1. 「公開したんですが、誰からも何も言われなくて」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「半年かけてホームページを作り直したんです。公開した日は社内で少し盛り上がったんですが、お客様からも取引先からも、何も言われなくて。誰か見てくれているんでしょうか」
このお話は、珍しくありません。そして多くの場合、理由ははっきりしています。公開したことを、まだ誰にも知らせていないのです。
ホームページの公開は、社内では大きな出来事です。何度も打ち合わせをして、原稿を書いて、写真を選んで、ようやく形になった。ところが外から見ると、ある日インターネットの片隅に新しいページが増えただけです。作っただけでは、誰も気づきません。
この記事で書くこと
この記事では、公開やリニューアルの前後に「誰に、何で、どのページを」知らせるかを書きます。
- 作っただけでは気づかれない理由
- 知らせる相手を、4つに分けて考える
- トップではなく「見てほしいページ」を1つ決める
- メール・名刺・署名・SNS・Googleビジネスプロフィール・チラシの使い分け
- URLが変わったときに、古いURLから案内しておくこと
- 社員が自社サイトを説明できるようにすることと、お知らせ欄の片付け
公開してしばらく経っても問い合わせが来ない場合に、どこで止まっているかを切り分ける手順は ホームページを作ったのに問い合わせが来ない ― 公開後90日でやること にまとめました。そちらは原因を探す記事です。この記事は、その手前の、公開した直後に一度だけやる「知らせる」作業に絞ります。
2. 作っただけでは、なぜ誰も気づかないのか
先に、気づかれない理由を3つ整理しておきます。理由が分かると、知らせる相手と順番が決めやすくなります。
今の相手は、サイトを探しに来ない
すでにお付き合いのあるお客様や取引先は、貴社のことを知っています。用があれば電話をかけるか、メールを送ります。わざわざホームページを開いて「新しくなったかな」と確かめる人は、ほとんどいません。
つまり、いちばん貴社に関心がある人たちが、いちばんサイトの変化に気づきにくいのです。こちらから知らせない限り、古いサイトの印象のまま付き合いが続きます。
検索から来る人は、すぐには増えない
新しく作ったページが検索結果に出てくるまでには、時間がかかります。公開した翌日から、知らない人が次々に訪れるわけではありません。検索からの入口が育つまでの間、サイトを見てくれるのは、貴社を知っている人だけです。
だからこそ、最初の時期は、知っている人に見てもらうことに意味があります。見た人が紹介や問い合わせにつないでくれることもありますし、「ここが分かりにくい」と教えてくれることもあります。
古いブックマークと、古い紙が残っている
前のサイトを知っている人は、ブックマークや、昔もらった名刺やチラシのURLから来ます。リニューアルでURLが変わっていると、その入口が切れていることがあります。知っている人ほど、古い入口を使っているのです。この話は第6章で書きます。
3. 知らせる相手を、4つに分ける
「全員に知らせる」と考えると、手が止まります。相手を4つに分けて、それぞれに何を見てほしいかを考えると、文面も手段も決まってきます。
既存のお客様
いちばん先に知らせたい相手です。今のお客様が新しいサイトで確かめたいのは、たいてい次に頼むときの連絡先や手続き、そして新しく始めたサービスです。
一度頼んでくれたお客様にサイトをどう使ってもらうかは別の話になるので、ここでは「公開したことを知らせる」ところまでにとどめます。
取引先
仕入先、協力会社、元請け、金融機関など、仕事でつながっている相手です。取引先は、貴社の会社概要や事業の中身を、自社の社内で説明するときの資料として見ることがあります。「新しくなったので、会社概要はこちらをご覧ください」と一言添えるだけで、相手の手間が減ります。
取引先のサイトに貴社へのリンクが張られている場合は、URLが変わっていないかも、このときに確かめておきます。
社員とその家族
意外と忘れられるのが、社員です。そして、その家族です。家族は、本人が働いている会社のサイトを、思っている以上に開いています。新しくなったことを社員から家族に伝えてもらえると、会社の今の姿を見てもらうきっかけになります。
社員に知らせる目的は、もう1つあります。お客様から「サイト変わりましたね」と言われたときに、答えられるようにしておくことです。これは第7章で書きます。
紹介してくれる人
