1. 「メルマガ、うちもやったほうがいいですか」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「取引先から、メルマガをやったほうがいいと言われたんです。名刺も問い合わせのメールアドレスも、けっこう溜まっているので。ただ、何を送ればいいのか分からないし、迷惑だと思われるのも嫌で」

とても自然な迷い方です。連絡先も、送る手段もある。ただ、送る中身と、送ってよい相手がはっきりしない。この2つが決まらないまま始めると、2〜3通で止まるか、「なぜ届いたのか分からないメール」として扱われます。

先にお伝えしておくと、メールマガジンは、どの会社にも要るものではありません。そして向く会社でも、ホームページとつながっていないメールは、読まれても次の行動につながりにくいのです。この記事では、登録してくださった方へ定期的に送る「お知らせメール」の意味で使います。

この記事で書くこと

  • メールマガジンが向く会社と、向かない会社
  • 送ってよい相手の考え方(同意をもらった相手に送るのが基本)
  • 登録の入口を、ホームページのどこに置くか
  • 送る内容と、続けられる頻度の決め方
  • 配信停止を、分かりやすく作る方法
  • LINEとの使い分け

2. 向く会社と、向かない会社

始めるかどうかは、1つの問いで決まります。

判断の問いは、「同じお客様に、もう一度頼んでもらう商売か」

メールマガジンは、すでに貴社を知っている人に、思い出してもらうための道具です。新しいお客様を見つける道具ではありません。登録してくれるのは、サイトを見た人や、一度取引のあった人だからです。

ですから、同じお客様が何度も戻ってくる商売ほど向きます。逆に、一生に一度か二度しか頼まれない商売では、送る理由が続きません。

向く会社

  • 定期的に買い足される商品がある ― 消耗品、食品、季節の品物など。次に要る時期を思い出してもらえます
  • 季節で頼まれる仕事がある ― 点検、メンテナンス、衣替えのような時期ものの作業。時期の少し前に知らせる意味があります
  • 教室・講座・セミナーを開いている ― 次の開催日を知らせるのが、そのまま中身になります
  • 法人の取引先と、長く付き合う商売 ― 新製品、仕様の変更、休業日など、取引先が知っておきたいことが定期的に出てきます

向かない会社

  • 一度きりの依頼がほとんど ― 次に頼まれるのが何年も先なら、毎月送る中身がありません
  • 急ぎの依頼が中心 ― 困ったときに検索して連絡してくる商売では、メールを待っている人がいません
  • 書く人が社内にいない ― 向く商売でも、送る人がいなければ止まります。止まったメールは、始めなかった場合より印象が悪くなります

向かない側に当てはまる場合は、無理に始めなくて大丈夫です。その時間は、よく聞かれる質問への答えを書くことに回してください。

迷ったら、半年分の件名を書いてみる

どちらか分からないときは、送るとしたら何を送るか、件名だけを6か月分書いてみてください。たとえば「4月:春の点検のご案内」のように。

6本の件名がすらすら出てくるなら、向いています。3本目で手が止まるなら、今はまだ早いと考えてください。大事なのは、送る中身が貴社の仕事の中から自然に出てくるかどうかです。

3. 送ってよい相手を、先に決める

ここは、送る中身より先に決めてください。

同意をもらった相手に送るのが基本

宣伝や案内を目的にしたメールは、受け取ることに同意してくれた相手に送るのが基本です。広告・宣伝のメールの送り方には法律上の決まりがあり、同意の取り方や、メールの中に入れておくことが定められています。

ここでは一般的な考え方だけをお伝えします。細かい決まりは送る内容や相手、業種によって扱いが違うので、始める前に公的な案内や所管の窓口、専門家に確認してください。

名刺と問い合わせのアドレスは、そのまま名簿にしない

冒頭の経営者の方のように、「名刺も問い合わせのアドレスも溜まっている」という会社は多いです。ただ、名刺を交換したことや、一度問い合わせをいただいたことは、メールマガジンを受け取ることへの同意とは別に考えてください。

