1. 「ブログを書いたほうがいいと、言われるんですが」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページを作るなら、ブログも書いたほうがいいと言われるんです。検索で出やすくなるからと。でも、何を書けばいいのか分からないし、続く気もしなくて。本当に要るんでしょうか」
答えから書きます。ブログやコラムは、すべての会社に要るものではありません。書いたほうがいい会社と、書かなくていい会社があります。そして、書いたほうがいい会社でも、書く中身を間違えると、時間だけが消えていきます。
よくあるのは、「とにかく更新したほうがいい」と言われて、日記や業界のニュースを書き始め、半年ほどで止まる形です。止まった最後の日付は、サイトを見た人の目にもそのまま入ります。
この記事では、書くかどうかの判断から、何を書くか、どれくらいの量にするか、書いたあとにどう確かめるか、外に頼むときに何に気をつけるかまでを、順番に書きます。
この記事で書くこと
- 向く会社と向かない会社 ― 判断は、1つの問いでできます
- 書くのは「よく聞かれる質問への答え」 ― 日記や業界ニュースではありません
- お知らせとの違い ― 読む人も、寿命も違います
- 続けられる量の決め方 ― 目標の本数ではなく、上限を決めます
- 測り方と外注の注意 ― 本数やアクセス数では測りません
2. 向く会社と、向かない会社がある
まず、貴社がブログやコラムを書く側の会社かどうかを見ます。ここで向かないと分かれば、その時間をほかに回せます。
判断の問いは1つだけ
判断に使う問いは、1つです。お客様は、貴社に頼む前に、何かを調べているか。
調べているなら、その調べものの答えを書いておく意味があります。調べていないなら、書いても読まれる場面がありません。業種の名前より、この1点で決まります。
向く会社
調べてから頼まれる商売には、だいたい共通点があります。
- 金額が大きい ― 失敗したくないので、頼む前に選び方を調べます
- 頼む頻度が低い ― 一生に何度もない依頼は、相場も手順も分からないまま探し始めます
- 選ぶ基準が分かりにくい ― 何で比べればいいのかを、まず調べます
- 頼む前の不安が多い ― 「こんなことを頼んでいいのか」「どこまでやってもらえるのか」を先に知りたい
こうした商売では、お客様は問い合わせの前に、何度か検索をしています。その検索の答えが貴社のサイトにあれば、比べる段階で読まれます。
向かない会社
反対に、次のような会社は無理に書かなくて構いません。
- 紹介や指名だけで仕事が埋まっている ― 新しいお客様が検索から来る経路が、もともとありません
- 商品が単純で、迷う余地がない ― 調べる前に、場所と値段で決まります
- 取引先が決まっていて、発注する側が検索しない ― 下請けの仕事が中心の会社に多い形です
- 書ける人が、社内にも社外にもいない ― 始めても止まります
向かない会社にとって大事なのは、ブログではなく、会社概要やサービスのページ、実績のページが整っていることです。紹介で来た人も、名前で検索して確かめに来ます。その人が見るのは、ブログではありません。
たとえば、住まいの修理や改修、士業、受注生産の加工業。金額が大きい、頻度が低い、選び方が分からない。お客様は問い合わせる前に、自分の問いを検索しています。
たとえば、お客様は調べているが、社内で答えられるのが社長1人だけという会社。書く量を小さく決めて、話した内容を原稿に起こす形なら続きます。
たとえば、紹介だけで仕事が埋まっている会社や、場所と値段で選ばれる商売。書いても読まれる場面がありません。先に、会社概要やサービスのページを整えるほうが効きます。
業種の名前ではなく、お客様が頼む前に調べているかどうかで分けています。同じ業種でも、紹介中心の会社と、新しいお客様を探している会社とでは答えが変わります。
3. 書くのは「よく聞かれる質問への答え」
書く側の会社だと分かったら、次は何を書くかです。ここでいちばん多い間違いが、日記と業界ニュースです。
日記と業界ニュースは、探されていない
「今日は現場でこんなことがありました」「業界でこんな動きがありました」。書く側にとっては書きやすい中身ですが、これを検索して探している人は、ほとんどいません。
業界ニュースは、もっと詳しく書いている専門の媒体が先にあります。日記は、すでに貴社を知っている人には楽しく読まれても、まだ知らない人の検索には出てきません。
