1. 「同じことを、あちこちで書き直している」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「サイトの原稿を作るのに、けっこう時間をかけたんです。なのに、営業資料を作るときはまた一から書いて、SNSの投稿もその場で考えて。言っていることが、少しずつ違ってきている気がするんですよね」
ホームページの原稿は、会社のことを一度まとめて書いた文章です。よくある質問、実績、料金の説明、お知らせ。どれも、ほかの場所でもそのまま役に立つ材料です。それなのに、サイトに載せたところで使い終わったことになっていることがよくあります。
1回書いたものを別の場所でも使えば、書く手間が減ります。そして、サイトでも営業でもSNSでも、言っていることがそろいます。この記事では、その使い回し方を書きます。
この記事の役割
近いテーマの記事がいくつかあります。紙とサイトで載せる中身を分ける考え方は 会社案内・チラシとホームページの、役割分担 に、開業のときにどちらを先に作るかは チラシとホームページ、どちらを先に作るか に、商談の場でサイトを開いて見せる段取りは 商談や営業の場で、ホームページをどう見せるか にまとめました。
この記事で扱うのは、サイトがすでにあるとき、そこに書いたものを材料にして、ほかの場所の文章を作ることです。サイトを見せるのではなく、サイトの中身を持ち出す話です。
2. 使い回すと、何が良くなるか
先に、使い回すと何が変わるかを3つ書いておきます。
書く手間が減る
営業資料の会社紹介、見積書に添える説明、SNSの投稿。ゼロから書くと、1つずつに時間がかかります。元になる文章がサイトにあれば、そこから削って並べ直すだけで済みます。
書く人が社長でなくてもよくなるのも利点です。サイトの文章を元にすれば、社員の方が書いても、会社として言うことから外れにくくなります。
言っていることがそろう
その場で書くと、同じことでも言い方が少しずつ変わります。サイトでは「最短3日」、営業資料では「1週間ほど」、SNSでは「すぐに対応」。どれも嘘ではなくても、読む人には違う会社の話に見えます。
元が1つなら、数字や条件は同じものが出ていきます。お客様がサイトと資料を見比べたとき、話が合っている。それだけで、確認の電話が1本減ります。
サイトの文章が、人前で直されていく
使い回していると、思わぬ利点があります。営業の場でよくある質問の答えを口に出してみると、伝わりにくいところが分かります。SNSに実績を出してみると、反応のある書き方とない書き方が見えてきます。
そこで分かったことを、元のサイトの文章に戻して直します。使い回すほど、元の文章のほうも良くなっていきます。
3. どこから、どこへ ― よく使う組み合わせ
サイトのどのページが、どこで使えるか。よく使う組み合わせを表にしました。
| サイトの元 | 使う先 | 直し方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| よくある質問 | 営業の受け答え、メールの返信 | 答えの1行目だけを口で言える長さにし、続きはページのURLで送る | 答えが変わったら、先にサイトを直す |
| 実績のページ | SNSの投稿 | 1件を1投稿に。写真1枚と、何を頼まれて何をしたかの3行 | お客様の了承がSNSにも及ぶかを確かめる |
| 料金の説明 | 見積書の添え書き | 含まれるもの、含まれないもの、高くなる条件だけを抜き出す | 見積書の数字と食い違わないようにする |
| お知らせ | 取引先へのメール | 件名に要点、本文は3行、詳しくはお知らせのURLへ | 送ってよい相手の範囲を決めておく |
| 会社概要・強み | 営業資料やチラシの会社紹介 | たとえば強みを3つの見出しだけにして、1枚に収める | 社名や住所の表記をサイトと同じにする |
どの組み合わせも、元の文章を削って並べ直すのが基本です。使う先で新しい言葉や数字を足したくなったら、先にサイトに足してから写します。
表の上から順に、具体的な使い方を見ていきます。
4. よくある質問、料金の説明、会社紹介を営業の場面で使う
まずは、営業の場面で使う3つです。
よくある質問を、営業の受け答えにする
よくある質問のページは、もともと電話や商談で何度も聞かれたことを書いたものです。つまり、営業の場で聞かれることの答え集でもあります。作り方は 「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる に書きました。
これを営業の方に渡して、受け答えの元にしてもらいます。使い方は2つあります。
- 口で答えるとき ― 答えの1行目、結論の部分だけを言います。そのあとに「詳しくはサイトのよくある質問にも書いてあります」と添えます
- メールで答えるとき ― 結論を1〜2行書き、その質問が載っているページのURLを貼ります。返信のひな形として社内で持っておくと、誰が返しても同じ答えになります
営業の方によって答えが違う、という悩みは、この使い方でかなり減ります。答えの元が1つになるからです。
料金の説明を、見積書の添え書きにする
料金のページには、何が含まれるか、何が含まれないか、どんなときに高くなるかが書いてあるはずです。これを、見積書に添える説明に使います。
見積書は、金額の表だけだと「この中に何が入っているのか」が伝わりません。表の下に、サイトの料金の説明から3〜5行を抜き出して添えると、相手が社内で説明しやすくなります。
