1. 「無料で作れたので、それで十分だと思っていました」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「無料で作れるサービスがあると聞いて、とりあえずそれで作ったんです。お金はかかっていないし、見た目もそれなりで。ただ、名刺にURLを刷ろうとしたら長すぎて。それに、ページの下に知らない会社の広告が出ているのに、最近になって気づきました」

無料のサービスで作ったホームページは、悪い選択ではありません。何も無いより、ずっと良い状態です。ただ、無料で使えるのには理由があり、その理由がそのまま制約になっています。

制約の多くは、作った日には見えません。名刺に刷るとき、問い合わせが増え始めたとき、サービスの条件が変わったときに効いてきます。この記事では、それを先に並べます。

この記事で書くこと

  • 無料のサービスが、どこで成り立っているか
  • 見た目と信用にかかわる制約 ― 広告、住所、メール
  • 機能の制約 ― 問い合わせフォーム、表示速度、検索への出し方
  • 続くかどうかのリスク ― サービス終了とプラン変更
  • 引っ越しのしにくさ
  • 無料で十分な場合と、有料に移るタイミング

なお、特定のサービスの名前は出しません。サービスごとに条件が違い、条件そのものも変わるからです。この記事の内容を、お使いのサービスの利用規約や料金のページと照らし合わせながら読んでいただければと思います。

2. 無料のサービスは、どこで成り立っているのか

運営する側にも、費用はかかっている

ホームページを置いておくには、サーバーという置き場所が要ります。作るための道具を開発し、直し、問い合わせに答える人も要ります。無料で使えるサービスでも、運営する側の費用はゼロではありません。

その費用は、どこかで回収されています。回収の仕方は、たいてい次のどれかか、その組み合わせです。

  • 広告を出す ― 無料で作られたサイトに、サービス側が広告を表示する
  • 有料プランに移ってもらう ― 無料では一部の機能を使えないようにして、必要になった人に払ってもらう
  • サービスの宣伝にする ― 「このサイトは〇〇で作られています」のような表示を入れる

どれも当然の仕組みで、責める話ではありません。ただ、貴社のサイトの一部を、サービス側の回収に使わせているということは知っておいてください。

無料は「お試し」として作られていることが多い

もう1つ。多くの無料プランは、有料プランを試してもらう入口として作られています。最初は無料で始めてもらい、使ううちに足りなくなったところで有料に移ってもらう。この流れが前提です。

ですから、無料プランで足りなくなるのは、使い方が悪いからではありません。足りなくなるように作られていると考えたほうが自然です。足りなくなる場所を先に知っておけば、そのときに慌てずに済みます。

3. 見た目と信用にかかわる制約

最初に効いてくるのは、お客様の目に入る部分です。

自社で選べない広告が出る

無料プランでは、サイトの上下や横に、サービス側が選んだ広告が出ることがあります。何の広告が出るかは、貴社では選べません。

同じ業種の別の会社の広告が出ることもあり得ます。貴社のサイトを見に来たお客様に、競合の案内が見えている。これは、払っていない費用の中でいちばん大きいものかもしれません。広告を消せるかどうかは、たいてい有料プランの条件になっています。

サービスの名前が入ったURLになる

無料プランでは、サイトの住所(URL)が、サービスの名前を含んだ形になることが多くあります。たとえば「貴社名.サービス名.com」や「サービス名.com/貴社名」のような形です(例は架空です)。

この住所には、2つの困りごとがあります。

  • 長くて、刷りにくい ― 名刺やチラシに載せると目立ちすぎ、手で打ち込むと間違えやすい
  • 貴社のものではない ― 住所の持ち主はサービス側です。サービスをやめれば、その住所は使えなくなります

2つ目のほうが重い話です。名刺、チラシ、看板、求人の原稿。あちこちに刷ったURLが、サービスの都合で一斉に使えなくなることがあり得ます。

独自ドメインは、有料のことが多い

「貴社名.co.jp」や「貴社名.com」のような、貴社だけの住所を独自ドメインと呼びます。無料プランでは、独自ドメインを使えないか、使うには有料プランへの切り替えが要ることが多くあります。