検索する人は、問いを打ち込んでいる
お客様が検索窓に打ち込むのは、たいてい問いです。「〇〇は自分でもできるのか」「〇〇と△△は何が違うのか」「〇〇を頼む前に準備することは」。
そして、その問いの多くは、貴社がすでに電話や商談で何度も答えているものです。答えを知っているのは貴社で、問いを持っているのはまだ見ぬお客様です。その間をつなぐのが、コラムの役目です。
よくある質問のページとの違い
よく聞かれる質問なら、よくある質問のページに書けばいいのでは、と思われるかもしれません。分け方はこうです。
- よくある質問 ― 答えが短く決まっているもの。「駐車場はありますか」「見積もりは無料ですか」
- コラム ― 答えに説明や場合分けが要るもの。「どちらを選べばいいか」「なぜそうなるのか」「頼む前に何をしておくか」
3〜5行で答えられる問いは、よくある質問へ。それでは足りず、「場合によります」と言いたくなる問いが、コラムの候補です。よくある質問の作り方そのものは 「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる にまとめてあります。
ネタの出どころは、3つの場面
問いは、考えて作らなくて構いません。次の3つの場面に、すでにあります。
- 商談で毎回する説明 ― 同じ話を何度もしているなら、それが1本になります
- 見積もりの内訳を説明するとき ― 「なぜこの金額になるのか」は、多くの人が知りたいことです
- お断りするときの理由 ― 「この条件ならお受けしない」は、合わない人に先に伝わります
この3つから、まず10個の問いを書き出してください。書き出した時点で、1年分の候補になります。
4. お知らせとは、読む人も寿命も違う
すでにお知らせの欄があるサイトでは、そこにコラムを混ぜてしまうことがよくあります。2つは、役割がまったく違います。
お知らせは今のお客様に、コラムはまだ知らない人に
お知らせは、営業日の変更や料金の改定のように、すでに貴社を知っているお客様の予定や判断が変わることを伝える場所です。読む人は、貴社の名前を知っています。
コラムを読むのは、まだ貴社を知らない人です。問いを検索して、たまたま貴社の記事にたどり着きます。貴社の名前より先に、答えを探しています。
寿命が違う
お知らせは、時間が経つと役目を終えます。古い営業時間の案内は、むしろ消したほうがいい情報です。
コラムは逆で、問いが変わらない限り、何年も読まれ続けます。だから、書いた日付より、最後に見直した日付のほうが大事になります。
置き場所を混ぜない
お知らせの欄にコラムを並べると、「休業のお知らせ」と「選び方の解説」が交互に並びます。どちらの読み手にとっても探しにくくなります。欄を分けて、名前も分けてください。お知らせに何を書くかは 「お知らせ」の欄に、何を書けばいいか に書いてあります。
| 種類 | 読む人と、書くこと | 寿命と長さ |
|---|---|---|
| お知らせ | すでに貴社を知っているお客様。たとえば「年末年始の営業日」「料金の改定」など、予定や判断が変わること | 時期が過ぎると役目を終える。3〜5行で足りる。古くなったものは消す |
| よくある質問 | 頼むかどうかを考えている人。たとえば「見積もりは無料ですか」など、答えが短く決まっている問い | 答えが変わるまで残す。1問3〜5行まで。サービスのページの近くに置く |
| コラム | まだ貴社を知らない人。たとえば「改修と建て替えはどちらが合うか」など、説明や場合分けが要る問い | 問いが変わらない限り読まれる。1本に問い1つ。見直した日付を残す |
3つとも「更新」に見えますが、読む人が違います。迷ったら、その文章を読むのは貴社を知っている人か、知らない人かで分けてください。知っている人ならお知らせ、知らない人ならコラムです。
5. 書く量より、続けられる量
何を書くかが決まると、次に「月に何本書けばいいか」という話になります。ここは、考え方を逆にしてください。
目標の本数ではなく、上限を決める
「月4本」のように目標を置くと、3ヶ月目あたりで中身が追いつかなくなります。問いが尽きたあとも本数だけが残り、本数を埋めるための記事が出てきます。これがいちばん避けたい形です。
先に決めるのは、目標ではなく上限です。「多くても月1本まで」と決めておけば、無理に埋める記事が出ません。書けない月があっても、それは止まったのではなく、上限の範囲内です。
1本に何時間かかるかを、先に測る