ここで気をつけることが1つあります。サイトの料金の説明は、一般的な場合の話です。目の前の見積もりとは条件が違うことがあります。添え書きは、その見積もりの数字と合っている部分だけを残してください。サイトに書いてある幅の数字を、そのまま見積書に写すと、どちらが本当か分からなくなります。
会社概要と強みを、営業資料やチラシの紹介文にする
営業資料やチラシの「会社紹介」の欄は、作るたびに書き直されがちな場所です。ここも、サイトの会社概要と強みの文章から作れます。
営業資料なら、強みの見出しを3つだけ抜き出し、それぞれに1行ずつ説明を添えて1枚に収めます。チラシなら、さらに短く、見出しだけで足ります。詳しい説明は、チラシのQRコードや資料の最後に載せたURLから、サイトのページで読んでもらいます。
ここで大事なのは、強みの言葉を、資料のほうで言い換えないことです。たとえばサイトで「当日中に現地を確認します」と書いているなら、資料でもチラシでも同じ言葉を使います。言葉がそろっていると、チラシを見てサイトを開いた人が、同じ会社だとすぐに分かります。
5. 実績をSNSに、お知らせをメールに
次は、外に向けて発信する場面の2つです。
実績のページを、SNSの投稿にする
SNSに何を投稿するか、毎回悩んでいる会社は多いと思います。実績のページがあれば、1件の実績が、そのまま1回分の投稿になります。
実績を1件ずつ出していけば、投稿のネタを考える時間がそのまま浮きます。組み立ては短くて構いません。
- 写真1枚 ― 実績のページでいちばん分かりやすい1枚
- 3行の説明 ― どんなお客様から、何を頼まれて、何をしたか
- 続きはサイトへ ― プロフィールのリンクや投稿の中のリンクから、実績のページに戻ってもらう
全部をSNSに書かないのがコツです。SNSは流れて見えなくなりますが、サイトの実績は残って、検索でも見つかります。SNSは入口、中身はサイト、という分け方です。SNSとサイトの役割の違いは ホームページとSNS、どちらに時間を使うべきか にまとめました。
1つ確かめておくことがあります。実績をサイトに載せるときにお客様から了承をもらっていても、その了承がSNSにまで及んでいるかは別です。SNSは拡散されたり、写真が保存されたりします。サイトだけのつもりで了承されていることもあるので、使う場所が増えるときは改めて聞いてください。
お知らせを、取引先へのメールにする
年末年始の休み、営業時間の変更、新しく始めたサービス。サイトのお知らせに書いたことは、取引先に知らせたいことと重なっています。
お知らせを書いたら、同じ内容を取引先へのメールにします。件名に要点を入れ、本文は3行ほど、詳しくはお知らせのページのURLへ。メールの本文を長くしないのは、元をサイトの1か所にしておくためです。あとで内容が変わったとき、直すのはサイトだけで済みます。
送る相手は、普段からメールでやりとりしている取引先に限るなど、範囲を決めておきます。名刺交換しただけの方にまとめて送るような使い方は、相手の受け取り方も、守るべき決まりも変わってきます。決まりは業種や送り方によって違うので、気になる場合は専門家に確認してください。
6. そのまま貼らずに、場所に合わせて短くする
ここまでの4つに共通することを書きます。サイトの文章を、そのまま貼らないことです。
場所ごとに、読む時間が違う
サイトの文章は、探しに来た人が、ある程度時間をかけて読む前提で書いています。ほかの場所では、読む時間がずっと短くなります。
- SNS ― 流れてきたものを、指を止めた数秒で読む
- 見積書 ― 金額を見るついでに、目に入った分だけ読む
- メール ― 件名で開くかどうかを決める
- 営業資料 ― 説明を聞きながら、見出しだけを追う
だから、場所ごとに長さを変えます。目安は、その場所で読まれる時間の中で、言いたいことが1つ伝わる長さです。全部を伝えようとせず、残りはサイトで読んでもらう前提で削ります。
削って作り、新しく足さない
短くするときは、元の文章から言葉を抜き出して並べ直します。その場で新しい言い回しを作り始めると、元と違うことを言い出してしまいます。
それでも足したいことが出てきたら、それは元のサイトに足りない情報だということです。先にサイトに足してから、写す。この順番を守ると、サイトがいつも全部を持っている状態が保てます。
変えてよいもの、変えないもの
場所に合わせて変えてよいものと、変えないものを分けておくと迷いません。
- 変えてよいもの ― 長さ、話す順番、呼びかけ方、写真の切り取り方
- 変えないもの ― 数字、条件、社名や商品名の書き方、連絡先
変えないもののほうは、どこに出しても同じ表記になるように、社内で1枚にまとめておくと安心です。表記のそろえ方は ホームページと名刺・封筒で、書いてあることが違う に書きました。
7. 元は1か所に。写真の条件は、使う場所ごとに
使い回しを始めると、同じ内容があちこちに散らばります。散らばったあとの扱いを決めておかないと、今度は古い写しが残るという困りごとが出てきます。
元は、サイトに置く
元の文章をどこに置くかを決めます。いちばん素直なのは、サイトを元にすることです。サイトは誰でも見られて、直せばその日のうちに変わります。営業資料もSNSも見積書の添え書きも、サイトから作る写しだと考えます。
写しの置き場所を、一覧にしておく