独自ドメインがあれば、メールアドレスも「名前@貴社名.co.jp」の形にできます。フリーメールのまま商売を続けると、取引先や金融機関からの見え方で損をする場面があります。ドメインとメールをどこで何を契約すればいいかは 独自ドメインとメールアドレスは、どこで何を契約すればいいか にまとめました。

「〇〇で作成」の表示が残る

サイトの下のほうに、サービスの名前やロゴが入ることがあります。小さな表示ですが、見る人によっては「無料で作ったサイト」だと分かります。取引先の審査のように細かく見られる場面で気になるなら、表示を外せる条件を料金のページで確かめてください。

4. 機能の制約 ― フォーム、表示速度、検索

見た目の次に効いてくるのは、問い合わせが来はじめたころの機能の制約です。

問い合わせフォームに、制限がある

無料プランのフォームには、制限がついていることがあります。たとえば次のようなものです。

  • 項目の数が決まっている ― 聞きたいことを全部聞けない
  • 通知先を1つしか登録できない ― 担当者が複数いると、共有に手間がかかる
  • 月に受けられる件数に上限がある ― 上限を超えると、受け付けられないことがある
  • ファイルを添付できない ― 図面や写真を送ってもらう商売では困る
  • 迷惑な送信を防ぐ仕組みを選べない ― 営業や迷惑な送信が増えたときに、手当てがしにくい

迷惑な送信が増えたときは、文字や画像を選ばせる確認や、人の操作かどうかを自動で見分ける仕組みを入れるのが一般的です。無料プランでは、これを自分で選べないことがあります。

いちばん困るのは、届いていないことに気づけないことです。上限を超えても、通知が迷惑メールに入っても、送った側の画面には「送信しました」と出ます。月に1回は自分で送って、届くかを確かめてください。

表示が遅くなりやすい

無料プランのサイトは、多くの利用者で同じ置き場所を分け合っていることがあります。そのため、混み合う時間に表示が遅くなることがあります。

大きな写真を自動で小さくしてくれないことや、広告のぶん読み込みが増えることもあります。待たされると、お客様はその間に戻ってしまいます。自社のサイトを、外出先のスマートフォンで開いてみてください。それがお客様の見ている速さです。

検索への出し方を、細かく決められない

検索結果に出るタイトルや説明文を、ページごとに自由に書けないことがあります。サーチコンソールのような、検索での見え方を確かめる道具をつなげない場合もあります。

困るのは、検索から見つけてもらいたいと思ったときです。直したい場所に手が届かない、ということが起きます。

5. 続くかどうかは、貴社が決められない

ここが、いちばん見えにくい費用です。お金の話ではなく、決定権の話です。

サービスは、終わることがある

無料で作れるサービスは、運営する会社の事業の一部です。事業の判断で、サービスそのものが終わることがあります。運営会社が別の会社に買われて、サービスの形が変わることもあります。

予告はたいていあります。ただ、作り直し、URLを刷り直し、お客様に知らせることを、貴社の都合ではなくサービス側の日程でこなすことになります。

無料プランの条件は、あとから変わる

サービスが続いていても、無料プランの中身が変わることがあります。使えていた機能が有料になる、ページ数の上限が下がる、広告の出方が変わる。いずれも、運営する側が条件を見直すのは自然なことです。

条件が変わったとき、選べるのは「有料に切り替える」か「出ていく」かの2つです。どちらを選ぶにしても、時期は貴社が決められません。

しばらく使わないと、消えることがある

サービスによっては、一定の期間ログインしないと、アカウントやサイトが削除される決まりがあります。作ったきり触っていないサイトほど、この決まりに当たりやすくなります。

担当者が辞めてログインの方法が分からない、という状態に重なると、気づいたときにはサイトが無くなっていることがあります。ログイン情報は、会社として控えておいてください。

利用規約は、一度読んでおく

無料プランでは、商用の利用に条件がついていることもあります。どこまで使ってよいかは、サービスごとの利用規約で決まります。使い始める前と、条件が変わったという知らせが来たときに、一度読んでおいてください。読んでも判断がつかないときは、サービスの窓口に問い合わせるのが確実です。業種によって守るべき決まりも違うので、気になる点は所管の窓口や専門家に確認してください。

