1. 「写真なら、たくさんあるんです」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「写真なら、スマホにも会社のパソコンにも何千枚もあるんです。でも、いざホームページに使うとなると、どれを選べばいいのか分からなくて。結局、全部まとめて送ってしまおうかと」
写真が無くて困っている会社より、写真はあるのに選べなくて止まっている会社のほうが、実は多いと感じています。現場の記録、展示会の様子、社員旅行、完成した製品。何年分もたまっていて、どこから見ればいいか分からない。
選べない理由は、写真の量ではありません。何のために選ぶのかが、先に決まっていないからです。基準が無いまま何千枚を眺めても、どれも良く見えるか、どれも足りなく見えるかのどちらかになります。
この記事では、手元にある写真から、ホームページに使う写真を選ぶ手順を書きます。新しく撮る話はしません。撮り方は ホームページの写真を、社内のスマートフォンで撮る に、写真がほとんど無い場合の作り方は 写真が1枚も無い会社の、ホームページの作り方 にまとめてあります。
この記事で書くこと
- 選べない本当の理由
- ページごとに「何を伝える写真か」を先に決める方法
- トップに置く1枚の選び方
- 使えない写真を外す4つのチェック
- 人が写っている写真の扱いと、似た写真の間引き方
- 選んだ写真の名前の付け方と、保管の仕方
2. 選べないのは、写真が多いからではない
選ぶ作業が止まる場面を見ていると、原因はだいたい3つに分かれます。
基準が無いまま、全部を見ようとしている
いちばん多いのがこれです。フォルダを開いて、1枚目から順に見ていく。何千枚もあると、途中で疲れて閉じてしまいます。次に開いたときは、また1枚目からです。
全部を見るのは、選ぶ作業ではなく思い出を振り返る作業になりがちです。「この現場は大変だった」「この年は人が多かった」。見ている本人は懐かしいのですが、ホームページに使う写真は1枚も決まりません。
「きれいな写真」を探している
次に多いのが、きれいな写真を探してしまうことです。構図が整っていて、色が鮮やかで、人に見せて恥ずかしくない写真。
ところが、ホームページに必要なのはきれいな写真ではなく、役目を果たす写真です。少し暗くても、仕事の手元がはっきり写っている1枚のほうが、夕焼けの外観よりも役に立つことがあります。きれいさで選ぶと、何の会社か分からない写真ばかりが残ります。
選んだあとの置き場所が決まっていない
3つ目は、選んだ写真の行き先です。良い写真を見つけても、それをどのページに置くかが決まっていないので、「とりあえず保留」のフォルダが膨らんでいきます。
この3つは、順番を逆にすると解けます。写真を見る前に、ページと役目を決める。そのあとで、役目に合う写真だけを探しにいく。見る枚数は大きく減ります。
3. 先に、ページごとに「何を伝える写真か」を決める
ここが、この記事でいちばん大事なところです。写真フォルダはまだ開かないでください。
ページの一覧を書き出す
まず、ホームページのページを紙に書き出します。トップ、会社概要、サービス、実績、採用、アクセス。今あるサイトのメニューをそのまま写しても構いませんし、これから作るなら予定のページで構いません。
1ページに、伝えることを1行
次に、各ページの横にそのページの写真で伝えたいことを1行書きます。「どんな会社か」ではなく、もっと具体的に書きます。
- トップ ― 何の仕事をしている会社か、ひと目で分かる
- 会社概要 ― 実際に建物と事務所がある
- サービス ― 頼んだら、どんな作業をしてもらえるか
- 実績 ― 終わったあと、どうなったか
- 採用 ― どんな人と、どんな場所で働くのか
この1行が書けたら、探す写真が決まります。会社概要なら、外観と入口と事務所の中。サービスなら、作業をしている手元と道具。1行に合わない写真は、どれだけ良くても今回は見なくていい写真です。
| ページ | 写真で伝えたいこと | 探す写真の例 |
|---|---|---|
| トップ | 何の仕事をしている会社か | たとえば作業中の手元、仕上がった製品と人が一緒に写っているもの |
| 会社概要 | 実際に建物と事務所がある | 外観の正面、入口、事務所の中。看板が今と違うものは外す |
