1. 「顔は出したほうがいいと、よく言われるんですが」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「社長の顔が見えたほうが安心されると、いろんな人に言われるんです。でも、正直あまり出したくなくて。写真も苦手ですし、家族のこともあるので。やっぱり載せないとだめなんでしょうか」

この迷いは、とても自然なものです。顔を出したほうが良い場面があるのは事実です。一方で、載せたくない理由も、多くはわがままではありません。どちらも正しいので、決めきれないまま、写真の欄だけが空いている。そういうサイトをよく見かけます。

この記事は、その1枚をどう扱うかに絞って書きます。

ほかの記事との分担

似た話題の記事がいくつかあるので、先に分担を書いておきます。

この記事で書くこと

  • 顔が見えると、なぜ問い合わせる前の不安が減るのか
  • 顔が効く場面と、効きにくい場面
  • 載せたくない理由と、その受け止め方
  • 顔の代わりに出せる4つのもの
  • 写真を選ぶときの、時期・表情・服装
  • 古い写真のままにしないための見直し

2. 問い合わせる前の不安は、顔が見えると減る

先に、顔写真が何をしているのかを整理します。ここが分かると、載せるかどうかの判断がしやすくなります。

問い合わせは、知らない人に連絡すること

お客様の側から見ると、問い合わせはまだ会ったことのない相手に、自分から連絡することです。電話をかける前、フォームを送る前に、小さな不安がいくつか浮かびます。

  • 誰が出るのか ― 電話の向こうにいるのは、どんな人か
  • 話が通じるか ― 素人の質問に、面倒くさそうにされないか
  • 押し売りされないか ― 一度連絡したら、断りにくくならないか

文章でも、この不安はある程度は減らせます。ただ、「誰が出るのか」だけは、文章より写真のほうが早く答えられます。顔が見えると、電話をかける相手を思い浮かべられるからです。

会社の顔ではなく、窓口の顔として

ここで言う顔写真は、会社の象徴としての肖像ではありません。「この人が対応します」という窓口の顔です。

構えすぎた写真は「偉い人」に見えて、かえって連絡しにくくなることがあります。読む人が知りたいのは、社長の威厳ではなく、話しかけやすい人かどうかです。

顔だけで選ばれるわけではない

誤解のないように書いておきます。顔写真を載せたからといって、それだけで仕事が来るわけではありません。料金、対応エリア、実績、問い合わせのしやすさ。比べられる材料がそろっていて、その上で最後の一押しになるのが顔写真です。

3. 顔が効く場面、効きにくい場面

顔写真の効き方は、業種とお客様によってかなり違います。目安を3つの場面で書きます。

個人のお客様が相手の仕事

一般のご家庭や個人の方が相手の仕事では、顔が見えることの意味が大きくなります。お客様は、比べ慣れていません。何を基準に選べばいいか分からないときほど、「この人なら大丈夫そう」という感覚に頼ります。

相続や離婚の相談、住まいの修理、体のこと、お金のこと。人に言いにくい話を持ち込む仕事ほど、相手の顔を先に知っておきたいと思われます。

社長がそのまま窓口の、小さな会社

社長が電話に出て、見積もりに行き、作業もする。そういう会社では、社長の顔がそのまま会社の顔です。社長が写っていないと、読む人は「誰がやっているのか」が分からないまま連絡することになります。

一人社長や家族経営の会社の見せ方は 一人社長・家族経営の会社の、ホームページ に詳しく書きました。

お客様のところへ伺う仕事

工事、修理、訪問介護、出張の作業。お客様の家や事業所に伺う仕事では、顔の意味がもう一段強くなります。

お客様は、玄関のチャイムが鳴ったとき、ドアを開ける相手が誰なのかを知っておきたいのです。サイトで見た顔の人が来れば、それだけで安心につながります。家に人を上げることに慎重な方ほど、ここを気にされます。

効きにくい場面

反対に、顔写真があまり効かない場面もあります。

  • 法人が相手の、仕様で選ばれる仕事 ― 部品の加工や卸のように、図面や納期で決まる取引では、顔より設備や実績が見られます
  • 社長が窓口ではない会社 ― 問い合わせに出るのが担当の社員なら、社長の写真より、窓口の部署や担当の紹介のほうが役に立ちます
  • 商品で選ばれるお店 ― 商品写真や店内の様子のほうが、判断の材料になります

