1. 「アクセス数は見てるんですけど、それで?」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「アクセス解析、入れてもらってるんですよ。毎朝ちょっと見てます。昨日は38人来てました。ただ、それが良いのか悪いのか、正直よく分かってなくて」
このご相談、本当に多いです。そして「よく分かっていない」というご認識は、正確です。1日38人という数字だけでは、良いも悪いも判断できません。判断できない数字を毎朝見ているので、疲れるだけで何も決まらない。
私が現場で見てきた限り、ホームページの数字が経営判断に使われている会社と、使われていない会社の差は、ツールの差ではありません。見る数字を絞れているかどうかです。絞れていない会社は、たくさんの数字を眺めて、結局いつも同じ結論(「もっとアクセスを増やさないと」)にたどり着きます。
料金の仕組みそのものは 「制作費0円」のホームページは、どこで回収されているのか に書きました。この記事は、作ったあとに何を見るかの話です。
この記事で書くこと
- 毎日アクセス数を見ても、判断に使えない理由
- 入れるツールは2つだけでいい(有料ツールは要りません)
- 見る数字は3つだけ ― 問い合わせ件数、サービスページの人数、検索でのクリック回数
- 「率」ではなく「件数」で見る理由
- 問い合わせを数えるための、最低限の設定
- サーチコンソールで見るのは、順位ではありません
- 見なくていい数字
2. 毎日アクセス数を見ても、判断はできません
まず、多くの会社がやっていることを整理します。毎朝アクセス数を見る。これが、いちばん時間を使う割に、何も決まらないやり方です。
母数が小さいと、数字は勝手に動きます
中小企業のホームページに来る人は、1日に数十人から、多くて数百人です。この規模で日ごとの数字を見ると、次のようなことが起きます。
- 月曜は多く、土日は少ない。業種によっては逆。これは曜日の性質であって、良し悪しではありません
- 誰かが社名を検索しただけで、その日の数字が動きます
- 検索エンジン側の巡回や、意味のないアクセスが混ざる日があります
つまり、日ごとの上下のほとんどは、施策の結果ではありません。それを見て一喜一憂すると、動いていない原因を探して、動いていない対策を打つことになります。
見なくていい数字①:直帰率だけを見る
直帰率は、「1ページだけ見て帰った人の割合」です。これだけを見て良し悪しを判断するのは、避けてください。
理由は単純で、1ページで用が足りた人も、直帰に数えられるからです。営業時間を調べに来た人が、営業時間を見て、電話をかけて帰る。これは成功ですが、直帰です。直帰率が高いことは、それだけでは問題を意味しません。
見なくていい数字②:ページビューの合計
サイト全体のページビュー数も、単体では判断に使えません。採用ページを何百回見られても、問い合わせは増えません。合計してしまうと、増えてほしいページと、増えても意味のないページが混ざります。
この構造は アクセスは増えたのに、問い合わせが増えない に詳しく書きました。増やしやすいアクセスほど、問い合わせから遠いところにあります。
見なくていい数字③:滞在時間の平均
平均滞在時間も、意味を読み取りづらい数字です。ページを開いたまま昼休みに入った人が1人いるだけで、平均は大きく動きます。そして「長いほうが良い」とも限りません。料金を探しに来た人にとっては、短いほうが親切です。
この3つは、見ないと決めてしまって構いません。見ないと決めることで、見るべき数字に目が向きます。
3. 入れるのは、2つだけでいい
次に、道具の話です。ここは結論から書きます。
有料ツールは要りません
Google アナリティクス(GA4)と、Google サーチコンソール。この2つだけで足ります。どちらも無料です。中小企業のホームページで、これ以上の道具が必要になる場面を、私はあまり見ていません。
ヒートマップ、A/Bテスト、有料の解析ツール。これらが役に立つのは、母数が大きい場合です。1日数十人の規模では、そもそも判断できるだけのデータが集まりません。月額を払って、判断できない数字を増やすことになります。
GA4が答えるのは「来たあとのこと」
GA4は、サイトに来た人が、どのページを見て、何をしたかを記録します。
- どのページが見られているか
- 検索から来たのか、SNSから来たのか、広告から来たのか
