1. 「ホームページは、新しいお客様のためのものだと思っていました」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「売上のほとんどは、前から付き合いのあるお客さんなんです。ホームページは新しいお客さんを探すためのものだと思っていたので、正直そっちには何も書いていなくて」

これは自然な考え方です。ホームページの話になると、検索で見つけてもらう、問い合わせを増やす、という話ばかりが出てくるからです。

ただ、実際にサイトを開いている人の中には、すでに一度頼んでくれたお客様が混ざっています。電話番号を探しに来た人、点検の時期を確かめに来た人、請求書の宛名を変えたい人。新規の方とは、探しているものがまったく違います。

そして多くのサイトは、新規の方に向けて作られているので、2回目のお客様は目当ての情報にたどり着けずに、担当者の携帯に電話をかけたり、昔のメールを探したりしています。一度頼んでくれたお客様が、迷わず次の連絡をくれるようにすることも、ホームページの大事な役目です。

この記事で書くこと

  • 2回目のお客様が探すもの ― 新規の方と、何が違うのか
  • 2回目の連絡先 ― 取引のある方の窓口を分かりやすくする
  • 点検とメンテナンスの案内 ― 時期・中身・申し込み方
  • よく使う手続きのページ ― 追加の注文、書類の再発行、変更の届け
  • お知らせと担当者の交代 ― 近況を伝え、人が変わっても連絡が途切れないように
  • 新規向けの情報と混ぜない工夫 ― 置き場所の分け方

2. 2回目のお客様は、何をしにサイトへ来るのか

まず、一度頼んでくれたお客様が、どんなときにサイトを開くのかを考えてみます。

連絡先を探しに来る

いちばん多いのは、これです。前回の仕事から時間が空いて、名刺がどこにあるか分からない。担当者の携帯番号は知っているけれど、休日にかけていいのか迷う。だから、社名で検索して会社の電話番号を探します。

ここで見つかるのが「新規のご相談はこちら」という大きなボタンだけだと、少し迷います。前にお願いした件の続きなのに、新規の窓口に送っていいのか、と。

時期や中身を確かめに来る

「そろそろ点検だった気がする」「保証は何年だったか」。前回の仕事に関わることを、自分で確かめに来るお客様もいます。電話で聞くほどではないけれど、どこかに書いてあれば見たい、という用件です。

手続きをしに来る

追加の注文、請求書の再発行、住所や担当者の変更、支払い方法の変更。取引が続いているお客様ほど、こうした事務の用件が出てきます。毎回電話で一から説明するのは、お客様にとっても貴社にとっても手間です。

近況を見に来る

もう1つあります。久しぶりに頼もうとしたとき、この会社はまだ同じように続いているかを確かめに来るお客様です。お知らせが何年も前で止まっていると、「電話しても大丈夫かな」と一瞬止まります。

表:新規の方と、一度頼んでくれたお客様では、探しているものが違う(例はすべて架空)
場面新規の方が探すもの一度頼んでくれたお客様が探すもの
連絡相談の入口。無料かどうか、何を伝えればいいかたとえば「前回の工事の件で」と言える取引のある方の窓口
お金料金の目安、見積もりの取り方点検や部品交換の費用、請求書や支払い方法の変更
時期頼んでから終わるまでの期間次の点検はいつか、保証はいつまでか
会社のこと実績、強み、代表の考え方今も続いているか、担当者が変わっていないか

右の列は、新規向けに作ったサイトではどこにも書かれていないことが多い情報です。新しく作る必要はなく、普段は電話やメールで個別に答えていることを、1か所に書き出すだけで足ります。

3. 2回目の連絡先が、すぐ分かるようにする

まず手を付けたいのが、連絡先です。ここが分かりやすくなるだけで、2回目の連絡がずいぶん楽になります。

「お取引のある方」の窓口を、はっきり書く

問い合わせのページに、「すでにお取引のある方」向けの連絡先を一行で書いておきます。電話番号が同じでも構いません。「前回のご依頼の件、点検・修理のご相談は、こちらの番号へ。担当者名をお伝えいただければおつなぎします」と書いてあるだけで、お客様は迷いません。