紹介で仕事が来る会社にとっては、ここがいちばん大事かもしれません。税理士、同業の知人、昔からのお客様。紹介してくれる人は、貴社のことを人に説明するときに、送れるページを探しています。
「紹介するときは、このページを送っていただけると話が早いです」と伝えておくと、紹介の言葉とページの中身がそろいます。
| 知らせる相手 | 見てほしいページの例 | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 既存のお客様 | ご依頼の流れ、連絡先、新しく始めたサービスのページ | たとえば「次回のご依頼は、このページからも受け付けています」と、次に使う場面と一緒に |
| 取引先 | 会社概要、事業内容のページ | たとえば「社内でのご説明に、こちらのページをお使いください」と、相手の手間が減る形で |
| 社員とその家族 | 代表挨拶、会社の沿革、採用のページ | たとえば社内で一度画面を見せ、家族にも送ってよいと伝える。押しつけない |
| 紹介してくれる人 | 実績のページ、サービスの説明のページ | たとえば「ご紹介のときは、このページを送っていただけると話が早いです」と、送る用のURLを渡す |
相手が違えば、見てほしいページも違います。全員にトップページを送るより、相手ごとに1ページずつ選んで送るほうが、開いてもらえます。どのページを選ぶかは、貴社の事情で決めてください。
4. トップではなく「見てほしいページ」を1つ決める
知らせるときにいちばん多いのが、「ホームページをリニューアルしました」という一文と、トップページのURLだけを送る形です。これでも何もしないよりはましですが、もったいない送り方です。
トップを送ると、何を見ればいいか分からない
トップページのURLだけを受け取った人は、開いて、上から少し眺めて、閉じます。何を見てほしいのかが書かれていないので、見るところが決まらないのです。「きれいになりましたね」という感想で終わり、中身までは読まれません。
「なぜ作り直したか」から、1ページを選ぶ
見てほしいページは、作り直した理由から逆に選びます。
- 実績を見てほしくて作り直した ― 施工事例や制作事例のページを送る
- 新しいサービスを始めた ― そのサービスのページを送る
- 採用を強くしたい ― 採用のページを送り、社員や家族にも知らせる
- 問い合わせの手間を減らしたい ― ご依頼の流れや、よくある質問のページを送る
作り直した理由が複数ある場合でも、1回の連絡で送るページは1つにしてください。3つのURLが並んでいると、どれも開かれません。ほかのページは、次の機会に別の用件と一緒に送れば十分です。
1ページに、ひとこと理由を添える
URLには、なぜそのページを見てほしいのかを一行添えます。「これまで口頭でご説明していた工事の流れを、写真付きでまとめました」。相手にとっての用件が書いてあれば、開く理由ができます。
5. 知らせる手段と、それぞれの書き方
相手と見てほしいページが決まったら、手段を選びます。全部を一度にやる必要はありません。貴社が普段使っている手段から順に使ってください。
メール ― いちばん先に、相手ごとに
既存のお客様と取引先には、メールがいちばん届きやすい手段です。一斉送信の文面を1つ作るより、相手の種類ごとに2〜3通りの文面を用意するほうが読まれます。
文面の形は、次のくらいの短さで足ります。
「いつもお世話になっております。このたび、弊社のホームページを新しくしました。これまでお電話でご説明していたご依頼の流れを、1ページにまとめています。次にご依頼いただく際の参考に、一度ご覧いただけましたら幸いです。(ページのURL)」
なお、宣伝を目的としたメールには、送ってよい相手や書いておくべきことについての決まりがあります。取引の関係や業種によって扱いが違うので、たくさんの相手に一斉に送る前に、所管の窓口や専門家に確認してください。
メールの署名と、名刺の刷り直し
署名は、一度設定すれば、そのあとの全部のメールで知らせてくれます。公開に合わせて、署名のURLを新しいものに変え、しばらくは「ホームページを新しくしました」と一行足しておくと、普段のやり取りの中で自然に伝わります。全社員の署名をそろえる考え方は ホームページを作ったのに、社内で誰も見ていない に書きました。
名刺は、URLが変わったなら刷り直しの時期です。URLが変わっていなくても、QRコードを入れるならトップではなく見てほしいページに飛ばすほうが役に立ちます。紙ごとの飛ばし先の決め方は 名刺・チラシ・看板のQRコードは、どのページに飛ばすか にまとめてあります。
SNS ― 1回で終わらせず、ページごとに