6. 引っ越しのしにくさ

無料のサービスから、ほかの作り方に移る。このときにかかる手間が、最後の見えない費用です。

中身は、そのまま持ち出せないことが多い

サービスの中で作ったサイトは、そのサービスの形式で保存されています。デザインやページの組み方を、ほかの場所へそのまま持ち出すことはできないと考えておいたほうが安全です。

持ち出せるのは、たいてい文章と写真です。ところが、その文章と写真も、サービスの中にしか残っていないことがよくあります。原稿と写真の元のデータを、手元に保存しておいてください。これだけで、引っ越しの手間は大きく減ります。

住所が変わると、積み上げたものが切れる

いちばん痛いのは、住所(URL)が変わることです。サービスの名前が入ったURLから、独自ドメインに移ると、検索で積み上げてきた評価や、刷ったURLとのつながりが切れます。

独自ドメインを使えていれば、中身を作り直しても住所は同じなので、引き継げるものが多く残ります。無料のうちから独自ドメインを使えるなら、そこにだけはお金をかけておく価値があります。

表:無料プランで、最初は見えずに、あとから効いてくるもの(一般的な例です。条件はサービスごとに違います)
項目作った日に見えることあとから効いてくること先にできる手当て
広告小さな枠が出ている何が出るかを選べない。同業の広告が出ることもある広告を消せる条件を、料金のページで確かめておく
住所(URL)少し長いだけ刷ったURLが、サービスの都合で使えなくなることがある刷る前に、独自ドメインを用意する
フォーム送信できる件数や項目に上限がある。届かなくても気づきにくい月に1回、自分で送って届くかを確かめる
表示速度社内のパソコンでは速い外出先のスマートフォンでは待たされることがある写真を小さくしてから載せる
続くかどうか今は使える終了や条件の変更を、貴社では決められないログイン情報を会社で控え、知らせのメールを読める状態にする
引っ越し考えなくていいデザインは持ち出せない。文章と写真は持ち出せる原稿と写真の元のデータを、手元に保存しておく

右の列は、どれも無料のままでできることです。無料で使うこと自体より、手当てをしないまま年数がたつことのほうが、あとで高くつきます。

引っ越すなら、順番を守る

先に新しいサイトを用意して、それから古いサイトを閉じます。古いサイトには、しばらく「移転しました」の案内と新しいURLを残してください。

制作会社から別の会社に移るときの段取りは ホームページを、別の会社に引き継いでもらう に書きました。無料のサービスから移る場合も、確かめることの多くは同じです。

7. 無料で十分な場合と、有料に移るタイミング

ここまで制約を並べてきましたが、無料で十分な場合もあります。大事なのは、今の貴社がどちらにいるかを見分けることです。

無料で十分な場合

  • 創業の前後で、まず形を出してみたい ― 何を載せるかが固まっていない段階では、お金をかけずに試すほうが理にかなっています
  • 一度きりの催しや、期間の決まった企画 ― 終わったら閉じるページなら、住所が続かなくても困りません
  • 連絡先と地図が分かれば足りる ― 紹介や常連のお客様が中心で、検索から新しいお客様を探していない
  • まだ名刺やチラシにURLを刷っていない ― 刷っていなければ、住所が変わっても痛みは小さくて済みます

自分で作るか頼むかという大きな分かれ道は ホームページを自分で作るか、頼むか で整理しました。無料のサービスで自分で作るのは、その中の1つの選び方です。

有料に移るタイミング

次のどれかに当てはまったら、有料に移ることを考える時期です。

  • 名刺・チラシ・看板にURLを刷る前 ― 刷ってから住所を変えると、刷り直しの費用がかかります。いちばん大事なタイミングです
  • 問い合わせを、サイトで受け始める前 ― フォームの上限や届かない心配を抱えたまま受けるのは、取りこぼしのもとです
  • 取引先や金融機関、求職者に見られるようになったとき ― 広告や「〇〇で作成」の表示が、信用の面で気になりはじめます
  • 広告費をかけて、人を呼ぶ前 ― お金をかけて呼んだ人に、同業の広告を見せることになりかねません
  • ページが増えて、無料の上限に近づいたとき ― 上限に当たってから慌てるより、その手前で決めるほうが選べる道が多く残ります

移り方は、3つある

有料に移るといっても、道は1つではありません。

図:無料プランから先へ進む、3つの道
① 同じサービスの有料プラン
今のサイトをそのまま使い続ける

作り直しが要らず、いちばん手間が少ない道です。独自ドメインと広告を消す条件が入っているかを確かめます。サービスが続くかどうかを決められない点は、そのまま残ります。