- 問い合わせ完了ページまで、何人がたどり着いたか
サーチコンソールが答えるのは「来る前のこと」
サーチコンソールは、検索結果の画面で何が起きているかを教えてくれます。ここがGA4との決定的な違いです。
- どんな言葉で検索したときに、貴社のサイトが表示されたか
- 表示されたうち、何回クリックされたか
- そのとき、何番目に出ていたか
「まだ来ていない人」のことが分かるのは、サーチコンソールだけです。GA4には、来なかった人は記録されません。だから2つ要ります。
入れ方は、制作会社に頼めば済みます
どちらも、サイトに数行のコードを入れるか、所有権を確認するだけで使えるようになります。制作をお願いした会社に「GA4とサーチコンソールを入れて、アカウントに私を招待してください」と伝えれば済みます。
ここで1つだけ注意があります。アカウントの持ち主を、貴社にしておいてください。制作会社のアカウントの中に作られていると、契約が終わったときに過去のデータごと見られなくなります。
4. 見る数字は、3つに絞る
ここが記事の中心です。貴社が見るべき数字は、3つだけです。
フォーム、電話、メール。数え方はそろえて、月ごとに件数だけを記録します。これが増えていないなら、他の数字が良くても意味がありません。
トップではなく、実際に売っているものを説明したページ。ここに来た人数が、問い合わせの手前の数字になります。GA4のページ別の表で見ます。
サーチコンソールの合計クリック数。検索している人に、貴社が見つけてもらえているかを表します。増えるまでに3〜6ヶ月かかります。
3つは、右から左へつながっています。検索で見つかる → サービスページまで来る → 問い合わせる。どこが細いのかが分かるので、次に何を直すかが決まります。①だけを見ていると、悪かったときに打ち手が出てきません。
① 問い合わせ件数 ― これだけが結果です
ホームページを作った目的が問い合わせなら、見るべき結果はこれ1つです。アクセスが半分になっても、問い合わせが増えていれば、そのサイトは良くなっています。
数え方は、フォーム・電話・メールをまとめて、月ごとの件数でかまいません。ただし、数え方は毎月そろえてください。先月は電話を入れて、今月は入れない、では比べられません。
② サービスページに来た人数 ― 問い合わせの手前
①だけを見ていると、悪かった月に打ち手が出てきません。だから、その1つ手前を見ます。
トップページではなく、実際に売っているものを説明しているページです。「◯◯工事のページ」「料金のページ」「サービス紹介のページ」。ここに来た人数が、貴社の商売に関心を持った人の数に近い数字になります。
トップページの数字を見ない理由は、社名で検索してきた既存のお客様や、取引先が混ざるからです。サービスページまで来た人は、少なくとも中身を読もうとしています。
③ 検索でクリックされた回数 ― 入口の広さ
3つ目は、サーチコンソールの合計クリック数です。検索結果に出て、実際に押された回数のことです。
この数字は、すぐには増えません。公開してから3〜6ヶ月かけて、ゆっくり増えていく性質のものです。だから、毎月見て一喜一憂するものではなく、半年前と比べる数字として扱ってください。
5. 「率」ではなく「件数」で見る
数字の見方について、もう1つ大事なことがあります。
率は、母数が小さいと動きすぎます
「問い合わせ率が2%から1%に落ちました」と言われたら、深刻に聞こえます。ただ、来訪者が100人なら、2件が1件になっただけです。風邪をひいた人が1人問い合わせをやめただけで、率は半分になります。
中小企業の規模では、率はほとんど誤差で動きます。件数で見てください。「先月2件、今月1件」と言われれば、深刻でないことがすぐ分かります。
件数なら、そのまま経営の話になります
もう1つ、件数には利点があります。件数は、そのまま売上の話に変換できます。
- 問い合わせ10件のうち、商談になるのが3件
- 商談3件のうち、受注が1件
- 受注1件の粗利が◯◯円
この流れが分かっていれば、問い合わせ1件の価値が計算できます。そうすると、「月額を払う価値があるか」が、感覚ではなく数字で判断できるようになります。率のままでは、この計算ができません。
見る頻度は、月1回でいい
そして頻度です。月1回で十分です。週次で見ると、母数が小さすぎて数字が乱高下し、意味のない上下に振り回されます。