効きにくい場面では、無理に顔を出さなくても困りません。判定に迷ったら、「最初の電話に出るのは誰か、最初に伺うのは誰か」を考えてください。それが社長なら、顔は効きます。

表:場面ごとに、顔写真が減らす不安と、置く場所の目安(例はすべて架空)
場面顔が見えると減る不安置く場所の目安
個人のお客様が相手たとえば「素人の質問をしても、嫌な顔をされないか」トップの少し下と、問い合わせのボタンの近く
社長が窓口の小さな会社たとえば「電話に出るのは、どんな人か」トップの最初の画面か、そのすぐ下。名前と「私が対応します」の一文を添える
お客様のところへ伺う仕事たとえば「家に来るのは、どんな人か」サービスのページと、作業の流れの説明の中。作業着の写真が合う
法人相手で、仕様で選ばれる顔より、設備や対応できる範囲が見られる代表挨拶のページだけで足りることが多い。トップに大きく置く必要は薄い

同じ1枚でも、置く場所で効き方が変わります。不安が生まれる場所の近くに置くのが基本です。表の例は架空なので、貴社のお客様がどこで迷っているかに合わせてください。

4. 載せたくない理由は、正当なことが多い

ここからは、載せたくない側の話です。理由をお聞きすると、たいてい2つに分かれます。

家族のこと

いちばん多いのは、ご家族に関わる理由です。

  • 自宅兼事務所 ― 住所と顔が結びつくと、家族の暮らしの場所まで知られてしまう
  • 子どもの学校や地域 ― 狭い地域で商売をしていると、顔を知られることが家族の生活にも響く
  • 家族が反対している ― 本人は構わなくても、配偶者や親が嫌がっている

これは、わがままではありません。ご家族の安心は、ホームページの効果より優先してよいことです。特に自宅兼事務所の場合は、住所をどこまで出すかと合わせて考える必要があります。

本人の気持ち

もう1つは、ご本人の気持ちです。

  • 写真が苦手 ― 自分の顔を見るのが嫌、写り方に自信がない
  • 前に出たくない ― 社長が目立つ会社ではなく、社員が主役の会社にしたい
  • 事情がある ― 前の勤め先との関係、過去の出来事など、言いたくない理由がある

どれも、他人が「気にしすぎ」と言えることではありません。理由を説明してもらう必要もありません。出したくないという気持ちがあれば、それで十分な理由です。

一度出した写真は、完全には戻せない

載せるかどうかを決めるときに、1つ知っておいてほしいことがあります。インターネットに一度出した写真は、あとで消しても、どこかに残ることがあります。誰かが保存していたり、ほかのサイトに転載されていたりすると、貴社のサイトから消しても手が届きません。

ですから、迷っているなら、出さずに始めて、出してもいいと思えたら足すという順番をお勧めします。逆の順番は取り返しがききにくいからです。顔写真は、あとからでも足せます。

載せないと決めたら、それを前提に組む

載せないと決めたら、写真の欄を空けたまま「いつか撮ろう」と置いておくのはやめましょう。空いた枠は、未完成に見えます。最初から顔写真の無い組み方にするほうが、見た目にも筋が通ります。その組み方が、次の章です。