最初の1本を書くときに、かかった時間を記録してください。問いを選ぶ、話を整理する、書く、読み直す、載せる。全部で何時間だったか。
その時間に、貴社の月の空き時間を当てはめると、続けられる本数が出ます。続けられる量は、気合ではなく、この掛け算で決まります。2ヶ月に1本しか書けないと分かったなら、2ヶ月に1本で構いません。1年で6本の、きちんと答えた記事が残ります。
1本の型を決めておく
毎回、構成から考えると時間がかかります。型を1つ決めておくと、2本目から速くなります。
- 問い ― お客様の言葉のまま、見出しに置く
- 結論 ― 最初の数行で答える。「場合によります」で始めない
- 理由 ― なぜそう答えるのか
- 場合分け ― 答えが変わる条件を並べる
- 貴社の場合 ― 貴社ならどう対応するか。料金や条件があれば書く
- 次の行動 ― 読んだ人が次にやること。サービスのページへの道もここに
最後の2つが抜けると、役に立つ記事なのに、誰が書いたのか覚えてもらえません。
止まったときの見え方
続けられない量で始めると、どこかで止まります。止まったブログは、最後の日付がそのまま「この会社は今も動いているか」の目安として読まれます。
だからこそ、日付が並ぶ一覧の形にするかどうかも考えてください。本数が少ないうちは、日付順の一覧ではなく、問いの種類ごとに並べる形のほうが、止まって見えません。更新が止まる会社に共通することは 更新を続けられる会社と、止まる会社の違い に書きました。
6. 書いたあとの測り方
書いた記事が役に立っているかどうかは、測らないと分かりません。ただし、測るものを間違えると、また本数を追いかけることになります。
本数とアクセス数の合計では測らない
「今月は何本書いたか」「サイト全体のアクセスが増えたか」。この2つは分かりやすいのですが、記事が仕事につながったかどうかは、どちらにも出てきません。
アクセスが増えても、問いと関係のない人ばかりが読んでいるなら、問い合わせにはつながりません。本数は、こちらが頑張った量であって、読む人にとっての価値ではありません。
見るのは、3つ
記事ごとに、次の3つを見てください。
- どんな言葉の検索で表示されたか ― サーチコンソールで、記事ごとに見られます。狙った問いで出ているか、思っていなかった問いで出ているか
- 記事から先に進んだか ― 記事を読んだあと、サービスのページや問い合わせのページへ移った人がいるか。GA4で見られます
- 営業で使えたか ― 問い合わせの返信や商談のあとに、記事のURLを送った回数
3つ目は数字の画面には出ませんが、いちばん分かりやすい成果です。同じ説明を、記事のURLを送るだけで済ませられたなら、その記事は書いた時間をすでに取り返しています。GA4とサーチコンソールで何を見るかの全体は ホームページを作ったあと、何を測ればいいか にまとめてあります。
測るのは、半年から1年の単位で
記事は、書いた翌月に結果が出るものではありません。検索に出始めるまでに時間がかかりますし、母数が小さいうちは数字が大きく揺れます。
見るのは、半年から1年に一度で十分です。そのときに、表示はされているのに読まれていない記事は、タイトルと冒頭を直します。まったく表示されていない記事は、問いの言葉がお客様の言葉とずれていないかを見直します。
古くなった記事は、消さずに直す
料金や制度、使っている材料が変わると、記事の中身も古くなります。コラムは長く読まれるぶん、古い答えも長く読まれ続けます。
見直しのときに、中身が今と違う記事を探して直してください。直したら、冒頭か末尾に「〇年〇月に内容を見直しました」と書いておくと、読む人が安心できます。
7. 外に頼むときの注意
書く時間がないので外に頼みたい、というご相談もよく受けます。頼むこと自体は悪くありません。ただ、頼み方を間違えると、貴社の名前で中身の無い文章が並びます。
中身の無い記事の量産は、勧めません
「月〇本、キーワードに合わせて記事を書きます」という形の依頼は、本数と引き換えに、どの会社が書いても同じになる記事ができあがりがちです。一般論をなぞっただけで、貴社の経験も、貴社ならどうするかも入っていない記事です。
こうした記事は、読んだ人に「この会社に聞けば分かる」とは思ってもらえません。むしろ、貴社の名前で薄い文章が並ぶことのほうが、信用の面では損です。本数を増やすより、問いに本当に答えた記事を少なく残すほうを勧めます。
渡すのは、話のほう
外の書き手に頼むなら、書き手に渡すべきものは「テーマ」ではなく貴社の話です。