問い合わせをくれた方は、その件の返事を待っていたのであって、毎月の案内を頼んだわけではありません。いきなり届けば、驚かれます。

手元の連絡先から始めたい場合は、個別のメールで「今後、こういう案内をお送りしてもよいですか」とお尋ねして、返事をいただいた方だけを名簿に入れるのが穏当です。

誰が、いつ、どこで登録したかを残す

同意をいただいたら、いつ、どの入口から登録されたかを記録しておきます。サイトの登録ページか、展示会の申込書か、個別のメールか。

あとで「登録した覚えがない」と言われたとき、記録があれば落ち着いて説明できます。紙や個別メールで受けた分は、自分で表に書き足してください。

プライバシーポリシーにも書いておく

登録で受け取ったメールアドレスを、何に使うのか。これはプライバシーポリシーにも書いておきます。案内メールを送るつもりがあるなら、利用目的にそのことを書く。逆に、送るつもりがないのに、ひな形のまま「メールマガジンの配信」と書いてあるなら消しておきます。書き方は ホームページのプライバシーポリシーに、何を書くか にまとめました。

4. 登録の入口を、ホームページのどこに置くか

送ってよい相手の考え方が決まったら、登録の入口を作ります。ここでホームページとつながります。

登録のページを1枚つくる

まず、登録だけのページを1枚作ります。入力欄だけを置くより、1枚のページで説明したほうが、登録する人が安心します。

書くのは4つです。

  • 何が届くか ― 「季節の点検の時期と、新しく始めたサービスのご案内」のように、中身を具体的に
  • どのくらいの間隔で届くか ― 「月に1回、15日前後」など、守れる間隔を正直に
  • いつでも止められること ― 「毎回のメールの最後から、いつでも配信を止められます」
  • 過去に送ったものの例 ― 実際に送ったメールの中身を1〜2通、ページで読めるようにしておく

始めたばかりで送ったものがないうちは、見本を1通書いて載せれば十分です。

入力欄は、メールアドレスだけ

登録の入力欄は、メールアドレスだけにしてください。会社名や電話番号、業種を聞きたくなる気持ちは分かりますが、聞くほど登録の手前で手が止まります。

登録ボタンを押したら、登録したアドレスに確認のメールを送り、そこにあるリンクを押して登録が完了する形にしておくと安心です。打ち間違いや、他人のアドレスを勝手に登録されることを防げます。いたずらの登録が続く場合は、人が操作しているかを確かめる仕組み(Turnstile や reCAPTCHA など)を足します。

置く場所は、読み終わったところ

登録の入口は、読む人が「この会社の話をもう少し聞きたい」と思った直後に置きます。

  • お知らせの一覧と、1本ずつのお知らせの下 ― 「こうしたお知らせを、メールでも受け取れます」
  • コラムや、よくある質問の答えの記事の最後 ― 読み終わった人がいちばん関心を持っている場所です
  • 問い合わせを送ったあとの完了画面 ― 「ご返信までの間に」ではなく、「よろしければ」と控えめに
  • すべてのページのいちばん下(フッター) ― 小さな文字のリンクで十分です。探した人が見つけられれば役目を果たします

お知らせの欄に何を書くかは 「お知らせ」の欄に、何を書けばいいか に、コラムを書くかどうかは ホームページでブログやコラムを書くべきか にまとめてあります。メールマガジンは、この2つの読者を「次も読みたい」につなぐ出口になります。

置かないほうがいい場所

  • 開いた瞬間に出る、画面いっぱいの登録の窓 ― 何も読んでいない人に、登録を頼んでも押されません。スマートフォンでは閉じるボタンが見つけにくく、そのまま離れる人が出ます
  • 問い合わせフォームの、最初からチェックが入った「案内を受け取る」欄 ― 気づかずに送った人に案内が届くと、同意をもらったとは言いにくい形になります。置くなら、チェックは外しておきます

フォームの項目の考え方は 問い合わせフォームの項目は、いくつまで減らせるか に書きました。

5. 送る内容と、頻度

入口ができたら、中身です。ここで止まる会社がいちばん多いので、型を決めてしまいます。

送るのは、ホームページに載せたもの

別の原稿を書く必要はありません。ホームページに載せたお知らせやコラムを、メールで知らせる。これがいちばん続きます。

  • 季節の案内 ― 点検や手入れの時期、繁忙期の予約の締め切り
  • 新しく対応できるようになったこと ― 新しいサービス、扱い始めた商品、対応エリアの拡大
  • よく聞かれる質問への答え ― 最近いただいた質問と、その答えを書いたコラム
  • 休業日・営業時間の変更 ― 連休や年末年始の予定
  • 終わった仕事の報告 ― 実績のページに足した1件を、写真1枚と数行で