フォームで受け付けている場合は、最初の項目に「新しいご相談」「お取引中の件」の選択肢を置いておくと、受け取った側も振り分けやすくなります。

担当者の携帯だけに頼らない

一度仕事をしたお客様は、担当者の携帯番号を知っていることが多いです。それ自体は悪いことではありません。ただ、連絡の窓口が担当者個人の携帯だけになっていると、その人が休みの日、手が離せないとき、辞めたときに連絡が止まります。

サイトには、会社としての電話番号と受付時間を書き、「担当者が不在の場合も、こちらで承ります」と添えておきます。お客様が個人の携帯に連絡するかどうかは自由ですが、会社の窓口という逃げ道がサイトにあることが大事です。

急ぎの連絡の受け方を書く

設備の故障、雨漏り、工場のラインの停止。取引のあるお客様ほど、急ぎの連絡が来ます。営業時間外にどうすればいいかが書いていないと、お客様は困ったまま朝を待つことになります。

時間外も受けられるなら、その番号と受けられる範囲を。受けられないなら、「営業時間外のご連絡は、翌営業日の午前中に折り返します」と書いておきます。受けられないことも、書いてあれば情報になります。

4. 点検とメンテナンスの案内を書いておく

仕事が終わったあとに点検や手入れが要る商売なら、その案内をサイトに置いておきます。

書くのは、時期・中身・費用・申し込み方

案内に書くことは4つです。

  • 時期 ― 「お引き渡しから1年後」「毎年春」のように、いつ頃かが分かるように
  • 中身 ― 何を見るのか、どれくらい時間がかかるのか
  • 費用 ― 無料か有料か。有料なら目安と、追加の費用がかかる場合
  • 申し込み方 ― こちらから連絡するのか、お客様から申し込んでもらうのか

いちばん抜けやすいのが、最後の申し込み方です。「こちらからご連絡します」と書いておきながら連絡が漏れるのが、いちばん信用を落とします。こちらから連絡する場合も、「時期が来てもご連絡がない場合は、お気軽にお電話ください」と添えておくと、漏れたときの受け皿になります。

保証の中身や対象外の書き方まで含めた考え方は、保証やアフターサービスを、ホームページにどう書くか にまとめてあります。

季節の手入れは、時期の少し前に

季節によって必要な手入れがある商売なら、その時期の少し前に、お知らせで案内を出すのも効きます。エアコンなら暑くなる前、雨どいなら梅雨の前。お客様が思い出す前に、サイトに書いてある状態にしておくと、点検の申し込みが自然に来ます。

点検で見つかったことを、そのまま売り込みにしない

点検の案内のページに、交換や追加工事の宣伝を並べたくなることがあります。ただ、点検のページで売り込みが目立つと、お客様は点検そのものを頼みにくくなります。点検は点検として書き、必要な工事が見つかった場合の流れは「その場で決めていただく必要はありません」と一文添えるくらいが落ち着きます。

5. よく使う手続きのページを、1つにまとめる

取引が続いているお客様からの用件は、毎回だいたい同じです。それを1ページにまとめておくと、お客様は電話をかける前に済ませられ、貴社は同じ説明を繰り返さずに済みます。

まとめるのは、電話でよく聞かれる手続き

まずは、普段どんな手続きの連絡が来ているかを書き出してみてください。たとえば、こんなものが並ぶはずです。

  • 追加の注文・同じものの再注文 ― 前回と同じ品番や仕様で頼みたいとき、何を伝えればいいか
  • 書類の再発行 ― 請求書、領収書、保証書、図面などを、どこに頼めばいいか
  • 登録内容の変更 ― 住所、社名、担当者、請求先が変わったときの届け方
  • 支払い方法の変更 ― 振込先や引き落としの変更の手順
  • 契約の更新・終了 ― 続ける場合、やめる場合に、いつまでに何をすればいいか