- 問い ― お客様から実際に聞かれた言葉のまま
- 普段の答え方 ― 電話や商談でどう説明しているか。録音や箇条書きで構いません
- 貴社ならどうするか ― 場合分けのそれぞれで、貴社が勧めることと、お断りすること
これがあれば、書き手は貴社の言葉で書けます。これが無いと、書き手は検索して出てくる一般論で埋めるしかありません。
事実の確認は、社内でやる
外の書き手は、貴社の現場を知りません。数字や手順、料金、法律や制度に触れる部分は、公開する前に社内の人が必ず読んでください。
法律や制度、税の話は、業種によって扱いが違います。記事の中では一般論にとどめ、「詳しくは所管の窓口や専門家に確認を」と添える形が無難です。書き手が言い切っている箇所ほど、注意して読んでください。
文章の生成ツールで下書きするとき
最近は、文章の生成ツールで下書きを作るという相談も増えました。下書きに使うこと自体は、手間を減らす方法の1つです。ただ、貴社の経験が入っていない下書きは、量産された記事と同じになります。どこまで任せてよいかの線引きは ホームページの文章を、AIにどこまで書かせていいか に書きました。
契約の前に聞いておくこと
本数で請け負う契約を結ぶ前には、誰が書くのか、記事の権利はどちらにあるのか、やめたあと記事はどうなるのかを確かめてください。見積書の「SEO対策費」の中に記事の作成が入っていることもあります。聞き方は 見積書に「SEO対策費」と書かれていたら、何を聞くか にまとめてあります。
8. 雄喜晃の伴走:書く問いを一緒に選び、載せる場所を用意します
私たち雄喜晃がお作りするサイトで、コラムを置くかどうかは、最初のお打ち合わせで、お客様が頼む前に何を調べているかを伺ってから決めます。向かない会社だと分かれば、置かないことをお勧めします。
私たちがやること
コラムを置く場合は、商談でよくする説明や、お断りするときの理由を伺いながら、最初の10個の問いのリストを一緒に作ります。お知らせとは分けた欄を用意し、記事からサービスのページへ進める道もつけておきます。
書いた原稿や、話した内容のメモを送っていただければ、見出しと段落を整えて掲載します。料金は制作費0円、月額8,800円(税別)から、6ページ構成は月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、記事の掲載や、見直したときの書き換えもこの範囲で反映します。
条件も書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
記事の執筆を、本数で請け負うことはしていません。月に何本と決めて記事を作ると、貴社の経験が入らない記事が増えるからです。問いのネタを、こちらで作文することもしません。
また、記事を書けば検索の順位が上がる、問い合わせが増える、といったお約束もしません。私たちがお手伝いできるのは、貴社がすでに答えている問いを、読める形でサイトに残すところまでです。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。「ブログを勧められたが、うちで書く意味があるのか分からない」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:書くかどうかは、聞かれている問いで決まる
ホームページでブログやコラムを書くかどうかを決めるときに、押さえることは5つです。
- 向くかどうかは1つの問いで ― お客様が頼む前に調べているなら書く。調べていないなら、ほかのページを先に整える
- 書くのは、よく聞かれる質問への答え ― 日記や業界ニュースではなく、説明や場合分けが要る問い
- お知らせとは分ける ― 読む人も寿命も違う。欄を分けて、名前も分ける
- 目標ではなく上限を決める ― 1本の時間を測り、空き時間との掛け算で量を決める
- 本数ではなく、使われたかで測る ― 表示された言葉、先に進んだか、URLを送れたか
ブログは、書けば集客になる道具ではありません。貴社がすでに何度も答えている問いを、まだ知らない人にも届く形で残す道具です。問いがある会社には効き、無い会社には要りません。
まずは今週、商談や電話で何度もしている説明を、10個書き出してみてください。10個出てくるなら、貴社は書く側の会社です。3個しか出てこないなら、その3個はよくある質問のページに置けば足ります。どちらか迷うという方は、一度ご相談ください。