5. 顔を出さない場合に、代わりに出せるもの

顔を出さなくても、「誰がやっているのか」は伝えられます。代わりに出せるものを4つ挙げます。

仕事中の手元

いちばん使いやすいのが、仕事をしている手元です。図面に線を引く手、工具を持つ手、書類を指さす手。手には、その人の仕事ぶりがよく出ます。

顔の写真が「どんな人か」を伝えるのに対して、手元の写真は「どんな仕事をする人か」を伝えます。読む人が本当に確かめたいのは後者だったりします。

後ろ姿や、遠くからの姿

現場に立っている後ろ姿、お客様に説明している横からの遠景。顔は分からなくても、人がそこにいることは伝わります。

作業着や制服が写っていると、「この格好の人が来るのか」と分かります。

事務所や作業場、車両

人が写っていなくても、仕事の場所と道具は、その会社が実在して動いていることを伝えます。事務所の入口、整理された作業場、社名の入った車。

特に車両は、訪問する仕事で効きます。お客様は、家の前に停まる車を見て「あの会社の人だ」と分かります。

署名つきの文章

写真の代わりに、名前と言葉で人を伝える方法もあります。代表挨拶やサービスの説明の最後に、肩書と氏名を入れる。できれば手書きの署名を添える。

「お見積もりから作業の当日まで、代表の私が担当します」

こうした一文に名前が添えてあると、顔が無くても「この人がやっている」ことが伝わります。文字には、写真とは別の形で人柄が出ます。

図:顔を出さない場合に、代わりに出せる4つのもの(例はすべて架空)
① 仕事中の手元
どんな仕事をする人かを伝える

たとえば図面に書き込む手、部品を組む手。顔が無くても、仕事の細かさが伝わります。いちばん使いやすい代わりです。

サービスのページ、代表挨拶の横に
② 後ろ姿・遠くからの姿
人がそこにいることを伝える

たとえば現場に立つ作業着の背中。訪問する仕事なら、来る人の格好が分かるだけで安心につながります。

トップ、作業の流れの説明に
③ 事務所・作業場・車両
実在して、動いていることを伝える

たとえば入口の看板、社名の入った車。当日、家の前に停まる車を先に見せておけます。

会社概要、アクセスのページに
④ 署名つきの文章
名前と言葉で、人を伝える

たとえば「代表の私が伺います」に肩書と氏名を添える。ただし、文章が誰にでも書ける内容だと、署名があっても伝わりません。

代表挨拶、問い合わせの近くに

4つは組み合わせて使えます。たとえば手元の写真+署名つきの一文だけでも、「誰がやっているか」はかなり伝わります。④は文章の中身しだいなので、注意の印を付けています。

他人の写真で、顔を埋めない

代わりを考えるときに、1つだけ避けてほしいことがあります。素材サイトの人物写真や、作った顔の画像で、代表の場所を埋めることです。

読む人は、その写真の人が来ると思って連絡してきます。会ったときに別人だと分かれば、写真が無かったとき以上に信用を落とします。空いている場所を他人で埋めるより、顔の無い組み方のほうが誠実です。

6. 載せるなら、どの写真を選ぶか

載せると決めた方に向けて、選び方を書きます。基準は、上手に写っているかではありません。会ったときに、写真と同じ人が来るかどうかです。

いつ頃の写真か

まず見るのは、撮った時期です。今の顔と同じかどうかを確かめてください。

  • 髪型や髪の色 ― 大きく変わっていないか
  • 眼鏡 ― 今かけているものと同じか、かけるようになったのに外した写真になっていないか
  • 体つき ― 何年も前の写真で、印象が違っていないか

若い頃の写真は、写りが良く見えても避けたほうが無難です。会ったときに「写真と違う」と感じられると、それだけで小さな不信が生まれます。少し写りが悪くても、今の写真のほうが信用されます。

表情

表情は、仕事の相手として話しかけやすいかどうかで選びます。

満面の笑みである必要はありません。作った笑顔は、かえって写真の中で浮きます。かといって、口を結んだ真顔だと、怖い人に見えることがあります。軽く口角が上がっていて、目がカメラかお客様の方を向いている。このくらいが、いちばん多くの人に話しかけやすく見えます。

職人の仕事なら、真剣に作業している横顔でも構いません。お客様が、その場面で会いたい顔を選んでください。

服装を、仕事に合わせる

服装は、お客様の前に出るときの格好に合わせます。

現場に作業着で伺うなら、作業着の写真を。事務所でスーツで対応するなら、スーツの写真を。サイトの写真だけスーツで、実際は作業着で来る。これは悪いことではありませんが、写真と同じ格好の人が来たほうが、お客様はすぐに分かります。

背景と、写す範囲

背景は、仕事の場所が分かるものが向いています。事務所、作業場、現場。ただし、散らかっている場所や、書類の中身が読める場所は避けてください。

写す範囲は、胸から上くらいを基本に、少し余白を残しておきます。ページによって横長や正方形に切られることがあるので、余白がないと顔が切れてしまいます。手元にある写真から選ぶ手順は 手元にある写真から、ホームページに使う写真を選ぶ に、社内で撮るときのコツは ホームページの写真を、社内のスマートフォンで撮る にまとめてあります。

1枚を、ほかの場所とそろえる

選んだ1枚は、サイトの外でも同じものを使うと効きます。名刺、Googleビジネスプロフィール、会社のSNS、チラシ。場所ごとに違う写真が出ていると、同じ人だと分かりにくくなります。

