費 ― 次にいつ、いくら払うか
  • メールに使っていたか ― 使っていたなら、どんなアドレスがあったか
  • いま開くと何が出るか ― 古いサイトが残っているか、何も出ないか、転送されているか

どこで契約しているか分からない場合は、「whois」と検索して出てくる確認サービスに、ドメインを入れてみてください。登録している会社と有効期限が分かることが多いです。

名義が前の制作会社や、辞めた担当者になっていることもあります。名義が貴社でないドメインは、持ち続けるにも手放すにも、まず名義を戻すところからです。

3. 手放したドメインは、第三者に取られうる

一覧ができたら、次に知っておいていただきたいのが、手放したあとに何が起きうるかです。

更新をやめると、いずれ誰でも取れる状態になる

ドメインは、更新をやめてもすぐには消えません。いくつかの段階を経て登録が抹消され、抹消されたあとは、誰でも新しく取得できる状態になります。段階の流れは ドメインやサーバーの更新を忘れて、サイトが止まったとき に図で書いてあります。

そして、以前に使われていたドメインを狙って取得する人がいます。使われていたドメインには、古いリンクや紙の表記を通じて、人が来続けるからです。

取られたあとに起きうること

第三者が取得すると、たとえば次のようなことが起こりえます。

  • 以前の住所に、関係のない内容が表示される ― 古い名刺を見て開いた人が、それを貴社のものだと思うことがあります
  • 以前のアドレス宛てのメールを、相手が受け取れてしまう ― 仕組みの上では、ドメインを持った人がメールの受け取りを設定できます
  • 同じ名前を取り戻せない ― 相手が手放さない限り、戻ってきません

どれも、手放した側からは見えないところで起きます。気づくのは、取引先から「昔のアドレスを開いたら、変なページが出ましたよ」と言われたとき、ということもあります。

危うさは、外にどれだけ残っているかで決まる

4種類の中でとくに気をつけたいのは、旧社名と旧サイトのドメインです。長く使っていたぶん、外に残っている入り口が多いからです。キャンペーン用のドメインでも、パッケージや看板に刷っていれば同じことが言えます。

逆に、取っただけで一度も使わなかったドメインは、外に入り口がほとんどありません。手放しても、起きることは小さいと考えられます。危うさの大きさは、ドメインの古さではなく、外にどれだけ残っているかで決まります。

表:昔のドメインの種類ごとの、残りやすい入り口と扱いの目安(例はすべて架空)
種類外に残りやすい入り口扱いの目安
旧社名・旧屋号たとえば名刺、看板、車両、取引先の登録、メールアドレス持ち続けて、新しいサイトへ転送。メールも新しいアドレスへ転送する
旧サイトたとえば検索結果、取引先や団体のサイトからのリンク、ブックマーク持ち続けて、ページごとに新しいページへ転送する
キャンペーン・商品用たとえばチラシ、パッケージ、取扱説明書、QRコード刷り物が出回っている間は持ち続ける。終了の案内か、今の商品のページへつなぐ
押さえておいただけ一度も使っていなければ、ほとんど無い手放しても起きることは小さい。紛らわしいサイトに使われるのが心配なら、持ち続ける判断もある

表の右の列は目安です。決め手は種類ではなく、貴社のドメインが外にどれだけ残っているかです。迷うものは、次の更新日まで持ち続けて、その間に確かめてください。

4. 名刺や紙、外のサイトに残ったURL

ドメインは、サイトを閉じても外に残ります。貴社が配ったものは、貴社では回収できません。

紙に刷ったものは、何年も残る

旧ドメインが残りやすい場所を挙げます。

  • 名刺 ― 取引先の名刺入れや名刺の管理の中に、何年も残ります
  • 会社案内・パンフレット・チラシ ― 配ったもの、店先や窓口に置いてもらったもの
  • 看板・車両・制服 ― 作り直すまで、毎日人目に触れます
  • 商品のパッケージや取扱説明書 ― 商品と一緒に、お客様の手元に残ります
  • QRコード ― 刷ったQRコードの中身は、印刷したあとには変えられません

QRコードは見落とされがちです。中身のURLが旧ドメインになっていれば、読み取った人は、旧ドメインに行きます。見た目には何のURLか分からないので、刷った本人も忘れていることがあります。

外のサイトと、検索結果

紙のほかにも、旧ドメインへの入り口は残ります。

  • 取引先や団体のサイトのリンク ― 会員名簿、取引先一覧、紹介記事
  • 求人媒体やポータルサイトの掲載 ― 昔登録したまま、更新していない掲載
  • 検索結果 ― 旧サイトのページが、しばらく残っていることがあります
  • お客様のブックマーク ― 何年も前に保存されたままのもの

外のサイトのリンクは、頼めば直してもらえることもあります。ただ、全部を直しきるのは難しいものです。直しきれない入り口があるかぎり、旧ドメインには人が来ます。それが、持ち続けるかどうかを決めるときのいちばんの材料になります。