本文は短くして、詳しくはサイトのページで読んでもらう。こうするとメールを読んだ人がサイトに来る流れができ、サイトには記事が積み上がって、検索から来る人にも同じ中身が届きます。

送らないほうがいいもの

  • 毎回の値引きの案内 ― 値引きのない月に読まれなくなり、定価で頼みにくくなります
  • 社内行事だけの報告 ― 読む人の予定や判断が何も変わりません

1通の組み立ては、いつも同じでいい

組み立てを決めて、毎回その順に埋めるだけにしておきます。

図:お知らせメール1通の組み立て(文面の例は架空)
① 件名

開く前に中身が分かるように書きます。会社名と、いちばん伝えたい1つのことを入れます。

たとえば「【〇〇工務店】冬の前の給湯器点検、11月末まで受付中です」
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② 最初の3行

ここで用件を言い切ります。挨拶を長く書くと、肝心の中身にたどり着く前に閉じられます。

季節の挨拶は1行まで。読む人が知りたいのは、自分に関係あるかどうかです
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③ 中身を1〜3つ

それぞれ2〜3行で要点だけ書きます。話題は多くても3つまで。詳しい説明はサイトのページに任せます。

たとえば「点検の内容と所要時間」「予約の締め切り日」「年末年始の休業日」
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④ サイトへのリンク

話題ごとに1本ずつ、詳しく書いたページへつなぎます。リンクはトップページではなく、その話題のページへ。

たとえば「点検の詳しい内容はこちら」から、点検のページへ
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⑤ 送り主と、配信停止の案内

会社名、住所、連絡先、問い合わせ窓口を書きます。その下に、配信を止めるためのリンクを置きます。

ここを毎回同じ形で入れておくと、書き忘れが起きません

①〜⑤の順番を決めておけば、毎回考えるのは中身の1〜3つだけです。中身はサイトのページに書き、メールは入口に徹すると、1通にかかる時間が短くなります。

頻度は、守れる間隔で決める

頻度に正解はありません。決め方は1つで、1年続けられる間隔を選ぶことです。

多くの中小企業では、月に1回がひとつの目安です。週1回は、中身も書く時間も足りなくなりがちです。季節の仕事が中心なら、年4回でも構いません。

決めた間隔は登録のページに書き、それ以上の頻度で送らないこと。そして送る日を決めておくこと。「毎月15日前後」と決めておくと、原稿の締め切りが自然に決まります。

止まりそうなときは、間隔を広げる

続けていると、送れない月が出てきます。そのときは、無理に中身を作らずに間隔を広げて、登録のページの記載も直してください。月1回を2か月に1回にするのは、何の問題もありません。

困るのは、何の知らせもないまま半年止まって、突然また届くことです。間隔を変えるときは、その前の1通で伝えておくと親切です。

6. 配信停止を、分かりやすく作る

登録の入口と同じくらい大事なのが、出口です。止めにくいメールは、迷惑なメールとして扱われやすくなります。

毎回のメールの最後に、停止のリンクを置く

配信停止の案内は、すべてのメールの最後に、毎回同じ場所に置きます。「配信を止める場合はこちら」と、はっきり書いたリンクです。小さな灰色の文字に紛れさせないでください。

停止の方法を見つけられない人は、受信箱の「迷惑メール」のボタンを押します。そうした扱いが重なると、ほかの読者にも届きにくくなることがあります。止めたい人を気持ちよく止めることは、読み続けたい人に届けるためでもあります。

停止は、1回の操作で終わらせる

リンクを押したら、その場で停止が完了する形が理想です。次のような手間は外してください。

  • ログインやパスワードを求める ― 作った覚えのないものを聞かれると、止められません
  • メールアドレスをもう一度入力させる ― どのアドレスで登録したか、覚えていない人もいます
  • 理由の入力を必須にする ― 聞くなら任意にしてください

停止が終わったら、「配信を停止しました。これまでお読みいただき、ありがとうございました」と表示します。止めた方も、またいつかお客様になる方です。

メール以外から言われた停止も、同じ名簿に反映する

「もう送らないで」は、電話や返信のメールで届くこともあります。どこで言われても、その日のうちに名簿から外す。誰が外すかを先に決めておきます。

担当者ごとに別の名簿で送っていると、片方で止めたのに、もう片方から届きます。名簿は1つにまとめておいてください。

7. LINEとの使い分け

「メールマガジンとLINE、どちらがいいですか」とも、よく聞かれます。答えは、相手と用件で分けるです。両方使うなら、役割を分けないと同じことを2回送ることになります。