| サービス | 頼んだら何をしてもらえるか | 作業の途中、使っている道具、打ち合わせの場面 |
| 実績 | 終わったあと、どうなったか | 完成した状態。施工前と並べられるなら、同じ角度の2枚 |
| 採用 | どんな人と、どこで働くか | 休憩の場所、朝礼、作業着の背中。掲載の同意がある人だけ |
右の列が決まると、何千枚の中から探すのは数十枚の候補になります。表は1枚の紙で足ります。ページが増えたら、行を足してください。
1ページに使うのは、多くて5枚
1ページに何枚使うかも、ここで決めておきます。目安は、トップで1枚、ほかのページで2〜5枚です。枚数を先に決めると、選ぶ作業に終わりができます。候補が10枚あっても、5枠しかなければ、残りの5枚は外すしかありません。
4. トップに置く1枚の選び方
トップページの最初の画面に置く写真は、サイトの中でいちばん多く見られる1枚です。ここだけは、少し時間をかけて選びます。
写真は、説明の一行を助ける役
最初の画面で読む人が確かめているのは、何の会社か、どこの会社か、誰向けか、次にどこを押せばいいかの4つです。写真はそのうち「何の会社か」を助ける役で、写真だけで全部を伝えようとしないことが大切です。最初の画面全体の組み立ては トップページの最初の画面に、何を置くか に書きました。
候補を5枚まで絞る
前の章の表で、トップの行に合う写真を5枚まで選びます。仕事の手元、製品と人、現場の全景。5枚が並んだら、次の3つで比べます。
- 業種が分かるか ― 会社の名前を隠して見せたとき、何の仕事か言い当てられるか
- 文字を重ねられるか ― 壁や空、床など、説明の一行を置いても読める場所があるか
- 端を切られても残るか ― 伝えたいものが写真の真ん中寄りにあるか
3つ目は見落とされがちです。トップの写真は、パソコンでは横長に、スマートフォンでは縦長に切り取られて表示されることが多いので、端にあるものは消えると思って選ぶのが安全です。
スマートフォンで、3秒だけ見せる
5枚から1枚に決めるときは、社外の人か、入社して日の浅い社員に手伝ってもらいます。スマートフォンに1枚ずつ表示して、3秒だけ見せて「何の会社に見えますか」と聞いてください。
社内の人は、写真の外側の事情を知っています。「これは〇〇の現場で」と頭の中で補ってしまうので、写真そのものが伝えている情報を測れません。何も知らない人の答えが、そのまま読む人の受け取り方です。
迷ったら、手が写っている1枚
それでも決まらないときは、人の手が写っている写真を選んでください。道具を持つ手、図面を指す手、製品を包む手。顔が写っていなくても、人が仕事をしていることは伝わります。顔が写らないので、あとで説明する同意の確認も比較的軽く済みます。
選ばなかった4枚は捨てずに、サービスや実績のページの候補に回します。
5. 使えない写真を外す、4つのチェック
候補が決まったら、1枚ずつ確かめます。見るのは、ぶれ・暗さ・古さ・写り込みの4つです。スマートフォンの小さな画面ではなく、パソコンの画面で拡大して見てください。小さく見ているうちは、どれも問題が無く見えます。
ぶれ:文字と輪郭を拡大して見る
拡大して、写真の中の文字や、製品の輪郭がくっきりしているかを見ます。ぶれは、明るさの調整では直りません。トップや大きく載せる場所の写真でぶれているものは、外します。
小さく載せる場所なら、少しのぶれは気にならないこともあります。外すか、小さい枠に回すかを決めてください。
暗さ:暗い部分の中身が見えるか
暗い写真は、ある程度なら明るさを上げて直せます。ただし、真っ黒に潰れてしまった部分は、上げても戻りません。灰色のざらざらが出てくるだけです。
見るのは、写真全体の明るさよりも、いちばん暗い部分に何が写っているかです。そこに伝えたいもの、たとえば手元や製品の細かい部分があるなら、外したほうが無難です。
古さ:今の貴社と違うものが写っていないか
ここがいちばん抜けやすいところです。何年も前の写真には、今と違うものが写っています。
- 看板とロゴ ― 古いロゴ、旧社名、前の電話番号が入った看板や車
- 人 ― すでに退職した方、異動した方
- 設備と建物 ― 入れ替えた設備、改装前の店内、移転前の事務所
- 服装 ― 今は使っていない制服や作業着