このページは、「お取引中のお客様へ」という名前にしておくと、新規の方が間違って読み込むことがありません。

用紙があるなら、置いておく

変更届けや注文書のように、決まった用紙がある手続きなら、そのページから取り出せるようにしておきます。用紙を探して電話をかけてくる手間が、1つ減ります。

ただ、個人情報が書き込まれた書類や、取引先ごとの価格表まで公開のページに置く必要はありません。取引先だけに見せたい資料をどう渡すかは、取引先専用・会員専用のページを、ホームページに作るか で、鍵付きのページを作らずに済む方法から整理しています。

図:一度頼んでくれたお客様の用件から、たどり着くページまで(流れの例)
① 社名で検索して、サイトを開く

たとえば「請求書の宛名を変えたい」という用件で、前回の取引先のサイトを開きます。名刺は手元にありません。

整えること:全ページの下に「お取引中のお客様へ」へのリンクを置く
▼
② 「お取引中のお客様へ」のページを開く

手続きの一覧から、自分の用件を探します。登録内容の変更、書類の再発行、点検の申し込みが並んでいます。

整えること:用件ごとに、何を伝えればいいかと連絡先を1〜2行で書く
▼
③ 書いてあるとおりに連絡する

「お取引中の件」を選んでフォームを送るか、取引のある方の窓口に電話します。伝えることが分かっているので、1回で済みます。

ページが無いと、担当者の携帯や昔のメールを探すところから始まります

新規の方の入口は、トップページや問い合わせのボタンです。取引中のお客様の入口は、ページの下のほうに静かに置いた1本のリンクで足ります。目立たせる必要はなく、探したときに見つかることが大事です。

6. お知らせで、近況を伝える

一度頼んでくれたお客様にとって、お知らせの欄は「この会社は今も同じように続いている」と確かめる場所です。

取引のある方に関係するお知らせ

既存のお客様に向けて、お知らせに書くと効くものがあります。

  • 営業日や受付時間の変更 ― 年末年始、夏季休業、受付時間が変わったとき
  • 新しく対応できるようになったこと ― 前回は頼めなかったことが、今は頼めるかもしれません
  • 料金や手続きの変更 ― 点検の費用、支払い方法、書類の送り方が変わったとき
  • 移転や電話番号の変更 ― 古い住所に書類が届く前に

新規の方向けには「実績の報告」がいちばん効きますが、既存のお客様には自分の予定や手続きが変わるお知らせが役に立ちます。お知らせに何を書くかの全体は、「お知らせ」の欄に、何を書けばいいか で整理しています。

届けたい相手には、メールでも知らせる

お知らせは、お客様がサイトを開いてくれないと読まれません。点検の時期や料金の変更のように、見落とされると困る知らせは、サイトに載せたうえで、同意をいただいたお客様にはメールでも送ると届きやすくなります。料金を改定するときに誰へどの順番で知らせるかは、値上げを、ホームページでどう知らせるか にまとめています。

送るメールの中身は、サイトに載せたお知らせへのリンクにしておくと、内容が1か所にまとまります。始め方と登録の入口の置き方は、メールマガジンを始めるか、ホームページとどうつなぐか にまとめました。

7. 担当者が変わったときと、新規向けの情報と混ぜない工夫

最後に、取引が長く続くほど起きる2つのことを書きます。担当者の交代と、新規向けの情報との混ざり方です。

担当者が変わったら、窓口をはっきりさせる

長いお付き合いのお客様ほど、「いつもの担当さん」に連絡してきます。その担当者が異動したり辞めたりすると、お客様は誰に連絡すればいいか分からなくなります。

担当の交代は、まず一人ひとりのお客様に直接お知らせするのが基本です。そのうえで、サイトの「お取引中のお客様へ」のページに、「担当者が分からない場合は、こちらの窓口へ。お名前とご依頼の内容をお伝えいただければ、担当からご連絡します」と書いておきます。直接のお知らせから漏れた方の受け皿になります。

社員の名前をサイトに出すかどうかは、本人の了解を取ってからにしてください。名前を出さなくても、会社の窓口が書いてあれば連絡は途切れません。

届き先のメールも、人ではなく会社に置く

お客様が知っているメールアドレスが、辞めた担当者個人のものだった、ということはよく起きます。問い合わせの届き先や、お客様とやりとりするアドレスは、個人の名前ではなく、会社の窓口のアドレスにしておくと、人が変わっても連絡が届きます。ホームページの担当者そのものが辞めるときの引き継ぎは、ホームページの担当者が辞める・異動するときの引き継ぎ に書いてあります。