会社のSNSがあるなら、公開の日に一度投稿します。ただ、「リニューアルしました」の1回だけで終わらせるのはもったいない使い方です。新しくなったページを1つずつ、何回かに分けて紹介すると、それぞれの中身まで見てもらえます。
SNSやLINEでURLを送ると、ページの画像と見出しが自動で表示されます。ここが灰色の四角のままだと、せっかくの告知が目に留まりません。公開前に LINEやSNSでURLを送ったときの「見え方」を整える を確かめておいてください。
Googleビジネスプロフィール
Googleマップに会社や店舗が載っている場合は、ウェブサイトの欄のURLが新しいサイトを指しているかを確かめます。リニューアルでURLが変わったのに、ここが古いままになっていることがよくあります。地図から来る人は、今のお客様より多いこともあります。
投稿の機能を使っているなら、新しくなったことを写真1枚と短い文で知らせ、見てほしいページへつなぎます。
チラシと、紙の案内
来店型の商売や、地域のお客様が多い会社では、紙の案内も役に立ちます。請求書や納品書に「ホームページを新しくしました」と書いた小さな紙を1枚添えるだけで、普段サイトを見ない人にも届きます。新しくチラシを刷るなら、QRの飛ばし先を見てほしいページにして、URLも文字で入れておきます。
6. URLが変わったなら、古いURLからの案内を先に
リニューアルでいちばん気をつけたいのが、ここです。ページの住所であるURLが変わった場合、古いURLから来た人を、新しいページへ案内する設定を、知らせる前に済ませておいてください。
古いURLから来る人は、思ったより多い
前のサイトを知っている人は、ブックマーク、昔の名刺やチラシのQR、取引先のサイトのリンク、過去のメールに貼ったURLから来ます。この入口が切れていると、「ページが見つかりません」が出て、そこで帰ってしまいます。しかも、こちらからはそれが見えません。
知らせるメールを送ったその日に、相手が古いブックマークから開いて行き止まりに当たる。これでは、知らせた意味が半分になります。
対応表を作って、転送を設定する
やることは、古いURLと新しいURLの対応表を作り、古いURLを開いた人が新しいページに自動で移るように設定することです。全部のページをトップに飛ばすのではなく、内容が同じページ同士を1対1でつなぐのが基本です。具体的な手順と、やりがちな失敗は リニューアルでURLが変わるときに、失うもの にまとめました。
知らせるときに、新旧を両方書く
ドメインごと変わった場合は、知らせるメールや紙に「旧アドレス」と「新アドレス」を並べて書いておきます。相手は、手元に残っている古いURLが今も使えるのかを知りたいからです。
取引先のサイトから貴社にリンクが張られているなら、新しいURLへの差し替えをお願いしておきます。お願いの連絡は、公開を知らせるメールと一緒に済ませると、相手の手間も一度で終わります。
7. 社員が説明できるようにし、お知らせ欄を片付ける
最後に、社内の準備と、公開したあとの片付けです。どちらも小さな作業ですが、ここを飛ばすと、知らせた効果が長く続きません。
社員が「30秒で」説明できるようにする
お客様に知らせると、その返事は社員のところに来ます。「サイト見ましたよ。あの事例のページ、うちと似ていますね」と言われたとき、受けた社員がそのページを知らないと、話がそこで止まります。
公開の前に、社員に次の3つだけは伝えておいてください。
- なぜ作り直したか ― 一言で言える理由
- 見てほしいページ ― お客様にどのページを送ったか
- 聞かれたときの答え方 ― 「このページに載っています」とURLを送れること
社内で一度画面を見せる会のやり方や、普段の仕事で自社サイトを使う場面の作り方は、ホームページを作ったのに、社内で誰も見ていない に書いてあります。この記事では、公開を知らせる日に、社員が答えられる状態になっているかだけを確かめてください。
知らせる相手を4つに分け、それぞれに送るページを1つずつ決めます。URLが変わる場合は、古いURLからの転送をこの時点で用意します。メールの文面も、相手の種類ごとに下書きしておきます。
社員に画面を見せて、なぜ作り直したかと、どのページを送るかを伝えます。古いURLを自分で開いて、新しいページに移るかを確かめます。署名とGoogleビジネスプロフィールのURLも、この日に直します。
既存のお客様、取引先、紹介してくれる人に、相手ごとの文面でメールを送ります。SNSで最初の投稿をします。取引先には、リンクの差し替えのお願いも一緒に伝えます。