- 季節と掲示物 ― 年号の入ったカレンダー、古い告知の貼り紙
写真としては良くても、今の貴社を見に来た人が、実物と違うと感じる写真は外します。来店や訪問のある商売では、特に気をつけてください。
写り込み:主役以外のところを、端から順に見る
最後に、写真の主役ではない部分を、端から順に見ていきます。目は主役に引っ張られるので、意識して端を見ないと見落とします。
- 書類と画面 ― 机の上の請求書、宛名、パソコンやホワイトボードの文字
- お客様の情報 ― 表札、車のナンバー、建物が特定できる外観
- 人 ― 背景に小さく写った通行人や、ほかのお客様
- 他社のもの ― 他社のロゴや商品名が主役のように写っているもの
写り込みは、切り取りで消せることもあります。ただ、切り取ると構図が崩れる場合は、無理をせず外してください。権利の考え方は ホームページの写真と文章、権利はどうなっているか に、施工写真で表札やナンバーを避ける方法は 施工前と施工後の写真を、比べられる形で撮る に書きました。
6. 人が写っている写真は、同意を確かめてから
4つのチェックを通った写真の中に、人が写っているものがあれば、もう一段確かめます。ここは写真の良し悪しとは別の話です。
撮ったときと、載せるときでは話が違う
社内で撮った写真は、撮られた本人も「記録として」撮られたと思っていることが多いです。写真に写ることを了解していても、ホームページに載ることまで了解しているとは限りません。会社のサイトは誰でも見られますし、一度載ると長く残ります。
社員が写っている写真
社員が写っている写真は、載せる前に本人に一言確かめます。
- 使う場所を伝える ― 「採用ページの、この位置に使いたい」と具体的に言う
- 写真そのものを見せる ― 本人が気にする表情や服装は、見せないと分かりません
- 断れる聞き方にする ― 上司から聞かれると断りにくいので、断っても困らないことを先に伝える
- 記録を残す ― 誰に、いつ、どの写真を、どこに使うと確かめたかを一行でいいので残す
顔を出したくない人がいれば、手元や後ろ姿の写真に替えれば済みます。無理に全員の顔を揃える必要はありません。
お客様や、社外の人が写っている写真
お客様、取引先、イベントの来場者が写っている写真は、もっと慎重に扱います。掲載の許可を取った記録が無いものは、使わないか、顔や特定につながる部分が分からない形にしてください。子どもが写っている写真は、さらに気をつけます。
どこまで確かめれば足りるかは、業種や写っている人との関係によって違います。迷うときは、所管の窓口や専門家に確認してください。
退職した方の写真
古さのチェックとも重なりますが、退職した方が写っている写真は、基本的に新しいサイトには使わないほうが無難です。今のサイトに残っている場合も、この機会に見直してください。
7. 似た写真を間引き、名前を付けて保管する
ここまでで、ページごとの候補が残っています。最後に、並べたときの見え方を整えて、選んだ写真をしまいます。
似た写真が並ぶと、少なく見える
候補をページに並べてみると、同じ場所を同じ角度から撮った写真が何枚も並ぶことがあります。どれも良い写真なので外しにくいのですが、似た写真が3枚並ぶと、読む人には1枚分の情報しか伝わりません。かえって「写真が少ない会社」に見えます。
間引くときは、1ページの中で役目を分けます。
- 引き ― 場所や全体が分かる1枚
- 寄り ― 手元や製品の細部が分かる1枚
- 人 ― 誰がやっているかが分かる1枚
この3つが1枚ずつあれば、似た写真は要りません。同じ写真をいくつものページで使い回すのも、読む人には同じに見えるので避けてください。
選んだ写真に、名前を付ける
選んだ写真は、ファイル名を付け直します。何の写真か、どのページに使うかが、名前だけで分かるようにします。
たとえば、こういう形です(例は架空です)。
- トップ_作業中の手元_2026.jpg
- 会社概要_外観正面_2026.jpg
- 実績_北区_外壁_施工後.jpg
撮った年を入れておくと、次に見直すときに古さのチェックが楽になります。
写真フォルダを開く前に、ページの一覧と「写真で伝えたいこと」を1行ずつ書きます。1ページに使う枚数もここで決めます。