月末か、翌月の第1営業日に30分。それだけ確保して、3つの数字をどこかに書き留める。エクセルでも、ノートでも構いません。大事なのは、記録が残っていることです。
前の月ではなく、去年の同じ月と比べる
比べる相手にも注意が要ります。多くの業種には、季節の波があります。8月と9月を比べても、その差が季節なのか施策なのか分かりません。
比べるのは、去年の同じ月です。1年分の記録がたまるまでは判断を急がず、まず数字を貯めてください。測り始めた最初の1年は、比べる相手を作っている期間だと考えてください。
6. 問い合わせを数えられるようにする、最低限の設定
「問い合わせ件数を見ましょう」と言われても、そもそも数えられる状態になっていない会社が多くあります。ここは設定が要ります。難しい話ではありません。
サンクスページを、独立したページにする
いちばん確実で、いちばん簡単な方法がこれです。問い合わせフォームを送信したあとに表示されるページを、専用のURLにしておく。
- 送信前:
/contact/ - 送信後:
/contact/thanks/
こう分かれていれば、「/contact/thanks/ が表示された回数 = 送信された件数」になります。特別な仕組みは要りません。
多くのフォームは、初期状態だと同じページ内に「送信しました」と表示するだけになっています。この形だとURLが変わらないので、送信を数えられません。制作会社に「サンクスページを別URLにしてください」と伝えるだけで変わります。
GA4で、到達した回数を数える
サンクスページが分かれていれば、GA4で見る場所は決まります。ページ別のレポートを開いて、/contact/thanks/ の表示回数を見る。これだけです。
もう少し丁寧にやるなら、そのページの表示を「キーイベント」として登録します。設定画面から、ページのURLを条件にしてイベントを作り、キーイベントとして印を付ける。そうすると、月ごとの件数が最初の画面に出てくるようになります。
ここまでの設定は、制作会社に依頼すれば30分程度の作業です。自分で覚える必要はありません。「できているかどうか」だけ確認できれば十分です。
電話とメールは、別に数える
フォーム以外から来る問い合わせは、GA4では数えられません。電話でかかってきたもの、直接メールで届いたもの。これは人が数えるしかありません。
紙でもエクセルでも構わないので、月ごとに正の字を書いてください。「今月は電話4件、フォーム2件、メール1件」。この記録が1年たまると、それだけで判断材料になります。
そして、来た問い合わせをどう扱うかは、測定と同じくらい結果を左右します。問い合わせが来たあと、何時間以内に返すべきか に書いた通り、返信までの時間で結果が変わります。
7. サーチコンソールで見るのは、順位ではありません
最後に、サーチコンソールの見方です。ここは誤解が多いところです。
順位は、人によって違います
「うちのサイト、◯◯というキーワードで何位ですか」というご質問をよくいただきます。ただ、今の検索結果は、見る人の場所・端末・過去の検索履歴によって変わります。同じ言葉で検索しても、貴社と私では違う順番で表示されます。
サーチコンソールに出る「平均掲載順位」も、あくまで平均です。そこを1つずつ追いかけても、打ち手には結びつきません。
見るのは、表示回数が出始めた言葉
代わりに見ていただきたいのが、検索パフォーマンスの画面に出てくる「クエリ」の一覧です。貴社のサイトが、どんな言葉で検索されたときに表示されたかが並びます。
ここで探すのは、順位ではありません。先月まで0だったのに、今月から表示回数が出始めた言葉です。
- 表示回数が出ている = Googleが、その言葉と貴社を結びつけ始めた
- クリックはまだ0でも構いません。評価され始めたことの先行指標です
この言葉が、貴社の思っていた言葉と違うことがよくあります。そこが、いちばん役に立つ情報です。「うちは◯◯業だと思っていたが、実際には△△という言葉で探されている」。ここから、次に足すページが決まります。
表示はあるのに、クリックされていない言葉
もう1つ見どころがあります。表示回数はそれなりにあるのに、クリック数が極端に少ない言葉。
これは、検索結果に出ている見出しと説明文が、その人の探しものと噛み合っていないサインです。ページの中身を作り直す必要はなく、タイトルと説明文を書き直すだけで変わることがあります。
見る順番 ― 3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月