社名変更や移転のときに、サイトの外で直す場所の一覧は 移転・社名変更・代表交代のときに、サイトで直すところ にまとめてあります。旧ドメインの入り口を探すときにも、同じ一覧が使えます。

5. メールアドレスとして使っていた場合

旧ドメインを、メールアドレスとしても使っていたなら、話はもう一段重くなります。サイトより、メールのほうが手放したときの影響が大きいからです。

古い取引先は、昔のアドレスに送ってくる

社名を変えて新しいアドレスにしても、取引先の宛先が全部書き換わるとは限りません。何年も連絡を取っていなかった取引先が、久しぶりに昔のアドレスへ送ってくることがあります。

ドメインを持ち続けていれば、そのメールを新しいアドレスへ転送できます。手放したあとは、送った側に「届かなかった」という知らせが返るとは限りません。相手は届いたと思ったまま、返事を待つことになりかねません。

そのアドレスで登録しているものが、残っていないか

もう1つ大事なのは、旧アドレスで登録したままのサービスや契約です。

  • お金に関わるもの ― ネットバンキングや、決済サービスの登録
  • 取引に関わるもの ― 仕入れ先や取引先の発注の仕組みのアカウント
  • 届け出の連絡先 ― 官公庁や団体に届けている連絡先
  • 管理者のアカウント ― ドメインやサーバー、SNS、広告などの管理画面

こうしたサービスの多くは、パスワードを忘れたときの再設定をメールで受け付けています。旧ドメインを第三者が取得してメールの受け取りを設定すると、その再設定のメールを受け取れてしまうおそれがあります。手放す前に、旧アドレスで登録しているものを全部、新しいアドレスに移しておく必要があるのはこのためです。

探し方:旧アドレスに届いているメールを眺める

何に登録しているかを思い出すのは、難しいものです。旧アドレスに届いているメールを、差出人ごとに並べて眺めるのが早道です。お知らせや、パスワード・契約更新の案内が届いている差出人が、登録が残っている相手です。

年に一度しか届かない案内もあります。少なくとも1年分は見てください。転送の設定をしているなら、新しいアドレスの側で「旧アドレス宛てに届いたもの」を分けておくと、探しやすくなります。

6. 持ち続けるなら、新しいサイトへ転送する

持ち続けると決めたら、次は使い方です。持っているだけで、何もつながっていない状態がいちばんもったいない形です。

古いサイトを、そのまま残さない

旧ドメインで、昔のサイトがそのまま表示されている例をよく見ます。古い住所、古い電話番号、古い料金。読んだ人は、それが今の貴社の情報だと思います。

何も表示されない状態も、良くはありません。開いた人は、会社がなくなったのかと思うかもしれません。

新しいサイトの、対応するページへ転送する

旧ドメインは、新しいサイトへ転送します。転送は「恒久的な転送(301)」で設定します。そのうえで、できるだけページごとに、対応する新しいページへ飛ばしてください。旧サイトの会社概要は新しい会社概要へ、旧サイトのサービスのページは新しいサービスのページへ。

全部をトップページに飛ばすと、読む人は探していたページを自分で探し直すことになります。旧URLと新URLの対応表の作り方と、転送が効いているかの確かめ方は リニューアルでURLが変わるときに、失うもの に書いてあります。

キャンペーン用のドメインの転送先

終わったキャンペーンのドメインは、行き先に迷います。目安はこうです。

  • 同じ商品やサービスが続いている ― 新しいサイトの、その商品のページへ
  • キャンペーンだけが終わった ― 「この企画は終了しました」と短く伝えるページを1枚置き、今の案内へつなぐ
  • 商品そのものをやめた ― 終了のお知らせと、代わりの商品や問い合わせ先へ

これからキャンペーンを始めるときは、新しいドメインを取らず、今のサイトの中にページを作ることも考えてみてください。終わったあとに、持ち続けるか手放すかで迷うドメインが増えずに済みます。ドメインの名前の決め方は 独自ドメインの「名前」を、どう決めるか にまとめました。

メールも、新しいアドレスへ転送する

メールアドレスとして使っていた場合は、旧アドレス宛てのメールを、新しいアドレスへ転送する設定にします。転送しながら、届いたメールの差出人に新しいアドレスを伝えていくと、旧アドレスに届くメールは少しずつ減っていきます。

返信するときは、新しいアドレスから送るようにします。旧アドレスのまま返すと、相手の宛先の帳簿も旧アドレスのまま残ります。

7. 更新費と更新日を管理し、手放す前に確かめる

持ち続けるにしても、手放すにしても、決めないまま更新日を迎えるのがいちばん困ります。

更新費は、ドメインの種類と契約先で違う

ドメインの更新費は、種類(.co.jp、.jp、.com など)と、登録している会社によって違います。年によって変わることもあります。持ち続けるかどうかは、実際の更新費を確かめてから判断してください。

数が増えるほど、合計は大きくなります。ただ、旧社名のドメインのように入り口が多く残っているものは、更新費を払って持ち続けるほうが、取られたあとの手当てより軽く済む、という考え方もあります。