1行に合う写真だけを、ページごとのフォルダに移します。合わない写真は、どれだけ良くても今回は見ません。
パソコンで拡大して、ぶれ・暗さ・古さ・写り込みを見ます。人が写っている写真は、載せてよいかを本人に確かめてから残します。
引き・寄り・人で1枚ずつに絞り、「ページ_内容_年」の名前を付けて、決めた1か所に保管します。
いちばん時間がかかるのは③に見えますが、実際に作業を軽くしているのは①です。写真を見る前に役目を決めておくことで、見る枚数そのものが減ります。
保管は、決めた1か所に
名前を付けた写真は、「ホームページ用」という1つのフォルダにまとめます。担当者のスマートフォンや個人のパソコンの中だけにあると、その人が異動したときに行方が分からなくなります。会社で共有している場所に置き、元の写真フォルダとは分けておいてください。
あわせて、次の2つを1枚のメモにして同じフォルダに入れておくと、あとで困りません。
- 誰が撮った写真か ― 社員か、外の人か。外の人なら、どこまで使ってよいと決めたか
- 人の確認 ― 写っている人に、いつ、何に使うと確かめたか
このフォルダがあれば、写真を差し替えたいときも、チラシや会社案内を作るときも、最初から探し直さずに済みます。
8. 雄喜晃の伴走:撮っていただいた写真を、選んで整えて載せます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、写真を選ぶ作業を、経営者の方おひとりの宿題にはしません。貴社で撮りためてきた写真をお預かりして、ページの役目に沿って一緒に選びます。
私たちがやること
最初に、ページの一覧と、それぞれのページで写真に何を伝えてほしいかを、お話を伺いながら決めます。そのうえで、お預かりした写真から候補を選び、ぶれや写り込みを確かめ、明るさ・向き・大きさを整えてページに載せます。
人が写っている写真は、載せてよいかの確認が取れているものだけを使います。確認が取れていない写真は、どれを確かめればよいかをお伝えします。選ばなかった写真も、どのページの候補になりそうかをお返しするので、次の差し替えのときに使えます。
公開後の差し替えも、写真を送っていただければこちらで整えて載せます。月5回までの更新代行が月額に含まれているので、季節ごとに写真を入れ替えるといった使い方もできます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
先に書いておきます。私たちは、撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでが私たちの仕事です。
また、ネットで見つけた画像を、出どころが分からないまま使うことはしません。写真を実物と違って見えるほど加工することもしません。写っている方の確認が取れない写真は、どれだけ良い写真でも載せません。写真を良くすることで検索の順位が上がる、問い合わせが増えるとお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「写真はたくさんあるのに、どれを使えばいいか決められない」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:写真は、ページの役目から選ぶ
手元の写真からホームページに使う写真を選ぶときに押さえることは、5つです。
- 先にページと役目を決める ― 写真フォルダを開く前に、ページごとに「写真で伝えたいこと」を1行書く
- トップは1枚、手が写っているものを優先 ― 5枚に絞り、何も知らない人に3秒見せて選ぶ
- 4つのチェックで外す ― ぶれ・暗さ・古さ・写り込みを、パソコンで拡大して見る
- 人が写っていたら、本人に確かめる ― 使う場所を伝え、写真を見せ、記録を残す
- 似た写真を間引き、名前を付けて1か所に ― 引き・寄り・人で1枚ずつ。「ページ_内容_年」で保管する
選べないのは、写真が多すぎるからではありません。何のための写真かが決まっていないからです。役目が決まれば、何千枚の中から探すのは、数十枚で済みます。
まず、今日できること
紙を1枚用意して、ホームページのページを縦に書き出してください。その横に、写真で伝えたいことを1行ずつ書く。写真フォルダを開くのは、それが書けてからで十分です。