1枚に決めたら、元の写真ファイルを、撮った年月を名前に入れて保管しておきましょう。次に差し替えるときに、どれが今の写真か迷わずに済みます。

7. 古い写真のままにしない

顔写真で、載せたあとにいちばん起きやすい問題がこれです。写真が古くなっていくことです。

古い写真で起きること

何年も前の写真が残っていると、こんなことが起きます。

  • 会ったときに、写真と違う ― 「サイトの写真の方ですか」と聞かれる
  • 会社が止まって見える ― 写真の古さは、サイト全体の更新が止まっている印に見える
  • 代表が替わったのに、前の代表が載っている ― 取引先や応募者が混乱する

3つ目は、事業承継や代表交代のときに意外と残ります。代表挨拶の文章は直したのに、トップの写真やブログのプロフィールに前の代表が残っている、という形です。

見直すきっかけを決めておく

写真は、気づいたときに替えるのでは遅れます。見直すきっかけを、先に決めておいてください。

  • 見た目が変わったとき ― 髪型、眼鏡、体つきが変わったら替えどき
  • 年に一度の点検のとき ― 撮り直すのではなく、今の顔と違っていないかを確かめる
  • 代表が替わるとき ― 文章と一緒に、写真の場所を全部洗い出す

写真が載っている場所を、一覧にしておく

顔写真は、思っているより多くの場所に使われています。トップ、会社概要、代表挨拶、採用のページ、ブログの書き手の欄、お知らせの記事の中、会社案内のPDF。

どこに載せたかを、1枚の表にしておいてください。差し替えるときにその表を見れば、取りこぼしが出にくくなります。

8. 雄喜晃の伴走:写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、代表の方に「顔を出しましょう」と説得することはしません。どんなお客様が、どんな不安を抱えて連絡してくるのかを伺い、顔を出す場合と出さない場合のどちらが貴社に合うかを、一緒に考えます。

私たちがやること

お話を伺って、顔写真が効く場面かどうかを整理します。載せる場合は、お預かりした写真の中から今の顔に近いもの、表情と服装が仕事に合うものを一緒に選びます。明るさや向きを整え、横長や正方形に切っても顔が切れないように配置します。

載せない場合は、最初から顔写真の無い組み方にします。手元や車両の写真、署名つきの一文をどこに置くかまで決めて、写真の欄が空いて見えないページにします。

写真が載っている場所は、一覧にしてお渡しします。代表が替わったときや、写真を替えたくなったときは、写真を送っていただければこちらで差し替えます。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、写真の差し替えもその範囲で反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトを譲渡します。

私たちがやらないこと

私たちは、撮影はお受けしていません。写真は、貴社で撮っていただいたものを整えて載せるところまでが私たちの仕事です。

また、素材サイトの人物写真や、作った顔の画像を代表として載せることはしません。実物と違って見えるほど写真を加工することもしません。顔写真を載せれば問い合わせが増える、というお約束もいたしません。顔写真は不安を減らす材料の1つで、それだけで結果が決まるものではないからです。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。私たちは神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

「顔を出すかどうか決められないまま、写真の欄が空いている」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:顔を出すかどうかより、誰がやっているかが伝わるか

社長の顔写真について押さえることは、5つです。

  • 顔は「誰が出るのか」に答える ― 問い合わせる前の不安のうち、写真がいちばん早く答えられるのがここです
  • 効く場面は限られる ― 個人のお客様、社長が窓口の会社、伺う仕事。最初に出るのが社長かどうかで判断します
  • 載せない理由は、それで十分 ― 家族のことも本人の気持ちも、説明はいりません。迷うなら、出さずに始めて後から足す
  • 顔の代わりは4つある ― 手元、後ろ姿、事務所や車両、署名つきの文章。他人の写真では埋めない
  • 載せるなら、今の顔を ― 時期・表情・服装を仕事に合わせ、見直すきっかけを決めておく

大事なのは、顔を出すことそのものではありません。読む人が「この人がやっている」と分かることです。顔はそのための1つの方法で、ほかの方法でも届きます。

今日できることを1つだけ挙げます。貴社のサイトを開いて、代表の写真が載っている場所を数えてみてください。そして、それぞれがいつ頃の写真かを確かめてください。載っていない場合は、最初の電話に出るのが誰かを考えてみてください。

ぜひ一度、お話を聞かせてください。顔を出すか出さないかを決めるところから、ご一緒します。