名刺やチラシを、なくなった順に新しいものへ替えます。SNSでは、ページを1つずつ紹介していきます。お知らせ欄の「公開しました」は、中身のあるお知らせに置き換えていきます。
全部を同じ日にやる必要はありません。大事なのは、外に知らせる前に、社内と古いURLの準備を済ませておくことです。順番が逆になると、知らせた相手が行き止まりに当たったり、社員が答えられなかったりします。
お知らせ欄に「公開しました」だけを置き続けない
公開した日に、お知らせ欄へ「ホームページをリニューアルしました」と一本書く。これ自体は悪くありません。困るのは、半年経っても、1年経っても、お知らせ欄の一番上がその一本のままになっていることです。
新しく訪れた人から見ると、「この会社は、サイトを作ってから何も動いていない」と読めてしまいます。公開を知らせるお知らせが、かえって止まっている印象を作るのです。
対処は2つあります。
- 公開のお知らせに、中身を書く ― 「リニューアルしました」だけでなく、何が見やすくなったか、どのページが増えたかを2〜3行で書き、そのページへリンクする
- 次のお知らせを、早めに足す ― 公開から1〜2ヶ月のうちに、終わった仕事の報告や、季節の案内など、お客様の予定に関わることを一本足す
お知らせ欄に何を書けば止まらずに続くかは 「お知らせ」の欄に、何を書けばいいか に、1年分のネタの作り方と一緒にまとめました。
8. 雄喜晃の伴走:知らせる先のページまで、公開前に整えます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、公開の日をゴールにはしていません。公開の前に、誰に知らせて、どのページを見てもらうかを一緒に決めるところまでを、制作の中に入れています。
私たちがやること
公開の前に、知らせる相手ごとの「見てほしいページ」を一緒に選び、そのページが送られたときに用件が伝わる中身になっているかを確かめます。LINEやSNSで送ったときに表示される画像と見出しも、公開前に用意します。リニューアルでURLが変わる場合は、古いURLと新しいURLの対応表を作り、転送の設定をしてから公開します。
お客様や取引先に送るメールの文面、お知らせ欄に載せる公開の一本は、下書きをこちらで用意し、貴社の言葉に直していただく形で進めます。公開したあとのお知らせの追加も、ご連絡いただければこちらで反映します。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、公開後にお知らせ欄の一本を差し替えるときも、その範囲であれば追加の費用はかかりません。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
貴社のお客様の名簿をお預かりして、こちらから一斉にメールを送ることはしません。お客様との関係は貴社のものですし、誰に送るかは貴社が決めることだからです。文面は一緒に作りますが、送るのは貴社からです。
また、公開を広めるために、貴社に相談なく広告を出すこともしません。公開したことで問い合わせや検索の順位がどう動くかを、お約束することもしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。私たちは神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「新しくしたのに、誰からも何も言われない」という方は、一度ご相談ください。知らせる相手を分けるところから、一緒に考えます。
9. まとめ:知らせる相手と、見てほしい1ページを決める
ホームページを公開・リニューアルしたことを知らせるときに押さえることは、5つです。
- 作っただけでは気づかれない ― 今の相手はサイトを探しに来ないので、こちらから知らせる
- 相手を4つに分ける ― 既存のお客様、取引先、社員とその家族、紹介してくれる人
- 見てほしいページを1つ決める ― トップではなく、作り直した理由に合うページを、ひとこと添えて送る
- 古いURLからの案内を先に済ませる ― 知らせた相手が、古いブックマークで行き止まりに当たらないように
- 社員が答えられる状態にし、お知らせ欄を片付ける ― 「公開しました」だけを一番上に置き続けない
公開は、社内では終わりですが、外から見ると始まりです。知らせて初めて、作ったサイトが人の目に入ります。
今日できることを1つだけ挙げます。4つの相手それぞれに、送るページを1つずつ紙に書き出してみてください。4行の紙ができれば、メールの文面も、名刺のQRの飛ばし先も、そこから決まります。