写しを作ったら、どこに作ったかを書き残しておきます。営業資料のひな形、見積書のひな形、SNSの固定の投稿、メールの返信のひな形。料金や条件が変わったとき、直す場所を探すための一覧です。
いちばん残りやすいのは、社員の方のパソコンの中にある、少し前に作った資料です。新しいひな形を作ったら、古いものは消すか、「旧」と分かる場所に移してもらってください。
一覧を見る人を、1人決める
写しの一覧は、作っただけでは使われません。料金や条件が変わったときに、一覧を開いて直す場所を確かめる人を、社内で1人決めておきます。サイトの更新を頼む担当の方が兼ねると、サイトを直した流れで写しも直せるので、抜けが出にくくなります。
料金のページ、よくある質問、サービスのページなど、変わった内容が書いてあるページを先に直します。
見積書の添え書き、営業資料、メールの返信のひな形を、直したサイトの文章から作り直します。
SNSの固定の投稿やプロフィール、配ったあとのチラシなど、すぐには直せないものを書き出します。
サイトを先に直しておけば、古いチラシや資料を見た人がサイトを開いたとき、新しい情報にたどり着けます。直す順番を決めておくことが、古い写しを残さないいちばんの手当てです。
写真の利用条件は、使う場所ごとに確かめる
文章は自社で書いたものなので、比較的自由に使えます。気をつけたいのは写真です。サイトに使ってよい写真が、ほかの場所でも使ってよいとは限りません。
- 撮ってもらった写真 ― 撮った人との約束が、サイトだけなのか、印刷物や広告も含むのかを確かめる
- 素材サイトの写真 ― サイトでは使えても、印刷物や広告、SNSでは条件が違うことがある
- 写っている人 ― 社員やお客様が写っている写真は、サイトはよくてもSNSは困る、という方もいる
- 写っているもの ― 取引先の看板やロゴ、建物などが写り込んでいないか
使う場所が増えるたびに、条件を確かめ直してください。どこまで使えるかの判断は、契約や規約の中身によって違います。迷うときは、撮った方や素材の提供元に聞くか、専門家に確認してください。
8. 雄喜晃の伴走:サイトを、使い回しの元になる形で作ります
私たち雄喜晃は、ホームページを作るときに、サイトの文章がほかの場所の元になることを前提に組み立てます。
私たちがやること
- 結論から書く ― よくある質問も、サービスの説明も、1行目に結論を置きます。1行目だけ抜き出しても意味が通るので、短い版が作りやすくなります
- 使い回しやすい単位で作る ― よくある質問は1問ずつ、実績は1件ずつ、独立して読めるように書きます。1問や1件が、そのまま受け答えや投稿の元になります
- 元を直す手を動かす ― 料金や条件が変わったときは、ご連絡いただければ、月5回までの更新代行の中でサイトの元を直します
- 写真を整えて載せる ― 写真は、貴社で撮っていただいたものを、明るさや切り取り方を整えて載せます
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれ、月5回までの更新代行も同じ月額の中です。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- サイトに無い実績やお客様の声を、作文することはしません。使い回しの元になる文章だからこそ、貴社の事実だけで書きます
- 写真の利用条件を、こちらで判断することはしません。どこまで使えるかは、撮った方や素材の提供元との約束によるので、確かめる項目を一緒に書き出すところまでです
- 社内のパソコンに残った古い資料を、こちらで探して消すことはできません。写しの一覧の作り方をお伝えしますので、社内で見ていただく形になります
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。
「サイトの原稿に時間をかけたのに、ほかの場所では毎回書き直している」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:1回書いたものを、場所に合わせて何度も使う
ホームページに書いたことをほかの場所で使うときに、押さえることは5つです。
- よく使う組み合わせから始める ― よくある質問は営業の受け答えに、実績はSNSに、料金の説明は見積書に、お知らせはメールに、会社紹介は営業資料やチラシに
- そのまま貼らない ― 場所ごとに読む時間が違うので、元を削って短くする
- 新しく足さない ― 足したいことは、先にサイトに足してから写す
- 元は1か所、写しは一覧に ― 変わったときは、サイトを先に直し、写しの一覧を見てひな形を直す
- 写真は使う場所ごとに確かめる ― サイトで使える写真が、SNSや印刷物でも使えるとは限らない
使い回しは、手を抜くことではありません。同じことを、同じ言葉で、いろいろな場所から伝えることです。それができている会社は、どこで見ても話が合っています。
まず、今日できること
今日のうちに、1つだけやってみてください。サイトのよくある質問のページを開いて、営業の方に「この答えで、普段の受け答えと合っていますか」と聞く。合っていなければ、どちらかを直すきっかけになります。合っていれば、その日から受け答えの元として使えます。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。サイトの文章を、ほかの場所でも使える形にするところから、ご一緒します。