最後に、いつ何を見るかを整理しておきます。
- Step 1(公開〜3ヶ月) ― 数えられる状態にすることだけに集中します。サンクスページを分け、GA4とサーチコンソールを入れ、記録用のシートを1枚作る。この時期の数字の大小は、まだ判断材料になりません
- Step 2(3〜6ヶ月) ― サーチコンソールで、表示回数が出始めた言葉を見ます。そこに合わせて、ページを1〜2枚足すか、既存ページに書き足す
- Step 3(6〜12ヶ月) ― 問い合わせ件数を、去年の同じ月と比べられるようになります。ここでようやく、投資判断ができます
公開直後の90日で何をするかは ホームページを作ったのに問い合わせが来ない ― 公開後90日でやること に、順を追って書きました。
8. 雄喜晃の伴走:数えられる状態にして、お渡しします
私たち雄喜晃がお作りするサイトは、最初から数えられる形にしてお渡しします。GA4とサーチコンソールを設定し、サンクスページを独立したURLにし、問い合わせの到達を数えられるようにする。ここまでを、公開時点で済ませておきます。
そして、アカウントは貴社の名義で作ります。私たちのアカウントの中に貴社のデータを置くことはしません。契約が終わっても、過去のデータは貴社に残ります。
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、数字を見て「このページの説明を書き換えたい」と思われたときに、そのつど費用は発生しません。測って、直す。この往復に追加費用がかからないことが、この形の一番の利点だと思っています。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
契約の条件
条件も先に書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7ヶ月目以降はいつでも解約でき、違約金はありません。ただし、7〜35ヶ月目で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、ドメイン代等のご負担を条件に、サイトをお渡しします。ここは契約前に必ずご説明します。
私たちがやらないこと
一方で、私たちがやらないことも書いておきます。毎月の分析レポートを作って提出する、ということはしていません。きれいな資料を月1回お届けしても、それを読むだけでは何も変わらないからです。3つの数字を、貴社ご自身が見られる状態にするほうが、確実に役に立ちます。
そして、順位を上げること自体を請け負うこともしていません。順位保証をうたう会社もありますが、私たちはお約束できません。順位の話をどう扱うかは 「SEO対策やります」という営業電話に、どう答えるか に書いた通りです。私たちができるのは、測れる状態を作り、出てきた言葉に合わせてページを直していくことです。分析や提案だけで終わらせず、実際に直すところまでご一緒します。
「数字は見ているが、次に何をすればいいか分からない」という経営者の方には、私たちは間違いなくお役に立てます。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
9. まとめ:3つに絞ると、判断できるようになります
ホームページを作ったあとに測ることは、3つだけです。
- 問い合わせ件数 ― これだけが結果です。フォーム・電話・メールを、数え方をそろえて月ごとに
- サービスページに来た人数 ― 問い合わせの1つ手前。トップページの数字は見ません
- 検索でクリックされた回数 ― 入口の広さ。3〜6ヶ月かけて増える数字です
見る道具はGA4とサーチコンソールの2つだけ、見る頻度は月1回、見方は率ではなく件数。そして、直帰率・ページビューの合計・滞在時間の平均は、見ないと決めてしまって構いません。
まず、今日できること
まずは、貴社のサイトで問い合わせフォームを送信してみて、送信後にURLが変わるかどうかを確かめてください。変わらないなら、問い合わせを数えられていません。そこが最初に手を付けるところです。
そして、今月の問い合わせ件数を、紙に1つ書いてください。測定は、そこから始まります。1年後、この1行が比べる相手になります。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。判断に使える数字を、一緒に作っていきましょう。