新規向けと既存向けを、同じページに混ぜない

ここまで書いた情報を、トップページや新規向けのページに詰め込むと、今度は新規の方が迷います。分け方の目安はこうです。

  • トップの最初の画面には入れない ― 最初の画面は、初めて来た人に何の会社かを伝える場所です
  • 入口は、ページの下とメニューの末尾 ― 「お取引中のお客様へ」へのリンクを、全ページの下と、メニューのいちばん後ろに置きます
  • 料金の見せ方を分ける ― 新規向けの料金と、点検や追加注文の料金を同じ表に並べない。どちらの話か分からなくなります
  • 新規向けの値引きを、既存のお客様の目の前に出さない ― 「初回限定〇〇円」が手続きのページに並ぶと、長く付き合ってくれている方がよい気持ちになりません

新規の方向けの案内は 「初めての方へ」のページは、要るのか。要るなら何を書くか で整理しています。「初めての方へ」と「お取引中のお客様へ」は、対になるページだと考えると、置き場所が決めやすくなります。

8. 雄喜晃の伴走:取引中のお客様の用件を、1ページにまとめます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、新規の方に向けたページと同じくらい、すでにお取引のあるお客様が使うページを大事にしています。最初のお打ち合わせで、普段どんな電話やメールが来ているかを伺うところから始めます。

私たちがやること

  • よく来る用件を書き出す ― 点検、追加の注文、書類の再発行、変更の届けなど、普段のやりとりを伺って並べます
  • 「お取引中のお客様へ」のページを作る ― 用件ごとに、何を伝えればいいかと連絡先を短く書きます
  • 取引のある方の窓口を整える ― 問い合わせのページとフォームに、取引中の件の入口を足します
  • 入口を目立たせすぎずに置く ― 全ページの下とメニューの末尾に、新規向けの導線と混ざらない形で置きます
  • 変更を反映する ― 受付時間や点検の費用、担当の窓口が変わったときは、ご連絡いただければこちらで直します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、年末年始の休業案内や点検の時期のお知らせも、内容を送っていただければこちらで載せます。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

お客様の名簿や連絡先を、私たちがお預かりして管理することはしません。点検の時期のご連絡や、お客様一人ひとりへの担当交代のお知らせは、貴社から直接行っていただくものです。

また、保証の中身や契約の条件そのものを決めることもしません。決まった内容を読みやすく書き直すところまでが私たちの仕事です。契約や個人情報の扱いは業種によって決まりが違うので、所管の窓口や専門家にご確認ください。

「売上の多くは既存のお客様なのに、サイトにはその方々向けのことが何も書いていない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:2回目の連絡で、迷わせない

一度頼んでくれたお客様にホームページを使ってもらうために、押さえることは5つです。

  • 取引のある方の窓口を書く ― 担当者の携帯だけに頼らず、会社としての連絡先と受付時間を
  • 点検とメンテナンスの案内を置く ― 時期・中身・費用・申し込み方。こちらから連絡する場合も受け皿を
  • よく使う手続きを1ページにまとめる ― 追加の注文、書類の再発行、変更の届け。電話でよく聞かれることから
  • お知らせで近況を伝える ― 営業日や手続きの変更など、お客様の予定が変わることを中心に
  • 新規向けと混ぜない ― 入口はページの下とメニューの末尾。担当が変わっても窓口は会社に残す

新しいお客様を呼ぶ工夫は、どの会社も考えます。けれど、すでに頼んでくれたお客様が、次の連絡で迷わないようにする工夫は、後回しになりがちです。売上の多くを既存のお客様が支えている会社ほど、ここを整える意味があります。

今日できることを1つだけ挙げます。この1ヶ月に、取引のあるお客様からどんな用件の電話やメールが来たかを、5つ書き出してみてください。その5行が、そのまま「お取引中のお客様へ」のページの目次になります。

長く付き合ってくれているお客様に、もっと使いやすいサイトにしたい、という方は、一度ご相談ください。