手間は最小。決定権はサービス側のまま
② 別の方法で、自分で作り直す
置き場所と住所を、自社で契約する

自由は増えますが、作る時間と、直す時間がかかります。社内に作業を続けられる人がいる会社向きです。文章と写真は今のサイトから流用できます。

自由は増える。時間は社内で出す
③ 外に頼む
作ることと直すことを、任せる

手間は減りますが、頼む先によって、契約が終わったときに何が残るかが違います。安さだけで選ぶと、無料のときと同じ「決められない」状態に戻ることがあります。

任せられる。ただし、終わり方を先に確かめる

どの道でも、独自ドメインを使うことと、原稿と写真を手元に残すことは共通です。③を選ぶ場合は、契約が終わったあとにサイトと住所がどうなるかを、申し込む前に聞いてください。

3つ目の道で気をつけたいのは、頼む先の条件です。安く頼んだサイトで、数年後に何が起きやすいかは 「安いから」で選んだホームページの、3年後 に順に並べました。無料のサービスで起きることと、よく似た話が出てきます。

8. 雄喜晃の伴走:無料で足りる段階なら、そう申し上げます

私たち雄喜晃は、月額制でホームページを作っています。ですから、今の貴社が無料のサービスで足りる段階なら、そうお伝えします。まだURLを刷っておらず、検索から新しいお客様を探しているわけでもないなら、急いで移る理由はありません。

私たちがやること

  • 今のサイトの中身を引き取る ― 無料のサービスで書いた文章と載せている写真を、新しいサイトの原稿として使います。一から書き直していただく必要はありません
  • 写真を整えて載せる ― 貴社で撮っていただいた写真を、明るさや大きさを整えてから載せます。スマートフォンで待たされない大きさにします
  • 独自ドメインで公開する ― サービスの名前が入らない、貴社だけの住所で公開します
  • 問い合わせが届くことを確かめる ― フォームから実際に送り、貴社に届くことを確かめてからお渡しします
  • 移ったあとの案内を手伝う ― 古いサイトに残す「移転しました」の文面を、一緒に用意します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、料金や営業時間が変わったときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

この記事では「続くかどうかを決められない」ことを費用として書きました。ですから、私たちの条件も同じ目で見ていただけるよう、先に書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。お申し込みの前に、この条件が貴社に合うかどうかを確かめてください。

私たちがやらないこと

無料のサービスの中で作ったデザインを、そのまま移し替えることはしません。6節で書いたとおり、サービスの形式は外へ持ち出せないことが多いからです。文章と写真を引き取り、新しく組み直します。

また、移れば問い合わせが増える、検索の順位が上がる、というお約束もしません。移ることで整うのは、住所と見た目と機能の土台です。そこから先は、載せる中身と、公開してからの直し方で決まります。

「無料で作ったサイトのURLを、名刺に刷ってよいか迷っている」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:払っていないのはお金だけ、と知っておく

無料で作れるホームページについて、押さえておくことは次のとおりです。

  • 無料には、回収の仕組みがある ― 広告、有料プランへの誘導、サービスの宣伝。サイトの一部をそのために使わせている
  • 住所とメールが、貴社のものではない ― 独自ドメインが使えないと、刷ったURLがサービスの都合で使えなくなることがある
  • 機能に上限がある ― フォームの件数や項目、表示速度、検索での見え方。困るのは、使い始めてから
  • 続くかどうかを、貴社が決められない ― サービスの終了や条件の変更は、サービス側の日程で来る
  • 引っ越すときに持ち出せるのは、文章と写真 ― 元のデータを手元に保存しておく

無料で始めること自体は、まったく悪くありません。大事なのは、無料のまま年数がたつ前に、移る時期を自分で決めておくことです。いちばん分かりやすい目印は、名刺やチラシにURLを刷る前です。

まずは今日、お使いのサービスの料金のページを開いて、独自ドメインが使える条件と、広告を消せる条件を確かめてみてください。それから、サイトに載せている文章と写真の元のデータが手元にあるかを確かめてください。この2つが分かれば、移るかどうかの判断はずっと楽になります。