更新日を、1枚の表で管理する

第2章で作った一覧に、次の2つを足すと、管理の表になります。

  • 次に判断する日 ― 更新日の1〜2ヶ月前。この日に、持ち続けるか手放すかを決め直す
  • 判断した結果と理由 ― 「旧社名の名刺がまだ出回っているので継続」のように一行で

自動更新は、オンにしておいてください。オフにしておくと、決める前に期限が切れることがあります。手放すときは、決めたうえでオフにすれば済みます。登録している連絡先のメールアドレスと支払い方法が今も使えるかも、同じ日に確かめます。

手放す前に確かめること

図:旧ドメインを手放す前に、上から順に確かめる5つ(例はすべて架空)
① 外の入り口が、出回っていないか

名刺、チラシ、看板、車両、パッケージ、QRコード。たとえば旧社名の名刺を最後に配ったのはいつか、看板は作り直したかを確かめます。

まだ出回っているなら、持ち続けます
▼
② 人が、まだ来ていないか

旧ドメインもサーチコンソールに登録しておくと、検索から来ている人がいるかが分かります。契約先の管理画面で、転送された回数を見られる場合もあります。

来ている人がいるなら、その入り口がどこかを探します
▼
③ メールが、まだ届いていないか

直近1年分の、旧アドレス宛てのメールを差出人ごとに見ます。取引先から届いているなら、新しいアドレスを伝え直します。

届かなくなるまで、転送を続けます
▼
④ 登録の移し替えが、終わったか

銀行や決済、取引先の発注の仕組み、管理画面のアカウント。旧アドレスで登録しているものを、全部新しいアドレスに移します。

1つでも残っていたら、手放しません
▼
⑤ 社内で、まだ使っている人がいないか

営業や現場で、旧アドレスや旧URLを使い続けている人がいないか。たとえば見積書のひな形や、メールの署名に残っていないかも見ます。

ここまで全部通ったら、自動更新をオフにします

上から順に確かめ、1つでも引っかかったら、次の更新日まで持ち続けてその間に片付けます。手放したドメインは、戻ってこないことがあります。

なお、ドメインの種類によっては、取得できる組織や譲れる相手に条件がついているものがあります。旧社名の扱いが、契約や権利の話に関わる場合もあります。扱いは種類や業種、事情によって違うので、登録している会社や、所管の窓口・専門家に確認してください。

事業そのものを閉じる場合の、ドメインとメールを止める順番は 店を閉める・事業を譲るとき、ホームページとドメインをどうするか に書いてあります。

8. 雄喜晃の伴走:昔のドメインの一覧づくりから、一緒に進めます

私たち雄喜晃は、新しいサイトを作るときに、いま使っているドメインだけでなく、昔のドメインのこともお聞きしています。新しいサイトを公開したあとで、昔のドメインに人が来続けていた、ということを避けたいからです。

私たちがやること

お持ちのドメインを伺い、名義・更新日・使っていた場所を一覧にします。持ち続けるものについては、旧URLと新URLの対応表を作り、新しいサイトの対応するページへ転送されるように設定し、転送が効いているかを確かめます。登録している会社の管理画面での作業が必要な場合は、貴社の画面を一緒に見ながら進めます。

キャンペーンが終わったときの終了のお知らせのページや、旧社名から来た方への案内文も作ります。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、公開後の書き換えもご連絡いただければこちらで反映します。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。昔のドメインの更新費をどう扱うかは、いま登録している会社との契約によって変わるので、一覧を作る中で一緒に確かめます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

第三者に取られてしまったドメインを取り戻す交渉や、法的な手続きの助言はいたしません。権利や契約に関わる話は、専門家の領域です。ドメインの売り買いの仲介もお受けしていません。

また、どのドメインを持ち続けるか、手放すかを、こちらで決めることもしません。確かめる材料をそろえて一緒に見ますが、決めるのは貴社です。転送によって検索の順位を保てるとお約束することもしません。

「更新の案内が来るたびに、何のドメインだったかを思い出すところから始まっている」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:手放すのは、確かめ終えてから

昔使っていたドメインを持ち続けるか手放すかで、押さえることは5つです。

  • まず全部書き出す ― 旧社名、旧サイト、キャンペーン用、押さえただけ。名義と更新日まで一覧にする
  • 手放すと、第三者に取られうる ― 危うさは古さではなく、外にどれだけ入り口が残っているかで決まる
  • メールに使っていたなら、なお慎重に ― 旧アドレスで登録しているものを、全部移してから
  • 持ち続けるなら、転送する ― 古いサイトを残さず、ページごとに新しいページへ。メールも転送する
  • 判断する日を決める ― 自動更新はオンのまま、更新日の前に決め直す

ドメインは、手放すのは一瞬ですが、取り戻せないことがあります。迷っているうちは持ち続け、その間に確かめる。この順番を守れば、大きく困ることはありません。

今日できることを1つだけ挙げます。会社のメールで「ドメイン」「更新」と検索して、届いている案内を全部書き出してみてください。それが、貴社が持っているドメインの一覧の最初の形になります。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。昔のドメインを、新しいサイトへの入り口に変えるところからご一緒します。