表:お知らせメールとLINEの使い分け(例はすべて架空)
比べるところお知らせメールLINE
向く相手法人の取引先、仕事中にパソコンで読む人個人のお客様、スマートフォンで短く読む人
向く中身たとえば新製品の仕様、価格改定、休業日の一覧など、あとで読み返すものたとえば「今週末の空き枠」「本日の入荷」など、すぐ読んで終わるもの
長さ数段落までなら読まれる。表やリンクも入れやすい数行まで。長い文章は途中で読まれなくなる
頻度の感じ方月1回程度なら、うるさく感じられにくい通知が鳴るので、多いとブロックされやすい

どちらが優れているかではなく、相手と中身で分けます。両方使う場合は、同じ文面を両方に流さず、役割を分けてください。実際の向き不向きは、貴社のお客様がふだん何で連絡してくるかで判断します。

法人の取引先が多いなら、メールから

法人の取引先が中心なら、メールのほうが向きます。仕事の連絡はメールで受けるという会社が多く、届いた案内を社内で転送して検討できるからです。

個人のお客様が多いなら、LINEから考える

個人のお客様が中心で、予約や来店が仕事の入口になっているなら、LINEのほうが読まれやすい場面があります。LINEで問い合わせも受けるなら、入口の置き方や受ける体制は LINEで問い合わせを受けるとき、ホームページとどうつなぐか にまとめてあります。案内の配信も、同じ決めごとの上に乗せてください。

両方使うときは、深さで分ける

両方を使う場合は、LINEは短い知らせ、メールは少し詳しい案内と、深さで分けます。たとえば、LINEでは「冬の点検の受付を始めました」の1行とリンクだけ。メールでは、点検の内容や締め切り、年末年始の予定までまとめて送る。

どちらの場合も、行き先はホームページの同じページにしておきます。そうすれば、中身を直すのは1か所で済みます。

8. 雄喜晃の伴走:登録の入口と、送った中身の置き場所をサイトに作ります

私たちがやること

私たち雄喜晃は、メールマガジンを始める会社のホームページに、登録のページと、各ページからの入口を作ります。何が届くか、どのくらいの間隔か、いつでも止められること。登録のページに書くことを、経営者の方と一緒に言葉にします。お知らせの下やコラムの最後、問い合わせの完了画面など、入口を置く場所も、貴社のサイトの読まれ方に合わせて決めます。

メールは短く、詳しくはサイトでという流れが作れるように、リンク先になるお知らせやコラムのページも整えます。プライバシーポリシーの利用目的に、案内メールのことが書けているかも一緒に確認します。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、メールで知らせるお知らせを載せる作業や、登録ページの記載の変更も、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

毎月のメールの配信を、私たちが代わりに行うことはしません。お客様に届く言葉は、貴社から出るものだからです。また、どこかで集めた連絡先の名簿に送るような方法や、特典と引き換えに登録を集めるようなやり方もお勧めしません。開封数や問い合わせの件数、検索の順位をお約束することもいたしません。

同意の取り方や、メールに入れておくべきことなど、法律の判断が要る点は、私たちが決めることはできません。業種によって扱いが違うので、所管の窓口や専門家に確認していただくようお願いしています。

「連絡先は溜まっているけれど、送っていいのか、何を送ればいいのか分からない」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:メールは入口、中身はホームページに

メールマガジンを始めるときに押さえることは、5つです。

  • 向くかどうかは、もう一度頼まれる商売かで決める ― 迷ったら、半年分の件名を書いてみる
  • 送るのは、同意をもらった相手に ― 名刺や問い合わせのアドレスを、そのまま名簿にしない。細かい決まりは公的な案内や専門家で確認する
  • 登録の入口は、読み終わったところに置く ― 登録のページを1枚つくり、入力欄はメールアドレスだけ
  • 中身はサイトに載せたものを知らせる ― 組み立てを決め、1年続けられる間隔で送る
  • 配信停止は、毎回の最後に、1回の操作で ― 止めたい人を気持ちよく止めることが、読む人に届けることにつながる

メールマガジンは、送る仕組みを用意するより、誰に、何を、どのくらいの間隔で送るかを決めるほうが難しいものです。そこが決まれば、仕組みはあとから選べます。

今日できることを1つだけ挙げます。送るとしたら何を送るか、件名を6か月分、紙に書き出してみてください。6本並んだら、登録のページに書く中身ができています。